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第14回CRCC研究会「日中大学間交流」/講師:高部英明(2009年3月11日開催)

 科学技術振興機構(JST)中国総合研究センター(CRC)主催の第14回研究会は3月11日(水)JSTにおいて開催された。

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 講師を務めたのは、島根大学・寧夏大学国際共同研究所日本側所長井口隆史教授と大阪大学レーザーエネルギー学研究センター高部英明教授である。

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 井口教授は「島根大学・寧夏大学両大学の研究交流の歴史と国際共同研究所」というテーマで講演した。島根大学と寧夏大学との研究交流は1987年に始まった。以来20年余、交流は継続して、研究者間の交流から、島根大学と寧夏大学(大学間)、島根県と寧夏回族自治区(県区間)、浜田市と銀川市、松江市と石嘴山市(自治体間)のそれぞれの交流協定締結にまで発展している。2004年には、日本国際協力銀行の「内陸部・人材育成事業」の一環として国際共同研究所を設立した。近年、日本の多くの大学が競って中国に進出しているが、そのほとんどは東部沿岸域に集中していて、西部には皆無に等しい中にあって、この国際共同研究所は唯一西北部に立地するものであり、西部の変化に日常的に接し、誰よりも詳しく観察できる有利さを持つ研究所であると井口教授は述べた。

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 続いて、大阪大学の高部教授は「アジア連合は日中の科学者から」というテーマで講演した。高部教授はアジア太平洋物理学会連合の理事であり、中国国家天文台の名誉教授および上海交通大学の客員教授も務めている。同教授は当時中国科学院物理研究所副所長、現在上海交通大学総長の張傑教授と2002年運命的出会いがあった。その後、張傑教授と大型レーザーを用いた「実験室宇宙物理」の共同研究を開始し、学振とNSFCの援助を受けて大阪と上海で共同研究実験を実施し、その成果を複数の論文にまとめて権威ある学術誌に投稿し掲載されたと語った。高部教授は科学技術の分野で日中共同事業を推進することで、日本の研究所が活性化するという観点も重要であると強調している。

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 講演後の質疑応答では活発な議論がなされた。最後に中国総合研究センターセンター長・藤嶋昭による挨拶により閉会した。

 研究会には、日本の官公庁はじめ、マスコミ、研究機関、JST関係者など多くの参加を得た。また、内モンゴル出身の多くの研究者の参加を得たことを特記しておきたい。

(中国総合研究センター フェロー 米山春子 記)