【17-001】莫邦富の「莫談国事」:日本の高級ホテルの無料Wi-Fi未開通問題で議論沸騰

2017年 3月 9日 莫 邦富(モー・バンフ)

 このコラムの1本目として、私は、「日本の5つ星ホテルの時代遅れのサービス意識」という文章を書き、日本の5つ星ホテルのホールに無料の無線ネットワークが導入されていないという問題を指摘した。日 本のホテルサービスにおいて広く存在する頑固な問題であるために、「微信」(WeChat)などのソーシャルサイトでも議論が沸騰した。一部の議論の内容を、読者の参考のためにご紹介しよう。

 まず我が意を得たりと喝采した人がいた(通関業者代表)。「この評論は興味深い。確かにこの面で日本はとても遅れている。セキュリティが原因かもしれないが」

 批判に別の人が加わる(日本企業中国人従業員)。「大量の外国人旅行客が入ってきて、昔ながらの日本のサービス業の質も落ちた」

 小さな旅館を経営するという女性がその原因をこう好意的に解釈をしてみせた。「5つ星ホテルのホールで臨時の客の使えるWi-Fiがないのは確かに不便だ。一番大きな原因はやはり費用の問題だろう。日 本では営業区域への公共Wi-Fiの設置費用が非常に高く、100万円近くもする。一般家庭のWi-Fiの費用とは比べ物にならない」。さらにこう続ける。「つまりホテルは、安全確保のため、既 存の無線ネットワークを臨時の客には公開しないが、専門的な公共ネットワークを新設するには費用が高すぎるということだ」

 このコメントには、ネットワーク販売業務に携わるという企業経営者からすぐに反論が来た。「安全問題なんてない。オープンなWi-Fiネットのリスクは、暗証番号を加えたネットワークと変わらない。つ まりアクセスするユーザーにとっての安全性に大きな違いはない。日本には無料のWi-Fiがとても少なく、ほかの国や地域と比べて閉鎖的だというだけだ。日本に無料Wi-Fiが少ないのは、意 識の角度から言えば思考が十分にオープンでないということだし、ビジネスの角度から言えば独占が原因だ。セキュリティだコストだというのは言い訳だ」

 上海の医師もこれに同意する。「もし誰かが無線Wi-Fiを利用して暗証番号を加えたデータを盗めるとすれば、有線ネットワークを利用してもデータを盗めるということになる。ど ちらにしろ無料の無線Wi-Fiを提供しない言い訳としてセキュリティを持ち出すことはできない」

 証券会社で働いていたというネットユーザーはこう指摘する。「高級なホテルほど無料Wi-Fiはないものだ。5つ星(ホテル)が無料Wi-Fiを提供していないというのはいたって普通で、欧 米や上海の多くの5つ星ホテルも無料Wi-Fiは提供していない。あなたのご友人が標準装備というのはいい加減に言っているだけだろう」

 このユーザーはその観点を裏付ける例として、上海花園飯店やポートマンリッツカールトン上海などを挙げた。だが上海花園飯店(オークラガーデンホテル)は日本のホテル企業が運営しており、日 本国内と同様の問題が反映されているだけとも言える。

 ある企業家がこれには、「(中国)国内の5つ星ホテルで無料Wi-Fiを提供していないなんて、考えられない」と反論する。もう一人がこれに加勢した。「今は地方の5つ星ホテルに行っても、無 料のWi-Fiがいくつもでてきて、どれにつなぐか困るほどだ」

 テレビ番組制作とホテルコンサルティングをしているというユーザーが今度は、日本の西武のプリンスホテルの例を持ち出してこう指摘する。「 数年前までは東京都内のプリンスホテルでもホールに無料Wi-Fi(サービス)がなかったが、ここ2、3年で都内ではすでに完備した。リゾートホテルでもさらに快適に過ごしてもらうため、客の求めに応じて、( こうしたサービスも)もうほぼ整いつつある」

 今回のコラムは、こちらのユーザーの意見で締めることにする。「日本は国際化に向かっており、これからもさまざまな外国人旅行客と向き合うことになる。安全や安心を前提に、客 の求めにはできるだけ応えるべきだ!」

莫 邦富

莫 邦富(モー・バンフ)

 知日派ジャーナリストとして、政治経済から社会文化にいたる幅広い分野で発言を続け、「新華僑」や「蛇頭」といった新語を日本に定着させた。また日本企業や日本製商品の中国進出・販売・ブ ランディング戦略に関して積極的にアドバイスを行っており、日中の経済交流に精力的に取り組んでいる。
 『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーとなる。最新刊は『この日本、愛すればこそー新華僑40年の履歴書』(岩波現代文庫)。現在、ダイヤモンド・オ ンラインにて「莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見」、時事通信社の時事速報にて「莫邦富の『以心伝心』講座」など、コラム多数を好評連載中。
 博報堂、シチズンホールディングスなど10数の日本企業の取締役・顧問などを務める。上海僑聯海外委員、上海海聯会理事、上海海聯会中日分会副会長。

※本稿は莫邦富「莫邦富的“莫談国事”: 日本高级酒店不开通免费WiFi引起争议」客観日本(2017年01月25日)を日本語に翻訳のうえ転載したものである。
http://www.keguanjp.com/kgjp_jiaoliu/kgjp_jl_40/pt20170125133436.html


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