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【06-003】中国の科学技術文献740誌をデータベース化、日本語に翻訳し地域名の索引も付与して2月から公開

2007年1月19日

寺内 徳彰(中国総合研究センター フェロー(文献情報部))

 科学技術振興機構(JST)では、中国総合研究センターの事業の一環として、中国の科学技術・医薬情報やこれら分野に関連する社会・人文科学を含む各種のニュースや政策の動向、研 究開発成果の動向などを日本の技術者・研究者等に紹介するため、「中国文献データベース(ファイル名:JSTChina)」を整備しています。中国文献データベースは、平成19年2月から公開する予定です。 

ここでは、中国文献データベースの概要を説明します。

中国文献データベースの特徴は何か?

中国文献データベースの特徴点は下記の通りです。

1)JSTが提供しているJDreamIIシンプルモードの検索システムを利用
2)非登録制、無料で利用可能
3)JSTシソーラス用語による検索が可能
4)中国文献データベース専用に地域名(省レベル,市レベル)の頻度分析機能を付加
5)標題、著者名、機関名の中国語標記をポップアップウィンドウで表示

 中国文献データベースへのアクセス方法は、中国総合研究センターのホームページからアクセスします。詳細は図-1 中国文献データベースの画面遷移図を参照してください。なお、すでに、J DreamIIのお客様は、JDreamIIのデータベース選択画面からでも利用できます。

図-1 中国文献データベースの画面遷移図(予定)

1-1 中国総合研究センター ホームページから利用する場合

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1-2 検索画面

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1-3 検索結果表示画面

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2-1 JDreamIIから利用する場合(JDreamIIユーザ)

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中国文献データベースの対象誌はどう選定したか?

 中国国内で発行される科学技術資料は、約10,000誌とも言われています。これら多くの科学技術資料の中から、 下記の条件を勘案して、約740誌を選定し、データベース化しています。

1)中国科学技術部科学技術情報研究所(ISTIC)、中国科学院文献情報中心(LCAS)、北京大学等の機関が重複して選定した重要資料

2)世界的に最も利用される文献引用情報データベース(ISI)に収録された資料

3)中国国家自然科学基金委員会(NSFC)が財政的支援を行っている資料

 さらに、人文・社会科学系の資料として、中国国内で発行される社会経済の雑誌やレポート類、中 国関連記事の多い日本および中国以外の海外で発行される雑誌に掲載される記事もピックアップしてデータベース化する予定です。

中国文献データベースはどう作成しているのか?

 中国文献データベースの作成は、中国の機関が保有している書誌・抄録の電子データ(メタデータ)の提供を受け、中国文献データベース作成に活用しています。メ タデータに収録されている英文もしくは中文の著者抄録を日本語に翻訳し、日本語抄録を作成しています。

 また、JSTのシソーラス用語を用いた索引を付与するとともに、地域名(省レベル、市レベル)の索引も付与しています。地域名を索引する目的は、中国では地域よって科学技術の発展状況が異なることから、動 向分析において地域間の特徴を見いだすことが重要になるためです。

 なお、地域名の索引は、下記の基準に基づきます。

① 第一著者の所属機関の地域名(省レベル、市レベル)を日本語表記で付与
② 市レベルの地域名を入力する場合は、その上位である省レベルの地域名も付与
③ 所属機関が中国以外の国の場合は、国名を省レベルとして付与
注意1)地域名の付与は、メタデータで所属機関に地域名が入力されている場合のみです。
注意2)北京市、天津市、上海市、重慶市の直轄市、ならびに、香港、マカオの特別行政区は省レベルの扱いになります。

JSTPlusファイルに収録済みの中国誌のデータを活用

 利用者の皆様はすでにご存じと思いますが、JSTでは、国内外の科学技術分野の資料を収集・データベース化し、JDreamIIのJSTPlusファイル、J MEDPlusファイルに収録して科学技術情報の提供を行っています。データ蓄積数は3,900万件を超えて、日本最大級の科学技術文献データベースです。

中国文献データベースでは、既にJSTPlusファイルに収録されている中国誌26誌、約40,000件のデータについて、中国文献データベースに移行し、提供する予定です。

中国語の書誌情報を表示

 「2.中国文献データベースの特徴」で述べたように、新規に作成する中国誌の文献情報については、標題、著者名、機関名の中国語の書誌情報をポップアップ画面で表示する予定です。これは、メ タデータ中に中国語の書誌情報が収録されている場合に、中国語の書誌情報を取り出し、下記のようなポップアップウィンドウで表示します。

図-2 中国語書誌情報のポップアップ画面例

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原文を入手したいときにどうすれば良いか?

 中国文献データベースの対象誌は全てJSTが収集しています。そのため、中国文献データベースを検索した結果から原文を入手したい場合は、JSTの原文複写サービス(有料)を申し込むことが可能です。& amp; amp; amp; amp; amp; amp; lt; /p>

 さらに、中国の機関が保有する電子的な全文データとのリンクサービス(全文リンク)も検討しています。全文リンクが実現した場合は、利用者の端末上で原文を参照することも可能です。そのため、全 文データを提供している中国の機関と交渉中です。

 中国文献データベースは、平成19年2月から提供を開始する予定です。今年度はJSTPlusファイルから移行した約40,000件からスタートし、定期的にデータを更新し(月2回)、毎 年約100,000件のデータを蓄積していく予定です。

 近年、科学技術の発展がめざましい中国。ある分野では日本の技術を超えたとも言われています。ますます中国の科学技術動向から目を離せない状況になっています。そのため、中 国の最先端の科学技術動向を分析する上でも活用できるデータベースの構築を目指します。

 是非、ご利用ください。