【13-15】ノーベル賞新有力候補 アジアは依然日本人のみ

2013年 9月26日 小岩井 忠道(中国総合研究交流センター)

 米情報サービス企業「トムソン・ロイター」が9月25日、ノーベル賞受賞候補者28人を発表した。医学生理学賞に大隅良典・東京工業大学特任教授と水島昇・東京大学教授、物理学賞に細野秀雄・東京工業大学教授の日本人研究者3人が含まれている。

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 トムソン・ロイターは、同社が持つ論文・引用データベースを基にした独自の分析・予測法を用いて、毎年、ノーベル医学生理学・物理学・化学・経済学の各章を受賞する可能性が高い研究者を選び、「トムソン・ロイター引用・栄誉賞」を贈っている。これまでの12年間で、受賞候補者に選ばれた研究者は4賞合わせて138人。このうち27人がその年ないし翌年以降に受賞しており、ノーベル賞受賞に値する研究者と研究成果が分かる発表として年々、マスメディアの関心も高まっている。

 定期的に公表し始めた2002年以降、今年の3人を含め日本人は19人選ばれており、そのうち山中伸弥・京都大学教授が昨年、ノーベル生理医学賞を受賞している。日本以外のアジア諸国からはこれまで名前が挙がった研究者はなく、今年もまたゼロの状態が続いた。これまでの受賞候補者は、米国を筆頭に欧州諸国が大半を占めている。近年、科学技術分野における中国の論文数の急激な増加が目立つ。しかし、トムソン・ロイターの分析結果からみると、基礎科学分野における欧米諸国と日本を除くアジア諸国との実力差はまだまだ大きいと言えそうだ。

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 トムソン・ロイターの候補者選びの手法は、まず、過去20年以上にわたる学術論文の被引用数が各分野で上位0.1%に入る研究者に絞る。各分野において最も引用された200の論文も調べ、さらにノーベル賞の各選考委員会が受賞対象にしそうな専門領域を予測し、それぞれの領域のリーダーを選び出す。学術論文の引用数が多いことは、その領域における研究者の間で評価が高いことを意味し、それはその領域における影響度の大きさを示している、との考え方が基本になっている。

 ノーベル賞予測が難しいことの一つに、ノーベル賞の選考委員会がその年の授賞対象をどういう領域とするかが事前に明らかにされていないことがある。2011年の場合は、医学生理学、物理学、化学、経済学の受賞者9人全員が、トムソン・ロイターが前年ないし3年前に候補者に挙げた研究者で占められた。

 一方、予測が空振りに終わった例もある。トムソン・ロイターによると、2002年に田中耕一氏が米国とスイスの研究者と共にノーベル化学賞を受賞した時は、授賞対象領域はピタリ当たっていたが、受賞候補者は全く別人の米国人を挙げていた。その人物の論文が当時、非常に多く引用されていたためだったが、結局「田中氏らの発明を次のレベルに進化させた研究者」という役割だったことを、トムソン・ロイターは読み切れなかったという。


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