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中国企業間の技術譲渡の現状及び将来

(復旦大学法学院 副教授) 2009年11月17日

馬忠法

馬忠法 (Ma Zhongfa):復旦大学法学院副教授

1966年生まれ。2005年復旦大学国際法学科(国際貿易における知的財産権法)、国際法学博士取得。「復旦学報」(社会科学版)、「比較法研究」、「知識産権」、「科技与法律」等の中核定期刊行物及び一般の学術定期刊行物に70編余りの学術論文を発表。専門書2冊を出版、そのうち「国際的な技術譲渡に関する法律制度の理論・実務研究」(法律出版社2007年、約49万華字)が上海市第9期哲学社会科学優秀成果著作賞を受賞。翻訳書は単独が1編、共同が2編。上海市知的財産権研究会理事、上海市知的財産権研究所研究員、上海市法学会民法研究会学術秘書など兼務。

要旨

 中国企業間の技術譲渡は1978年以降ある程度の発展を見せたが、技術契約取引全体に占める割合は必ずしも大きくない。これは中国企業間で相手側の技術要求を互いに満たし合う能力が限られたものであることを物語る。中国企業間の技術譲渡の多くは伝統産業で行われている。ハイテク業界の技術譲渡は相対的に少なく、この業界の中国企業は国外からの技術導入が国内企業からの技術購入を大きく上回る。地域分布面で、企業間の技術譲渡は大きなアンバランスが見られ、東部地区の企業に流れる技術譲渡の契約件数と金額は中・西部地区を大幅に上回っている。技術譲渡方式では技術許諾が主要な方式であり、しかも技術譲渡の主要な形態の1つとなる特許連盟が増えている。国家知的財産権戦略要綱の策定、イノベーション型国家建設目標の提起、及び企業がイノベーションの主体的地位として認定されるのに伴い、中国企業の技術革新能力が高まり、企業間の技術契約に占める技術譲渡の割合が次第に増えることになろう。また、ハイテク技術の譲渡件数が増え続けるものと見られる。中・西部開発戦略の推進に伴い、技術譲渡の地域分布は徐々に均衡化することになろう。技術許諾は今後も中国企業間の技術譲渡の主要な方式となり、その中で特許連盟を通じた技術譲渡が中国で大きな発展を遂げることになろう。

 中国の技術市場は20年余りの育成と発展を経て、科学技術成果の産業化を促し、その流通を円滑にするプラットフォームを築き上げた。技術取引を主な表現形態とする技術移転は既にかなりの規模を持つ。全国の技術契約成約額は1984年の7億元から2008年の2,665億元へと増えており、わが国の産業構造調整と企業の技術進歩を支え、経済成長を促す等の面で重要な役割を果たした。その中で企業間の技術譲渡は当初のほぼゼロの状態から2008年の532.6億元へと発展し、これは中国企業の技術力向上の過程を示すものである。しかし、国内総生産(GDP)が30兆元の規模に達した国について言うなら、国内企業間の技術譲渡収入はGDPの0.18%にしか相当せず、これは相手側の技術要求を互いに満たし合う中国企業の能力がまだかなり限られたものであることを物語る。我々はこの点をはっきりと認識しなければならない。本論文は中国企業間の技術譲渡の現状及びその将来について分析を加え、読者が中国のこの方面での大まかな状況を理解するのに役立て、中国の企業と政府の参考に供するものである。

1. 討論する範囲の線引き

 中国の実務界と理論界には、「技術譲渡」についてまず線引きをしなかったなら、理解の食い違いが生じ、討論するのに多くの困難がもたらされるとの意見がある。なぜなら、中国での「技術譲渡」には広い意味があり、技術の流動に関係する全ての活動を指すことができるからだ。即ちそれは企業と企業の間、又は企業と大学、科学研究院・所の間の技術所有権の譲与、技術使用権の許諾、技術の転化、無償の技術移転、技術の拡散、技術開発さらには技術コンサルティング、技術サービス等多くのタイプの技術取引又は流通、及び商標、著作権譲渡等の活動を含んでいる。本論文について言うなら、筆者はまず「中国企業」について線引きをした後、さらに「技術譲渡」について制限を加え、1つの中心テーマを巡って議論を展開したいと考える。

 本論文の言う「中国企業」とは中国大陸で登記し、中華人民共和国の国籍を持つ企業を指す。これには中国市民(香港・マカオ・台湾人を除く)が投資又は出資して設立した企業及びこれらの企業が再投資又は再出資して設立した企業、また、外国市民又は外国企業と香港・マカオ・台湾人又はその企業が中国大陸に登記して設立を認可された企業、及び彼らと中国大陸企業が合弁・合作で設立した企業がある。具体的に言うと、「中国企業」には中国大陸の内資企業(中国の国内公司、パートナーシップ企業、個人単独出資企業を含む)と外国投資企業(外国側全額出資企業、合弁企業、合作経営企業を含む)及び「外国投資企業」と見なされる香港・マカオ・台湾の人間又は企業が中国大陸に設立した企業がある。このため、「中国企業間」とは主に上記企業間の技術譲渡を指しており、中国企業の外国への技術譲渡又は外国企業の中国企業への技術譲渡については本論文の討論の対象としない。

 本論文の言う「技術譲渡」は最も幅広く運用される、狭い意味での「技術譲渡」と「技術許諾」を指している。前者は特許技術の所有権又は保有権の譲与(assignment)を指し、後者は一般に技術使用権の移転を指す。国内の一部の学者は技術譲渡を研究する際、商標権の譲渡と許諾、著作権の譲渡と許諾等も引っ括めて技術譲渡の範囲に加えている。しかし本論文は、「技術」は科学技術知識、情報、経験を利用して生み出した製品、工程、材料及びその改良等に関係する技術案だけを指し、これに含まれるのは特許、特許出願、ノウハウ、技術的特徴が明らかなコンピュータソフト、集積回路の配線図設計、植物の新品種等であると考えており、商標権、コンピュータソフト以外の著作権等の譲渡と許諾は討論の対象としない。

 このため、本論文で論じる「中国企業間の技術譲渡」は中国大陸に登記し、中国国籍を取得した(香港・マカオ・台湾企業を除く)企業の間で関連の技術案又は成果について行われる有償の所有権譲与又は許諾権移転の行為を指す。具体的に言うなら、ノウハウの譲渡、特許実施許諾の譲渡、特許権の譲渡、特許出願権の譲渡、コンピュータソフト著作権の譲渡、集積回路配線図設計専有権の譲渡、バイオ、医薬新品種の権利譲渡、動植物新品種の権利譲渡等がある。

