【17-05】中国の高校生の科目選択と「高中学業水平考試(高校学業レベル試験)」について―当事者に聴く中国教育事情

2017年12月14日 金国峰(日本留学信息中心)

はじめに

 今回は中国の高校における履修科目の選択と卒業試験についてご紹介させて頂きます。いずれも中国の高校生が必ず経験することですので、皆様のご参考になればと思います。

「高考」の受験科目に関する選択

 中国の高校生は高校1年生の下半期に高考(大学入学試験)で受験する科目を決める必要があります。中国では大学に進学するためには必ず「高考」を受験する必要があります。「高考」では「国語」、「数学」、「外国語」の3科目が必須科目で、各科目150点満点です。それ以外に、これまでの制度では、文科系の学生が受験する「文科総合テスト(歴史、政治、地理の3科目で300点満点)」と理科系の学生が受験する「理科総合テスト(物理、化学、生物の3科目300点満点)」がありました。

 しかしながら、2014年9月に中国国務院が発表した「关于深化考试招生制度改革的实施意见」(大学入学試験制度の改革の実施に関する意見)でこれまでの制度の改革が行われました。まず、従来の文科系と理科系との二択ではなく、「歴史」、「政治」、「地理」、「物理」、「化学」、「生物」の6科目から任意の3科目を選択することができます。この選択は高校の専攻科目を意味し、かつ「高考」の受験科目を意味します。もう一つ大きく変わった点は外国語試験の受験回数です。外国語の試験は2回受験することができるようになり、試験は毎年1月と6月に行われることになりました。高校生は受験する機会が増え、2回の試験の中から得点の高い方を「高考」の成績とすることができます。

 大学側もこれに応じて学生募集制度を変更しました。学生が大学の専攻を希望するにあたって、高校で特定の科目を履修していることが条件となりました。例えば、物理関係の専攻を応募する場合、物理の「高考」の成績が要求されます。この場合、高校時代に物理を履修してない学生は応募する資格がないことになります。

 制度の改革は2014年に提出され、上海や浙江省は改革試験地区になりました。そのため、2017年は改革当時の上海や浙江省の高校生が「高考」を受験する年にあたります。2017年以降は全面的に新たな制度を広め、2020年までに基本的な学生の募集方法や受験システムを完成する予定です。

 従来の制度では文科系(歴史、政治、地理)と理科系(物理、化学、生物)の二択でしたが、改革により学生が自由に組み合わせることができるようになります。また、学生も苦手な科目を避けることで希望する大学に合格する可能性が高くなるのではないかと思われます。

「高中学业水平考试(高校学業レベル試験/高校卒業試験)」について

 中国の高校生は「高考」を受験する前に、必ず通称「会考」と呼ばれる試験を受験します。「会考」とは高校卒業試験に等しい試験で、正式名称は「高中学业水平考试(高校学業レベル試験)」です。この試験に合格できない学生は高校卒業証書をもらえないだけでなく「高考」も受験することができません。一般的に高校2年時に受験させる高校が多いです。受験の時期は毎年12月あるいは6月ですが、中国の各省の政策によって異なります。高校レベルの学力を証明するための試験であるため、1年に2回受験するこができ、難易度もそれほど高くない上に、追試を受けることも可能です。受験する科目については9科目あり、「国語」、「数学」、「政治」、「歴史」、「外国語」、「地理」、「物理」、「化学」、「生物」です。

  1. 「高中学业水平考试」は「高考」に参加する必要条件であるため早めに準備した方が適切です。「高考」の申請は個人情報の入力や身体検査等の多くの手続きが必要とされます。
  2. 「高中学业水平考试」は追試を受けることも可能であるため、高校2年で不合格になっても、まだ高校三年での受験機会が残されていることになります。
  3. 9科目全科目の授業は高校1年時に行われますので、間を置かず忘れないうちに「会考」を受けた方が合格しやすいです。

 以上が今回ご紹介する主な内容です。また、中国の高校の授業内容については高校3年の上半期で必ず終了します。高校3年の下半期は全て「高考」のための受験勉強となっております。

 中国で使われている教科書は5冊までで、最後の1冊は内容に重要な項目があまり含まれないように設計されています。しかし、高校では学生により多くの復習時間を与えられるよう先取り学習を意図して授業のカリキュラムを設定します。学校によって多少異なるかも知れませんが、高校の第3年目はほとんどの先生が学生たちと一緒に「高考」に向けて高校で学んだ知識を復習する1年と言って過言ではありません。

筆者より

 「当事者に聴く中国教育事情」は2010年に中国現地にいる日本留学志望者に資するために設立した大学連合事務所の定期情報として発刊しました。2015年4月に現在の名称・体裁に変更しました。私たちは中国の学生向けに日本の大学について定期的に情報を提供しておりますので、より多くの日本の大学と情報交換したいと思います。ぜひお気軽にご連絡ください。

 E-mail: image(金国峰)(王璨)

※本稿は、日本留学信息中心が発行しているメールマガジン「当事者に聴く中国教育事情」2017年第59号を、日本留学信息中心の許可を得て編集し転載したものである。


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