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【19-10】日本との協力関係強化に期待 中国経済代表団が記者会見

2019年4月26日 小岩井忠道(中国総合研究・さくらサイエンスセンター)

 多様なメンバーから成る中国エコノミスト代表団7人が25日、そろって日本記者クラブで記者会見し、日本との協力に対する期待と強い意欲を明らかにした。米中貿易摩擦に対しても、中国の改革開放をさらに進めるうえでよい結果になると、前向きのとらえ方を示した。

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朱光耀・前財務次官

 団長の朱光耀・前財務次官は、先進各国の経済が下振れ状況にある中、中国が安定成長を維持していることを示す数字を挙げ、引き続き持続可能な経済成長に努めていることを強調した。習近平国家主席も出席予定の6月に大阪で開催される主要20カ国・地域(G20)首脳会議に対しても、「世界経済のバランスの取れた力強い成長にとって新たな推進力になる」と大きな期待を表明した。

 朱団長に続いて発言した龍永図・元商務次官は、中国が2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟したときの加盟交渉の首席代表を務めている。当時、日本が中国のWTO加盟を支持したことに謝意を表したのをはじめ、WTOの重要性を再三、強調した。大阪で開かれるG20ではWTO改革が主要テーマの一つになるとみられている。龍氏は、「存在価値が下がっているWTOの機能をどう回復し、高めていくかは各国が直面する問題だ」としたうえで、G20でWTO改革が議論されることに大きな期待を表明した。

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龍永図・元商務次官(中央:右は張燕生・中国国際経済交流センター 首席研究員)

 日本との関係については、団員はそろって重要性を指摘し、関係改善についても楽観的な見通しを示した。張燕生・中国国際経済交流センター 首席研究員は、年間の訪日中国人が800万人を超えたことなどを挙げ、「日中関係は成熟し、歩み寄れる段階に入っている。経済協力においても対話すべきテーマが増えている」と語った。中国が今後、力を注ぐのは高齢者サービス、健康産業、医薬、観光といった民生分野だとし、介護人材の育成など日本と協力できる幅広いポテンシャルが存在することを強調した。

 霍建国・中国世界貿易機関研究会副会長も同じような見方を明らかにした。張燕生氏が挙げた少子高齢化、介護に加え、技術開発でも中国は日本と同じ課題を抱えていることを強調した。医療、健康、文化産業、教育、ハイエンドの製造業などで日本を知り、学ぶことは多く、日本の優れたところを導入することに積極的な考えを示した。

 世界の関心を集めている米国との関係でも、まず米国の現状を冷静にみている発言が相次いだ。張宇燕・中国社会科学院世界経済及び政治研究所所長は、米連邦準備制度理事会(FRB)が年内の利上げを見送る方針を示した結果、株価や不動産価格が上昇していることに注意を促した。米国経済は微妙な段階にあるとの見方を示した。米国と中国の関係についても貿易の不均衡はあるが、中国と世界全体では均衡が取れていることを強調した。

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中国エコノミスト代表団

 米国との関係については、龍永図氏が最も明快に「合意を楽観視している」と言い切った。WTO加盟時の交渉過程を振り返ると、米国との貿易不均衡も解決する。これまで輸出重視ではあったが、国民のニーズを満たすには輸入を増やす必要がある。輸入を加速することは改革開放政策と一致する、という見方を示した。さらにグローバル化へ対応し、スマート製造の拠点に転換するためにも多くの技術、製品が必要になる。知財保護の面でも米国と交渉することはたくさんあり、結果として改革開放のさらなる進展につながる、との肯定的な見通しを龍氏は示した。

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