【17-33】高度自動運転の共同研究開発契約締結 商湯集團と本田技術研究所

2017年12月13日 小岩井忠道(中国総合研究交流センター)

 人工知能(AI)を利用した画像認識技術を得意とする中国企業「商湯集團有限公司(SenseTime Group Limited)と、日本の自動車メーカー「ホンダ」が、高 度自動運転技術開発に共同で取り組むことになった。

 商湯集團は、AI技術の一つであるディープラーニング(深層学習)を用いた移動体認識技術を得意としている。10月末、商湯集團とホンダの研究開発子会社「本田技術研究所」が 締結した共同研究開発契約によると、商湯集團の移動体認識技術と、ホンダが持つ「シーン理解」「リスク予測」「行動計画」といったAIアルゴリズム(処理手順)を融合することで、複 雑な交通状況の市街地でも走行を可能にする、より高度な自動運転技術の開発を目指す。

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共同研究開発契約に調印した商湯集團CEOの徐立氏(左から3番目)と本田技術研究所統合制御開発担当の相田圭一氏(左から4番目)= センスタイムジャパン提供

 「シーン理解」というのは、走行環境と歩行者や車両の振る舞い・意図を推定するAIアルゴリズム。「リスク予測」は、走行環境と意図推定結果に基づく歩行者・車両の将来位置を予測し、「行動計画」は、リ スク予測に基づき、停止・発進・回避などの自車の行動判断と走行軌道を生成するAIアルゴリズムをいう。

 自動車の自動運転は、交通事故減少のほかにも渋滞削減や省エネなどの効果が期待できるとして、世界各国で技術開発が進められている。日本政府の「官民 ITS 構想・ロードマップ 2017 ~多様な高度自動運転システムの社会実装に向けて~」では、2020年までにレベル4の自動運転技術を開発することが目標の一つにしている。レベル4とは、完全自動運転(レベル5)の一歩手前、あ るいは一部とされ、限定された領域内という条件はついているものの、システムが全ての運転タスク(操縦するための運転・戦術的機能)をこなすレベルを指す。両社が狙っているのは、こ のレベル4に相当する高度自動運転技術だ。

 商湯集團と本田技術研究所の共同研究開発契約の期間は5年間。商湯集團の日本法人「センスタイムジャパン」は、「東京を拠点に開発人員とクラスター計算設備を大幅に拡大し、A I自動運転と先進運転支援システム(ADAS)のパイオニアを目指す」している。一方、ホンダも「共同研究開発の領域は、自動運転のみならず、今後ロボティクスにも拡大していく」と 商湯集團との共同研究開発にかける意気込みを明らかにしている。

 商湯集團は2014年10月にできた新しい会社で、ディープラーニング技術を応用したサービスの企画・開発・運用で急成長した。香港に本社を置き、北京、深圳、上海、成都、杭州、京都、東 京にオフィスを構える。米国のスタンフォード大学をはじめとする複数の大学が主催している画像認識技術の競技会ImageNetで、2015年度と2016年度に優勝した実績を持つ。

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