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【10-011】第25回中国青少年科学技術イノベーションコンテスト視察及び中国理数重点校との交流会

JST理数学習支援部先端学習担当 記     2010年 9月28日

1 目的

 第25回中国青少年科学技術イノベーションコンテスト(※)及び理数重点校との交流の機会を通じて、SSH指定校が中国科学教育に関する制度及び各校の取組を理解し、具体的な事業計画の立案に資する。

※第25回中国青少年科学技術イノベーションコンテストについて

名称:

The 25th China adolescent Science and Technology Innovation Contest

主催:

China Association for Science and Technology, Ministry of Education, Ministry of Science and Technology, Ministry of Environmental Protection, National Sports Administration, National Natural Science Foundation, Central Committee of the Chinese Communist Youth League, All-China Woman’s Federation and provincial government.

概要:

http://www.cyscc.org.cn/castic/CasticSubmit/Welcome.aspx

科学系の課題研究への関心の向上、創造力と批判的思考の育成、初等中等教育における科学教育の充実を目的として実施される中国国内最大の生徒を対象とした科学技術コンテスト。中国本土、マカオ、香港から地方予選より選抜された500名以上の生徒達が、研究内容について発表を行う。

期間:

平成22年8月8日(日)~11日(水)

会場:

広東科学中心(中華人民共和国広東省広州市大学城西六路168号)

2 参加者

① SSH校関係者 6名(以下指定校番号順)

  • 新潟県立新潟南高等学校 校長 馬場健郎
  • 大阪府立高津高等学校 教諭 藤村直哉
  • 市川学園市川高等学校 教諭 細谷哲雄
  • 大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎 教諭 冨田大介
  • 福岡県立城南高等学校 校長 松木敬明
  • 鹿児島県立錦江湾高等学校 教諭 樋之口仁

② JST関係者 8名

  • 科学ネットワーク部 部長 福島三喜子
  • 理数学習支援部企画担当 調査役 長谷川奈治
  • 理数学習支援部先端学習担当 調査役 多田羅尚子
  • 理数学習支援部先端学習担当 主査 田中禎人
  • 国際科学技術部 主査 青木一彦
  • 中国総合研究センター フェロー 米山春子
  • 北京事務所 天野年崇 北京事務所 朱瑩

③ 8月10日 中国理数重点校との交流会:中国参加校 10校

  • 人民大学附属中学(中国人民大学附属中学) 校長 王海玲
  • 北京市史家学校(北京市東城区史家胡同小学校) 校長 範汝梅
  • 北京101中学(北京101中学) 校長 王涛
  • 北京市中関村第一小学 甄洪波
  • 成都第七中学(成都七中) 校長 劉国偉
  • 広東実験中学(広東実験高等学校) 劉忠穀
  • 上海華東師範大学附属中学(華東師範大学第二附属高等学校) 校長 何暁文
  • 福州第一中学 校長 張礼朝
  • 浙江余新鎮中心小学(浙江省嘉興市南湖区余新鎮中心小学校) 韓偉峰
  • 重慶市南岸区珊瑚小学(重慶市南岸区珊瑚実験小学校) 校長 譚勁

④ 8月10日 中国理数重点校との交流会:中国来賓 10名

  • 北京師範大学 教授 劉恩山
  • 北京師範大学 副教授 劉英健
  • 北京市海淀区教師研修学校 書記 羅濱
  • 北京教育学院 盛泓潔
  • 北京第166中学(北京市第166中学) 楊洋
  • 上海市普陀区教師研修学校 葉佩玉
  • 上海市敬才学校(上海市敬業高等学校) 副校長 雷紅星
  • 成都第七中学 前校長 王志堅
  • 北京市東城区史家学校 付航
  • 北京市東城区史家学校 郭志濱