2. 中国の現行の関係法律規定

 上文で線引きした技術の譲渡と許諾の規範については、中国に専門の立法がなく、主には各関係法律を通じて技術譲渡又はその許諾の線引きを行った。2008年の特許法は「特許出願権と特許権は譲渡することができ・・・特許出願権又は特許権を譲渡する場合には、当事者が書面による契約を交わし、国務院特許行政官庁に登録しなければならず、国務院特許行政官庁が公告する。特許出願権又は特許権の譲渡は登録した日から効力を生ずる」と規定している。明らかなように、ここでの特許出願権又は特許権の「譲渡」は所有権の譲渡を指し、且つ登録を発効の条件としている。特許法は又、「発明及び実用新案の特許権が付与された後は、法律に別の定めがある場合を除き、いかなる団体又は個人も特許権者の許可を得ることなく、生産・経営目的のためにその特許製品を製造、使用、許諾販売、販売、輸入してはならない・・・」、「意匠特許権が付与された後は、いかなる団体又は個人も特許権者の許可を得ることなく、その特許を実施してはならない・・・」、「いかなる団体又は個人も他人の特許を実施する場合には、特許権者と実施許諾契約を交わし、特許権者に特許使用料を支払わなければならない。被許諾者は契約に定める以外の団体又は個人にその特許の実施を認める権利を有しない」と規定している。以上の幾つかの規定は主に特許技術の許諾に関するものであり、特許技術の許諾は登録を発効の条件とすることが求められていない。これは前記の特許権又は特許出願権の譲渡と異なる点であり、注意する必要がある。

 中国の契約法は「技術契約とは当事者が技術の開発、譲渡、コンサルティング又はサービスについて締結する相互の権利と義務を確定する契約を言う」と規定しており、技術契約の含む意味が技術譲渡契約より大きいことは明らかである。また、「技術譲渡契約には特許権譲渡、特許出願権譲渡、ノウハウ譲渡、特許実施許諾がある。技術譲渡契約は書面の形を取らなければならない」としている。この規定は技術譲渡契約の種類を法的に線引きしたものであり、本論文の技術譲渡はこの解釈を採用する。注意を要するのは、中国での技術譲渡契約が書面の形を取らなければならないことであり、この要求は科学技術部等の省庁が合同で出した「技術契約認定登録管理弁法」等の規則にも体現されている。最高人民法院は2004年に発表した「技術契約紛争案件の審理での法律適用に関する若干の問題についての解釈」の中で、「『技術譲渡契約』は技術を合法的に保有する権利者が、外部に技術を譲渡する権利を持つその他の人を含め、現在持つ特定の特許、特許出願、ノウハウに関する権利を他人に譲与し、或いは他人が実施・使用するのを許諾することについて締結する契約を指す。但し、なお研究開発の待たれる技術成果、或いは特許、特許出願又はノウハウに関係しない知識、技術、経験、情報について締結する契約は除外する」と規定している。明らかなように、これらの規定は「技術譲渡」について拡大した定義を採用し、即ち所有権と使用権の譲渡という2種類の契約を含んでいる。わが国が2002年1月1日から実施した「技術輸出入管理条例」は、「本条例の言う技術輸出入とは、中華人民共和国国内から中華人民共和国国外に、又は中華人民共和国国外から中華人民共和国国内に、貿易、投資又は経済技術協力の方式を通じて技術を移転する行為を指す」、その技術移転行為には特許権の譲渡、特許出願権の譲渡、特許実施の許諾、ノウハウの譲渡、技術サービスの譲渡及びその他方式の技術移転があると規定している。ここで用いているのは「譲渡」でなく「移転」であり、立法上、「移転」と「譲渡」を明確に区分しようとの意図が十分に伺える。しかし、技術貿易の実務から言うなら、これは余り意味を持たない。この他、科学技術部等は「技術契約認定登録管理弁法」、「技術契約認定規則」等の関係省庁規則を定めた。主には技術契約関連の登録管理と認定問題を扱ったものであり、認定と登録は優遇税制・政策と密接に関係している。しかし、これらの規定によれば、技術契約の登録は強制的なものでなく、登録しない技術契約は国の優遇政策・税制が適用されないだけのことである。租税の優遇問題について、中国の「企業所得税法」は、企業の条件に適う技術譲渡所得は企業所得税を免税、減税にすることができる、ここで言う条件に適う技術譲渡所得に対する企業所得税の免税、減税とは1課税年度内において、民間企業の技術譲渡所得が500万元を超えない部分は企業所得税の徴収を免除し、500万元を超える部分は企業所得税の徴収を半額にすることを指すと規定している。また、条件に適う技術譲渡とは(一)優遇を享受する技術譲渡の主体が企業所得税法に定める民間企業であること、(二)技術譲渡が財政部、国家税務総局の定める範囲内にあること、(三)国内の技術譲渡は省(1級行政区)クラス以上の科学技術担当官庁に認定されたものであること、(四)国外への技術譲渡は省クラス以上の商務担当官庁に認定されたものであること、(五)国務院の税務主管省庁が定めるその他の条件等を指す。

 上記の法律法規の中で、中国の契約法は「技術譲渡」についてかなり系統的な規定を設け、専門条項が計14条、一般条項が計8条あり、契約に含まれるべき条項及び契約当事者間の権利と義務についてかなり全面的な規定を設けている。特に特許技術とノウハウ(一般に知られておらず、商業的価値を持ち、且つ権利者が秘密保持措置を講じた技術情報を指す)に関係する時は、厳格な規定を設け、中国企業間の技術譲渡を促すための法的指針を与えている。中国の法律は又、司法解釈によって関連の技術契約規定の実施を促している。例えば、「技術契約紛争案件の審理での法律適用に関する若干の問題についての最高人民法院の解釈」には計16条の一般規定と8条の専門規定があるが、その中で技術契約の範囲について拡大解釈を行い、「技術譲渡契約の中の、譲与人が譲受人に技術を実施するための専用設備、原材料を提供し、又は関連の技術コンサルティング、技術サービスを提供することに関する約定は、技術譲渡契約の一部に属する。これにより発生した紛争は、技術譲渡契約に従って処理する」「当事者が技術出資方式で共同経営契約を締結し、但し技術出資者が共同経営体の経営管理に参加せず、且つ最低保証条項により、共同経営体又は共同経営の相手方がその技術代金又は使用料を支払うことを約定した場合は、技術譲渡契約と見なす」との見解を示している。

 要するに、中国の法律は国内の技術譲渡について具体的な規定を設けているが、それぞれの法律法規に分散し、1つの系統的な法律文書の中に集中していない。しかし、内容について言うなら、いずれも技術譲渡に言及している。しかも、中国の法律は技術譲渡に対し、ずっと肯定・奨励し、積極的に支持する態度を取っており、この点は非常にはっきりとしている。

