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【速報】日中大学フェア&フォーラム in イノベーションジャパン2015 - #01

2015年08月27日 中国総合研究交流センター編集部

速報 日中大学フォーラム in イノベーションジャパン2015

 「日中大学フェア&フォーラム2015」(主催・科学技術振興機構中国総合研究交流センター)が2015年8月26日、東京・渋谷の国連大学 ウ・タント国際会議場で開幕した。今 年のフォーラムのテーマは「日中産学連携の現状と展望‐アジア新時代のイノベーションを目指して」。各国が「第4次産業革命」に向けて科学技術分野でのイノベーションに力を入れていることを受けたもので、フ ォーラムには日中の大学・研究機関関係者ら約300人が参加した。また、27、28日の両日、江東区有明の東京ビッグサイトで開かれたフェア「イノベーションジャパン2015」には、中国の31大学・研 究機関もブースを設けて出展し、中国の最新技術などを紹介した。

 日中大学フォーラムは26日午後1時からスタートし、科学技術振興機構(JST)の中村道治理事長が主催者代表として挨拶に立ち、中国側からの200人を超える参加者に歓迎の意を表明。「 21世紀のアジアは世界の成長センターと言われており、次世代のイノベーションを牽引する人材の育成と、日中を中心とした国際産学官連携は、双方の喫緊の課題だ」と強調。「(フォーラムでは)日 中間の国際産学連携を視野に入れて、過去と現在の日中間の産学連携をレビューするとともに、将来の具体的な構想について、ハイレベルの専門家による意見交換を期待する」と語った。また、こ の日のフォーラムには中国大使館の阮湘平公使参事官が来賓として出席した。

 その後、佐々木元・日本電気名誉顧問、潘建偉・中国科学技術大学副学長、李俊傑・大連理工大学副学長の3人が基調講演し、パネルディスカションに移り、日中双方の大学・研究機関、企業関係者6人が「 日中産学連携の現状と展望‐アジア新時代のイノベーションを目指して」をテーマに約2時間にわたって熱心に意見交換を行った。

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パネリスト

曹 兆敏  上海交通大学国家科技園董事長

李 光明  同済大学 学長補佐、科学技術研究院副院長

古川 勇二 職業能力開発総合大学校学長

鈴木 廣志 昭和電工株式会社事業開発センター グリーンイノベーションプロジェクトプログラムマネージャー

モデレータ

角南 篤  政策研究大学院大学 教授

コメンテータ

小原 満穂 科学技術振興機構 理事

 まず冒頭に4人のパネリストからプレゼンテーションが行われた。発表要旨は次の通り。

曹兆敏先生の発表要旨

 大学は人材育成、研究、社会貢献という役割を持っており、大学の研究成果を社会に技術移転していかに社会貢献をするかを問われている。中国の大学はまだ、技術移転による社会貢献は十分でなく、世 界的に見ても不足している。大学からの技術移転は国際的な平均が20パーセントを超えているが、中国は3パーセント程度である。

 大学の研究者は、スポット的に考えていることが多く、技術の蓄積と連続性が不足している。安全性とか納期ということも考えがあまりない。またマーケットの要求を受けて研究するという視点も不足している。 

 このような課題を企業とすり合わせながら社会貢献を目指すことが重要だ。上海交通大学では、様々な課題を克服しながら研究投資の有益な発展に結びつくように努力している。

李光明先生の発言要旨

 同済大学の実例をあげながら、国家戦略や学科発展、社会における必要性などの角度から大学の科学技術の研究開発及び成果の現状と傾向を紹介した。大学の科学技術成果の応用、転化、及び社会サービスの成果、< < < < 問題について検討を行っている状況を紹介した。

 100年の歴史をもつ同済大学は4つの校区にわかれており、自然科学系の専門領域をほぼすべてカバーしている。研究成果を技術移転センターを通じて企業に移転し、社 会貢献に結び付ける仕組みを作っており成果も上がってきている。

古川勇二先生の発表要旨

 まず冒頭に、職業能力開発総合大学校の紹介を行った。経済産業省で産業クラスター計画が、文部科学省で知的クラスター計画が施行され、前者の委員長として全体方針の策定、そ の具体案として首都圏産業活性化協会(TAMA)会長を3期15年間務め、国際活動として上海に支部を設け両国 間の産学官連携に務めてきた実績を紹介した。