3 スケジュール

日付 内容
8月8日(日) 移動(成田空港、関西空港→広州白雲国際空港)
8月9日(月) 1.C ASTIC開会式
2.CASTIC生徒発表見学
(約400ブース、含13カ国の外国ブース
3.CASTIC教員発表見学
4.CASTIC審査見学
8月10日(火) 1.中国理数重点校との交流会
(1)日中代表挨拶
(2)日中理数教育概要説明(各10分)
北京師範大学
②JST
(3)各校の紹介(各校10分)
①広東実験中学
②市川学園高等学校
③大阪府立高津高等学校
④鹿児島県立錦江湾高等学校
⑤新潟県立新潟南高等学校
⑥福岡県立城南高等学校
⑦大阪教育大学付属高等学校天王寺校舎
⑧中国重慶小学校
⑨成都第七中学
⑩人民大学付属中学
2.交流(昼食:交流会参加者の個別交流)
3.広東科学中心の施設見学
8月11日(水) 移動(広州白雲国際空港→成田空港、関西空港)

4 日本側参加校の報告書

新潟県立新潟南高等学校校長 馬場健郎

1 参加前に期待していたこと

(1)参加目的:北東アジア環境シンポジウムの開催への参加協力

 本校は、平成23年度以降に、北東アジアの各国(中国、韓国、ロシア、日本)の 高校生が一同に会した環境シンポジウムを新潟市で開催することを予定している。

 このシンポジウムへの中国理数重点校の高校生の参加について、協力をお願いする ことを目的とした。

(2)環境シンポジウムの開催に向けた取組

 開催に向けて、平成20年度に韓国ソウル市の高校、平成21年度に中国ハルピン 市の中学校をそれぞれ訪問し、環境問題について話し合い交流した。

 今年度は、ロシアのハバロフスク市の高校生と交流する予定である。

2 参加により得られた成果と課題

(1)成果

 上海市内の中学校からシンポジウムの照会があり、今後の展開に期待している。

 科学コンテストの生徒発表会場で、環境部門で発表した長春市の東北師範大学付属 中学の教員と話す機会があり、本校の連絡先を知らせた。今後、交流の糸口となるこ とを期待している。

(2)具体的な交流実施に際しての想定される課題

 日本と中国の高校生がそれぞれ自国語を用いて交流する場合、通訳が必要である。

 中国科学コンテストの生徒発表では、中国語による展示と説明がなされた。英語に よる説明を生徒にもとめると、なかには英語で明瞭に説明した生徒もいたが、多くの 生徒は困難であった。中国は英語教育に力を入れており、生徒の英語力は今後着実に 向上するものと思われる。

 本校生徒の英語による意思疎通について、日常の挨拶やシンポジウムの発表などを 英語で行うことは可能と思われるが、意見交換や討論となると、かなり難しいものと 考えられる。

 英語を共通言語と想定した場合、交流する生徒の英語力を一層向上させることが必 要である。適確な英語を用いた意志疎通により、交流はより深まるものと思われる。

3 今後のSSH活動への反映

(1)中国の生徒と交流を図ること

 日本と比べて26倍の国土面積と10倍の人口をもつ中国は、経済成長を遂げ発展 している。相互に訪問するなどの交流を行い、本校生徒の視野や見聞を広げたい。

(2)理数教育の向上

 CASTICの視察や理数重点校との交流をとおして、中国における国を挙げての 理数教育の取組の一端や、教員と生徒の熱心な活動の様子をみることができた。

 今後、本校の生徒が、日本の全国レベルの科学コンテスト、数学や科学オリンピッ ク等への参加が可能となるよう、本校の理数教育を一層充実させたい。

大阪府立高津高等学校教諭 藤村 直哉

1.参加前に期待していた内容

画像1

 本校はアジア地域との交流を希望しているため、交流に関する情報を得たい、また、対象一つの中国の学校の現状も知りたいと考えていた。もし可能なら交流希望校をさがしたいという希望もあった。また、中国の科学コンテストCASTICを見学し、中国の理工系の学生たちがどのような研究をすすめようとしているのか知りたいという興味もあって参加を申し込んだ。