3. 中国企業間の技術譲渡の現状

 中国企業間の幅広い技術譲渡の市場行動は厳格に言うなら、1978年の改革開放以降に始まったものである。企業が徐々に独立採算の経営体となり、また、企業主体の多元化構造が次第に形成されるのに伴い、技術は企業間競争の重要な武器と商品になり、有償の技術譲渡が発展を見せるようになった。改革開放後の最も早い中国企業間の技術譲渡は主に、先進国の企業又は個人が中国に設立した合弁、合作経営企業、外国側全額出資企業の間、及びそれらの企業と中国のその他企業の間の技術譲渡取引だと言うべきである。国内企業の研究開発力が充実し、イノベーション能力が向上するのに伴い、一部の本土企業は特定の技術分野で強みを持ち始め、幾つかの技術を本土企業、さらには外資系企業に譲渡するようになった。現在、中国企業間の技術譲渡の発生状況は先進国に比べるとかなりの開きがある。また、技術契約の他の3種類の形態(技術開発、技術コンサルティング、技術サービス)に比べると、その数量(契約件数又は契約金額)は「技術コンサルティング」より契約金額が多いのを除き、技術開発契約と技術サービス契約よりもかなり小さい。技術譲渡の発生分野及び地域に流れるその方向を見ると、まだ不均衡な状態にある。これらは中国企業間の技術譲渡が経済発展に必要な水準に遠く及ばず、また、国の中・西部地区開発戦略とうまくかみ合っていないことを物語る。技術譲渡面で、中国企業はなお大きな発展の余地がある。

(1) 中国企業間の技術譲渡の数量面での現状

 下表は過去10年間の技術契約に関するデータであり、我々は技術譲渡の統計データを観察することを通じ、幾つかの結論を得ることができる。しかし、表中のデータは登録を基礎としており、一部の企業(特に中小企業)が技術譲渡の登録を行っていないため、近似的にしか反映していないという若干の問題がある。

表1:1999~2008年の中国契約取引案件統計 単位(件)
案件 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
総数 264496 241008 229702 237093 267997 264638 265010 205845 220868 226343
技術開発 43380 47324 45427 48411 58591 66480 75977 64595 73319 80191
技術譲渡 36313 27624 25638 22749 25118 23204 27328 11614 11474 11932
13.73%* 11.46% 11.16% 9.59% 9.37% 8.77% 10.31% 5.64% 5.19% 5.27%
技術コンサルティング 44889 44411 43346 48782 59256 56204 48463 35814 37820 39344
技術サービス 139914 121649 115291 117151 125032 118750 113242 93822 98255 94876
企業を買い手とする契約数 150212 155999 164044 175093 196605 196050 193796 159470 169289 173591
57% 65% 71% 74% 73% 74% 73% 77% 77% 77%
企業を売り手とする契約数               130125 135928 173591
              63% 62% 77%
*13.73%:その年の契約総数に占める技術譲渡契約数の割合を意味しており、「%」の付いた他の数字もこれと同じである。
表2:1999~2008年の中国契約取引金額統計単位(10,000元)
案件 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008
金額 5234544 6507519 7827489 8841713 10846727 13343630 15513694 18181813 22265261 26652300
技術開発 2019721 2405017 3097061 3629959 4260691 5089647 5697377 7170650 8755349 10754600
技術譲渡 911856 1578757 2038727 2024073 2462116 2947324 3600207 3213269 4203561 5325900
17.42%* 24.26% 26.04% 22.89% 22.70% 22.09% 23.21% 17.67% 18.88% 19.98%
技術コンサルティング 329693 382002 430805 541279 715256 838179 950318 847216 902429 1016000
技術サービス 1973274 2141743 2260896 2646402 3408664 4468480 5265792 6950678 8403923 9555700
企業を買い手とする契約 3310761 4573520 5736291 6420039 8007500 10066300 11707800 15248300 19244900 21635100
63.2% 70.3% 73.3% 72.6% 73.8% 75.4% 75.5% 83.9% 86.4% 81.2%
企業を売り手とする契約               15280341 19244863 23338500
              84% 86% 88%
*17.42%:その年の契約総額に占める技術譲渡契約額の割合を意味しており、「%」の付いた他の数字もこれと同じである。

 中国の現実の状況に基づき、表1と表2に列挙した「技術譲渡」は基本的に企業間の技術譲渡を指している。なぜなら、大学又は科学研究院・所が研究開発した技術の大部分は生産と使用に直接投入することができず、これらの機関と企業間の技術取引の多くは技術転化契約又は技術開発(委託開発と共同開発を含む)契約を通じて行われるものであるからだ。このため、表1と表2の技術譲渡に関するデータは中国企業間の技術譲渡の一般的な状況を反映していると言うことができる。

 上記の2つの表から、1999~2008年の10年間において、技術契約全体に占める技術譲渡契約の件数と金額の割合は大きくないことがわかる。そのうち技術譲渡の契約件数が技術契約全体に占める割合は13.73%~5.19%の間を推移しており、且つ全体として減少傾向にある。また、技術譲渡の契約金額が占める割合は17.42%~26.04%の間を不規則に推移し、2006年以降は安定した伸びを見せている。しかし、契約件数の割合が大きくないとはいえ、契約金額がその年の総額に占める割合はいずれも契約件数の割合を上回っており、これは1件当たりの技術譲渡契約の金額が一般の技術契約より高いことを物語る。計算した1件当たりの技術譲渡契約額から見ると、その金額はいずれも全ての技術契約の1件当たり平均金額より高い。1999~2008年の10年間の各技術譲渡契約の1件当たり金額はそれぞれ25.11万元、57.15万元、79.52万元、88.97万元、98.02万元、127.02万元、131.74万元、276.67万元、366.36万元、446.35万元となり、2004年の時点で既に100万元を超えている。一方、1件当たりの技術契約成約額は2007年にやっと101万元に到達し、2008年に118万元まで上昇したが、それでも2004年の技術譲渡契約の1件当たり平均成約額127.02万元より低く、2008年の446.35万元の約4分の1である。

 上記データの中で、この3年間の技術譲渡契約に関する統計データは技術の流動性が一段と加速したことを示している。契約取引金額は1年で1つの大台(1年で約100億元の純増)に達し、321.3億元から420.4億元、更に532.6億元へと増えている。年平均伸び率は28.8%と各技術契約のトップにあり、そのうち2007年の伸び率は30.8%、2008年が26.7%となる。

表3:売り手のタイプ別技術契約
  1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
総数(案件) 264496 241008 229702 237093 267997 264638 265010
科学研究機関 66699 62468 56753 52060 59989 55247 60169
大学・中高等専門学校 32705 31202 29553 31257 37974 39289 42100
工業企業 34407 40934 47177 57480 73390 89398 92170
13% 17% 21% 24% 27% 34% 35%
技術貿易機構 95068 68873 67238 67555 74113 59768 46675
個人及び個人組合 10521 5747 5504 4826 4609 3350 3563
その他 25096 31784 23477 23915 17922 17548 20333
契約金額(万元) 5234544 6507519 7827489 8841713 10846727 13343630 15513694
科学研究機関 1639014 1663127 1816447 1870829 1913669 1904281 2379653
大学・中高等専門学校 622819 1105282 864067 726423 1066945 1166153 1225820
工業企業 1091667 1426338 2856100 3585850 5187431 7541196 9189631
21% 22% 36% 41% 48% 57% 59%
技術貿易機構 993110 1035197 1082778 1387621 1464591 1499467 1431029
個人及び個人組合 115140 204040 130152 74565 76871 81149 89272
2% 3% 1.6% 0.8% 0.7% 0.6% 0.6%
その他 772794 1073535 1077945 1196425 1137220 1151384 1198290

