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【20-12】労働実践を専門実習に導入―西南大学、労働教育の新たな道を模索

2020年11月18日 雍 黎(科技日報記者)、石定芳(科技日報特派員)

 新農学の発展には新しい農業人材の育成が重要である。西南大学は10月16日、新農学実習・労働教育実践出陣式を開催し、労働教育集合の号令をかけ、専門教育と労働教育の融合発展を推進し、新農学と労働教育の実践体系の構築をスタートさせた。

 西南大学の張衛国学長は「新農学の構築は高等農林教育を振興させるための重大戦略である。本学は新農学建設の『三部曲』の指導の下、『五育(軍国民主義教育、実利主義教育、国民道徳教育、世界観教育、美感教育)の同時実施』の新時代農業を理解し、農業を愛する新しい人材を育成するための体系構築を加速させ、専門実習と労働教育の融合を突破口、注力ポイントとして改革を進め、新農学実践教育のレベルアップ、高度化の推進を加速させる」と語る。

 今回の新農学実習・労働教育実践遠征チームは園芸園林学院、食品科学学院、農学・生物科技学院、植物保護学院、資源環学院など、農学院関連の学生計500人余りが混合編制のグループに分かれ、それぞれが実践拠点でインターンシップ農業サポート実習、農業・科学・教育協同実践、労働教育実践など、さまざまな形式を融合した新農学実習を行った。

 西南大学教務処の厳怡副処長は「これまでの専門実習と比べると、新時代労働教育実践は、学生が専門知識・能力を向上させることを重視すると同時に、学生が勤勉、倹約、奮闘、イノベーション、貢献という労働の精神を培うことに着眼し、新知識、新技術、新生産工程、新手法を応用し、創造性のある労働能力の向上に取り組む。例えば、今回の農学院専攻と労働の融合に関連した実習は、カリキュラム実践、専門的な実験、生産実習、農業実践研修、卒業設計などを組み合わせ、農業農村委員会などの機関と深く連携し、学生が農業生産を実践する第一線、農業産業チェーンの各部分に一歩踏み込んで参加し、現代農業産業構造の発展のニーズに積極的に適応するようサポートしている」と説明する。

 また、労働教育実践は、学生のキャリア学習と結びつけて行われる。案によると、西南大学の各専攻は労働教育の依托カリキュラムを明確にし、学生の人材育成評価体系、総合資質評価体系を盛り込み、評価基準を制定し、モチベーションのメカニズムを構築し、労働教育において主導的役割を担い、「五育の同時実施」の人材育成体系形成を加速させなければならない。

 西南大学の王進軍副学長によると、労働教育実践は、同大学が制定する「西南大学の新時代労働教育を全面的に強化することに関する実施案」の施策の一環に過ぎず、労働教育をめぐって、同大学は労働教育・思想政治教育、専門教育、イノベーション・起業教育、キャンパス文化及び社会実践を組み合わせた五大施策を実施し、労働教育を確実に推進し人材育成の全ての過程に盛り込む方針である。

 そして、徳育においては、労働教育を思想政治理論のカリキュラムに組み込ませる。「袁隆平先輩(ハイブリッドイネの父、同大学の前身である西南農学院卒業生)」、「蚕桑院士(同大学蚕学与系統生物学研究所の向仲懐所長)」、「アブラナ先生(同大学農学与生物科技学院の李加納教授)」などの同大学の生き生きした成功例を教育内容に盛り込み、農村へ足を運び、農民と交流し、農業をよく理解するよう学生を励ますとともに、労働教育を日常の思想政治教育に取り入れるという。

 専門教育との融合において、同大学は一連の労働教育系教養教育選択科目を設置する計画である。また、労働技能、労働法律、労働政策、労働倫理、労働安全などについてオンラインオープンカリキュラムを導入すると同時に、人材育成案を整備し、育成目標と卒業条件に労働教育の内容を盛り込む計画だ。

 王副学長は「本学は労働教育とイノベーション・起業教育を融合させ、イノベーション・起業カリキュラム体系を最適化し、労働教育の要素を学生のキャリア発展・就職指導カリキュラムに盛り込む。大学・学部二級のソーシャル・イノベーション・プラットフォーム、起業・イノベーション実践拠点の建設を強化し、労働教育実践分野を拡大し、実践訓練において、新知識、新技術、新工法、新方法の応用を重視し、学生が創造力を働かせて実際の問題を解決するよう指導する。また、企業や地方と協力して大学生イノベーション・起業実践拠点200ヶ所を共同設置し、労働教育の実践の場を拡大し、専門教育、科学研究、実習・実践訓練を通して人材を育成する」と説明する。


※本稿は、科技日報「労動実践"植入"専業実習 西南大学探索労動教育新路」(2020年10月30日付6面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。