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南海北部大陸棚における天然ガスハイドレートの生成・集積体系に関する基本的研究

2009年10月28日

呉 時国

呉時国(Wu Shiguo):中国科学院海洋研究所研究員、
博士課程大学院生指導教授、
中国科学院海洋地質・環境重点実験室主任

2001 年、ドイツハンブルク大学理学博士号取得。 1995年、ドイツハンブルク大学客員研究員、海洋科学技術センター深海研究部フェローを経て2000年より現職2001-2002 年、ハンブルク大学客員教授。主に、深水の石油天然ガス、天然ガスハイドレート、海底構造、海洋地球物理の研究に従事。論文を多数発表。 国の特別事業であるスプラトリー諸島の総合的視察調査、南極の総合的視察調査、中 - 独国際協力 、日本の海洋科学技術センターの有人潜水調査、基金委員会、科学技術の973プロジェクト等の研究プロジェクト、30件あまりを主宰。現在研究中のプロジェクトとして、中国科学院のイノベーションプロジェクト「南海深水海域石油天然ガス探査に関する若干の問題に関する研究」、科学技術部の 863プロジェクト「浅水流の形成メカニズム及び地球物理的識別」、「ハイドレート分解により引き起こされる海底の不安定性」、国の特別事業『わが国海域の天然ガスハイドレート形成の地質構造的背景』、大洋協会の「背弧海盆(back-arc basin)の構造の変化と熱水活動の研究」、石油会社の「南海における深水石油天然ガス大型埋蔵体系の発達の特徴と地震インバージョン」等の研究プロジェクトなど。

要旨

 非活動的大陸縁辺部はプレート活動が相対的に弱い部分であるが、一方でハイドレートの形成には有利なエリアでもある。非活動的大陸縁辺部におけるハイドレートの埋蔵の法則に関する研究により、天然ガスハイドレートの生成・集積体系には、地層拡散型と構造浸透型の2種類の体系が存在することが明らかとなっている。地層拡散型天然ガスハイドレート生成・集積体系は最も広範に見られる生成・集積のタイプであり、主に、地層中に溶け込んだガスがハイドレート安定領域でハイドレートを形成する。この場合、ハイドレートは構造が相対的に穏やかな細粒の堆積物中に主に存在し、そのハイドレート形成を左右するのは、沈積物の孔隙水中に溶解するメタンの濃度である。構造浸透型天然ガスハイドレート形成体系では主に、熱分解起源または生物起源の天然ガスが構造の薄弱な領域に沿ってハイドレート安定領域まで移動し、ハイドレートを形成する。ときどき起きる断層活動(fault episodic activities)が、熱分解起源のガスが上方に向かって移動するのを助け、ハイドレート安定領域でハイドレートが形成される。このタイプのハイドレートは、分布は局部的であるが、かなり濃集し、塊状のハイドレートが形成されやすい。南海北部大陸棚における実際の研究例から見ると、非活動的縁辺部では、断層—褶曲様式、ダイアピル状構造、スランプ堆積物、断層勾配急変域(slope breaks)、海底扇状地の砂体が、ハイドレートの濃集のプロセスを左右する重要な役割を担っている。

1 はじめに

 わが国の南海北部大陸棚縁辺は、非活動的大陸縁辺部であり、天然ガスハイドレートの豊富な生成・集積が期待される(宋海斌等、2003;2007;呉時国等、2004;姚伯初、1998;2001;祝有海等、2003;張光学等、2002;Wu et al. 2005;2007)。2006年に、広州海洋地質調査局により南海の天然ガスハイドレートのボーリング調査が行われたが、その際、神狐海域の3つのボーリング孔で天然ガスハイドレートが見つかった。この海域では、孔隙空間における天然ガスハイドレート飽和率は5-30%で、一部地区の飽和率は60%に達した。孔隙空間における遊離ガス飽和率は1~2%で、一部地域の飽和率はやや高かった。ハイドレート中のメタンガス資源量は1兆㎥に達し、ガス埋蔵量は中レベルのガス埋蔵量であった(Zhang et al., 2008)。ボーリング、調査により明らかになったハイドレート安定領域の基底部は地球物理探査による海底擬似反射面(BSR)と非常によく一致していた。