表4:買い手企業のタイプ別区分
  1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
案件総数 150212 155999 164044 175093 196605 196050 193796
国有企業 69711 65697 55796 52676 44967 42552 39243
集団企業 37207 24269 23935 16276 17632 13750 12266
私営企業 21282 17278 9617 13009 19482 12920 14989
有限会社 14015 34845 53524 68589 86186 97073 97837
株式会社 6635 10880 18590 21559 25293 25995 24866
香港マカオ台湾投資企業 635 1298 885 1068 925 1161 1479
外国投資企業 727 1732 1697 1916 2120 2599 3116
総額(万元) 3310761 4573520 5736291 6420039 8007481 10066279 11707816
国有企業 1685610 1774988 1778165 1917331 2142338 2207125 2959561
集団企業 477626 402421 288871 234964 291719 402881 281571
私営企業 211064 150238 199055 288799 343844 278208 422585
有限会社 629701 1297539 2044323 2398769 3353227 5091883 5445674
株式会社 206482 358389 651566 789220 1122593 1302608 1335510
香港マカオ台湾投資企業 33320 78702 203242 84351 58263 63952 129289
外国投資企業 66958 511243 571069 706605 695497 719622 1133625

 企業間の技術譲渡契約について言うなら、我々は更に表3と表4を通じて別の視点から手掛かりを得ることができる。科学技術部と国家統計局のこの種のデータ統計は、統計計算の方法が2005年以前と2006年以降で若干異なるため、単純に比較はできない。しかし、われわれはそれでも幾つかのデータから若干の法則を見出すことができる。

 表3の中で、企業(工業企業)が技術契約の売り手として契約案件総数に占める割合は、1999年にはそれ程大きくなかった(案件数で13%、金額で21%を占める)が、それ以降は年々増加しており、2005年には契約数が35%に達し、金額は59%を占めた。2006年以降のより科学的な統計方法で計算(表1、表2を参照)すると、2006年、2007年、2008年の企業を売り手とする技術契約の件数と金額はそれぞれ63%、62%、77%と84%、86%、88%に達する。これは国の経済発展における企業の技術革新の主体としての地位が日増しに向上していることを示すものだ。統計項目分類上の要因により、企業を売り手とする技術契約の中で、技術譲渡契約がどれくらいの割合を占めるかは表に示されていない。しかし一般的に言うなら、企業が売り手としてその技術を大学又は科学研究院・所に売ることはありえず、基本的には他の企業に売っているのである。その上、企業が売り手として大学に技術コンサルティング、技術サービス、技術開発を提供することもありえない。このため、我々は企業を売り手とする技術契約を開発、譲渡、コンサルティング、サービス面における企業相互間の取引と見なすことができ、技術譲渡契約はその中の一部にすぎない。しかし、企業を売り手とする技術譲渡の成約額を判断するのは難しく、関連データを参照するしかない。

 表4に示したのは、企業を技術の買い手として発生した技術契約の取引件数と取引金額であり、技術契約全体に占めるその割合は表1と表2を参照すること。我々はこの中から1つの法則を見出すことができる。即ち企業が買い手として占める割合は売り手となった時より高いのである。例えば、契約の件数が占める割合は57%から77%に、金額は63%から86%に増え、且つ全体として年々伸びる傾向を見せており、2008年は金額の割合がやや減ったものの、それでも81%以上を占めた。これは技術を求める側としての企業の立場が中国では非常に顕著なことを物語る。買い手の企業が技術を購入する対象は企業かもしれず、或いは大学又は科学研究院・所(例えば大学に技術開発を委託したり、技術コンサルティング、技術サービスの提供を求める)かもしれない。しかし、統計項目分類上の原因により、表中には企業からの技術データが反映されておらず、このため、企業相互間の技術譲渡の具体的数字はこの表から得ることが難しく、1つの参考とするしかない。

表5:2006~2008年の中国大陸の技術契約取引売り手、企業買い手分類表
    2006 2007 2008   2006 2007 2008
売り手のタイプ別分類                
総数/総額(万元) 案件数 205845 220868 226343 金額 18181813 22265261 26652300
機関法人   709 926     404431 194553  
事業法人   68770 78377     2250848 2558772  
#科学研究機関   44079 43669 44742   1409551 1308320 1473800
大学・高専   18401 26963 29454   649612 1009398 1165500
医療・衛生   475 727     6588 16109  
その他   5815 7018     185097 224945  
社団法人   3125 2925     71082 45066  
企業法人   130125 135928 137169   15280341 19244863 23338500
自然人   322 678     48325 93975  
その他組織   2794 2034 14978   126787 128032 674500
企業買い手のタイプ別分類                
総数/総額 案件数 159470 169289 173591 金額 15248273 19244863 21635100
内資企業   148749 155537 159315   11799166 14267430 15116700
  93.3% 91.9% 91.8%   77.4% 74.1% 69.9%
個人経営   821 1495     113982 42609  
香港マカオ台湾投資企業   5612 1282 1316   1376517 320417 267400
外国投資企業   1214 6747 7878   73243 3639630 40800
国外企業   3074 4228 5082   1885365 974778 3803600

 表5を見ると、技術の買い手としての内資企業による2006年、2007年、2008年の技術購入の契約数と金額が企業の買い手全体に占める割合はそれぞれ93.3%、91.9%、91.8%と77.4%、74.1%、69.9%に達し、多くの企業タイプの中で占める割合が最も大きく、彼らが技術を最も必要としていることを物語っている。表4の中で、買い手から見た技術契約分類は、所有制形態に基づく企業タイプの区分と企業の組織形態に基づく区分方式が混在しているため、科学性に欠け、幾つかの個所が重複している可能性がある。しかし、データが示しているのはやはり国内企業が技術を最も必要とし、契約の件数と総額が最も多いことである。但し、表4と表5のデータは企業間の技術譲渡契約がどれくらいの割合を占めるのか、また、相互間で譲渡される技術の供給源、即ち内資企業間の相互譲渡なのか、それとも内資企業と外国投資企業、香港マカオ台湾投資企業間の技術譲渡なのか、或いは企業と大学、科学研究院・所間の技術譲渡なのかを具体的に説明できていない。

表6:1995~2007年の大中型工業企業の技術取得状況単位:億元
年度 国外技術導入支出 消化・吸収経費支出 国内技術購入支出
1995 361 13 26
1996 322 14 26
1997 237 14 15
1998 215 15 18
1999 208 18 14
2000 245 18 26
2001 286 20 36
2002 373 26 43
2003 405 27 54
2004 368 54 70
2005 297 69 83
2006 320 82 87
2007 452 107 130

