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ごみ資源化利用技術の研究

2009年9月4日

李海濱

李海濱 (Li Haibin):中国科学院広州エネルギー源研究所バイオマスエネルギーセンター主任、博士、研究員

 1968年9月生まれ。1997年に中国科学院山西石炭化学研究所の有機化工専攻を修了、工学博士。主に固体廃棄物の無公害化処理、資源化利用、バイオマスエネルギー利用分野の基礎研究と開発作業に従事。ごみ総合処理、バイオマスガス化発電など分野で数多くの技術研究および開発。国家973、863、国家自然科学基金、国際協力プロジェクト、中科院および広東省科技プロジェクトなど受託。これまで80編あまりの関連論文を発表、専門書『固体廃棄物エネルギー利用』を共著、10件あまりの特許授権を獲得。

共著者:呉創之/陳勇/劉暁風/寥銀章/劉克鑫

概要

 中国都市部における生活系ごみ収集量はすでに1.5億トンを超えている。先進国と比較し、中国都市部における生活系ごみの無公害化処理レベルは今なお低い。本文は中国におけるごみの排出量と処理の現状分析と国内外のごみ成分と物理的性質を比較し、中国都市部の生活系ごみの特徴に対し、資源の循環利用を主な目標とする都市部生活系ごみの総合処理技術構想を提出するものである。

1. はじめに

 2007年の中国都市部における生活系ごみ収集量は1.52億トンで、2003年以前の増加速度と比べ明らかに緩やかになっている。新設ごみ処理施設の使用開始に伴い、ごみ無公害化処理率は近年において最高の62%に達した。しかし、先進国と比較すると、ごみ無公害化処理率はまだ低く、40%近くの都市部の生活系ごみはいまだ適切な処理がなされていない。加えて、広大な農村地区のごみ処理は露天放置や埋め立てなどいまだ適当に処理されている状況に留まっており、中国全体のごみ無公害化処理レベルを向上をさせ、ごみ処理施設を絶えず増設し、完備する必要がある。中国のごみ成分、物理的性質に基づいて、国情に合ったごみ資源化利用技術の開発を強化しなければならない。

2. 中国におけるごみ問題の現状および特徴

1) 年々増加してきた収集量に見られ始める穏やかな状況

図1 ここ数年の中国都市部の生活系ごみ収集量

図1 ここ数年の中国都市部の生活系ごみ収集量

(出典:『中国統計年鑑』、『中国都市部建設統計年報』)

 図1で示されているように、中国の都市部の生活系ごみ収集量は1981年以来大まかにいって四つ段階を経て成長してきた。第一段階は1995年以前の急速な成長段階で、ごみ収集量の年平均成長率は10.7%であった。第二段階は1995年から2000年の間穏やかな成長段階で、ごみ年均成長率は2.1%であった。第三段階は2000年から2004年の間急速な成長段階で年均成長率は7.1%であった。第四段階は2004から現在までの穏やかな成長段階であり、ごみ収集量は約1.5億トンを保持している。まとめると、ごみ収集量の変化傾向は中国における都市化過程の速度を側面的に反映するものと言える。

2) 処理の大規模化―絶えず増加する処理能力と、減少する施設数。

図2 中国都市部における生活系ごみ無公害化処理能力

図2 中国都市部における生活系ごみ無公害化処理能力

(出典:『中国統計年鑑』、『中国都市部建設統計年報』)

図3 中国都市部における生活系ごみ処理施設数の変化情况

図3 中国都市部における生活系ごみ処理施設数の変化情况

(出典:『中国統計年鑑』、『中国都市部建設統計年報』)

図4 中国都市部における生活系ごみ処理施設の一日当たりの平均処理能力

図4 中国都市部における生活系ごみ処理施設の一日当たりの平均処理能力

(出典:『中国統計年鑑』、『中国都市部建設統計年報』)

 1996年以来、中国都市部における生活系ごみ無公害化処理レベルは基本的に年々少しずつ増加する傾向を見せている(図2)。2007年末までに、無公害化処理能力はすでにこれまでの最高レベルに達し、一日当たりの処理能力は27万トンを超えている。それと同時に、ごみ無公害化レベルも2007年の62%まで達している。指摘すべき点として、現行の無公害化基準の不一致により、1990年代の無公害化処理率データは実際に高めとなっているが、現在執行している埋め立て、焼却などの国家基準はすでに主要先進国に接近している。