2.参加により得られた成果と課題について

 交流校さがしという点では、「日中理数重点校の交流会」および、その後の「中国科学技術協会青少年センター主任による歓迎宴」という形でJSTが準備してくださっていたので、個人的な接触の可能な場は設けられていた。ただ中国側の学校が必ずしも「交流校さがし」に来ているというより、日本の理系教育、理系先進校の現状を知りたいということで来ていたようで、「すぐに交流しましょう」ということにはならなかった。連絡先は教えていただいたので、交流の可否については、これから働きかけてみて可能性を探るという段階にとどまった。1回だけの短時間の出会いでは、このくらいが精いっぱいというところかも知れない。中国語によるコミュニケーションが十分にとれないと、実務的な話を進めるのは難しいと感じた。中国の学校の現状については直接知ることはできなかったが、資料で見る限り、生徒数の規模が1学年1000人近いところもあり、ずいぶん日本の学校より大きいことに驚いた。

画像2

 科学技術コンテストの見学では、ポスター発表の会場を各自で巡ったが、各ブースで中国の生徒がずいぶん熱心に説明してくれたのが印象的であった。中国語で説明が難しいとわかるや、英語に切り替えて必死に説明してくれた。これも核心にせまる内容の複雑な部分では、こちらの英語の理解力の不足もあってか(中国の生徒はへたな英語で十分説明できなくてすみませんと申し訳なさそうに言ってくれるのだが)理解できないこともしばしばあった。ただ、日本人は印刷された漢字の意味がおおよそ理解できるので、だいたいのところは理解できた。内容については、純粋な理論上、科学上の問題に関するものよりも、何か人や社会のために役立つ、実用的な研究や発明を志向しているものが多いように思われた。会場の一部しか回ることができなかったけれど、私の印象に残っているものでは、3軸加速度センサーを用いた「老人の身体状態の測定装置(中国人民大学付属中)」、農村の落雷による死亡事故から「建築物防雷設計規範の不十分点」を見直す取り組み(成都第7中学)、「ケイ酸肥料によって米の重金属汚染を防ぐ研究」(広州真光中学)、「コンピュータシュミレーションによる河川の汚染防止の研究」(鄭州101中学)、「太陽追尾機能を持つ太陽光発電装置の製作」(天津市南開大学付属中学)などがあった。各々の発表についてはレベルが高く、複雑なプログラムや電子装置を製作し、また高度な分析装置も使っているものも見られ、かなり専門的な知識をもった教員や研究機関の支援を受けながら進めているように感じられた。

 また、環境への積極的な取り組みは,開発や経済成長と対立する面があるため、中国国内ではタブー視されているのではなかと予想していたが、まったくそのようなことはなく、むしろ「低炭素生活を進めよう」と いうスローガンのもとに、生態の保存や環境問題をテーマとした研究発表の多かったことも印象的に残った。

3.今後のSSH活動への反映について

 身近な大気や水などを生徒が直接測定する、調べることで環境への関心が深まるだろうとの考え,LEDとCdSからなる「簡易比色計」製作して持参した。この比色計に対して8校の学校から提供の申し込みがあった。表示部のテスターを除けば製作費はわずか500円程度の簡易測定器なので、帰国後、化学部の生徒達に協力してもらって製作し、使用法のマニュアルも翻訳して一緒に中国の学校まで送りたいと考えている。

また、個人的な中国語の学習も進めて,交流の可能性に関して打診する手紙も各校に送り、本校との具体的な交流につなげることができるよう努力していきたいと考えている。同じ会場で、韓国の代表団にも出会って交流することができたこともよかった。各国の機関協力を得ると、個人の努力だけではできない交流の機会を得ることができるので、JSTの皆様には今後とも、このような機会を準備してほしいと思う。

 JSTのみなさん、一緒に参加した日本の各校のみなさん、たいへんお世話になりました。今後ともいろいろな協力をすすめたいと思っています。よろしくお願いします。

市川学園 市川高等学校教諭 細谷哲雄

1.参加前に期待していた内容

指定3年目の目標である海外連携に向けて、中国での連携可能性を探る。

中国での発表会の様子を直に見学して中国における教育を体感する。

2.参加により得られた成果と課題について

CASTIC

 開会式から見学させていただいたが、講演を聞きながら見る、フロアの柱に書かれた「青少年是祖国的未来」、「追求真理」、「走近低炭社会」、「好学力行 開拓創新」などのスローガンに現代中国の方向性を感じさせる。