 表6はわが国の大中型工業企業が技術取得面で国内企業からの譲渡に支払う技術費用が国外技術導入支出よりずっと少ないことを示している。1995年は国外からの技術導入に支払う費用の7%にも満たず、その後、国内技術の購入費用が輸入に占める割合は徐々に増え、2006年には27%に達し、2007年は29%となるが、それでも技術輸入費用の4分の1強に相当するにすぎない。これは中国企業自身が自国の技術需要に応える能力を一層強化すべきことを物語るものだ。国内企業間では譲渡できる技術量に限りがあるため、中国企業間の技術譲渡は中国企業と外国企業間の技術譲渡のような活気が見られない。

表7:2006~2007年の国内技術購入支出費用の内訳状況
登記登録のタイプ別区分 国外技術導入支出 消化・吸収経費支出 国内技術購入支出
合計 2007 4524528 1066129 1295854
2006 3204272 818611 874311
内資企業 2007 2340173 811755 1156906
2006 1911098 646867 748842
香港・マカオ・台湾投資企業 2007 401907 64245 59895
2006 229339 56706 33262
外国投資企業 2007 1782448 190129 79052
2006 1063835 115037 92207

 表7は2006年と2007年の2年間に、外資企業であれ内資企業であれ、いずれも国内のその他企業から技術を購入する状況が見られることを示している。そのうち、内資企業の技術購入の割合はそれぞれ86%と89%に達し、その割合は増えつつある。一方、外国投資企業と香港マカオ台湾投資企業が国内のその他企業から購入する技術は14%と11%に満たず、その割合は減りつつある。但し、内資企業が購入する技術のかなりの部分は外国投資企業又は香港マカオ台湾投資企業から取得した可能性があり、また、外国投資企業が購入する国内技術も彼らの間の相互譲渡であるケースが少なくない。この他、表が示しているように、中国企業の2006年と2007年の国内技術購入支出はそれぞれ国外技術導入支出の27.2%と28.6%であり、技術導入費用の4分の1強にすぎない。

 こうした現象は中国国内の大中型内資企業が技術供給能力を一段と高めるべきことを1つの側面から物語っている。

(2) 中国企業間の技術譲渡の業種分布状況

 統計データ上の原因により、本論文は主に2006年と2007年のデータを取り上げ、中国企業間の技術譲渡の業種内訳状況について簡単な分析を行う。全体として言うなら、国内企業間の技術譲渡は主に中国企業が伝統的な強みを持つ技術分野に限られている。

表8:2006~2007年の業種グループ別の大中型工業企業技術取得状況
業種 国外技術導入支出 国内技術購入支出
単位:万元
  2007 2006 2007 2006
合 計 4524528 3204272 1295854 874311
採鉱業 139164 156413 41826 23965
石炭採掘・洗選炭業 88944 76425 25972 16550
石油・天然ガス採掘業 46401 79703 13336 5873
鉄・マンガン・クロム鉱採掘選別業 250 250 1510 806
非鉄金属鉱採掘選別業 2008 35 161 189
非金属鉱採掘選別業 1561   847 547
製造業 4346386 3024622 1239989 840337
農業・副業産品加工業 63995 15638 6843 7971
食品製造業 52157 10898 6178 10058
飲料製造業 12718 15539 23083 2864
たばこ製品業 60558 67128 16852 24984
紡績業 67452 81446 28805 43999
繊維品アパレル・靴・帽子製造業 4666 4093 2560 1388
皮革・毛皮・羽毛(綿毛)及び同製品業 11093 3562 2990 1315
木材加工及び木/竹/籘/シュロ/草製品業 11806 2054 6059 845
家具製造業 3166 1491 100 7776
製紙・紙製品業 214199 66982 4441 9493
印刷業及び記録媒体の複製 11365 10397 3218 3164
文化教育スポーツ用品製造業 1734 2684 910 1026
石油加工・コッキング・核燃料加工業 52880 50570 14378 19032
化学原料・化学製品製造業 408177 189498 144332 59851
医薬製造業 30321 32099 56043 46416
化学繊維製造業 16013 19486 3758 3844
ゴム製品業 43919 30112 9526 3718
プラスチック製品業 29362 61286 2139 1759
非金属鉱物製品業 33571 27230 24085 10182
鉄・マンガン・クロム製錬・圧延加工業 754564 614098 534545 266502
非鉄金属製錬・圧延加工業 137005 129565 35672 30401
金属製品業 26189 21670 14667 6721
汎用設備製造業 257311 156890 53363 36396
専用設備製造業 56231 50567 23014 62991
交通輸送設備製造業 524342 488631 119672 104220
電気機械・器材製造業 193323 149945 55780 35126
通信設備・コンピュータその他電子設備製造業 1200662 671753 38711 30278
機器計器・文化・事務用機械製造業 64048 46777 4085 3606
工芸品その他製造業 3558 2533 4182 4413
電力・ガス・水生産・供給業 38978 23237 14038 10008
電力・熱力生産・供給業 37494 21788 12647 8258
ガス生産・供給業 182 918 305 1123
水生産・供給業 1302 531 1087 627

 表8からわかるように、国内から購入する技術の中では、伝統的製造業に属する技術が大きな割合を占めている。例えば、鉄・マンガン・クロム製錬・圧延加工業、化学原料・化学製品製造業、交通輸送設備製造業の2006年と2007年の国内企業からの技術購入に占める割合はそれぞれ31%と41%、7%と11%、12%と9%になる。一方、ハイテク産業である通信設備・コンピュータその他電子設備製造業と医薬製造業はそれぞれ3.5%と3%、5.3%と4%になる。これは通信設備・コンピュータその他電子設備製造業の国外からの技術導入支出が業種全体の21%と26.5%に達することと鮮やかな対比を成す。

 大中型工業企業の技術取得の業種分布状況は又、技術レベルが高く、イノベーションへの要求が高い分野における中国企業の技術競争力を一段と掘り起こし、向上させるべきことをある程度物語っている。鉄・マンガン・クロム鉱採掘選別業、飲料製造業、医薬製造業、工芸品その他製造業、ガス生産・供給業等の少数の業種を除き、技術導入に支払う費用は国内企業からの技術購入費用を大きく上回る。上記の幾つかの業種の中では、医薬製造業の技術レベルが高いのを除き、その他はいずれも技術レベルが低い産業に属する。また、医薬製造業の技術導入費用が比較的低いのは、医薬品関連の多国籍企業が自社の技術を譲渡したがらないためである。従って、ある意味から言うなら、他の業種においても、国内企業の技術需要は大きいのであり、国内企業が自らの知的財産権を有する一層多くの技術を生み出すことができるなら、自国企業間の技術譲渡活動が大いに促されることは間違いない。そうなれば、高額の費用を払って国外から技術を導入するのを避けることができる。