2 南海北部大陸棚における天然ガスハイドレートのBSR分布

 地震波反射面上、海底擬似反射面(bottom simulating reflector, BSR)は全体として、海底にほぼ平行な、強い反射波または比較的強い反射波として現れ、横方向で反射波の振幅の強度と連続性に一定の変化が見られる。これは、天然ガスハイドレート安定領域基底部の反射波と考えられており、一般的に、ハイドレートの存在の重要な根拠とされている(Hyndman & Spence, 1992)。近年の調査で、南海北部大陸棚縁辺には広範にBSRが分布していることが明らかとなった(図1)。BSRはその振幅、連続性等の特徴により通常、次の3種類に分類される。1)強振幅BSR(S-BSR)。このBSRは、振幅が強く、連続性に優れるといった特徴を有し、比較的容易に識別でき、横方向では一定の範囲内でトレースが可能である。このタイプのBSRが発達する盆地は、多くは構造活動が強烈な南海東北部エリアに分布する(宋海斌等、2007;Wang et al. 2006;Wu et al. 2007)。2)弱振幅BSR(W-BSR)。このBSRは、振幅が比較的弱く、弁別がややむずかしい。中、浅部の地層は大部分が海底に平行であることから、大多数のBSRは基本的に地層と平行であるが、基底の起伏に変化が生じているごく一部のエリアでは、地層との間に顕著な斜交関係が生じている。このタイプのハイドレートは、地層が平らで穏やかな斜面盆地内にのみ見られる( Wu et al. 2007)。3)不連続BSR(discontinuous BSR)。このBSRは振幅が強い部分と弱い部分がある。一部の地域にのみ見られ、多くが泥ダイアピル状構造の最上部に位置する。一般的には、海南省東南盆地の大陸棚エリアといった、構造運動が比較的弱い地域に見られる。(Wang et al. 2006;Wu et al. 2007)。

図1 南海北部大陸棚のBSR分布図

図1 南海北部大陸棚のBSR分布図

黄色—BSR、太い実線—盆地境界、細い実線—水深線

3 南海北部大陸棚における天然ガスハイドレートの生成・集積体系

 天然ガスハイドレートの成因については、国内外の専門家がすでに考察している(Trehu etal.2007)。天然ガスの成因のタイプと安定領域への進入を制御する要因により、天然ガスハイドレートは2つの成因タイプに分けることができる。理解しやすいよう、我々はこれを地層拡散型天然ガスハイドレート生成・集積体系、構造浸透型天然ガスハイドレート生成・集積体系と称する。

3.1 地層拡散型天然ガスハイドレート生成・集積体系

 地層拡散型ハイドレートとは、地層中の生物起源ガスが地層の孔隙で形成するハイドレートを指す。このタイプのハイドレートは広範にわたって分布する。代表的なのは、Blake Ridgeである。このタイプのハイドレートでは、主に低濃度のハイドレートが形成される( Xu and Rippel 1999)。通常は、ハイドレート安定領域基底部の濃度が最大だが、内部の分布は不均一で、分布は堆積物の岩性や粒度によって左右される(Ginsburg et al. 2000)。生物起源のガスがハイドレート形成の重要な源である。特に、半深海の環境では、生物起源のガスがハイドレート形成の源となる。それは、こうした環境の深水の堆積物にはある程度の濃度の有機炭素が含まれているからである。転換率が高ければ、一定量の有機炭素がメタンを形成し、海底の深度が加わればそれだけ、メタン溶解度は次第に増し、その量が孔隙水中のメタン飽和度を超えた時に、ハイドレートが生成される(全堆積物の約2.5%)。

 南海北部大陸棚では、鮮新世-更新世-完新世と堆積速度が比較的速く、堆積物が海底に次々と急速に堆積した。堆積荷重が増すとともに下部の堆積物は押し固められて下方に沈み、下部の孔隙率の高い堆積が相対的に孔隙率の低い堆積へと換わり、安定した基底部が上方に移動して新しい温度・圧力条件が形成された。堆積相の境界もまたこれゆえに移動し、もともと存在したハイドレートは溶解して遊離ガスとなり、上昇する浮力の作用で、孔隙流体から上方に移って、ガスハイドレートを形成し、改めてハイドレート安定領域に入った。このために、ハイドレート安定領域の基底部は往々にして高濃度ハイドレートとなっている。

