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【11-001】第十二次五カ年計画に向けた中国の脱炭素社会への大いなる実験

2011年 1月14日

範雲涛

範雲涛(はん・うんとう):
亜細亜大学アジア・国際経営戦略研究科教授/弁護士

1963年、上海市生まれ。84年、上海復旦大学外国語学部日本文学科卒業。85年、文部省招聘国費留学生として京都大学法学部に留学。92年、同大学大学院博士課程修了。その後、助手を経て同大学法学部より法学博士号を取得。東京あさひ法律事務所、ベーカー&マッケンジー東京青山法律事務所に国際弁護士として勤務後、上海に帰国、日系企業の「駆け込み寺」となり、日中関係や日中経済論、国際ビジネス法務について、理論と現場の両方に精通した第一人者。著書に、『中国ビジネスの法務戦略』(2004年7月日本評論社)、『やっぱり危ない! 中国ビジネスの罠』(2008年3月講談社)、『中国ビジネス とんでも事件簿』(2008年9月 PHPビジネス新書)など。

 さる2010年11月29日から12月12日までにメキシコにて開かれていたCOP16地球温暖化をめぐるカンコン国際会議では、温室効果ガスを排出する最大のエネルギー消費国たる中国が、京都議定書メカニズムを引き続き遵守し、実行していきたい発展途上国や新興国のリーダー格として行動した。しかし、中国が取り組んでいるエネルギー消費量のGDP成長に占める原単位レベルの排出量を二〇〇五年基準に応じた40%−45%程度の排出削減を国際公約に掲げたことは、まだ記憶に新しいかと思われる。

 2010年は中国の第十一次五カ年計画の最終実施年にあたるため、中国政府は、昨年12月をもって国家発展改革委員会を主体に『2010年度中国気候変動対応の政策とアクション報告書』をとりまとめ、公表している。環境省エネ分野では、金融危機による景気後退スクラップ効果もあって、大気汚染物質のSO2排出量を10%削減、有機系水汚染物質指標のCOD排出量10%削減、1万元GDPあたりエネルギー消費量20%削減の目標を達成できている。2009年半ばからは、今年2011年に始まる第十二次五カ年計画の検討が本格的に始まっている。その全容がまもなくおおやけになるものと思われる。全国経済社会発展第十二次五カ年計画要綱は順調であれば、今年3月末までに全人大会議直前に正式に決定され、また環境・エネルギーなど分野別の五カ年計画全文や主要経済地区(上海、北京、天津、重慶といった直轄市も)別の五カ年計画全文も並行して検討されている。

 中国は、2007年10月の段階から、すでに体系的な気候変動対策を国家戦略に組み込んでおり、環境省エネ分野の経済政策を総動員してきている。

 例えば、2007年時点で公表した「国家気候変動プログラム」は、2010年までの中国気候変動に対処する全体的な目標を提案し、温室効果ガスの排出量を抑止するための政策や措置を示し、気候変化に適応する能力を強くし、気候変動に関連する研究レベルをひき上げ、気候変動の科学的な研究に新たな進展を図り、民衆の気候変動に対する意識を大幅に高め、気候変動に対処する制度的なメカニズムをもっと強化する狙いを打ち出している。そこには、二十一世紀の半ば頃までに、日本をはじめ、欧米諸国を視野に入れた脱炭素社会へと向かう成長レースの大競争に備えた経済発展の中国モデルが描かれていることを確認できよう。十八世紀から始まったイギリスの産業革命をきっかけとした西洋型の近代化とは異なる経済成長路線を歩む中国は、脱炭素社会に向けて猛烈なダッシュで走り出している。その軌跡をフォローアップしてみよう。