 しかし、北京市の関連統計データによれば、同市の特許技術移転は主に電子情報、新エネルギー・高効率省エネ、環境保護・資源総合利用、新素材及びその応用の各技術分野に集中している。2001~2006年、電子情報の特許技術契約成約額は特許成約額の30.78%を占め、新素材及びその応用の特許技術は18.56%、環境保護・資源総合利用の特許技術は13.65%、新エネルギー・高効率省エネの特許技術は13.34%を占めた。社会と経済の技術への需要が高まるのに伴い、これらの技術は社会の持続可能な発展を促す上で解決すべき問題となるであろう。それにはハイテクの人材と企業を集積させることが必要である。こうした現象は北京が全国のハイテク人材・企業を相対的に集中させた地域であることと関係があり、そのデータは全国の代表にはならない。

(3) 中国企業間の技術譲渡の流動方向

 中国は東部地区と西部地区の経済発展、技術水準、文化教育水準の不均衡により、技術譲渡面にもかなり際立つ特徴が見られる。下記の関連表のデータにはこの点がある程度反映されている。

表9:2006~2007年の各地区大中型工業企業の技術取得状況単位:万元
地区 国外技術導入支出 国内技術購入支出
2007 2006 2007 2006
全国(香港マカオ台湾を除く) 4524528 3204272 1295854 874311
華北5        
北京 63811 150328 6570 4865
天津 545326 351848 46857 17169
河北 245042 107079 68699 12063
山西 79525 63403 17669 14534
内蒙古 14832 16138 8440 21873
東北3        
遼寧 206192 194040 122642 27638
吉林 48648 39404 4412 3870
黒竜江 64245 39731 15176 7759
華東7        
上海 611830 406284 224744 152615
江蘇 517358 342820 108985 92222
浙江 157628 175181 96130 86352
安徽 149714 79261 48818 27833
福建 219774 120221 16796 15111
江西 33575 97155 33276 33157
山東 339657 233461 107762 128449
華中、華南6        
河南 46859 116238 51564 24713
湖北 60190 29910 10233 16921
湖南 51673 46365 11949 8179
広東 660264 296694 81690 45582
広西 8180 19140 3779 3749
海南 1691 1875 1243 350
西南4        
重慶 119764 71348 20169 13107
四川 76998 43922 109354 41791
貴州 6179 8310 3266 3061
雲南 50914 65376 26390 22257
西北5        
陜西 29276 23206 21420 28886
甘粛 33583 26990 19457 16412
青海 2450 50 105 59
寧夏 11148 11629 4842 1171
新疆 68202 26866 3418 2564

 表9は主に全国大中型企業の国内外からの技術取得への費用支払状況を示したものだが、これは中国企業間の過去2年の技術譲渡状況をある程度反映している。この表からわかるように、国内からの技術取得に支払った費用が最も高いのは華東地区であり、2006年に上海、山東、江蘇、浙江4省・市が国内からの技術取得に支出した費用は全国の52.6%を占め、これに他の3省の支出を加えると、全国の60%以上を占める。2007年は華東地区がこの部分の全国費用の約49%を占め、そのうち上海は大陸省・市の国内からの技術購入で費用の支払いが最も多かった1級行政区であり、それぞれ約17.5%と17.3%を占める。2006年は山東(14.7%)、江蘇(10.5%)、浙江(9.9%)がそれぞれ全国の第2、3、4位を占め、2007年は江蘇(8.41%)、山東(8.3%)、浙江(7.4%)が第4、5、6位、遼寧(9.5%)、四川(8.44%)が第2、3位を占めた。中・西部地区は国内企業からの技術購入に支払った費用が比較的少なく、2006年と2007年は四川、雲南、陜西、河南等の少数の省・市を除き、その費用がいずれも2億元を下回り、青海省はわずか59万元と105万元であった。また、新疆、寧夏、広西、海南、貴州、吉林等の省・自治区はいずれも年間5,000万元以下である。この時期、海南、貴州、青海3省を除き(広西の技術導入費用は2006年が1億9,000万元、2007年が8,100万元)、全国のその他省・市が国外からの技術導入に支払った費用は年間数億元以上に達する。そのうち2006年は上海が40億元余りと最も多く、次が天津と江蘇でそれぞれ35億元余り、34億元余りとなる。2007年は広東が最も多く、66億元に達し、その次が上海の61億元余り。中・西部地区を見ると、2006年は河南の技術導入費用が最も多く、12億元近くであり、2007年は重慶が最も多く、その費用も12億元近くとなる。一方、河南と重慶が同時期に国内企業からの技術購入に支払った費用はそれぞれ約2.4億元と2億元にすぎない。ある意味から言うなら、国内技術(特に東部地区)を十分に発展させることができれば、西部にとっては技術譲渡の観点から見て、国外から技術を導入するよりコストがずっと低く、しかも実施すればかなり使い勝手のよいものとなる。

表10 技術市場の技術が流れ込む地域
契約数               単位:件
地区 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007
全国 241008 229702 237093 267997 264638 265010 205845 220868
東部地区 161446 160832 168209 195057 190139 185882 145297 151755
中部地区 54854 46281 45478 48551 48793 49668 31807 34297
西部地区 23905 20147 21331 21924 23002 26203 24072 28046
契約金額               単位:万元
全国 6507519 7827489 8841713 10846727 13343630 15513694 18181813 22265261
東部地区 4326995 5283623 5497169 7023630 8593734 9897950 10736317 12431802
66.5% 67.5% 62.2% 64.8% 64.4% 63.8% 59.0% 55.8%
中部地区 1024928 1189459 1318959 1458703 1835423 1950447 2160880 2551715
15.7% 15.2% 14.9% 13.4% 13.8% 12.8% 11.9% 11.5%
西部地区 898411 1154901 1290327 1653698 1944565 1912047 2386566 2497525
13.8% 14.8% 14.6% 15.2% 14.6% 12.3% 13.1% 11.2%
香港マカオ台湾 47241 68354 124048 60685 200281 142287 267900 332406
0.7% 0.9% 1.4% 0.6% 1.5% 0.9% 1.5% 1.5%
その他 209944 131152 611210 650011 769627 1610964 2630150  

 表10は2000~2007年における中国の地域面から見た技術の流動方向をかなり全面的に示したものである。全国の技術の流動方向から見ると、60%前後の技術契約金額が東部地区に流れている。一方、中・西部地区に流れる技術契約金額は全国の30%に満たず、しかもその割合は全体として減少傾向にあり、30%から年々低下して22.7%になった。これは中・西部の開発を奨励する国の要求に合わないようだ。その原因は様々だが、主には中・西部地区の技術水準、経済発展状況等が新技術の流入を難しくしている可能性がある。上記のデータは技術譲渡の内容を直接表したものではないが、過年度の技術契約全体における技術譲渡の位置付け及び契約金額に占めるその割合から、技術譲渡方式を通してこれらの地域に流れる契約金額もそれ程多くないと推定することができる。