 中国内全省、自治区から選出された代表が各自の旗を持って走り登壇し、「~省、やってきました」と大声で宣言する方式は意気も高揚し面白い。勢いを感じた。

 ポスターセッションは圧倒的なポスター数であった。しかし発表数は分野により大きく偏り、数学は3件ほどしかなかったが、生物、環境、工学は非常に多かった。とくに日本だと一つにまとめられる生物分野が、生物、農学、微生物、医学に分かれていた。その中でも、微生物、医学はガンやHIVそのものを取り扱った研究が目を引いた。中国語のポスターであったがその内容は圧倒的である。一方地方からのグループは固有の生物や社会を研究方向するものが目立った成果を上げており、非常に興味深かった。生物系に関する以上2点は連携時の大きなポイントとなるかも知れない。

理学系では日本で見られる「現象を追求する」タイプの研究で目立ったものはなく、どちらかというと「新しい装置を作って別の観点から現象をみた」といったものが多かった。農学、工学はもちろん実用性を追求したものを考えていたが、特に目立ったのは、災害対策系の研究である。 全般を通じてポスターは大変良く構成されており、配布用の資料などはアート紙といったものが多かった。見て回りながら、中国語では全然わからないので、英語での説明を求めると、「英語は良く話せないのですが」と言いつつも大変きれいな英語で説明してくれた。話しかけた生徒達(5グループ)とは100%英語でコミュニケーションをとることが出来た。彼の地での英語教育が成功していることがよくわかる。この点において中国との連携は大変良い刺激になると思われる。

 ポスター発表とは別に全員にLEGOに似た教材を与え、指定されたプロジェクトを実施して競う競技が最終時間に組まれており、それもイベントとしては興味深かった。

ポスター発表は非常に興味深く、中国の生徒達との触れ合いは日本のそれと同じでとても楽しい。英語を共通語として国際交流の場を持つことはとても有意義であると考えられる。我が校で参加できる機会があれば是非参加させたいし、我が校がホストになることも考えてみる必要がある。

教師論壇

 引率教員を集めての講演会であったが、全て中国語であったために日本団は早々に退出させていただいた。言葉の重要性を痛感した。

日中交流会

 日本の学校は各自のミッションを果たすために、各自がその特徴を大変よくわかるプレゼンをした。この機会に各校の特徴を勉強させて頂いた。中国側は時間制限のため数を限ったが、各校でどのような教育を施しており、その結果としてどのような成果を出しているかを大変強調していた。説明責任という意味で日本の学校が見習わねばならない一面である。交流会の後、さらに歓迎会といった形で昼食を両国でいただいた。双方がまじりあう形で円卓を囲み、和やかながらも積極的なコンタクトをとることができた。大変有意義であったと思う。本校に関しては幸いにして、日本でいうところの上海市指導主事に当たる人の隣に座することができ、上海の教育事情や教育一般について情報交換することができた。帰国後も連絡を取り合っている。また、理数教育の交流から離れ、日本への留学生受け入れ可能性検討など多くの提案をいただき、海外連携に向けて糸口を見いだすことが出来た。

市内見学

 市内見学については初日と最終日に実施された。事前に聞いていたトイレ事情の悪さをここで確認したが、言われていたほどのものではなかった。日本の公衆便所と同等である。生徒引率の場合も問題はないと思われる。ただ東洋人同士であるため、中国人と日本人の区別はつかない。観光地に来ている客には英語は通じないことも確認した。

 最終日に訪問した上下九路は市内の繁華街である。訪問したのが午前中であったために人混みはさほどではなかった。かなり狭い路地裏などがあり、夜は危険である。トイレもホテルで借りるなどして解決しないと生徒を連れていくのはためらわれる場所であった。なお、この商店街でも英語は通じない。市内見学は期待していなかったが生徒引率という点はとても重要であり、実施して頂いてためになった。

全体を通じて

 中国事情はネット調べても詳細が分からず、現地の位置も事前に研究することなく当日を迎えた。スケジュールの進行、予約状況など国内ではあまりないような事例が発生して、生徒を引率する際に困難に直面するだろう事例を体感することが出来た。

