第14回中国研究サロン「中国は、今まさに知日の時代」(2015年 7月 3日開催)

演題:中国は、今まさに知日の時代

写真1

開催日時・場所

2015年 7月 3日(金) 16:00 - 17:30

国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)
東京本部別館1Fホール

講師

毛 丹青:神戸国際大学教授、作家

講演資料

中国は、今まさに知日の時代」( PDFファイル 13.8MB )

講演レポート

 中国人の視点で日本文化やライフスタイルを紹介するムック本『知日』を大陸で出版して成功させた神戸国際大学教授で作家の毛丹青氏が7月3日、中国総合研究交流センター主催の中国研究サロンで講演し、戦 後最悪とされる日中関係の下でも、日中関係は海底の部分で文化的につながっており、『知日』成功の理由もそこにあると強調した。

写真2

 毛氏はこの中で、2011年1月に中国で『知日』が出版された当時の状況に触れ、「2010年9月、(東シナ海の尖閣諸島海域で)中国漁船衝突事件が起き、その後、大規模な反日デモが巻き起こった」と 述べ、こうした状況で『知日』を出してもうまくいかないという懸念もあったと告白。しかし、毛氏はその際、「反日デモが中国のすべてではなく、日本語を学ぼうとする人は100万人以上もおり、中 国には等身大の日本を、ゼロの距離で知りたいという欲求もある」と考え、『知日』の発行に踏み切ったという。

 この結果、『知日』は創刊から4年目 にして平均5万部、ヒット作は10万部以上も売れる大ヒット商品となり、日本でも注目を浴び、同誌の主筆を兼務する毛氏は日本でも一躍、マスコミの寵児となった。 

 毛氏によると、和歌山電鐵貴志川線貴志駅の駅長を務めていた三毛猫「タマ」がこの6月22日に死去すると、日本のネコを特集していた『知日』5号の売上が急激にアップしたそうだ。毛氏は「 インターネットやSNSの普及によって、(中国が)日本とリアルタイムでニュースを共有する時代になった」からだと指摘。中国人観光客が急増していることについても、「単なるサクラ、富士山などではなく、中 国人の目はもっと深いところにいっており、(中国人の)ツアー客が京都に行って感激するのは『美しい中国へのなつかしさ』だ」と語り、写真を使いながら、密教の聖地、高 野山にも多くの中国人観光客が訪れている事実を紹介した。

写真3

 毛氏はまた、中国で『知日』の“模倣品”が次々に登場している現象を挙げ、中国に日本を知ろうとする意欲と共に、「日本はカネになる。皆が意識的にそう思うようになってきた」からだと指摘。毛氏は「( ライバル誌の乱立に)危機感を抱いています」と聴衆を笑わせたあと、「次の手として、近く、留学生を活用するメディアを立ち上げる準備を進めている」ことを明らかにした。

 日中双方の“草の根”の力を的確に捉え、活用し、日中のよりよい未来を切り開いていく毛氏の戦いに終わりはない。

(文・写真/CRCC編集部)

毛丹青

毛 丹青(まお・たんせい)氏: 神戸国際大学教授、作家

略歴

1962年中国・北京生まれ。 北京大学卒、中国社会科学院哲学研究所助手研究員を経て、87年、三 重大学への留学を機に初来日。その後、商社勤務などを経て、日本語作家としてデビュー。日 本各地への旅を続けながら、つづった『にっぽん虫の眼紀行』(法蔵館・文春文庫)で 神戸第28回ブルーメール文学賞を受賞。2009年4月に神戸国際大学教授に就任。両国を取り持つ著作活動に取り組むかたわら、都 市環境や社会表象論などについて研究を進めている。『知日』創 刊以来の主筆も務める。


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