1.温室効果ガス排出量の抑止

(1)経済発展スタイルの転換を加速し、省エネとエネルギーの効率的な活用を強化する政策志向を強め、法律に基づく省エネの徹底化を行い、省エネ技術の開発、デモンストレーションやプロモーションを加速させ、市場を基礎としての新しい省エネメカニズムを発揮し、社会全体の省エネ意識を向上させ、省エネ系社会の建設を加速し、温室効果ガスの排出削減に努力する。2010年までに、GDPの単位当たりエネルギー消費量を2005年レベルの約20%にまで引き下げ、二酸化炭素排出量も相応に削減する。

(2)再生可能なエネルギーを開発し、原発建設を積極的に推進し、石炭のベッドメタンの開発と利用を加速させるなどの手段を通し、エネルギー消費構造の最適化を求める。2010年まで、再生可能エネルギーの開発利用の全体(大規模水力発電を含む)を一次エネルギー消費の構造での割合には約10%にまで増やし、炭層メタン抽出量を100億立方メートルに達する目標に近づける。

(3)、冶金、建材、化学工業などいろいろな産業の政策を強化することにより、循環型経済を発展させ、リソースの使用率を向上させ、窒素酸化物の排出とガバナンスなどの措置を強化し、2010年まで、工業生産で排出した温室効果ガスを2005年度基準に落としてコントロールする。

(4)低排出で品質の高い水稲品種とセミドライの栽培技術を継続的に促進することを通し、科学的な灌漑と土壌のテスト受精を使用し、反すう動物の優れた品種開発とスケールありの飼育と管理手法を研究し、家畜糞尿、排水や固形廃棄物の管理を強化し、バイオガスの利用率を向上させ、メタンの排出量を制御するために取り組む。

(5)緑化、農地を牧草地や森林に返すこと、天然資源を保護すること、農地の基本建築など主な工程と政策措置などを引き続き実施し、2010年まで、森林被覆率を20%を達成し、年間炭素吸収源の数を2005年より約0.5億トンに増やすべく努力する。

2.気候変動に対するガバナンスアビリテイーの向上

(1)多くの災害への監視、早期警報モニタリング、緊急時の特別対策本部、多元的な関係当局による危機管理への意思決定調整メカニズム、社会全体の参加行動のメカニズムなどを構築し整備することにより、極端な気象災害監視と予測のキャパシティビルディングを強化する。2010年まで、いくつかの経済社会に対して基本性や全体性、重要性など役割が果たせる気象災害防止事業を完成し、極端な気象災害に対応するための統合観測警戒能力、抵抗能力と災害軽減能力などを向上させる。

(2)農地の基礎建設を強化すること、トリミングシステムを調整すること、抵抗力がある品種を選択して保育すること、バイオテクノロジーを開発ことなどにより、2400万ヘクタールの改善草原を増やし、5200万ヘクタールの劣化、砂漠化、アルカリ化草原をリハビリ治療させ、農業用水有効的な利用係数を0.5に向上させるために努力する。

(3)天然林の資源保護と自然保護区に対する監視・管理を強化することにより、生態保護の重点プロジェクトの建設を引き続き展開し、重要な生態の機能エリアを創立し、自然生態系の回復措置を促進する。2010年まで、90%の典型的な森林生態系を実現すること、国家の重点保護を要する野生動植物の有効な保護を確保すること、自然保護区の面積は国土総面積の比重を16%まで占める目標を達成すること、25万平方キロメートルの水土流失地域を総合的に治めること、30万平方キロメートルの生態系の修復項目を実施すること、総面積は2200万ヘクタールの砂漠化地域を整備することに努力する。

(4)水資源を合理的に開発し最適に配置すること、耕地の水利基本建設の新たなシステムを完備すること、節水と水文の監視測定などの措置を強化することを通し、2010年までに、水資源システムの気候変動に対する脆弱性を減少させること、節水型社会の建設に実質的に踏み出すこと、大河を総合的に洪水被害から防いで浸水災害を減少させる体系を作り上げることと、全面的に耕地の干害防止の基準を高めることに努力する。