 歴史的に見ると、後進地域の経済発展はかなりの程度、先進地域の経済発展モデルを模倣することに依存し、後者の技術譲渡と技術拡散が決定的な役割を果たしている。国際市場では、国が利益集団となって妨害するため、合理的かつ円滑な技術譲渡を進めることは比較的難しい。しかし、国内ではこうした障害が存在せず、企業間の技術譲渡は国の関連政策と法律の調整により、公平・合理の条件下でスムーズに行われる。国の西部開発戦略の実現はこの地区の技術進歩と振興に掛かっており、技術流通の重要な方式である技術譲渡が重要な使命を担っていることは間違いない。この点について言うなら、東部企業と中・西部企業間の技術譲渡は一段と強化する必要がある。中央政府と東部地区の地方政府は技術を中・西部企業に譲渡する企業に多くの優遇と支援を与える等の政策・措置を講じ、中・西部企業の技術発展を導くことができる。

表11 2007年の契約種別技術市場から技術が流れ込んだ地域
地区 合計 技術開発 技術譲渡 技術コンサルティング 技術 サービス
契約数         単位:件
全国 220868 73319 11474 37820 98255
東部地区 151755 47592 7484/65.2% 26907 69772
中部地区 34297 10724 2026/17.7% 6026 15521
西部地区 28046 9773 1321/11.5% 4769 12183
契約金額         単位:万元
全国 22265261 8755349 4203561 902429 8403923
東部地区 12431802 4087639 3111671/74% 623708 4608783
中部地区 2551715 875503 313754/7.5% 144861 1217598
西部地区 2497525 867283 294830/7% 122487 1212925

 表11のデータが示しているように、2007年の技術譲渡は契約数の65%が東部地区に流れ、29%前後が中・西部地区に流れている。しかし、契約金額から見ると、その74%は東部地区に流れ、中・西部地区に流れたのは14.5%前後にすぎない。この数字は中・西部地区に流れる技術譲渡契約の1件当たり契約金額が東部地区よりずっと少ないことを示し、統計数字もこの点を物語っている。例えば、東部地区の契約1件当たりの平均譲渡金額は4,157,765元であり、一方、中部地区と西部地区の平均譲渡金額はそれぞれ1,548,638元と2,231,870元で、中部と西部の契約1件当たりの金額は平均1,818,297元となる。この他、2007年の技術譲渡契約1件当たりの平均金額は3,663,553元であり、全国の技術契約1件当たりの平均金額1,008,080元よりずっと高い。

 全体的に言うなら、中国企業間の技術譲渡は流動方向において東部と中・西部の不均衡な状況が見られる。東部企業は技術譲渡が比較的活発であり、華東地区は特に際立つ。一方、中・西部地区は重慶、四川、河南等の少数の省・市を除き、国内企業間の技術譲渡が比較的少なく、国外からの技術導入と鮮やかな対比を成している。こうした現象は中国の中・西部発展戦略措置を一段と実行に移し、東部・西部企業間の技術譲渡を急いで強化する必要があることを物語るものだ。

