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【12-04】ゲームにケータイ、化粧品/中国の高校生に聞いたお金の使い道

鈴木 暁彦(中国総合研究センター フェロー)     2012年11月13日

 一部の高校生は携帯電話の通話料に毎月300元(約3,840円)使い、生徒全体の1割が外出時にタクシーに乗る--。中国重慶市の夕刊紙、重慶晩報に、興味深い調査結果の記事が出ていたので紹介したい。重慶市の平均月給は約2,500元(約32,000円)なので、夫婦共稼ぎだとしても、子供の教育にかかる経済的負担は軽くない。

 世界勤倹デーの10月31日にちなみ、重慶晩報が同日付で報じた。勤倹は、勤勉と倹約の意味である。

 高校生の消費に関する調査をしたのは、重慶八中の高校生10人(中国は初級中学と高級中学がある)。1年がかりで、同校の生徒300人にアンケート調査し、さらに、街頭に出て、他校の生徒400人にも同様の質問をした。

http://www.cqwb.com.cn/cqwb/page/1/2012-10-31/004/89561351621341527.pdf

http://www.cqwb.com.cn/cqwb/page/1/2012-10-31/005/23251351620935532.pdf

外出時に「タクシーに乗る」が13%

 お金の使い道は、男子が多い順に①日々の食費②休日の会食③オンラインゲーム④おやつ⑤携帯電話の通話料。女子は①日々の食費②スキンケア商品③休日の会食④携帯の通話料⑤外出時の交通費の順だった。

 外出時に利用する交通機関は、13%が「タクシー」と答え、総数の三分の二を女子が占めた。タクシーを利用する理由を尋ねたところ、「バスは込む」「歩くと疲れる」「時間の節約」が半数以上を占めた。

 ブランド品については、9割の生徒が「ブランドでなくてもいいし、国産品でもいいけれど、偽ブランドだけは嫌。なぜなら馬鹿にされやすいから」と答えた。

 親からもらう毎月の小遣いは、自宅から通学している生徒の場合、400元以下34%、400~800元40%、800~1,200元20%、1,200元以上6%。一方、寄宿生は400元以下4%、400~800元50%、800~1,200元40%、1,200元以上6%だった(1元=約12.8円)。

 毎月の携帯通話料は50元以下が59%、50~100元28%、100~150元9%、150元以上が4%。300元という生徒もいた。

スキンケア商品が人気

 毎学期に買うスキンケア商品と化粧品の金額は、300元以下21%、300~500元29%、500~700元11%、700元以上39%。女子にとっては、日々の食費に次ぐお金の使い道となっており、一部の男子も、男性用香水、美容液、ジェルなどを買う、と答えている。

 お年玉の額は、1,000元以下16%、1,000~3,000元46%、3,000~5,000元30%、5,000元以上8%で、10,000万元以上の生徒もいた。

 重慶八中の周辺は商業地区で、裕福な家庭の生徒が多く、お年玉の額も多かった。しかし、農村地区出身者は500元以下の生徒もおり、同紙の記者は「大きすぎる貧富の格差が存在している」と指摘している。

 お年玉の使い方を尋ねたところ、「冬休みに全部使う」が14%で、パソコンや携帯電話、旅行などに使っている。「貯金する」は45%で、「親に渡す」が20%。「将来、自分のために使う」が12%、「その他(寄付、義捐金など)」が9%だった。

日中の高校生を比較すると

 日本では、高校生の消費に関する調査を財団法人日本青少年研究所(東京・新宿)が日米中韓4カ国で2007年10~11月にそれぞれ実施(2008年4月発表)しているので、あわせて紹介したい。

http://www1.odn.ne.jp/youth-study/reserch/2008/gaiyo.pdf

 それによると、日本と中国の比較は次の通りだった。


  日本 中国 (1元=15円換算)
1カ月に自由に使えるお金 10,250円 229元 ( 3,435円)
希望する1カ月の小遣い 14,910円 300元 ( 4,500円)
1カ月で使う小遣い  7,210円 185元 ( 2,775円)
今年(2007年)もらったお年玉 35,020円 1,062元 (15,930円)
現在の貯金額 148,850円 2,217元 (33,255円)
サンプル数 12校1388票 30校1537票  

 小遣いの使い道は、日本が「外食代」「洋服やアクセサリー」「小説や雑誌、マンガなど」「おやつ代」。中国が「おやつ代」「外食代」「勉強書籍や用具」「趣味用品」。

 携帯電話を持っていたのは、日本が96.5%、中国は63.4%。パソコンを持っていたのは、日本が21.0%、中国が43.3%だった。

 以下は、質問に「はい」と答えた比率の比較である。


  日本 中国
偽ブランド品を買ったことがある 12.80% 28.20%
海賊版の本を買ったことがある 1.90% 37.20%
海賊版の音楽や映画CD、DVDを買ったことがある 7.40% 49.40%
テレビ、雑誌、新聞の広告に影響される方だ 56.50% 32.60%
最新流行のファッションを一度はしてみたい方だ 58.80% 41.30%
気に入るものであれば、値段が高くても買う方だ 51.10% 34.70%
自分はクールな(格好いい)方だ 12.90% 40.30%
食品を買う時に安全性などを心配したことがある 16.60% 29.70%
食品を買う時に安全性などをチェックして買う方だ 13.00% 41.60%

 いずれも、お国の事情の一端を示す数字といえそうだ。