(5)海面の変化傾向に対する科学的な監視測定および海洋と海岸地帯の生態に対する監視・ガバナンスを強化すること、海岸線を合理的に利用すること、浜海湿地を保護すること、全面的に沿海防護林を建設すること、マングローブの保護と回復など措置を絶えず強化することにより、2010年までに、全面的にヒルギの森林エリアの回復を実現し、沿海地区の海洋災害に対する抵抗力を高めることに努力する。

3.科学研究と技術開発の強化

(1)気候変動領域の基礎研究を強化すること、研究や分析方法をいっそう開発して改善することと、関連する専門的な人材や管理型人材を育成するなどの措置を強化することにより、2010年まで気候変動に関する研究を国際的な先進水準に達成させて、気候変動に対応する戦略と政策を効果的に制定し、積極的に気候変動に対応する国際協力に参与するため、科学的な根拠を提供する。

(2)自主的な創造能力を強化すること、積極的に国際協力と技術移転などの措置を進めることにより、2010年までにエネルギー開発、省エネルギーとクリーンエネルギー技術など多方面にわたり大きな進展を確保すること、先進技術の産業化の足並みを加速し、農業・水利・林業などの産業部門の気候変動に適応する技術レベルを高め、気候変動へ対応するために力強い科学技術サポートを提供することが求められよう。

 それでは、2011年1月元旦時点に至るまでの中国環境・省エネとCO2削減政策の実施業績及びその政策効果を点検・チェックしてみよう。

 省エネルギーは中国の長期的な国策であり、“第1十一次五ヶ年計画”には“省エネ効率を高めること、省エネルギーの政策促進をさらに加速させること”を 基本的な目標の1つに据えて、このために2010年までGDPの単位当たりエネルギー消耗を2005年に比べて20%程度を引き下げるという野心的なゴールを打ち出した。これは中国が初めてこの目標を社会の経済発展計画に組み入れたことを意味する。

 実施のプロセスから見ると、計画は3つの側面を強調している:1つ目は産業構造を最適化させ、特に重厚長大なエネルギー多消費産業の比重を引き下げ、構造的な視野から省エネを実現させること。2つ目は省エネ技術を開発して広めることにより、技術的な見地から省エネルギーを実現する。3つ目はエネルギーの生産、運送、消費の各段階の制度建設と監視・管理を強化することにより、管理システム面の省エネルギーを実現する。

 重点業界から見ると、同計画において強調されているのは、鋼鉄、貴金属、石炭、電力、化学工業、建築材料など業界とエネルギー多消費業界の省エネ事業に特化する。自動車の石油ガソリンの経済的な消費指標の実施度合いを増大させ、古い輸送設備の更新淘汰を加速化させる。液体燃料に取って代わる基準を制定し、積極的に石油の代替商品を発展させる。効率の高い省エネルギー製品の生産と使用を奨励する。

 実施アクター側から見ると、同計画は極力社会全体の力を利用し、中央政府、地方政府、大企業、大衆にそれぞれの役割を発揮させる。中央政府の指導で国家の目標を制定し、その後各省、市と自治区へと割当配分を行い、中央と地方政府は“行政責任分担協定”を締結させる。一方、エネルギー消費大企業を省エネと削減目標を実行するターゲットに指定して、資源エネルギー節約と環境に優しい社会作りを実現させるため、社会全体のコミットメントを奨励する。

 以下に見る図一では、十一次五カ年計画(2006—2010)期間中に2006年から2009年にかけての4年間にわたる各地方の省(区、市)における上記省エネ政策目標達成度合いを色分けした進捗状況マップである。

 グリーン色は、100%以上の達成度を示しており、薄グリーン色は、80%以上で100%未満を示す。黄色は70%以上で80%未満を示す。オレンジ色は60%以下を示す。