 しかし最近は、日中間の政治的不整合から活動が低下し、ASEANにシフトしてきている状況を説明した。しかし国家間産学官協力は欠かせないので、TAMA協会の協調政策は必要であると考えると述べ、同 協会への参加大学の一つである東京農工大学と大連理工大学と提携について紹介した。

 機械系を中心に教員を派遣したり現地講義を行い、毎年、学生の受け入れも行っている。その状況を報告するとともに、本年から開始した広州佛山市のM & N(Michigan Nankai)公司建設案への我が国の参加状況と今後のあり方について紹介した。

鈴木廣志先生の発表要旨

 昭和電工のバイオ関連事業、植物工場および生分解性ポリマービオノーレの開発経過と現状、そして将来展望について発表した。

 植物工場については、光合成に特化した赤色LEDをベースとした完全閉鎖型植物工場向けの栽培ユニットを開発、農薬を使わない安全、安心な野菜を高効率で安定的に生産する高速栽培法「SHIGYO法」の レシピと共に市場開拓中であることを説明した。

 生分解性を有するポリマー、ビオノーレは、様々な形態に加工が可能であり、買い物袋、ゴミ袋、農業用マルチフィルムなどに広く用いられていると説明した。こうした研究開発では、山口大学、日 大などと連携していることを発表した。

小原コメンテータのコメント

 パネリストの発表内容はかなり共通する課題があった。大学からの技術移転率が低いという悩みは共通のものであるが、取り上げ方で変わってくるので一概に低いとも言えない。大学のミッションとして教育、人 材育成、社会貢献があげられるが、なぜ大学が社会貢献しないといけないのか。ぴんと来ない。教 育と人材育成ですでに社会貢献しておりさらに大学は社会貢献しないといけないという意見にパネリストの考えを聞きたいと投げかけた。

大学の社会貢献とは何か

 これに対し曹先生は「中国と日本は違う。日本の企業は研究室を持っているが、中国の企業の開発力は弱い。したがって中国の大学が研究成果を出して技術移転する社会貢献は重要だと思う」との考えを述べた。さ らに「大学はトップの人材を抱えており、国からもいろいろ研究費をもらっている。トップの人材集まっているところであり、国のイノベーション推進でトップの人が何もしないのはあり得ない」とし、中 国での社会貢献の考えを述べた。

 角南モデレータは、「リーマンショック後の大学のミッションとして、日本の大学も社会貢献で評価されてきている。改革の流れは日中とも似ている」と発言した。

 また李先生は、この問題について曹先生とほぼ同じ考えであるとし、「大学が社会の企業の進歩に貢献する使命を持っている」としながらも、「人材育成が一番だが研究にも取り組み、科 学成果を産業の発展につなげるべきだ」として大学の役割を示した。さらに大学は社会のマネジメントにも影響を与えるとし、社会の進歩だけでなく、国の政策にも貢献する役割があることを主張した。

 日本側の産学連携について具体的なケースの紹介では、東京農工大の先生が会場から発言し、大連理工大学との連携について紹介した。最初は農工大の予算で交流を進めたが、2 回目からは大連理工大でも予算を組み、双方向の交流に発展したという。「中国の学生は意欲が高く、イノベーションへの意識が高い」とのコメントもあった。

 昭和電工の鈴木先生は、中国で働いていたころには、上海交通大学復旦大学などと共同研究を行っていたことを紹介し、化学反応のプロセスなどについて研究を行ったことを発表した。

 古川先生は「中国の企業の内情を十分に知らないと日本の大学が連携するのは難しい。その場合は、台湾や香港の事務所を通じてやることも一つの方法ではないか」と提案した。

 李先生は、大学の研究者の評価をどうするかが重要な課題になっていることをあげ、大学からの技術移転で成果が産業化された場合の評価についてもどうするかまだ整っていない現状を語った。

 曹先生は、中国の産学連携はまだ完ぺきではないし、大学の研究者は基礎研究もしなければならない現状を語った。また李先生は「同済大学も中国の大学も連携が多いし技術移転のチャンスが広がってきている。中 国は今後の世界の発展、市場化についても多くの国と交流できる」として将来展望が明るいことを語った。


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