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【12-005】エイズ研究分野の若き女性研究者―南開大学医学院の孔暁紅教

科学技術日報     2012年 4月11日

 南開大学医学院教授の孔暁紅教授は、米ネブラスカ大学リンカーン校博士課程を修了した中国教育部の優秀人材であり、教授、医学博士、博士指導教員の身分を兼ねる。孔教授はまた、中 国の著名ウイルス学者の耿運キ(キ=王+其)教授および米著名ウイルス学者であるWood教授(HIVのP24抗原を開発)に師事し、エイズ関連分野で活躍する若き女性研究者でもある。孔教授の研究チームは、世 界各国から1万件弱の申請が寄せられた中、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の資金援助を中国大陸部で唯一獲得した。孔教授は海を渡り、世 界で初めてHIV蛍光ウイルス競争構造を用いてHIV母子感染の研究を行った。その研究論文は「サイエンス」の一次審査を通過し、ウイルス学の著名雑誌から原稿執筆を依頼された。孔教授の研究成果は、H IV母子感染予防に用いられる薬品とワクチンの生産に対して、重要な根拠を示した。孔教授は長期間に渡り、ウイルスキャリアを介した脊椎損傷遺伝子治療の研究に携わっている。その科学研究成果は中華医学科技賞( 医学分野で特別な貢献を成し遂げた個人や団体を奨励するため設けられた、中国医学界の最高栄誉)の二等賞を獲得した。

研究に明け暮れる日々

 孔教授は2001年に博士号を取得すると、南開大学生命科学学院で、中国著名ウイルス学者の耿運キ教授に師事し、分子ウイルス学の研究を始めた。孔教授はウシフォーミーウイルス(BFV)の 必須元素と構造について研究を進め、実験室設立以来初となる科学誌記載論文を発表した。その研究結果は、慢性ウイルスの生活周期に関する認識を深めた。孔教授は研究により優れた成果を得たため、米 国立衛生研究所の資金援助を獲得し、米国でHIV母子感染メカニズムの研究を行った。当時、孔教授の長男は満1歳になったばかりだった。米国での3年間、孔教授は限りある時間を限りない研究に費やし、家 族への想いを学習と研究の原動力とした。孔教授は寝る間も惜しんで研究し、実験室に居残る姿が見られた。孔教授は3年間、帰国し家族と再会することはなかった。孔教授の努力と職業精神が、最 終的に報われることとなった。孔教授は研究により、HIV蛍光ウイルス競争構造を初めて構築した。同構造の運用に関する研究により、子供の体内に伝染するウイルスが、高 いウイルス増殖の適応性を持つことが明らかになった。同構造の構築はHIV研究に対して、重要かつ実行可能な手段を提供した。同研究成果はHIV母子感染予防に用いられる薬品とワクチンの生産に対して、重 要な参考価値を持つ。孔教授は同時に世界的に重要な学術論文を発表し、国際社会からの注目を集めた。

 孔教授は米国から帰国すると、業務上の都合により南開大学医学院に務めた。孔教授は新たな職場で医学分子ウイルス実験室を設立した。同実験室設立の際、孔教授は経費を工面するため走り回り、実 験室の設計や設備の購入等、心血を注いだ。これによりわずか1年間で、先進的かつ設備の揃った、ハイレベルの医学分子ウイルス実験プラットフォームが完成した。孔教授はこれらの貢献から、南開大学の教授・博 士指導教員となり、米国立衛生研究所基金、国家自然科学基金、教育部基金、天津市科学研究基金等を獲得した。

病院や海外大学との提携

 孔教授はウイルスキャリアを介した脊椎損傷遺伝子治療を、病院との長期的な提携方向とした。脊椎損傷修復の遺伝子治療研究において、自家活性化Schwann細胞を臨床実験研究に使用し、高 い臨床治療効果を得た。脊椎損傷治療の世界的な専門家がこれらの症例を調べるため中国を訪れ、高く評価した。同プロジェクト研究の重大意義により、孔教授と天津医科大学の共同研究成果「急慢性脊椎損傷の基礎・臨 床研究」が、中華医学科技賞の二等賞を獲得した。孔教授は共同研究により、各研究者の長所を集約することを重視している。孔教授は海外の著名大学と長期提携パートナーシップを結び、海外の学者を学術交流に招き、テ レビ会議を通じて研究に関する交流を進めている。これにより医学の進歩をリアルタイムで把握することができる。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団から資金援助

 孔教授は「イノベーションは科学研究の魂」と述べている。孔教授と研究チームの劉暢氏は、siRNAの抑制メカニズムに基づき、HIV妨害ウイルス(HIVi)という新たな概念を発表し、世 界的な著名専門家に認められた。伝統的なウイルス学の理論に基づく同イノベーションは、世界各国から1万件弱の申請が寄せられた中、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の資金援助を中国大陸部で唯一獲得した。同 研究は、自然界に存在するウイルスがその他のウイルスの増殖を妨害する現象に基づいており、核酸レベルでの妨害ではなく、ウイルスレベルでの妨害を主張した。siRNAやウイルスキャリア等の技術手段を利用し、H IV妨害ウイルスを人工生産し、HIV遺伝子治療の新手段を模索する。HIViは主にRNAiの手段によりHIVウイルスの増殖を抑制し、エイズ患者の寿命を延ばすことができる。

 同プロジェクトは細胞レベルでの研究が順調に進められ、動物体内での試験も計画中だ。研究の道のりは長く果てしないが、孔教授はエイズ患者に光をもたらすため努力している。

 孔教授は自らの実践により、エイズの飽くなき探求を続けている。


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