 最下段のグレー色は除外地域を示す。

図一

図一

出所:『2010年度中国気候変動対策と行動に関する報告書』8頁。国家発展改革委員会、2010年11月公布

 図二は、同五カ年計画の実施期間中に中国のハイテク先端技術産業発展による産業付加価値の伸びを表している。

図二

図二

 2010年10月、中国政府は『戦略的な新興産業を育成するための政令』を公布し、環境保護や省エネをはじめ、IT情報テクノロジーやバイオテクノロジー、プラント製造、新エネルギー、新材料、ハイブリッド自動車等の新興エコロジー産業の促進と育成政策を打ち出した。図二を見る限り、2005年にはハイテク産業が占める付加価値がわずか7,839億元であったにもかかわらず、翌年には9,402億元に大きく成長し、2009年にはほぼ倍増の勢いで13,458億元となり、日本円に換算すれば、およそ15兆円を上回る規模となっているのである。従来のような重厚長大型の伝統産業で例えば鉄鋼や有色金属、石油化学精練、アルミ加工、電力冶金等の工場を技術革新させて、エネルギー消耗を削減し、資源の循環再生利用を促す『産業構造調整ガイダンス』が思い切って実施された結果、2011年から2016年にかけての第十二次五カ年計画開始時点で中国は、エネルギー生産と消費構造のダイナミックな改革が成し遂げられることになる。

 政策アクションの側面から見ると、第一は、法律を制定し、省エネと排出削減の目的、強制措置及び奨励と懲罰システムを明確にする。第二は省エネと排出削減のノルマ責任制を作り、各省(自治区、直轄市)と重点企業のエネルギー消耗および主な汚染物の削減目標の達成情況をチェックし、厳格な行政オンブズマンを実行する。第三は重点省エネプロジェクトを実施し、建物の省エネルギー基準、グリーン建物オフィスの評価監査、省エネ製品の普及など政策措置の関連立法活動が欠かせない。第四は産業政策を制定し、高エネルギー消費製品あるいは産業を制限し淘汰させることが求められる。

 例えば高エネルギー消費市場の業界の市場進出許可レベルを高め、省エネや環境保護市場の敷居を高め、輸出関税の還付や関税などの措置を調整し、“両高一資”(高いエネルギー消費、高いGHG排出、資源浪費型)製品の輸出などを抑制する趣旨の政策を導入させることがあげられよう。

 2008年から2009年まで、いっそうの省エネ事業推進とGHG排出削減を強化させるために、中国は矢継ぎ早に一連の産業計画と法律、条例や政策と行政命令を総動員させてきた。その全容は、およそ次のように異なるカテゴリーに分けられるものと考える:

(1)エネルギー立法と中長期のエネルギー計画の制定。省エネルギーと発展は再生可能エネルギーを発展することはエネルギー立法と中長期のエネルギー計画を制定することの重点である。2007年の《エネルギーの発展““第十一次五ヶ年”計画》と《再生可能エネルギーの中・長期的計画》を矢継ぎ早に公布した後、2008年3月に《再生可能エネルギー“第十一次五ヶ年”計画》を発表し、2008年4月と2009年1月に相次いで《エネルギー節約法》と《循環経済促進法》を実施し、省エネと排出削減を推進するため力強い法律による保障を提供した。再生可能エネルギー計画により、2010年に再生可能エネルギーのエネルギー消費総額に占める比重を10%まで達成することができ、全国の再生可能エネルギーの年間使用量を3億トン石炭標準とすることができ、2005年に比べて倍近く増大させる。その中、水力発電の総電力量は19億キロワットに達し、風力発電総電容量は1000万キロワットに達し、バイオマス発電の総電力量は550万キロワットに達し、太陽光発電の総電容量は30万キロワットに達する。それ以外に、2010年、メタンガス年利率の使用量は190億立方メートルに達し、太陽光エネルギーの湯沸かし機器の熱量収集面積は15億平方メートルに達し、非食糧原料燃料のアルコールの年利用量は200万トン増加し、生物のディーゼル・オイルの年利用量は20万トンに達する。

