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【13-003】「中国留学トレーニンググローバルパートナシープ大会」中国総合研究交流センター・沖村憲樹上席フェローが出席

米山春子(中国総合研究交流センターフェロー)  2013年 6月26日

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 2013年6月21日に中国・雲南大学で「中国留学服務中心留学トレーニンググローバルパートナシープ大会2013(CSCSE)」が開催され、独立行政法人科学技術振興機構顧問・中国総合研究交流センター上席フェローの沖村憲樹氏が、中国教育部留学服務中心の招請により出席しました。会議には日本から中央大学、高知工科大学の国際交流関係者が参加したほか、30を超える中国の大学、それに欧米から十数カ国の関係者百名以上が参加しました。

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 中国の中長期の教育改革の方針を示した「国家中長期教育改革と発展企画綱要(2010-2020)」は、多様なモデルにより海外の大学と共同で人材を育成することを重点推奨項目に挙げています。留学服務中心は、教育部の下で教育改革の推進・実施機関としての役割を担っており、海外の大学との国際交流や人材育成を目的とした協定締結の仲介を行っています。

 留学服務中心は全国で14カ所の「留学トレーニングセンター」を設立、中国国内で24の大学、海外からは80を超える学校がこのプログラムに参加しています。これまでに「留学トレーニングセンター」のプログラムを終えて9千人以上の学生が海外に羽ばたきました。しかし、残念ながら日本の大学はまだこのプログラムにほとんど参加していません。

 日本の入学制度や言葉の壁、それに入学時期の違いなどが主な原因と考えられますが、日中関係の悪化の影響を受け、中国の学生の日本への留学意欲が減っている事実を否定することはできません。また、留学服務中心のような仲介機関が存在していることや、プログラムの詳細についても、日本の大学ではほとんど知られていません。

 「留学トレーニングセンター」自体は、特に新しい施設ではありません。センターはプログラムに参加する中国国内の大学の中にあります。実施しているプログラムの内容も、大学によって異なり、同じものはほとんどありません。現在、留学トレーニングを受けている学生は学部生と修士がメインですが、まれに博士コースの参加者もいます。

 プログラム参加への流れですが、まず海外の受け入れ大学の要望に基づいて、留学服務中心が最適な中国の大学を探します。その上で学生選抜の条件、教育カリキュラム、学位の授与など具体的な内容を、受け入れ大学と中国の大学、それに留学服務中心の三者が十分な協議によって定めます。最後は三者が協定を締結、それに基づいて学生を募集し、教育を実施し、試験に合格した学生だけを受け入れ側の海外の大学に送り出します。

 このプログラムに参加した東北財経大学の担当者によると、トレーニングを受ける学生の65-90%が予定通り海外の大学に直接入学できるとのことです。期間内に単位取得ができず、合格ラインに至らない学生は、トレーニング期間を延長するか、中退することになります。

 トレーニングを受ける学生は二つのパターンがあります。東北財経大学の場合、一つはすでに大学受験に合格した同大学の学生です。もう一つは大学受験を受けず、直接トレーニングセンターに入学した学生です。受験を通った学生は卒業後、留学先の大学と送り出す大学の二つの学位をもらえるのが一般的で、大学受験を経ていない学生は留学先の学位しかもらえません。

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 留学服務中心は教育部傘下の半官半民の機構です。日本の独立行政法人のシステムと異なり、独立採算の機関でもあります。一早く学生のニーズをキャッチし、さまざまな留学プログラムに取り組んでいます。留学先のあっせん、奨学金申請の代行、留学用の書類作成、翻訳など、留学したい中国の学生が希望する国やコースにスムーズに進学できるようサポートしています。日本では留学服務中心に相当する機構は見当たりません。日本人の学生が海外に出たがらない要因の一つであるような気もします。

 海外の受け入れ大学にとって最大の関心事は、トレーニングを受けた学生の質がどのように保証されるかということです。スタートから7年たち、留学服務中心が今、最も力を入れているのが、留学生の質を保証するための各種政策や、制度の策定です。毎年開かれる大会の重点テーマは学生の質の保証問題で、毎回海外の専門家を招いて議論を続けてきました。

 また「留学生情報オンライン管理システム」の構築、「学生募集規則」の整備、「プログラム協定締結規則」や「共同人材育成管理規則」を策定、さらに2012年には「プログラム質保証専門家委員会」を発足させました。

 今年の大会ではマレーシアのヘルプ大学学長、米国ニューメキシコ大学の学長補佐をはじめ韓国、英国、オーストラリア、ニュージーランド、中国など諸大学の専門家が一堂に会し、大半の時間をこの問題の解決のために費やしました。

 「留学トレーニングプログラムの設計と拡大」、「留学トレーニングプログラムのサポートサービス」および「中国と海外大学の個別プログラム実施」などの分科会も開催され、ニーズの発掘や方向性、改善点、問題点などについても議論が行われました。

 今回の大会は日本の参加大学にとっては初めてのことで、意義深い機会となりました。欧米や韓国、マレーシアなどが人材育成や国際交流にかける熱心な活動に比べ、日本の大学では入試制度の改革をはじめ、柔軟的な対応の必要性を実感しました。招請していただいた留学服務中心の白章徳主任、車偉民課長に感謝申し上げます。

 このトレーニングセンターの詳細については下記のPDFファイルを参照いただければ幸いです。


さくらサイエンスプランウェブサイト

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