 ごみ処理レベルの向上も小型のごみ処理施設を徐々に淘汰し、それに代わるさらに大規模で、汚染制御手段がさらに先進的なごみ処理技術の採用推進を促すものとなっている。ごみ無公害化施設は2001年の741施設から2007年の460施設まで減少したが、一施設当たりの処理施設の処理能力は2001年の303トン/日から2007年の591トン/日まで向上した。処理規模の増加は汚染源をさらに集中させ、先進的な技術手段の採用による二次汚染の減少という目標を達成させるのに都合がよい。(図3、図4)。

3) 主流の埋め立て、急成長する焼却、下降する堆肥の比率。

図5 中国における各種ごみ処理施設数

図5 中国における各種ごみ処理施設数

(出典:『中国統計年鑑』、『中国都市部建設統計年報』)

図6 中国における各種ごみ処理施設のごみ処理割合

図6 中国における各種ごみ処理施設のごみ処理割合

(出典:『中国統計年鑑』、『中国都市部建設統計年報』)

 図5、図6から、中国における主なごみ処理技術は現在も依然として埋め立てがメインであるが、ここ数年来、ごみ埋め立ての割合はしだいに下降する傾向が見られる。埋め立てが占める割合は2001年の86.7%から2007年の80.9%まで下がっている。中国の多くの都市部にとって、ごみ埋め立ては広大な土地面積を占用するゆえに場所選定が困難となっているが、ごみ焼却発電は減容減量の程度が高いといった特徴を備えているゆえに、数多くの都市部ごみ処理施設新設の第一選択となっている。2001年から2007年までに、ごみ焼却発電所は36施設から66施設まで増加し、ごみ焼却発電出力におけるごみの割合も2.2%から15.2%まで急速に増加した。不完全統計によると、2009年までに、稼働中および建設中のごみ焼却施設はすでに100施設を超えており、今後しばらくの間、ごみ焼却発電は中国において最も成長が速いごみ処理方式となる。堆肥は昔ながらの易分解性有機ごみの処理方法であるが、ここ数年来、都市居住者の生活レベルの向上により、ごみ中に堆肥に適さないばかりか有害成分が絶えず増加し、堆肥製品の品質に不利な影響を与えている。さらに、堆肥製品の付加価値の低下、狭い用途、季節的な販売、堆肥施設のごみ処理助成金のレベルが低いなどの問題が、この技術採用の縮小状況を直接引き起こしており、2007年におけるごみ処理中の堆肥の割合は2001年の8.8%からわずか2.6%まで減少している!

3. 外国におけるごみ処理方法

表1 一部の国におけるごみ処理方法(2001年)
Country/region Landfilled(%) Incinerated(%) Recycled, composted
or other treatment(%)
EU-25 54 16 20
EU-25 49 18 33
UK 80 7 12
France 43 32 25
Germany 25 22 53
Luxembourg 8 33 59
The Netherlands 21 44 35
US 56 15 29
Japan 7 77 15
(出典:Tony Griffiths,Keith Williams,Thermal treatment options,http://www.seas.columbia.edu/earth/wtert/sofos/Griffiths_Thermal_treatment_options.pdf
表2 イタリアにおけるごみ処理方法の変化
Year Incineration Landfill MBT*+RDF**+Composting+Recycling
1993 7% 85% 8%
2004 11% 54% 35%
*: MBT: Mechanical-Biological Treatment
**: RDF: Refuse Derived Fuel
(出典:David Newman, Residual Waste Management in Italy, an Overview of Recent History and Future Trends, CONFERENCE “THE FUTURE OF RESIDUAL WASTE MANAGEMENT IN EUROPE” 2005)