3.2 構造浸透型天然ガスハイドレートの生成・集積体系

 構造浸透型ハイドレート生成・集積体系とは、ハイドレートを形成するガスが構造の裂隙に沿って上方に移動してハイドレート安定領域に至り、裂隙系統または地層の中に沈殿したり、海底に浸出したりした後、適した条件下でハイドレートを形成するもので、メキシコ湾が最も典型的である。このハイドレートは海底ハイドレートのごく一部に過ぎないが、この成因による場合、非常の濃集の塊状ハイドレートが形成されることが多い。このタイプのハイドレートは高品位で観察が容易であり、冷泉生物群と関連があることから、広く注目され、研究が行われている(Chen et al. 2005; Trehu etal.2007)。

図2 南海北部大陸棚ハイドレートボーリング調査エリアの天然ガスハイドレート分布地質モデル

図2 南海北部大陸棚ハイドレートボーリング調査エリアの天然ガスハイドレート分布地質モデル

 南海北部の非活動的大陸縁辺部には、このタイプのハイドレートが広い範囲にわたって存在するものと考えられる。深部の熱起源のガスが縦方向にハイドレート安定領域に至って、濃集の塊状ハイドレートを形成しているのだ(図2)。非活動的大陸縁辺部深水域には二層構造が存在し、下部のリフト盆地は良好な炭化水素生成の可能性を有する。埋蔵が比較的深いことから多くの場合ガスとして発生し、断層盆地または深水扇状地に大型ガス田を形成する。こうしたガスは、断層を主な移動の通路として上方に移動し、新生代の堆積盆地内部に至り、そこで新生界の堆積物中の成熟度の低い炭化水素類と混合し、適度の温度・圧力域内でハイドレートを形成する(図2)。この点から分かる通り、断層と不整合面とが移動の通路体系を作り出し、ガスは多くの場合、超圧の孔隙流体とともに移動する。その上、下部のガス源の高圧エリアから上部の低圧エリアへ向かって、横方向に移動するか、または縦方向と横方向を組み合わせた移動をし、深いガス源の成熟度の高いガスが上方に移動して、浅部を源とする成熟度の低い炭化水素類と混合して、ハイドレートが形成、集積される。南海北部の白雲陥没の実例から見ると、神狐海域のBSRは多くが断層勾配急変域(slope breaks)に分布するが、その下部には巨大なガス田が存在していて、ガス源は十分であり、更に断層が流体の重要な移動通路となっている。ハイドレート安定領域では、堆積物の重力流が非常に発達し、粒が粗く、孔隙率が高い海底の砂体はハイドレートの濃集には非常に有利に働く。

4 構造浸透型天然ガスハイドレートの規制要因

 地層拡散型ハイドレート生成・集積体系は主に構造が相対的に穏やかな、細粒の堆積物中に存在し、そのハイドレートの形成は、堆積物の孔隙水中に溶解するメタン濃度により左右される。孔隙中に溶解しているメタンの濃度、圧力、毛細管力等に後押しされ、拡散する方式で移動し、空隙水中に溶解するメタンの濃度が水-ハイドレートの二相体系の熱力学的バランスと飽和度を超えると、溶解していたメタンが結晶して、ハイドレートが形成される(Buffet and Zatsepina 2000; Zatsepina and Buffet 1997)。

 十分なガス源がハイドレート形成・集積の必須条件である。そして、ハイドレート形成を規制する3つの重要なパラメータは、堆積物中の有機炭素量、生物起源のメタンの生産効率、孔隙流体中のメタン溶解度である。非活動的大陸縁辺部盆地には、極めて厚い堆積層と優れた炭化水素源岩が存在し、石油天然ガスは次々と上方に向かって浸透し、ハイドレート安定領域でハイドレートを形成し、濃集する。通常は、熱起源ガスがハイドレート形成の主な源である(Paull et al. 1996)。

