【19-02】比亜迪汽車、小米科技Top100入り 最も革新的企業・研究機関に中国から3社

2019年1月25日 小岩井忠道(中国総合研究・さくらサイエンスセンター)

 国際情報サービス企業「クラリベイト・アナリティクス」が23日、世界の企業・研究機関の中で最も革新的と評価した100社・機関を「Derwent Top 100 グローバル・イ ノベーター2018-2019」として発表した。前年、華為技術(HUAWEI)1社だけだった中国から比亜迪汽車(BYD)と小米科技(Xiaomi)の2社が新たに選ばれた。躍進の理由をクラリベイト・ア ナリティクスは、中国本土が経済をものづくりから知識基盤へと転換している結果とみている。

 Top 100 グローバル・イノベーターは、クラリベイト・アナリティクスが前身であるトムソン・ロイターのIP&Science事業部門だった時代から毎年、公表しており、今回が8回目。事 業化に結びつくような特許をどれだけ多くかつ効率よく生み出しているかによって企業・研究機関の革新性を評価している。これまで日本と米国の企業がTop100の大半を占めており、今 回も日本が39社で最も多い国となり、続いて米国が33社と日米企業の評価が際だって高い状況は変わらない。

 アジアからは、前年同様、韓国からLGエレクトロニクス(LG Electronics)、LS産電(LSIS)、サムスン電子(Samsung Electronics )の 3社が今回も選出された。さらに前年、鴻海(Hon Hai)、工業技術研究院(ITRI)の2社・機関だった台湾から新たに広達電脳(Quanta Computer)が選ばれ、日本の39社、中 国の3社と合わせ、アジア地域からは前年より3社多い48社・機関が選ばれた。

 米国は前年に比べ3社減っており、この分、アジア地域が増えた形。クラリベイト・アナリティクスの櫻井諭IPソリュー事業本部長は、「世界のイノベーションの中心がアジアにシフトしている」と語った。こ のほかの特徴としてクラリベイト・アナリティクスは、人工知能(AI)と5G モバイル通信の2分野が急成長していることを挙げている。今回のTop 100グローバル・イノベーターに選出された31社が、知 財資産の重要部分としてAI関連の発明を保有し、5Gに関する特許もTop100グローバル・イノベーターの中で急増しているとしている。