中国引率の場合は現地での情報収集を事前に実施しないと、国外からだけでは不安である。

同行の先生方は中国語、韓国語に堪能な方や、豊かな教育経験・実践を積まれた方たちばかりで、SSH活動全般について多くの情報交換をすることが出来た。これらのことも大きな成果である。

3.今後のSSH活動への反映について

 ニュージーランドに引き続き、本校で連携先として候補にあげていた中国との下見を終えることが出来た(他に韓国も検討中)。現地での観察交流、同一研究対象を絞った学校間での研究交流、生徒同士の発表会開催などを念頭に立案に入りたい。

大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎 冨田 大介

 今回の訪中の目的は派遣要綱によると2点あり、1つは中国青年技術イノベーションコンテスト (Chinese Adolescents Science ant Technology Innovation Contest: CASTIC) の視察、もうひとつは中国理数重点校との交流でした。前者については、SSHでの発表のようにポスターセッションと口頭発表を想定していましたが、実際にはポスターセッションだけで、口頭発表は行われませんでした。後者の理数重点校との交流については、配布物に「発表時間は5~10分ほど」「参加者は40名ほどを想定している」との説明がありましたので、40校ほどの方が来られ、その方々に本校のことや、SSHでの取り組みを説明することになるのだろうと考えていました。実際には小学校3校を含む10校の方が来られていました。

1 CASTIC について

A ポスターセッション

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 2008年に建設された中国の威信を誇示するような巨大な広東科学中心(科学センター)で行われました。開幕式は挨拶に始まり、国歌斉唱、生徒代表入場等、40分程行われました。その中で鄧小平の娘の鄧楠(中国科協常務副主席)が来られていたのは、中国の歴史に触れた気持がしました。(雛壇中央のオレンジ色の女性)

 開幕式のあと、3階の展示会場に上がり、生徒のポスターセッションの見学をしました。環境科学、数学・コンピューター、植物学、微生物学・医学と健康学、地球と空間科学・物理学、化学・生命科学、エンジニアリング、動物学、生命科学・行動科学・技術と設計の10分野と外国参加にわかれて展示、説明が行われていました。私が説明を聞いたブースは主に植物学関係が多く「新疆における納里橐吾(植物名)の繁殖について」(新疆生産建設兵団第二中学)、「植物の睡眠運動の観察と研究」(四川省富順第二中学)、「天然植物、蛇床子(植物名)の魚類の寄生虫を殺傷する成分の研究」(西安鉄一中国際合作学校)、「馬鈴薯の疫病に対抗する放線菌の選別と研究」(河北省保定し第一中学)、「鳳仙花、培養物質の研究」(湖西省南昌市外国語学校)、さらにエンジニアリング部門では「教室での携帯電波遮蔽壁の研究」(四川省成都第七中)、「ブルーベリーからアントシアンを抽出する方法および抗酸化活性の研究」(黒龍省ハルピン市第三中学)、コンピューター部門の「CryptoDefender」(香港)を聞くことができました。(中国の中学とは日本の中学高校に相当し、上記の発表はほとんど高校生の発表と思われます。)

 ブースに行くと最初は中国語で猛烈なスピードで熱心に話しかけてきます。学生時代に中国語を学んだこともあり、いくつかの言葉はわかるのですが、細部にいたっては専門的な語彙が多いこと、又その中国語のスピードでわかりません。私が日本人であることを伝え、できれば英語で話してほしいと伝えると、一生懸命知っている語彙を総動員して説明してくれました。その中で香港から来た生徒は、流暢な英語で説明してくれました。ただしその内容は専門的すぎて理解したとはとても言えません。概して彼らの英語はそれまでに想像していた程には流暢ではなく、日本の高校生のレベルとはそれほどかけ離れてはいないと感じました。ただ彼らのわかってほしいほしいという気持ち、その真剣なまなざしは忘れることができません。もっともっと聞いていたかった。また多くの生徒は日本に対して好印象を持っているように感じました。