 構造浸透型の生成・集積体系では、ハイドレート安定領域内に遊離ガスが存在するため、BSRはあまり発達しない。大量のガスは浅層、ひいては地表まで逸散する。天然ガス(熱分解起源のガスと生物起源のガスを含む)は、一定のルートを通ってハイドレート安定領域内まで移動して、ハイドレートを形成するが、ガスの移動はしばしば構造の作用により規制され、ときどき起きる断層活動が特徴として見られる。南海北部ならびに世界の典型的エリアについての研究に基づき、我々は、主に以下のような規制要素が存在するものと考える。

4.1 活断層によるBSR分布の規制

 南海北部海域は一般に、rifting period(リフト期)とdepression period(デプレッション期)という2つの段階を経験している。そして、このリフト期とデプレッション期に大量の断層構造が形成された(Luedmann et al. 1999;呉時国等、2004)。構造のリッジ部のハイドレート安定領域基底部には、引張応力によって生じた一連の正断層が発達している。断層は、天然ガスが深部の地層から浅部の地層へ向かって移動するための通路となっており、天然ガスは断層に沿ってハイドレート安定領域に到達することができる。一方、褶曲構造は、浅部地層に移ったガスを適時に取り巻き、閉じ込める役割を果たす。Blake Ridgeでは、ハイドレート安定領域下部に位置する一部の断層およびより大きな規模の断層が、局部的な流体と天然ガスの移動を規制し、流体と天然ガスを、多くの低温鉱物とともに断層という通路を通って選択的にハイドレート安定領域に至らしめている。

4.2 ダイアピル状構造

 広州海洋地質調査局は、南海北部で高解像度の地震調査を数多く実施してきたが、その中で大量のダイアピル状構造の存在が明らかとなった(図2)。このダイアピル状構造には様々な成因が考えられ、泥ダイアピル状、塩ダイアピル状、岩しょうダイアピル状等の成因タイプが存在する。そこに含まれる天然ガスハイドレートの特性もまたそれぞれである。ダイアピル状構造の存在は、断層がすでに、天然ガスハイドレート溢出体系の有機的な構成部分となっていることを物語る。

4.3 スランプ構造(slump structure)

 南海北部大陸棚海域では、水深300-1600m部分に、巨大なスランプ構造体が分布しており、海底はでこぼこしている。その海底から300-450mのところに特徴の明らかなBSRが海底にほぼ平行に存在し、BSRは明らかに地層を斜めに横切っている。その上が巨大なスランプ体で、内部はカオス的反射を呈し、振幅空白部は比較的顕著だが不均等である(図2)。一方で、スランプ体は天然ガスハイドレートの形成と分布にとって有利な地質体である。まず、海底スランプ体は堆積物が急速に堆積してできたもので、地震反射はカオス的反射の特徴を持ち、堆積物は通常、孔隙率が比較的高く、天然ガスハイドレートの形成に必要な集積の空間を提供する。次に、堆積が急速に進むため、堆積物中に含まれる微細な有機質のかすが酸化しないうちに埋蔵され、保存され、細菌の作用で大量のメタンガスに変わる。同時に、スランプ堆積物は選択性に劣り、浸透率が低いため、ガスの流れは悪く、圧力は比較的遮蔽される。このため、天然ガスハイドレートの形成には望ましい圧力環境が形成される。一方、スランプ自身が、天然ガスハイドレートが分解して生じた構造である可能性がある。大量の天然ガスハイドレートが安定を失い、ガスが逸脱したことが海底スランプ形成の主因となり、海底の地質災害を引き起こした可能性がある。アメリカの大西洋の大陸縁辺には200近い地すべりが存在するが、多くの地すべりはいずれも天然ガスハイドレートが分布するエリア内かその付近で起こっているし、別の海域の Blake Ridgeもまた天然ガスハイドレートと関係している。それはたとえば、西南アフリカの大陸棚とRidge、ノルウェーの大陸棚縁辺、ボーフォート海の大陸棚縁辺、カスピ海、北パナマの大陸棚、カナダニューファンドランドである。このように、天然ガスハイドレートとスランプ体の相互作用は注目に値する。台湾西南海域で、巨大スランプ体の底部に位置するBSRはこうした相互作用の表れである。