 表1は一部の主要先進国のごみ処理方法である。全体的に見ると、ヨーロッパ、米国では埋め立てが依然としてごみ処理の主な方法となっている。その中でも英国が最高で80%以上が埋め立て処理を採用しており、米国は56%となっている。欧州連合(EU)25カ国平均の埋め立て割合も54%に達している。先進国であろうと、異なるごみ処理方法に対する市民の受け入れ度合い、処理コスト、土地資源状況などが異なるゆえに、各国が採用する主流のごみ処理方法も異なる。国土が広大な国は伝統的なごみ埋め立ての採用に偏っており、日本など一人当たりの土地面積が相対的にやや狭い国では占用面積が小さく、減容減量の程度が高いごみ焼却技術を採用している。各国の資源回收の意識が絶えず強まるにつれ、資源の循環再生理念を基礎としたごみ資源回收利用技術の採用がますます幅広く評価されている。例えばオランダ、ドイツのごみ回收利用率は50%以上に達している。イタリアにすると、1993年から2004年まで、ごみ埋め立ての割合は85%から54%まで下がっており、MBTなどの方法を採用した資源回收技術処理の割合は8%から35%まで大幅に増加し、同期の焼却の割合は7%から11%とわずかに上昇しただけであった。

 

4. 国内外におけるごみ構成比率の分析

図7 ヨーロッパ都市部における生活系ごみの平均的な構成比率(1998-1999,ヨーロッパ39都市)

図7 ヨーロッパ都市部における生活系ごみの平均的な構成比率(1998-1999,ヨーロッパ39都市)

(出典:Municipal Waste Minimisation and Recycling in European Cities, Association of Cities for Recycling, http://www.acrplus.org/upload/documents/document306.pdf

図8 米国におけるごみ構成比率(2005年)

図8 米国におけるごみ構成比率(2005年)

(出典: MSW in the United States, 2005 Facts and Figures, US EPA)

表4 広州市における近年のごみ構成比率
  Organic waste Paper Plastic Glass Metal Textile Other inorganic waste
Percentage 49.5% 10.9% 21.0% 3.8% 2.3% 6.9% 5.6%

 図7、図8および表3の比較から、異なる国、地区のごみ成分にやや大きな差のあることが分かる。まとめていうと、生活レベル、習慣の差により、経済先進国および地区におけるごみ中のプラスチック、紙ごみの含有量が相対的にやや高く、ヨーロッパ、米国などは40%以上、日本はさらに60%に達している。さらに、金属、ガラスの割合も比較的高く、含有量は10%を超えている。有機廃棄物(生ごみおよび庭ごみを含む)の割合も比較的低く、通常は30%を超えない。このようにごみ全体の含水量は比較的低いが、発熱量はやや高く、2500~3000kcal/kgに達する。

 アジアの発展途上国におけるごみの共通する特徴は生ごみなど有機物の含有量が高く、その含有量は通常40%以上であり、最高70%まで達する。紙ごみ、プラスチックの含有量はやや低く、通常30%以下である。生ごみなど有機ごみがやや高い水分を含有しているゆえに、ごみの全体的な含水量は通常50%以上あり、発熱量も低く、一般的に約1000kcal/kgである。

 中国におけるごみ成分はここ数年で著しく変化した。都市化過程の加速により、都市部におけるガス普及率も大きく向上した。2007年までに、中国の都市や町におけるガス平均普及率は87.4%まで達し、2000年の45.4%を大きく上回った[1]。ほとんどすべての都市居住者はすでに煉炭を生活エネルギーとして直接使用しないゆえに、ごみ成分中の無機性焼却残渣の割合は急激に低下した。多くの都市部において、ごみ中の無機物(ガラス、金属を除く)は主に環境衛生や道路清掃で出る土砂であり、生活系ごみである建築、内装工事のごみが少量混入する。例えば広州など大都市部における土砂ごみなどの無機物含有量はすでに10%以下まで下がっており、表3(2001年以前)の数値を大きく下回っており、発熱量もある程度向上して、1400kcal/kg以上に達している。全体的にいって、中国都市部における生活系ごみの成分は大まかにいうと、生ごみなど易分解性有機物が約50%,可燃性有機物(プラスチック、紙ごみ、繊維など)が20~40%、無機物(ガラス、金属、土砂など)が20%以下であり、含水率は通常約50%で、平均発熱量は1100kcal/kg以上である。

5. 国情に合わせたごみ総合処理技術

 ごみ処理技術の選択にはさまざまな要因を総合的に考慮する必要がある。例えば、土地資源状况、立法要求、居住民の民意や受け入れ度合いなどさまざまであるが、結局のところごみの基本特性に基づき適切な方法を選択する必要がある。