【Derwent Top 100 グローバル・イノベーター 2018-19 受賞企業】
日本企業 39社(英文社名のアルファベット順、右列は日本語の正式名称)
*は8年連続受賞企業 (14社)
Aisin Seiki Co., Ltd. アイシン精機株式会社
AGC Inc. AGC株式会社
Bridgestone Corporation 株式会社ブリヂストン
Canon Inc. キヤノン株式会社*
Daikin Industries, Ltd. ダイキン工業株式会社
FUJIFILM Corporation 富士フイルム株式会社
Fujitsu Limited 富士通株式会社*
Furukawa Electric Co., Ltd. 古河電気工業株式会社
Hitachi, Ltd. 株式会社日立製作所*
Honda Motor Co., Ltd. 本田技研工業株式会社*
Japan Aviation Electronics Industry, Limited 日本航空電子工業株式会社
JFE Steel Corporation JFEスチール株式会社
JTEKT Corporation 株式会社ジェイテクト
Kawasaki Heavy Industries, Ltd. 川崎重工業株式会社
Kobe Steel, Ltd. 株式会社神戸製鋼所
Komatsu Ltd. 株式会社小松製作所
KYOCERA Corporation 京セラ株式会社
Mitsubishi Chemical Corporation 三菱ケミカル株式会社
Mitsubishi Electric Corporation 三菱電機株式会社
Mitsubishi Heavy Industries, Ltd. 三菱重工業株式会社
Mitsui Chemicals, Inc. 三井化学株式会社
NEC Corporation 日本電気株式会社*
NICHIA CORPORATION 日亜化学工業株式会社
NIPPON STEEL & SUMITOMO METAL CORPORATION 新日鐵住金株式会社
NISSAN MOTOR CO., LTD. 日産自動車株式会社
Nitto Denko Corporation 日東電工株式会社*
NTT CORPORATION 日本電信電話株式会社*
Olympus Corporation オリンパス株式会社*
OMRON Corporation オムロン株式会社
Panasonic Corporation パナソニック株式会社*
Renesas Electronics Corporation ルネサスエレクトロニクス株式会社
SEIKO EPSON CORPORATION セイコーエプソン株式会社*
Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. 信越化学工業株式会社*
Sony Corporation ソニー株式会社*
TDK Corporation TDK株式会社
Toray Industries, Inc. 東レ株式会社
TOSHIBA CORPORATION 株式会社東芝*
Toyota Motor Corporation トヨタ自動車株式会社*
YASKAWA Electric Corporation 株式会社安川電機
その他の国/地域の受賞企業 61社(英文社名のアルファベット順)
Organization Country/Region
3M Company USA
Advanced Micro Devices USA
Airbus France
Alstom France
Amazon USA
Analog Devices USA
Apple USA
BASF Germany
Bayer Germany
Becton Dickinson USA
Boeing USA
Boston Scientific USA
BYD China, Mainland
Cisco USA
Commissariat à l’Energie Atomique France
Corning USA
Dolby Laboratories USA
DowDuPont USA
Emerson USA
Ericsson Sweden
ExxonMobil USA
Fraunhofer Germany
General Electric USA
Google USA
Hon Hai Taiwan
Honeywell International USA
Huawei China, Mainland
Intel USA
ITRI Taiwan
Johnson & Johnson USA
Johnson Controls USA
Kaspersky Lab Russia
LG Electronics Korea, South
LSIS Korea, South
Marvell USA
Medtronic USA
Micron USA
Microsoft USA
Molex USA
Nike USA
Nokia Finland
Novartis Switzerland
NXP Semiconductors Netherlands
Oracle USA
Philips Netherlands
Qualcomm USA
Quanta Computer Taiwan
Raytheon Company USA
Roche Switzerland
Safran France
Saint-Gobain France
Samsung Electronics Korea, South
Siemens Germany
Symantec USA
TE Connectivity Switzerland
Texas Instruments USA
Thales France
Total S.A. France
Xerox USA
Xiaomi China, Mainland
Xilinx USA

 トップ100グローバル・イノベーターの選出方法は、クラリベイト・アナリティクスが持つ大規模な特許データベースが基になっている。まず、クラリベイト・アナリティクスが「ベーシック特許」と 名付けている重要特許を最近の5年間で100件以上取得した企業・研究機関が選定の第一条件。ベーシック特許とは「新技術や医薬品、ビジネスプロセスなどの特許公報で最初に公になった特許」を指す。こ の条件をクリアした企業・研究機関のうち、最近5年間の「ベーシック特許取得数」と、公開された特許出願数(未登録)のうちどれだけベーシック特許に登録(取得)されたかという「成功率」、四 つの主要市場の特許当局(中国専利局、欧州特許庁、日本特許庁、米国特許商標庁)全てに出願されたベーシック特許の数をみる「グローバル性」、さ らに他社の発明の中で最近5年間に引用されているベーシック特許数をみる「影響力」の四つの評価軸から、革新性の高さを判定している。

 日本から選ばれた企業は、最初から8年連続で選定された14社を含め39社中37社が前年と同じ顔ぶれ。今回JFEスチールと三菱ケミカルの2社が初めて、選ばれた。記 者会見に同席した三菱ケミカルの垣本昌久常務執行役員は、「R&Dと知財を経営戦略と整合させることで事業化のスピードアップを図っている」とTop 100 グローバル・イ ノベーターに初めて選ばれた喜びを語っていた。

image

垣本昌久三菱ケミカル常務執行役員(右)とティモシー・ニーリークラリベイト・アナリティクス・ジャパン代表取締役(左)


関連リンク

  • クラリベイト・アナリティクスプレスリリース「世界で最も革新的な企業・研究機関100社を選出する『Derwent Top 100 グローバル・イノベーター 2018-19』発表」
    https://clarivate.jp/news-releases/2018-top-100/

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