(2)業界の省エネと排出削減に関する政策と関連立法。“上大圧小” の構造調整政策は中国の省エネと排出削減を推進する際のキーポイントである。電力、鋼鉄、セメント、冶金など高いエネルギー消費、高い汚染と排出が多い業界について、各主管当局は産業調整政策の力を借りて一連の政策・規則を登場させ、資源の配置を最適化させ、効果的に業界の盲目的な拡張を抑制した。《2009年省エネと排出削減の政策アレンジメント》により、2009年の“上大圧小” の目標は小さい火力発電所施設に対して1500万キロワットクラスの発電所を閉鎖・停止する。国家発改委の統計により、上半期にすでに小さい火力発電プラントの1989万キロワットを閉鎖・停止し、1年間半も繰り上げて“第十一次五ヶ年”計画に定められた閉鎖・停止任務を完成した。

 業界削減を進めるため、2008年以降、国家発改委、工業情報部、建設部などの行政省庁が相前後して関連の政策・法規を制定し、例えば再生可能エネルギーの出荷電気価格を定め、太陽光エネルギー建築物に対して財政支援を行い、風力発電設備の産業に対して特定プロジェクト資金補助を与え、積極的に生物燃料と新しい燃料を使用するエコカーを発展させ、農村と都市に再生可能エネルギーのモデル建設を奨励するなどの施策を展開する。中国は交通と建築分野には巨大な省エネ潜在力を持っている。建物の省エネルギーを例にとれば、中国は建築面積では、毎年新たに増床面積は18億〜20億平方メートルにのぼり、建設関係によるエネルギー消耗はて現在すでに全国エネルギー消耗総量の27.5%を占めている。2008年7月に中国は《民間建築省エネ条例》を発表し、この条例を実施した結果、“建物エネルギー消耗を50%減らせ”という命令は建築分野の省エネ目標ノルマになる。省エネルギーを厳格に徹底させるため、2008年から、すべての新築の分譲住宅は売買契約の中でエネルギー消耗量、省エネルギーの措置などの情報を明示しなければならないようになる。住宅と都市・農村建設省が定めた建物省エネ目標により、2010年までに建物によるエネルギーの10億トンの標準石炭を節約し、再生可能エネルギーの応用面積の割合は新築面積の25%以上に達するべきだとされている。

図表1−1省エネと資源使用効率アップを図った政策措置と関連法令一覧表
文書名 公表日 キーポイント
1.民生用建築物 2008.7 新築不動産、既存建築と建築省エネ条例の奨励措置を定めた。
2.公共機関省エネ条例 2008.7 公共建築の省エネ計画、管理等。
3.民生建築物熱供給 2008.7 熱供給メータ、室内温度調整メータ計量管理方法料金徴収システムを定めた。
4.北方暖房敷設地区 2008.7 省エネ原則や、メンテナンス、暖房住宅建築熱供給計量システム、計量改造につき定めた。および省エネ改造技術ガイダンス
5.民生建築省エネ情報公開方法 2008.7 建築省エネ情報開示ルール
6.高効率照明製品に 2008.5 照明製品の普及拡大ガイダンス体する財政手当通知
7.エネルギー効率認証 2008.1 製品目録に関する実施細則制実施対象製品目録(第4回目)
8.『グリーン建築物評価標識 2008.1 実施細則実施細則』印刷発行に関する通達
出所:『気候変動対応報告書』2009版——コペンハーゲンに辿る道 2009年3月、中国 社会科学文献出版社 350頁−351頁。

