【13-003】日本短期研修の記録(その3)緑の種

索 玉琳(南京農業大学)   2013年 2月27日

 飛行機の窓から、一面の緑がだんだん遠くなっていくのを眺めていると、心に湧いてきたのは去りがたい気持ちと、帰国する嬉しさだった。心の中で呟いた。さよなら、日本! さよなら、緑の中に広がる繁栄…。 

 私の目の前に、幾重にも重なる雲が夕日と青空の中に広がる光景を見た時、「これは神仙の国に違いない」と思いをめぐらせた。飛行機は飛び続け、私は今まで見たことのないような「青空と白雲」、まったく汚れていない糸か綿のような白と、透き通った清らかな青が広がる光景に心が震えた。私たちの住む星の知られざる美しさを見た思いだった…。

 飛行機がこの知られざる美しい光景の中を通り抜ける時、私の心には突き刺さるような痛みが走り始めていた…。私たちが暮らすこの青い星が、今まさに壊されつつある…。人類は自然からまさにしっぺ返しを受けている…。

 11日間の日本の旅は瞬く間に過ぎ去ったが、日本語専攻の私にとっては、初めて日本の文化に浸り、薫陶を受ける機会となった。それ以上に印象深い環境保護に関する教育も受けた。私の心を突き刺したのは他でもない、日本人の環境保護意識と、きめ細かく行き届いた環境保護のための活動だ。

 日本に到着した時、すでに夜は更け、疲れきっていた私たちは国立オリンピック記念青少年総合センターに着くと、すぐに眠りに落ちた。

 翌朝目覚めて窓を開けると、空には細い雨が降り、遠くでカラスが「カーカー」と鳴くのが聞こえた。洗顔時には「地球を涼しく」の標語が目に留まった。これが初めて目にした日本の環境保護の標語である。木陰ではハトとスズメが人間などお構い無しに跳ね回って食べ物を探しており、我々が近づくのも気にしない。

 私は思わず、「小鳥時に来たりて啄み食らい、人至りても去らず」という古い詩を思い出した。

 早稲田大学のキャンパスは、鬱蒼とした緑に覆われ、それぞれ違う色のゴミ箱が一列に並び、ゴミの分別回収が行われていた。ある学生がペットボトルの包装ラベルを剥がし、ボトルと分けて色の異なるゴミ箱にそれぞれ捨てるのを見た時、環境保護はスローガンだけに終わらせることなく、根気良く徹底して実行しなければならないものなのだと理解した。

心に蒔かれた環境保護の「種」

 行く先々のトイレには、水に溶けるトイレットペーパーが備え付けられ、ホテルのペーパーホルダーの横に、トイレットペーパーはホテルの従業員が回収した牛乳パックを再利用したことが表示されていたことなどを思い出した。細かいところまで環境保護が徹底されていることが分かった。

 東京から箱根までの道中、空は少し曇っていて、時折、雨粒がバスの窓をたたいていた。私たちは車窓から、食い入るように、鬱蒼とした起伏のある緑を眺めていた。疲れてくると一眠りし、再び目を開けると、窓の外には依然として緑が広がっていた。

写真1

 バスが停車するたびに、運転手はすぐエンジンを止めていた。一度、遊びつかれて早めにバスに戻った時、車内には耐えられないほど熱気が充満していたが、運転手は団扇を私たちに配りながら、「温暖化」防止のため、停車中はエンジンを切るよう政府から言われているので、エアコンは点けられない、と詫びながら教えてくれた。バス会社は監視装置を付けているし、近隣住民の目もある。私たちは微笑みながら理解を示し、同時に心の中で、日本国民の環境保護に対する責任感と使命感に感じ入っていた。

 企業の生産活動においても、常に環境保護の理念が徹底されていた。アサヒビールの生産ラインにはほとんど従業員がおらず、瓶詰め、ラベル貼り、包装などすべての工程が整然と進められていた。案内係の女性が身に着けていたきれいな制服は、資源ごみを再利用したものだという。パナソニックは、「地球環境との共存」を掲げ、CO2削減に力を入れ、省エネ製品を開発して地球規模の環境保護を推進していた。

 11日間で最も印象深かったのは環境保護である。11日間が過ぎた後、ずっと考えているのも環境保護である。もしかしたら、今回の日本への旅が私の心に環境保護という緑の種を一粒蒔いたのかもしれない。

写真2

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■編集部注:筆者は2010年7月28日~8月7日、研修プログラム「翔飛日本短期留学」に参加し、日本を訪問した。所属は当時の在籍大学名、原文は中国語。ウェブサイト「客観日本」向けに出稿されたものを日本語に仮翻訳した。


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