B 教師論壇

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 ポスターセッションの後、会場近くの200人程がはいるホールで教師の発表会(教師論壇)が行われました。最初に主催者の挨拶があり、そのあと教員の発表がありました。いくつか驚いたことがあります。中国での発表を聞くのは初めてなのですが、参加者が最初の挨拶の時、結構寝てしまっているのです。確かに遠方からこられているので疲れているとは思うのですが、その状況はある意味日本と同じで、いや日本以上に正直で少し驚かされました。また挨拶の次の発表がこの大会を後援しているインテルの説明なのです。どれほどインテルがすばらしく、また中国の科学技術にそして青少年の教育に貢献しているのかということを滔々と話し始めるのです。私たちはその途中で退出しましたが、インテルの世界戦略とこの大会の裏側を見たような気がしました。

 退席したのち再び生徒のポスターセッションの会場を訪れ、いくつかの説明を受けました。そののち時間があったので再度「教師論壇」の会場に行きました。寝ている人はさらに増えていたような気がします。最後の発表はタイから招待された教授の教育論でした。彼は中国語は得意ではないため、英語で話し始めました。最初は手品です。そのあと理数科教育にとって大切なのは何か、まずは見ること、五感の大切さ、好奇心を刺激すること、自分で考えさせること、それが発展につながることを、映像を交えながら話しました。すると今回は会場の参加者は全員前を向いて熱心に耳を傾けているのです。話している内容そのものは決して新しくはないと思うのですが、中国の参加者には新鮮だったのかもしれません。

2 学校交流

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 今回のメインイベントである学校交流です。中国側は小学校3校を含む計10校でした。その10校のうち学校や理数科教育への取り組みを説明していただけたのは時間の関係上4、5校程であったと思います。その紹介の中で、中国の理数科教育にかける意気込みやその熱意はひしひしと伝わってきました。どれほど大きな賞を受賞したか、特許申請中の案件をどれほど抱えているのか、そしてその教育が如何にその学校の方針に基づいて効果的に行われているのか。日本のSSHとはその方向性が少し違っている、とも感じました。

 そのあと昼食会が行われ、そこで中国の高校との交流が行われました。私は上海市敬業高校との方と色々話をしたのですが、まずは先方の学校の状況を理解することに時間がかかり、また先方の学校の希望を理解することで1時間という時間はすぐに過ぎてしまいました。具体的な話は何もできませんでした。今後、e-mail 等を通じて色々打診をしなければならないと考えています。それでも今回の交流は少なくとも中国側の学校の姿が少しでも見えた、という意味で交流のきっかけをつかめたと思います。

3 最後に

 今回の訪問では中国の高校における理数科教育や教育に対する姿勢や情熱をじかに感じることができました。それが最大の成果です。そのような中国の生徒と交流し、生徒同士で理数だけでなく色々なことを話しあわせたい、そのことがここの生徒にとって何かをもたらすであろうことを実感しました。

 またいっしょに同行した5校の先生方と知り合えたこと、JSTの方と直接意見を交換できたことも大きな成果であったと思います。生徒を交流させたいというJSTの方々の熱意もありがたく思います。最後に私たちを受け入れてくれた大きく発展しつつある広州市に感謝したいと思います。

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福岡県立城南高等学校校長 松木 敬明

1.参加前に期待していた内容

 このたび、中国科学コンテスト視察及び中国理数重点校との交流会に参加させていただきました。JSTの職員の皆様には大変お世話になりました。心からお礼申し上げます。

 さて、視察参加にあたって、私は3つの目的を持って中国を訪問しました。

 1つ目は、交流校を検討するために、今の中国の社会・経済・教育等を先入観や偏見なしで、ありのままの姿を肌で感じたいということです。

 2つ目は、理数教育の実態と科学的リテラシーの普及がどのような状況か把握することです。

 3つ目は、具体的な交流校の情報を得ること、特にCSSPの交流先を見つけることでした。(本校のCSSPとは、持続可能性社会に関する共同研究のプログラム<collaborative sustainability study program>のことです。具体的には、海外の理数系教育を重視している高校との共同研究や、海外の大学との高大連携による持続可能社会に関する研修や、基礎データを収集することで、科学的手法による情報収集能力やコミュニケーション能力育成を図るプログラムです。)

