第5章 国家イノベーションパークの現状
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第2節 天津濱海バイオ医薬国際イノベーションパーク

 2006年6月26日、中国科学技術部と天津市政府は「共同で国家バイオ医薬イノベーションパークを建設する議定書」に調印し、中国科学院、中国人民解放軍軍事医学科学院、中国医学研究院からも協力を得て、「バイオ医薬国際イノベーションパーク」及び「国際バイオ医薬ネット研究院」の建設を始動させた。その後、2007年6月26日、中国科学技術部と天津市政府の2者連合の体制から中国科学技術部、商務部、衛生部、食品薬品管理監督局、天津市政府の5者連合の体制へと変わった。

 国家バイオ医薬国際イノベーションパークは天津濱海新区内への建設が予定されているが、もともと天津濱海新区は天津国家ハイテク産業開発区の一部である。天津濱海新区におけるハイテク技術分野の生産高は、2006年10月現在、工業総生産の42%を占めている。特にバイオテクノロジー関連製品を生産する企業は500社を超え、バイオテクノロジー産業の年間収入は300億元に達している。

 尚、国家バイオ医薬国際イノベーションパークは「1園3区」、すなわち(国家生物医薬国際創新園)3区(研究開発区、企業インキュベーション区、生産貿易区と言う3つの区)より構成され、研究開発区内に国際バイオ医薬ネット研究院が建設される構想である。先進的な技術を導入し、それを吸収し、イノベーションに結びつけ、天津濱海新区において研究開発、企業インキュベーション、生産貿易を一体化し、10年をかけて中国最大、世界的にも知名度の高いバイオ医薬イノベーションと産業基地を目指すと同時に、3~5年をかけて中国最大、国際一流のバイオ医薬ネット研究院の建設に取り組むことを目標としている。

 天津南開大学の饒子和学長は、「2006年中国泰達生物フォーラム」において次のように述べている。「天津は昔から中国北方最大の工業基地であった。ここ濱海新区も、長年の努力によって基礎が固まってきた。濱海新区には、南開大学や天津医薬大学、天津大学などの有名大学もキャンパスを置いている。天津は産業基地であり、産業を非常に重視している。北京・上海などが基礎研究に力を入れているのに対し、天津は製品開発・生産を重視している」[1]

 国家バイオ医薬国際イノベーションパークの建設に合わせて、2007年6月26~28日、同地にて「2007年国際バイオ経済大会」が開催された。中国科学技術部と天津市政府が主催し、国連関係機関を含む国内外の政府機関や国際組織の共催による同大会には、国内外の著名な産学官関係者が集まり、政策、技術、産業などを対象にした横断的な幅広い議論は参加者に有益な示唆を与えた。

 2008年2月、中国科学技術部が天津市にて座談会を開き、国家バイオ医薬国際イノベーションパーク、及び天津国際バイオ医薬連合研究院(前国際バイオ医薬ネット研究院)の建設進捗状況などについての意見を聴取した。

 研究開発区の中心であると同時に、国家バイオ医薬国際イノベーションパークのシンボルでもある天津国際バイオ医薬連合研究院は、その建設計画案が確定し、第1期工事の設計に入っている。また、同天津国際バイオ医薬連合研究院は、イタリア、アメリカ、スイスなどの国立研究機関や企業との協力協定などを予定通りに進めている。更に、「第1次天津国際バイオ医薬聯合研究院」の人材募集も予定通りに終了した[2]


[1] 中国国際放送「2006年中国泰達生物フォーラム、天津で開催」2006年11月16日。

[2] 天津日報「加快推進国家生物医薬国際創新園建設」2008年2月28日。