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【13-003】カタログを対象とする中国での法規制について

2013年 4月22日

柳 陽(Liu Yang):中国弁護士

略歴

現在、長島・大野・常松法律事務所所属。北京大学・慶應義塾大学法学修士。日本企業の対中投資と貿易、M&A(合併と買収)、知的財産、労務等、対中ビジネスに関する法務全般を取り扱う。講演、執筆も多数。 

質問

 弊社の中国現地法人は、中国国内において、企業向けに自社の医療用機材・原料を紹介するカタログを頒布していますが、このようなカタログは中国の広告法に基づく規制の対象になるのでしょうか。また、広告法以外にも適用される法律や規則があれば、ご教示ください。

回答

1.中国の広告法の適用有無

 中国国内で頒布している企業向けの医療用機材・原料カタログ(以下、「本件カタログ」という。)は、中国の広告法(以下、「広告法」という。)における「広告」に該当する可能性が高いと思われ、広告法の適用を受けることになります。

 広告法は、中国の全国人民代表大会常務委員会により、1994年10月27日制定、同日公布、1995年2月1日より施行されました。同法第2条によると、以下のような条件を満たすものは同法にいう広告に該当すると規定されています。

①商品取扱者又はサービス提供者が(広告の制作)費用を負担すること、
②一定の媒体及び形式を通じること、
③商品又はサービスを直接又は間接的に紹介すること

 本件カタログは、貴社の中国現地法人が自ら(カタログの制作などの)費用を負担し、カタログという媒体を通じて、自社商品を顧客又は潜在的な顧客に紹介するため、上記の三つの条件を満たしており、「広告」に該当すると思われます。なお、広告法では、特に企業向け(B to B)と消費者向け(B to C)とで、適用の有無を区別していません。

2.本件カタログの内容に対する法規制

 広告法の規定に基づき、本件カタログの内容について主に以下の事項に留意する必要があります。

(1) 内容の適切さ

 広告には、次のような状況があってはならない。

①中国の国旗、国章、国家を使用すること、
②国家機関及び国家機関職員の名称を使用すること、
③国家級、最高級、最善等の用語を使用すること、
④社会の安定を妨げ、人身、財産の安全を脅かし、社会公共の利益を損なうこと、
⑤公序良俗を害すること、
⑥猥褻、迷信、恐怖、暴力、醜悪な内容を含むこと、
⑦民族、人種、宗教、性別により差別する内容を含むこと、
⑧環境及び自然資源の保護を妨げること

(2) 内容の明示

 広告において、商品の性能、産地、用途、品質、価格、生産者、有効期限、(広告の対象者に対する)承諾について又はサービスの内容、形式、品質、価格、(広告の対象者に対する)承諾について表示があるときは、それらを正確に明示しなくてはいけません。

 また、広告において商品の販売促進又はサービスの提供に付随して景品を贈呈することを表示する場合、贈呈する品目及び数量を明示する必要があります。

(3) 使用データ等の出典/参照元の明示

 広告において使用するデータ、統計資料、調査結果、抄録、引用は、真正でなければならず、かつ出典/参照元を明示する必要があります。

(4) 特許の表示

 広告において特許製品又は特許方法に言及するときは、特許番号及び特許の種類を明示する必要があります。

 特許権を取得していないにもかかわらず、広告の中で特許権を取得したと偽称したり、特許権を付与されていない特許出願やすでに終了し、取り消され、無効とされた特許を使用して広告を行うことは禁じられています。

(5) 同業者の誹謗の禁止

 広告は、他の企業等の商品又はサービスを誹謗するものであってはいけません。

(6) その他

 広告は、未成年及び障がい者の心身の健康を害するものであってはいけません。

3.広告法以外の主な法規制

 本件カタログについて、広告法のほかに、中国の「不正競争防止法」、「製品表示記載規定」、「薬品法」、「医療機器広告審査弁法」なども適用されると思われます。

(1) 「不正競争防止法」による規制

 同法第9条によれば、「事業者は、広告又はその他の手段を利用し、商品の品質、原材料名、性能、用途、生産者、有効期限、原産地などを誤認させる虚偽の宣伝をしてはならない。広告事業者は、虚偽の広告であることを明らかに知り、又は知りうべき状況において、これを代理、デザイン、製作、発表してはならない。」と規定されています。

(2) 「製品表示記載規定」による規制

 同法第3条によれば、「中国国内で製造、販売される製品表示の記載については、本規定を遵守しなければならない。」と規定されており、また、第2条では、「製品表示とは、製品及びその品質、数量、特徴、特性及び使用方法を識別するために用いられる各種表示の総称であり、製品表示は文字、記号、数字、図案及びその他の説明物等をもって表示することができる。」と規定しています。本件カタログについては、製品の説明物のため製品表示に該当すると考えられますので、同法の規制を受けることになります。

(3) 薬事法による規制

 ご質問中の「医療用機材・原料」が具体的に何を指しているか明らかでありませんが、薬品に該当する場合、「薬品管理法」及び「薬品管理法実施条例」のうちの薬品広告に関する制限規定も適用されます。また、医療機器に該当する場合には、「医療機器広告審査弁法」等の規定が適用されます。


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