2.参加により得られた成果と課題について

図7

 3泊4日の広州市の滞在でしたが、中国の発展の様子を知ることができました。中国経済の今後の見通し等、様々な見方があると思いますが、この広州市人口約1千万人が生活できている現実があります。中国は走りながら修正を加え、より良い方向や結果を出していこうとしているようにも見えました。

 中国科学コンテスト(CASTIC)では、中国の理数教育の一部を知ることができました。コンテストは、オーストリア、ドイツ、ルクセンブルク、デンマーク、ハンガリー、ノルウエー、フランス、インド、スロバキア、韓国、タイ、スウェーデン、アメリカの海外13ヶ国と中国国内の代表校によるポスター発表形式で、12分野に小学生から高校生まで参加していました。会場である広東科学中心には「青少年は祖国の未来です」とのスローガンが掲げられていました。

 また、中国の生徒や児童は、内容的には特に高度と思われないようなものでも、自信をもって発表している姿が印象的でした。日本の生徒も、発表内容にもっと自信を持つことが必要なのかもれないと感じました。

 理数重点校との交流会で、広東科学中心の李主任は、「教育には科学的リテラシーの向上が重要であり、将来の競争は、教育の競争であり、人材の競争である。」と話されていましたが、私もまったく同感でした。また、広州市の理数重点校は、世界の大学や研究室と連携を進めていました。具体的には、アメリカの大学との連携や、水環境を中心に海外の高校と連携して理数教育に向上に取り組んでいました。本校も同じ方向性の取り組みを検討していたところです。

 その他に、具体的方策や方向性も中国の学校と本校は、共通しているところが多くありました。例えば、低炭素社会の実現に関する教育です。

 本校のCSSPの研究課題は、生物多様性、水環境、エネルギー、気候変動等多岐にわたります。このような課題は、持続可能社会とも低炭素社会の実現とも表現できます。

 本校は、先日、カナダの大学のサスティナビリティー・ディレクターの講演会を実施しました。演題は「低炭素社会の実現に向けて」でした。講演の中で、中国の低炭素社会への取り組みについても触れられていました。理数重点校との交流会でも、低炭素社会の実現は、世界共通の課題であるとの認識でした。

 今回の訪中で、中国理数重点校との交流の課題は、どの都市のどの学校と交流するかということです。選択肢が広まったことと、中国の学校の理数教育に対する取組みへの理解が深まったことが相まって、交流校の選択を慎重に行うことが必要と考えています。

 また、具体的な交流実施に関しての課題は、海外の中国以外の交流校とのバランス、国内の他の高校も共同参加する場合、他校との調整、打ち合わせのための渡航費用等ではないかと思います。

3.今後のSSH活動への反映について

図8

 今後の本校のSSH活動に、中国との交流をどのように取り組むかは、今後の検討課題です。しかしながら、現時点でのCSSPの企画内容は、国内外の理数教育重点校4~5校との共同で、持続可能社会に関する基礎データを収集し、国内外の大学や研究室で各分野の研修に参加することなどです。このプログラムの実施により、国内外の高大連携を軸に、高いコミュニケーション能力を身につけた、国際社会に発信できる科学技術系人材の育成を目指します。

 今回、視察及び交流会に参加して、改めて、現代は、知識基盤社会であるし「知の大競争時代」であると実感しました。また、世界に通用する人材の育成が急務であると思いました。そのために、我々に何ができるかを考え、実行する必要があると思います。若い世代は、国の未来を創るとともに、未来からの使者であると思うからです。

 最後にこのような有意義な視察の機会を与えていただいた、JSTの皆様に改めて感謝して報告を終わります。

鹿児島県立錦江湾高等学校教諭 樋之口仁

参加前に期待していた内容

生徒の国際性を高める取組を一層飛躍させるために,次のことを期待して参加した。

(1) 中国科学技術イノベーションコンテスト(CASTIC)への生徒参加の可能性
(2) 中国の理科重点校の生徒との国際理解学習や国際交流の可能性
(3) コアSSH「ダイコン多様性研究コンソーシアム」における日中共同研究の可能性
(1)~(3)を成就させるために中国科学教育のレベルや交流希望の有無を知りたいと考え参加した。

