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【19-01】一般社団法人 日中動漫遊戯産業連合会 理事長 関口貢氏インタビュー 日本と中国のキャラクター業界をつなぐ

2019年4月11日 孫 秀蓮(取材・文、アジア太平洋観光社)

 ハローキティやマイメロディ、女の子なら誰でも小さい頃に夢中になったサンリオのキャラクター。32年間をサンリオで過ごした関口貢氏はいま、中国でキャラクター関連企業の顧問を務めている。「退職したのだから楽しめる仕事じゃないと」と言いながらも、日本と中国のキャラクター業界を厳しく見つめ、その経験を惜しむことなく中国に伝えている関口氏にお話をうかがった。

 株式会社サンリオは1960年に「コミュニケーション」をコンセプトとして設立された、キャラクター事業を展開する上場企業である。関口氏は、多摩美術大学卒業後、広告代理店に入社。1980年には株式会社サンリオに入社し、商事部(後のライセンス部門)に配属された。

 それ以来、32年をサンリオで過ごした関口氏は、キティちゃんが長年愛される理由について、シンプルなデザインであること、家族や友達などのストーリーを持つことが見る人にキャラクターの気持ちを想像する余地を与えているのではと分析する。

「相手の立場に立って想像したり、他者を尊重することがコミュニケーションにはとても大切です」。ハローキティは時代ごとに流行した色や柄を取り入れた「ご当地キティ」やコラボ商品など、常に時代の空気をキャラクターの中に反映させてゆき、いつの時代も変わらぬ人気を誇っている。関口氏にとって、32年間のサンリオ勤務から得たキャラクターライセンス事業への知識が、後のキャリアにつながる大きな要素となった。

 サンリオ退職後、2012年に初めて河南省の仕事を受けたのが中国との縁の始まりだった。その後、中国の人気キャラクター「阿狸(アリ)」を展開する北京夢之城文化股份有限公司の顧問になる。キャラクター事業における日本と中国の売上規模はともに、1兆5,000億円程度。両国の人口比から考えると、中国は少なすぎるように思える。しかしこの業界は中国ではまだ10年足らずで比較的若く、北京・成都・杭州・深圳などではアニメ・キャラクター関連の展示会が盛んにおこなわれており、中国市場は注目を集めていると関口氏は話す。

 とはいえ、内容に関しては、中国のキャラクター業界はまだまだ発展途上の感が否めない。そのため関口氏は北京夢之城文化股份有限公司の顧問として常に日本国内の情報を集めてプレゼンテーションをおこない、実際に日本で使われている画材・デザインに関する資料や本など実物を紹介しているという。その甲斐もあってクリエイター人材は順調に育っており、質の面では徐々に向上していると感じる。

「うわべだけ真似るのではなく、中国の歴史に基づく要素を取り入れて深みを持たせれば、独自の強みを確かなものにできる。水墨画の良さを取り込んだものが出てきているので、中国のキャラクターが成熟してくるのも、もうすぐなのでは」と関口氏は話す。また中国のもう1つの課題として、制作の組織体制が確立されていないと考えている。組織において事業・人材の成長は大きい。さらに次の段階として、日本で新海誠のような個人で作品作りをするクリエイターが現われているように、今後中国でもそのような体制がおこなわれる可能性は高い。

「日本・中国ともに、グローバルな視点をもち、互いの文化のよいところを吸収し合えば、アニメ・キャラクター業界の今後はますます面白いことになるでしょう」と関口氏は語った。

 2018年8月23日~26日に深圳カンバセーション&エキシビジョンセンターでおこなわれた「2018年第6回深圳国際IPライセンス及びアニメ関連商品展覧会」(略称「深圳IPライセンス展」)では重要ゲストとして熱烈な招待を受け、日本代表団を率いてイベントに参加した。「深圳IPライセンス展」は華南省地区における最大規模かつ最も強い影響力を持ち、取引量において最も活気のあるIPライセンス及びデリバティブ貿易のプラットホームである。日本・韓国の出展企業も含め、国内外で1,000を超す著名IPが出展し、その領域はアニメ・映像・ゲーム・文学などに及んだ。さらに展覧会期間中は30以上のフォーラムやビジネス活動が開催された。また、日中アニメ産業連合会と粤港澳大湾区文創産業連盟の共同主催として同時開催された「第7回中国アニメギャラリー開発及び関連商品クリエイティブデザイン大会議」でも講演をおこない、日本での経験を共有した。

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「2018年第6回深圳国際IPライセンス及びアニメ関連商品展覧会」では重要なゲストとして招待された。

関口貢

関口 貢(せきぐち みつぐ):
一般社団法人 日中動漫遊戯産業連合会 理事長

略歴

1950年東京生まれ。広告代理店SPデザイナーを経て1980年株式会社サンリオ入社。ライセンス事業部デザイン課、ライセンス部門、企画営業本部など計32年在職。2012年サンリオ退職後、深圳新勝技科技有限公司、湖南省湖南TV金鷹TV、北京夢之城文化股份有限公司、PRO KIDS北京科技股份有限公司などで中国キャラクタービジネスの支援を始める。

※本稿は『月刊中国ニュース』2019年4月号(Vol.86)より転載したものである。