4.4 勾配急変域(slope breaks)断層

 勾配急変域(slope breaks)構造とは、同堆積構造の長期にわたる活動で、古い地形の斜面が顕著に急になった部分を指す。勾配急変域は、盆地の充填可能空間の変化と堆積作用に重要な影響を与える。断層盆地において、規模が比較的大きい同堆積断層から構成される構造勾配急変域( tectonic slope-break zone)もまた断層勾配急変域(slope breaks)と称される。構造勾配急変域( tectonic slope-break zone)堆積相帯と堆積の厚みが突然変化している場所であることが多く、しばしば扇状三角洲や海底扇状地等の堆積砂体が発達している。低位域の砂体は層序の底部に発達し、勾配急変域に沿って群を成して分布し、構造岩性(structural-lithological)の石油天然ガス濃集部を形成している(li et al., 2004)。構造勾配急変域は異なる構造単元が互いに接する部分である。たとえば、斜面部、隆起・沈下が互いに接する部分であり、こうした部分は通常、上下差が比較的大きく、堆積の厚みが大きいという特徴を持つ。更には、主なガス源エリアに近く、その上、底部に断層が相対的に発達し、同時に、断層の勾配急変域上は岩性が比較的粗いことが多く、貯蔵域が比較的よく発達し、大量の天然ガスを捕捉するのに適し、その結果、一定規模を有するガスハイドレートの集積が形成される。

 南海北部の大陸縁辺盆地では、沈下期に大量の断層構造が形成されたが、くぼみの縁辺にはしばしば規模の比較的大きな同生断層が発達している(図3)。こうした断層は、盆地の境界や当時の古地形を規制し、その後も活動を続け、大陸棚の変遷を規制してきた。このため、こうした地域を断層勾配急変域と呼ぶ。こうした勾配急変域 には、天然ガスハイドレートの濃集に有利な次の4つの条件が整っている。1)勾配急変域が下部の炭化水素を生成するサグに連なっているため、熱分解起源の天然ガスが豊富にある。すなわち、良好なガス供給源条件が存在する。2)勾配急変域には、海底タービダイトの砂体が豊富に発達しており、熱分解起源の天然ガスの上方への移動に有利である。3)勾配急変域には断層が発達しており、天然ガスのハイドレート安定領域への移動に有利である。4)勾配急変域は多くの場合、比較的大きな傾斜があり、でこぼこした海底地形で、重力スランプや海底扇状地が発達しており、良好な貯蔵域となる。

5 結論

 非活動的大陸縁辺部には、地層拡散型と構造浸透型という2種類の天然ガスハイドレート生成・集積体系が存在する。南海北部大陸棚のハイドレート濃集は、構造浸透型に属する。構造浸透型の天然ガスハイドレート生成・集積体系では、濃集した塊状ハイドレートが形成されやすく、その分布はしばしば、断層-褶曲構造、ダイアピル状構造、海底スランプ体、構造勾配急変域といった典型的構造と密接にかかわっている。断層-褶曲様式の中では、断層が天然ガスハイドレートの浅部への移動の通路となる。ダイアピル状構造は、地質応力の作用により、深部または層間の塑性物質が縦方向に流動して形成されたものである。このダイアピル状構造がしばしば堆積被覆層を上に持ち上げたり、貫いたりし、その結果流体が流れ出し、ハイドレートが形成される。海底扇状地と海底スランプ体は、急速に堆積が進んでできたもので、しばしば高い孔隙率を有して、天然ガスハイドレートの形成に必要な集積の空間を提供する。堆積物が急速に沈降するため、浅層の堆積物中に堆積した細かい有機質の滓は、酸化されないまま海底に埋蔵され、保存されて、細菌の働きで大量のメタンに転換する。これもまたハイドレートの形成に有利に働く。構造勾配急変域は構造の異なる部分が互いに接する部分であって、通常、地形の傾斜面が大きく、堆積の厚みが大きいという特徴を持つ。また、主なガス源エリアにも近い。その上、底部の断層が相対的に発達し、勾配急変域(slope breaks)上の岩性は比較的粗く、良好な貯蔵域が発達しており、大量の天然ガスをとらえやすく、ある程度の規模の天然ガスハイドレートの集積が形成できる。

主要参考文献:

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