参加により得られた成果と課題について

1に対する成果は,以下の4点である。

(1)【CASTIC参加の可能性】

 CASTICは,小学生高学年から高校生までの生徒が出場しており,日本で言うと全国工業クラブ,農業クラブ,全国発明工夫コンテストと全国理科コンテストが一度に同会場で行われるような盛大な大会であった。発表の方法は,「生徒によるポスター発表部門(青少年創新成果区)」が以下の①~⑩の合計391ブース,「教師による教材研究ポスター発表部門(補導員創新成果区)」があった。

 短時間の視察のため「生徒によるポスター発表部門」にのみ参加したが,理科や数学以外に工学,環境科学,社会科学(地理,歴史,民俗,都市計画,交通事故),医学,衛生学,工学,農学,発明工夫などがあり多様性に富んでおり,実学的な色彩が強く,日本の科学技術コンテストに比べて,理学的な数学や地学の内容が少なく感じた。以下,多い分野から出展数と割合を列記する。

① 工学や発明工夫:100(26%)
② 生命科学と社会科学,技術と設計等:67(17%)
③ 環境科学:44(11%)
④ 化学と生物化学:35(9%)
⑤ 地学や物理学:41(10%,Fig.1,2参照)
⑥ 植物学:28(7%,Fig.3参照)
⑦ 動物学:26(7%)
⑧ 微生物学,医学,健康科学:26(7%)
⑨ 数学と情報科学:24(6%)
⑩ 外国出展:24(6%)

 また,学術的なレベルは,理科等の教材研究的な内容から学会発表レベルの研究まであり,本校の国際学会発表グループのレベルなら語学的にも十分対応できる(参加できる)と思われた。

(2)【中国の高校との国際交流の可能性】

 中国広東省広州市の広東実験中学から天文分野で交流したいという申し出があった。

(3)【ダイコンコンソーシアムの可能性】

 上海市の華東師範大学附属第二中学から「ダイコン多様性研究コンソーシアム」に参加したい旨の申し出があった。

(4) (1)~(3)に関連してJST北京事務所の方々や韓国の中国視察団のキムさんと交流ができ,今後の交流支援に向けて支援が期待される。

図9

Fig.1 大豆の栽培条件の研究/Fig.2 電離層変動観測/Fig.3 雷災害研究

 次に課題は,以下の4点である。

図10

Fig.4 高齢化社会の調査研究

(1)【CASTIC参加の課題】

 CASTICの来年の開催地が,モンゴル自治区であり,予算・行程等の検討が必要である。

(2)【中国高校との国際交流の課題】

 中国の高校との交流については,国際性を高める取組としてどんなことが可能か学校や運営指導委員会でも検討や意見を伺い,生徒の交流等メールでのやりとりを深めて行きたい。基本的には課題研究を重視したスタンスで考えていきたい。

(3)【ダイコンコンソーシアムの課題】

 華東師範大学附属第二中学とは,「ダイコン多様性研究コンソーシアム」として,地ダイコン種子の相互提供や栽培方法,実験方法の意見交換などを通して,本年度はメールやノウハウの提供などによる交流を深め,来年度は予算を盛り込み国際的なコンソーシアムの一歩として進めていきたい。

(4)【国際交流の課題】

 交流に際しては,本校の英語科職員との連携に留まらず,中国語通訳等に関しては,鹿児島大学留学生TAとの連携や県内の中国語担当教諭との連携も視野に入れ検討していきたい。

今後のSSH活動への反映について

 本校の国際性を高める取組を一層飛躍させるために,課題研究を核とした中国や韓国などの東アジアの国際交流を進めていきたい。本年度は,メールでのやりとりを中心に交流したり,運営指導委員会の意見を伺い,中国の理科重点校の生徒との国際理解学習や国際交流の可能性を検討を進め,来年度の予算化を考えていきたい。
また,日本のダイコンと中国のダイコンの近縁関係についてダイコンコンソーシアムとして華東師範大学第二中学と種子交換から日中共同研究を始めたい。


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