(3)重点的な高エネルギー消耗企業の省エネルギーの監視・管理の政策。中国エネルギー消費の際立った特徴の1つは工業エネルギー消耗が総体的な全消耗の70%程度を占めていることである。重点的な業界の中の高いエネルギー消耗企業はまた工業エネルギー消費の横綱である。全国省エネと排出削減の一つの重要措置として、2006年4月から、国家発改委は国有資産管理委員会などの省庁と共に、“壱千軒単位の企業エネルギー監査と省エネルギー計画”キャンペーンをスタートさせた 。鋼鉄、貴金属、石油や石油化学工業、化学工業、建築材料、石炭、電力、製紙バルブ、紡織アパレルなど9種類に及ぶエネルギー消費業界の中、年間総合エネルギー消費量は18万トン石炭標準を使用する998軒にのぼる企業を選んで重点的に監視・モニタリング下に置かれることになる。2006年、千軒の企業合計のエネルギー消耗量は8億トンの石炭標準で、およそ全国のエネルギー消費総量の1/3を占め、工業エネルギー消費量の半分ほどを占めた。壱千軒企業の省エネルギー行動のキャンペーンを実施することを通じて、“第十一次五ヶ年”期間で約1億トンの石炭標準を節約する目標を掲げたのである。2007年に千軒企業の省エネ技術改造の総投資は500数億元に達し、省エネ技術改造プロジェクト8000件を実施し、年度省エネ目標を達成した企業は879軒で、全体の92%占め、3817万トンの石炭標準が結果的に節約されることになった。

 上述した法律や法令と政策アプローチ以外に、その他数多くの政策も省エネと削減とは密接な関係がある。例えば、“3高1資”など資源性製品の輸出を制限し、エネルギー統計制度を立ち上げて改善を行い、エネルギー消耗統計、監視測定と予測作業を強化し、低炭素技術や省エネと削減技術の科学技術革新などを進める。要するに、省エネと削減はすでに各地域の地方政府行政活動の中、重要な活動の一つになり、2006〜2008年、中国の省エネと排出削減政策の着実な推進と共に、全国レベルで見た場合の単位当たりGDPエネルギー消耗は10.1%も引き下げられており、累計省エネ3億トン程度の石炭標準で、二酸化炭素の排出量は約7.5億トンも減らしたことになる。2010年10月には、『再生可能エネルギー法』をはじめ、脱炭素社会に向けた産業構造改革を意図した新しいエコロジーグリーン立法が矢継ぎ早に制定されたのである。

(4)生態環境建設と森林の保護との相互作用:

 農業、森林とその他の自然生態システムも気候変動に対応する重要な領域であり、 《中国気候変動に対応する国家方案》は農業環境の保護と廃棄物の総合利用を強化することを提出し、森林、草原など生態系統の建設と保護を促進し、森林カーボンオフセットを増やし、温室ガスの排出を減らし、気候変化に適応する能力を増強する。

 農業分野で、中国は一連の政策と措施を制定し、農村の新エネルギー建設を積極的に広め、農業廃棄物の総合利用を励まし、温室ガスを減らすと農業の気候変動に適応する能力を増強するため、重要な役割を果たした。例えば、農村のわら、メタンガスを利用した自家発電は農村の再生可能エネルギーを発展させる重要な一環であり、コストが低く、便利性が高く、原料の出所が広範で、環境に制限される影響が小さく、建設サイクルが短く、総合熱効率が高い特徴を持ち、農家の廃棄物を循環再生利用することを実現でき、わらの燃焼による排出と廃棄物の汚染を減少することもできる。2007年、農林水産省は《農業生物質エネルギー産業発展計画(2007〜2015年)》を発表し、生物質エネルギーの産業化利用が加速されることになる。

 森林保護の分野で、中国は六大林業の工事をスタートさせ、植樹造林と生態保護を積極的に展開し、森林面積と蓄積量を高め、同時に大量の二酸化炭素を吸収して固定した。現在中国の森林面積は世界第5位になるまで改善されており、森林資源の蓄積は世界第6位になるまでレベルアップしている。人工植林の面積は世界の首位に躍り出たのである。第6回目の全国の森林資源調査(1999〜2003年)結果を見る限り、全国の森林面積が17490.9万ヘクタールとなり、森林被覆比率は18.2%に及んでいることが判明している。林業の部門の推定によると、20世紀80年代来、全国の森林が吸収する二酸化炭素のボリュームは、同時期の工業生産が排出するCO2総量の約8%に匹敵することになる。


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