第十二次五ヶ年計画における緑色発展の実態と動向
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第4章 地域的な取り組み

第4章 地域的な取り組み

4.1 省エネ・排出削減目標の各地区への配分

 中国国務院は2011年9月7日、「第12次5ヵ年省エネ・排出削減総合工作方案」(「"十二五"節能減排総合性工作方案」)を同8月31日付で関係機関に通知した。

 それによると、2015年までにGDP1万元あたりのエネルギー消費量を標準炭換算で0.869㌧(2005年の価格計算で)に削減することを要求している。これは、2 010年時点の1.034㌧から16%削減することを意味している。また2005年の1.276㌧と比べると32%の削減に相当する。目標が達成できれば、「第12次5ヵ年」期 に標準炭換算で6億7000万㌧の節約が実現できる。

 このほか同方案では、2015年までに化学的酸素要求量(COD)と二酸化硫黄の排出量をそれぞれ2347万6000㌧と2086万4000㌧に削減することを要求している。これは、2 010年の排出量と比べると、いずれも8%の削減に相当する。2015年時点のアンモニア性窒素と窒素酸化物の排出目標は、それぞれ238万㌧と2046万2000㌧に設定されており、い ずれも2010年との比較では10%の減少に相当する。

 同方案では、こうした目標を達成するため、省エネ・排出削減目標責任制を強化するとともに、省エネ・排出削減指標を各地方に合理的に配分することを要求している。また、経済発展水準や産業構造、省 エネポテンシャル、環境容量、国の産業配置などを総合的に考慮し、省エネと排出削減の目標を各地区や産業に合理的に配分することを求めた。また、同方案では、化学的酸素要求量(COD)、アンモニア性窒素、二 酸化硫黄、窒素酸化物についても、各地区への配分を決めた。第4-1-1表に各地区に配分された省エネ目標を示す。

第4-1-1表

4.2 主な地方政府の政策

 各地方政府は、中央政府の基本方針に基づき、「第12次5ヵ年」期の気候変動対応計画の作成をすでに完了し、組織的に実行に移す段階に入っている。各地方の気候変動対応施策は、低 炭素社会の実現と循環経済及びグリーン発展の理念が共通の柱となっている。

 また、各地方が温室効果ガスの排出を抑制して低炭素発展の目標を達成することを通じて、中国全体としての持続的発展が可能な社会システムの構築を確実なものにするというのが基本的考えになっている。

そのために必要な自主イノベーションを創出するための基盤となる科学技術の進歩を奨励し、省エネ技術や新エネルギー開発、生態環境の保全技術の開発を進めるとともに、経 済の発展方式と消費スタイルの転換を図りながら気候変動問題への対処能力を高めていくという方針が打ち出されている。

 中央政府が策定した「第12次5ヵ年」期の省エネ排出削減目標の達成を目的とした各地方政府の気候変動対応計画とは別に、上海市や広東省等の地方政府は、よ り長期的な低炭素社会の発展を見据えて低炭素発展ロードマップの策定を進めている。

4.3 各地の低炭素都市計画

 現在、中国国内では低炭素省、低炭素都市、エコシティ、生態城の設立が積極的に行われている。各種建設プロジェクトは「エコシティ」や「生態城」と名付けられ、数多く計画、実施されている。

 こうした低炭素都市プロジェクトは現在、200ヵ所以上にも及ぶが、実際に実施されているプロジェクトはそれほど多くなく、ま た国の承認ではなく地方政府の承認だけで進められているプロジェクトがほとんどである。第4-3-1図に代表的な低炭素都市プロジェクトを示す。

第4-3-1図