 中国都市部における生活系ごみ処理にはいまだ多くの問題が存在する。

 一、生活習慣、認識レベル、経済社会発展段階などの原因により、中国のごみ収集は混合収集が主となっており、ごみ成分が複雑で、無機物・生ごみ・水分の含有量が高く、発熱量が低いといった三高一低の特徴がある。

 二、現在の処理方法は単体技術が主である。埋め立て方式は広大な土地資源を占用し、大気、土壌と水源の二次汚染といった隠れた危険が存在し、ごみ中の資源を浪費してしまう。堆肥方法では非腐敗性有機物と無機物を処理できず、減容、減量および無公害化の程度が低い。焼却方法は投資とランニングコストが高く、排煙の二次汚染制御が非常に難しく、資源を最大限活用することができない。まとめると、各単体技術は中国のごみ特性に対して適用性が弱く、高効率、低コスト、資源化、ごみ資源の利用といった要求をすべて満たすことができない。

 三、現在、応用している埋め立て、焼却などの最新技術、例えば埋め立て技術中のコンパクタ、埋め立てごみガス発電の内燃機、焼却技術の炉排煙、排ガスの浄化などキーテクノロジーと設備などは依然として輸入に頼っている。

 ごみ問題を解決するため、「ごみは資源であり、資源は利用しなければならない」を認識の基点とし、先進技術を通し、都市部のごみを減量し、ごみ中の各種物質を利用可能な資源に最大限転換し循環利用しなければならない。ごみを単純に処理するのは経済的かつ科学的ではなく、必ずその土地に適した措置をとり、ごみ中の構成要素の多様性に対し、資源、エネルギーの回収を出発点とし総合的に利用しなければならない。総合的な利用には以下の各分野の内容を含めなければならない。

  1. 利用可能な物資(紙ごみ、金属、ガラス等)の回收・再生・利用
  2. 易分解性有機物の堆肥処理
  3. 高発熱量の難分解性有機物のエネルギー利用
  4. 焼却残渣の固形化処理、焼却残渣の材料化の実現

 現在、中国国内のある機関はすでにこの試みを始めており、よいモデルケースおよび採用効果を得ている。(図9、図10)。技術がさらに完成するにつれ、この種の資源を最大限回収することを目標とした技術、低投資、高効率な資源利用、経済性が高いごみ資源利用の方法は、中国におけるごみ処理において今後徐々に重要技術になってゆくと確信させてくれる。

図9 広東博羅300トン/日の都市部生活系ごみ資源化循環利用技術モデル工事

図9 広東博羅300トン/日の都市部生活系ごみ資源化循環利用技術モデル工事

図10 四川宜濱500トン/日の都市部生活系ごみ資源化利用工場

図10 四川宜濱500トン/日の都市部生活系ごみ資源化利用工場

6. 技術推進中に存在する問題

1) 考え方の問題

 ごみは資源であり、資源の利用方法は多種多様であるが、ごみ成分・性質に基づき分類し資源化することで環境調和性と経済性を一致させる可能性がある。

2) 政策の問題

 現在、国はごみ処理費用の有料化政策を積極的に推進している。しかし、多くの地方において、総合処理技術に対し制定した処理費用基準が焼却発電の処理費用基準よりはるかに低く、総合処理技術の推進に不利となっている。

3) 工業化過程と肥料需求の矛盾

 工業化発展が速い地区は人口が多く、生活系ごみの排出量の増加ペースも速い。建設ごみ処理施設建設の経済基盤を備えているが、地元農業生産が縮小しており、肥料需要が少ない。この矛盾した販路問題を解決するには肥料の品質と付加価値を向上させることしかできないが、それにより肥料の販売と応用範囲を拡大し、肥料の販路問題を解決することができる。

7. 結論

 ごみ総合処理技術は発展途上国のごみの基本特性に相応しい技術計画である。ごみ中の各成分の異なる物理的性質に基づき、異なる単体技術を採用しごみを処理し資源化利用する。これは、「土地に適した措置、物に適した措置」、ごみの「減量化、再利用、再循環」といった循環経済の目標を実現する重要な技術である。


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