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シンポジウム「現実とイメージの交錯―中国の中の日本」~現代中国の日本研究を考える~開催報告

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日 時: 2015年10月19日(月)13:30 - 17:30(13:00開場・受付開始)

会 場: 独立行政法人科学技術振興機構(JST)東京本部別館1Fホール

講演資料・講演詳報:後日掲載予定

中国の日本研究をテーマにシンポジウムを開催‐JST中国センター

中国総合研究交流センター編集部

 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)中国総合研究交流センター(CRCC)は10月19日、東京千代田区のJST東京本部別館1Fホールで中国の日本研究をテーマにシンポジウム「 現実とイメージの交錯―中国の中の日本」を開催した。このシンポジウムには中国のトップクラスの日本研究者7人と日本の中国問題専門家ら4人が参加し、基調講演や講演、パ ネルディスカッションを通して中国における日本研究の現状や課題を浮き彫りにした。

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写真1 会場の様子

 会場には約100人の聴衆が集まり、シンポジウムは午後1時半にスタート。CRCCの倉澤治雄・上席フェローが司会を務め、日本からはなかなか見えてこない中国の日本研究の重要性を指摘。「 それを理解することが相互理解につながっていく」とし、今回のシンポジウムの意義を強調した。その後、基調講演に移り、南開大学日本研究院の楊棟梁教授がまず「中国における日本研究の現状と展望」と 題して報告した。

 楊教授はこの中で「(中国には)2000人以上の日本研究者がおり、基本的に大学、社会科学研究機関、政府調査研究部門、マスメディアの4つに在籍している」と述べ、「 そのうち専任の研究者は300人ぐらいだ」と語った。また、楊教授はさまざまな日本研究の中で「近代以降の日本の対中認識と行動選択の研究」「日本の中国侵略資料の整理と研究」「戦後日本の政治・外 交と未来の行方」などが国家レベルの重大研究プロジェクトに認定されていることを明らかにすると共に、「オリジナルな理論をもとに行われた(日本)研究はまだ少ない」「 中日両国間の学術交流と共同研究は以前より後退している」などと指摘。「中日政治関係の影響を受け、日本研究の環境が楽観的なものとは思わない」とし、中国での日本研究の先行きに危機感を表明した。

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写真2 楊棟梁南開大学日本研究院教授

 一方、東京大学大学院総合文化研究科の村田雄二郎教授は「強兵なき富国?-日中関係120年」と題して基調講演し、日中の近代史を振り返りながら、両国は「富国ではなく富民へ、強兵ではなく競存へ」に 向かうべきだと訴えた。

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写真3 村田雄二郎 東京大学大学院総合文化研究科教授

 次いで中国からきた日本研究者の歩平(社会科学院近代史研究所研究員・前所長)、宋志勇(南開大学日本研究院院長・教授)、楊偉(四川外語学院日本学研究所長・教授)、章政(北京大学経済学院副院長・教 授)、胡令遠(復旦大学国際問題研究院日本研究中心主任・教授)、林昶(社会科学院日本研究所「日本学刊」編集室長)の各氏がそれぞれ約20分間にわたって講演。こ のうち日中共同歴史研究で中国側代表を務めた歩平氏は、中国で「日本警戒懲罰論」が、日本で「中国暴走脅威論」が出てきている現状を紹介。日本の歴史教科書が中国の古代に、中 国の歴史教科書が日本の近代にあまりに多くの比重を割いている点など挙げ、歴史の共同研究の大切さを強調した。また、章政氏は中国の日本研究について統計的に分析。専門誌や有名大学での外国絡みの論文の中で「 日本関係のものが極めて少ない」と述べ、「日本に対する関心が少なくなっている」と指摘した。

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写真4 (左から)歩平 社会科学院近代史研究所研究員・前所長)、
宋志勇 南開大学日本研究院院長・教授、楊偉 四川外語学院日本学研究所長・教授

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写真5 (左から)章政 北京大学経済学院副院長・教授、
胡令遠 復旦大学国際問題研究院日本研究中心主任・教授、林昶 社会科学院日本研究所「日本学刊」編 集室長

 しかし、林昶氏によると、インターネットなどの新興メディアでは、中国の日本研究雑誌を取り込んで、「成果の発信が加速している」という。同氏はその一例として日本に関する研究と情報をまとめた年刊誌「 日本藍皮書(青書)」の出版を挙げ、「中国の日本研究雑誌のジャンルをさらに豊かにし、中国の日本研究の方向を示すバロメーターとしての役割を強めている」と語った。

 パネルディスカッションでは、愛知大学現代中国学部の高橋五郎教授がモデレーターを務め、中国側から歩平、胡令遠の両氏、日本側から慶應義塾大学総合政策学部の加茂具樹教授と馬場公彦氏( 岩波書店編集局部長)がパネリストとして参加し、中国の日本研究などについて意見交換した。

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写真6 高橋五郎 愛知大学現代中国学部教授

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写真7 (左から)馬場公彦・岩波書店編集局部長、
加茂具樹・慶應義塾大学総合政策学部教授、胡令遠主任、歩平研究員

プログラム

 ■基調講演

楊棟梁 南開大学日本研究院教授

「中国における日本研究の現状と展望」

村田雄二郎 東京大学大学院総合文化研究科教授

「強兵なき富国?──日中関係120年」

 ■講演

歩平 社会科学院近代史研究所研究員

「中日歴史共同研究に関する思考」

宋志勇 南開大学日本研究院院長・教授

南開大学日本研究院の研究から中国の日本研究を考える」

楊偉 四川外語学院日本学研究所長・教授

「中国における日本学の新展開-「方法としての日本」を視座に」

章政 北京大学経済学院副院長・教授

「経済分野における日本研究の動向」

胡令遠 復旦大学国際問題研究院日本研究中心主任

「近年の中国における日本研究の変化及びその特徴-上海地域を中心に-」

林昶 社会科学院日本研究所「日本学刊」編集室長

「中国の日本研究学術刊行物および電子化構築の概観」

 ■パネルディスカッション

モデレーター

高橋五郎 愛知大学現代中国学部教授

パネリスト

歩平 社会科学院近代史研究所研究員
胡令遠 復旦大学国際問題研究院日本研究中心主任
馬場公彦 岩波書店編集局部長・法政大学国際日本学研究所客員所員
加茂具樹 慶應義塾大学総合政策学部教授


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