第22回中国研究サロン 中国知網共催「中国情報データベースサービスの活用と可能性」(2017年1月11日開催)

中国知網共催「中国情報データベースサービスの活用と可能性」

主催
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 中国総合研究交流センター
同方知網(北京)技術有限公司

後援
中国駐日大使館文化処・株式会社東方書店・京石産業株式会社

開催日時・場所
2017年 1月11日(水) 15:30~19:15
科学技術振興機構(JST)東京本部(サイエンスプラザ) B1F大会議室

講師
内田 慶市: 関西大学東西学術研究所 所長
本間 賢一: 特許業務法人IP-FOCUS 代表
関 暁嵐: 同方知網(北京)技術有限公司・海外知識服務公司 副総経理
石川 晶: 科学技術振興機構中国総合研究交流センター フェロー

講演レポート:「情報データベースの充実、活用進む中国」

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 中国の情報データベースの活用について日中両国の研究者、専門家が話し合う同方知網技術有限公司と科学技術振興機構(JST)中国総合研究交流センター主催のシンポジウムが、1月11日、J ST東京本部で開かれた。日本との提携強化を希望する中国側の熱意が目立つ一方、データベースの基になる学術情報誌の価格が年々、上昇していることに対する強い危機感も両国の講演者から示された。

 同方知網は、学術・産業界の情報を世界45カ国・地域3万箇所以上の機関にサービスしている中国をリードするプロバイダー。中国本土で出版された全ての学術、産業界関連の研究資料・情 報を集めたプラットホームとして機能している。ユーザーは、大学、研究機関、病院、公共図書館その他の政府機関にわたり、情報管理のソフトウェアのサービスを行っている。

 関暁嵐同方知網技術有限公司・海外知識服務公司副総経理は、中心となっている北京のサーバーのトップページアクセス数が毎日、700万回に上ることを紹介し、中国国内の学界、産 業界との密接な関係を強調した。さらに、20年間にわたって蓄積した情報量だけでなく、最近のデータベース製品がどのような方法でつくられているかについてももっと注目してほしいと訴えた。

 日本の特許庁のデータにアクセスする中国人の数の多さに比較すると、中国の特許データにアクセスする日本人は圧倒的に少ない。言語のバリアフリー化を進めてもらうと利用者はもっと増えるのではないか―。両 国の知財情報に詳しい本間賢一特許業務法人IP-FOCUS代表の提言に対し、関副総経理は、日本語が読める中国人が多いだけでなく、日 本語のできない中国人が来日しても携帯端末で中国語のサービスを受けられる現状を挙げ、中国人携帯端末利用者の数の多さと、携帯端末運営業者のサービス向上の効果を強調した。

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 一方、日本人にとって言葉の壁の大きさと、機械翻訳の精度の低さを認め、人手による翻訳のコストがかかるという悩みも明かした。言葉の壁を越えるため、9 00万元の政府予算を得て英語に翻訳するプロジェクトを2010年からスタートさせていることを紹介し、中国の科学技術を世界に知ってもらいたいという熱意を示した。

 日本で最も熱心に中国文献のデジタル化を進めている関西大学の内田慶一東西学術研究所長は、日本の図書館の連携が遅れている現実を紹介した。内田所長によると、中国のほか、香港、台湾、マカオ、シ ンガポール、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、米国、カナダの33大学が参加しているPRDLA(環太平洋デジタル図書館連合)に対し,日本は関西大学だけが参加の意思を示しているだけ。国 内の図書館連合組織はあっても、データベース化に関しては、それぞれ独自のフォーマットで書誌情報を扱っているのがネックになり、連携が進まない現状を明らかにした。

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 内田所長が、さらに深刻だと指摘したのが、電子ジャーナルの毎年の値上がり。関西大学だけで、年間、5,000万円ずつ購入費が増え、現在、年間、6億円の図書購入費のうち、電 子ジャーナル購入費が4億円も占める。特に大手出版社の寡占化による出版社主導の価格設定により図書館の危機とも呼ぶべき事態に陥っているという。各大学が個別に契約交渉するのではなく、ド イツの国会図書館が行っているように国が全面に出て一括契約するような対応を考えないと日本図書館は全て破産しかねないと危機感をあらわにした。

 シンポジウムでは、科学技術振興機構中国総合研究交流センターがウェブサイト「サイエンスポータルチャイナ」上で、中国の科学技術政策関連の資料や中国の大学情報、統 計データなどを日本語に翻訳して紹介していることが、石川晶同センターフェローから詳しく紹介された。「サイエンスポータルチャイナ」には、このほか最新の動向が分かるニュース、トピック、コラム、さ らには日本の中国関連団体情報、日本で発行された中国関連研究の学術雑誌のデータベースなど多彩なコンテンツが盛り込まれている。

 石川フェローはまた、中国の主要な学術誌1,260誌を選びデータベース化する独自の事業に加え、昨年4月から中国知網の協力により、中国知網のデータベースを活用して、サ イエンスポータルチャイナのコンテンツ充実を図っていることも紹介した。

(文・写真/CRCC編集部)

タイムスケジュール

●第1部

司会 倉澤 治雄 科学技術振興機構 中国総合研究交流センター 上席フェロー

15:30-15:40  主催者あいさつ
馬場 錬成 科学技術振興機構 中国総合研究交流センター 上席フェロー

15:40-16:00  報告1(20分)
内田 慶市 関西大学東西学術研究所 所長
講演資料「 日本における東アジア文献のデジタル化の現状と未来」(1.78 MB)

16:00-16:20  報告2(20分)
本間 賢一 特許業務法人IP-FOCUS 代表
講演資料「 日本の実務家の観点から見た中国知財情報へのアクセスに対する課題」(912KB)

16:20-16:40  報告3(20分)
関 暁嵐 同方知網(北京)技術有限公司・海外知識服務公司 副総経理
講演資料「 中国情報と日本社会発展」(1.51MB)

16:40-17:00  報告4(20分)
石川 晶 科学技術振興機構中国総合研究交流センター フェロー
講演資料「 中国科学技術レビューと中国情報データベース」(2.33MB)

17:00-17:10  休憩(10分)

17:10-17:55  パネルディスカッション(45分)
【モデレータ】
石川 晶 科学技術振興機構中国総合研究交流センター フェロー
【パネリスト】
内田 慶市 関西大学東西学術研究所 所長
本間 賢一 特許業務法人IP-FOCUS 代表
関 暁嵐 同方知網(北京)技術有限公司・海外知識服務公司 副総経理

17:55-18:15 質疑応答(20分)

●第2部

18:25-19:15 懇親会


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