(3) 中国企業間の技術譲渡のその他特徴

  1. 企業間の技術譲渡契約の中で、特許実施許諾は主導的地位を占め、且つ伸びが高い
    この特徴は主に特許技術の特徴によって決定される。技術は複製可能で、用途が広いという特徴を持ち、また、複製使用コストも安い。こうしたことから、特許権者又はその他工業所有権所有者は特許技術を大いに利用してより多くの利益を手にするため、使用許諾の方式で特許技術を譲渡するケースが多い。また、技術を譲り受ける側について言うなら、技術の無形的性格から、その譲渡が材料等の有形物の譲渡によって提供する側のコントロールから完全に離れることがなく、提供する側が他の方式を通じて引き続きその権益を行使し、自分達の実際の利益が確実な保証を得られなくなるのではないかと心配している。その他、所有権譲渡の費用は使用許諾の費用よりずっと高くなる。このため、企業間技術譲渡の実際の業務においては、譲り受ける側が技術所有権の取得により技術を独占することを希望するのでない限り、及びその他の原因から、一般的に技術所有権譲渡の方式を採用することが少ない。技術許諾はますます重視されている特許技術移転方式である。特許を保有する側について言うなら、特許実施許諾方式は柔軟性があり、単独許諾も複数許諾も可能である。一方、譲り受ける側について言うなら、比較的成熟し、購入した後に直接応用することのできる特許技術を求める傾向があり、こうした技術の多くは実施許諾方式が採用されている。例えば、北京の関連統計データによれば、第10次5カ年計画(2001~2005年)期間中、特許実施許諾契約の成約額は特許成約額の75.35%を占め、これが1つの例証となる。
    特許技術の許諾はノウハウの許諾に比べ、数量の面で圧倒的優位にある。これは特許技術とノウハウの特徴の違い、及び法律制度による保護の違いから引き起こされたものである。相対的に言うなら、特許技術は国の特許法等の専門法によって力強く保護されている。一方、ノウハウは契約、不正競争防止法等を通じて保護されることが多く、契約双方の当事者が約定を誠実に守るかどうかに掛かっている。このため、独立したノウハウ許諾契約は余り見られず、それは一般に特許技術の許諾に合わせて提供される。ノウハウ所有権の譲渡契約は一段と少ない。
  2. 分割払い(売上高に応じ分割して受け取る)は企業間の技術譲渡契約における対価支払いの主要な方式である
    技術(特許、ノウハウ等)譲渡取引の支払方式には通常、総額計算払い、ロイヤルティーの支払い又はイニシャルフィーとロイヤルティーの結合という3種類があり、一般には通貨の形で支払われる。上記の3種類の方式の中で、中国企業間の技術譲渡はロイヤルティー方式による支払いが最も多く、それは技術の譲受人、譲渡者間の権利と義務のバランスを比較的うまく取ることができる。
    ロイヤルティー支払方式とは譲受人が導入技術を利用して生産を開始した後、経済上の使用又は効果(生産量、売上高、利益等)を関数として確定し、期限内に連続して支払うことを指す。簡単に言うなら、それは双方の同意の下で、譲渡者が譲受人の収入の一部を受け取る権利を指す。こうした方式の特徴は次のようなものである。即ち双方は技術譲渡契約を締結する際、ロイヤルティーの比率とベース(基準数値)を決めるだけで、契約期間中に譲受人が支払うべき技術使用料の総額を固定することはしない。譲受人が譲渡者の技術を利用して実際の経済効果を上げた時に、契約の規定に従ってロイヤルティーを計算し、契約期間中、期限内(年次、四半期又は月次)に技術の譲渡者に支払うのである。技術の潜在的なビジネス成功を見積もるのが難しい場合、又は技術の評価や割引率について双方の意見が一致しない場合、或いは譲受人が適切な総額費用を支払うことができない場合、ロイヤルティーはよく用いられる方法である。この方式は技術を譲り受ける側から言うなら、2つの利点がある。第1に、これは権利を保障する手段であり、譲渡側が規定に従って契約を履行するよう促すことができる。2点目は資金圧力を軽減できることである。
    多くのロイヤルティー方式の中で、売上高に応じて使用料を受け取るケースが最も多い。それは技術関連製品の総売上高の一定比率に応じてライセンス料を受け取ることを指す。その特徴は次のようなものだ。即ちライセンス技術で生産した製品が実際に売り出され、且つ譲受人が物品を現金(こうした現金は現実のものと未収のものに分かれ、譲受人が顧客から全ての売掛金を回収するまで、それはやはり大きなリスクを負うものである。従って、売上高に従って計算する時、譲受人は売掛金の問題を考慮しなければならない)に変えた後、支払いが始まる。また、この費用は利益のあるなしに関係がなく、関係するのは売上高だけである。多くの契約の中で、その料率は通常3%~5%の間にある。一部の契約は譲渡の利益を保証し、譲受人の積極的な販売を奨励するため、双方の当事者が売上高の増加に合わせて料率を逓減させるとの内容を盛り込んでいる。総売上高は一般に譲受人の製品売買送り状を根拠とする。北京市の統計データによれば、2001~2006年の分割支払方式による特許技術契約の成約額は特許成約額の90.53%を占めた。
  3. 同一業種内の企業間で設立された特許連盟の方式を通じ、連盟メンバー相互間で各自の所有する技術を許諾することが次第に広まっている
    特許連盟は権利付与のコストを引き下げる手段の1つとなる。それは関係する特許権者の特許を特許連盟に預託した後、連盟が特許の実施を必要とする使用者に対し、ワンストップによる特許実施許諾を行う方式を通じて実現するものである。今日の世界的な技術競争の中で、自らの権利を守るための特許連盟の設立は既に時代の流れとなっている。2002年2月、6C連盟(日立、松下、三菱電機、タイムワーナー、東芝、JVCの6大DVD技術開発メーカーが結成)は、「中国のDVD企業が2003年3月31日までに我々と使用許諾の取り決めを結ばなければ、訴訟を起こす」と発表した。この後、中国企業は特許連盟に高い関心を寄せるようになる。業種協会と関係方面の支持・奨励の下、中国の一部の企業は自社の権利と利益を守るため、特許連盟の設立を次第に考え始めた。努力の末、中国企業は相前後して幾つかの特許連盟を設立した。
    中国大陸初の特許連盟は2006年1月9日に長沙で正式に発足した中空スラブ特許連盟である。この連盟は全国の30余りの中空スラブ製品生産企業で構成され、3000件余りの特許を持つ。その設立は各メンバー間で最小のコストにより相互の技術許諾を得るための便宜を図るものであった。2006年10月13日、知的財産権を保護し、業界の製品品質を保証するため、順徳区科技局(知的財産権局)の力強い提唱と推進の下、美的集団など企業4社の共同発起により中国家電業界初の特許連盟となる電気圧力鍋特許連盟が設立された。この連盟の創設メンバーは4社だが、預託された特許は45件に達し、連盟メンバーが生産する関連製品は全国の電気圧力鍋市場シェアの70%以上を占めている。この連盟の設立は相互間の技術許諾を通じ、メンバーが手を携えて協力し、自らの合法的利益を守ると同時に、業界の自主的イノベーションと技術の発展を共に進めるよう促すことになった。その後、2007年5月には、TCL、長虹、康佳等の中国の大手カラーテレビ企業10社が共同出資により「深圳市中彩聯科技有限公司」を結成した。同公司は中国のテレビメーカーが連合イノベーションの道を歩み、自主的な特許連盟作りを推進することを自らの任務としている。
    2008年4月、金属メッキ施釉陶磁器特許製品産業合作連盟が仏山に設立され、3社が最初のメンバーとして加入した。2008年5月、中国高精細光ディスク産業連盟はCBHD特許連盟を設立するとの声明を発表した。これはDVD特許料の問題で同じ失敗を繰り返すのを避けるために講じた重要な措置である。高精細光ディスクの産業チェーンには機器製造メーカー、ディスク製造メーカー、ディスク試験装置製造メーカー、基幹部品メーカー、コンテンツ・サービス・プロバイダ、コンテンツ保護技術プロバイダ、出版社等多くの企業が含まれている。特許連盟を通じ、CBHDの産業チェーンにおける特許は相互の許諾により最大限生かされるようになった。2008年10月10日、中国林産工業協会、国家知的財産権局中国特許保護協会、中国消費者協会、中国技術監督情報協会の支援の下、「イノベーションを提唱し、権利侵害に打撃を与える」ことを旨とする中国強化木床板NCD特許連盟のサミットが北京で開催され、NCD特許連盟の発足を宣言した。国内の強化木床板メーカー50社余りが同連盟の発足式に参加した。
    この他、2002年10月30日に北京で発足したTD-SCDMA産業連盟は、特許連盟の名称を直接用いていないが、その実質的な活動は特許連盟と変わらない。TD連盟の楊驊秘書長が語った言葉がこの点を証明している。TD-SCDMA産業連盟が専門の評価を行った結果、70%以上の中核特許は連盟メンバー企業の手中にあるとの見解を彼は示したのである。これは同連盟が規格を提示しただけでなく、その規格を支えるコア技術を開発・保有していることを物語る。2007年1月18日、中国で初めてソーラー温水器を普及させた北京市に太陽エネルギー産業連盟が設立されたが、特許連盟はその発展に欠かせないものとなっている。
    上記の特許連盟又は産業連盟の誕生は、中国企業間の技術譲渡方式を大きく改め、関係する技術権利者の利益を保護すると同時に、技術譲渡の効率を高めた。また、中国産業界のコア競争力を確立・向上させるための条件を作り出したのである。
  4. 技術貿易サービス機構は企業間の技術譲渡に一定の役割を果たしたが、かなり限られたものである
    中国の既存の技術貿易サービス機構は関係法律・政策の導きの下、各級政府の奨励・支援の下、企業間の技術譲渡活動を促すのに一定の役割を果たしたが、こうした役割は非常に限られたものである。我々は技術貿易サービス機構の形成と発展の過程及びそれらの設立趣旨から1つの手掛かりを見出すことができる。

     

    中国の技術貿易サービス機構がその形成・発展過程で歩んできたのは「地方」から「中央」への道である。2009年8月13日午前、中国初の全国的な技術取引機構--中国技術取引所のプレート除幕式が北京の清華サイエンスパークで行われ、発足した。これより前、比較的影響力のある地方の技術取引所が既に相次いで設立されている。例えば、1993年12月に発足した上海技術取引所(国家科学技術部と上海市人民政府が共同で設立した国家級の常設技術市場)、1994年に科学技術部の認可を得て設立された国家級の瀋陽技術取引所(東北地区の一流の科学技術情報集散地、技術取引センター)、2000年10月発足の深圳国際ハイテク財産権取引所、2001年5月発足の武漢中国光バレー技術財産権取引所及び成都、西安、長沙等に設立された技術取引所である。専門の技術取引所以外に、全国各地の生産力促進センター、財産権取引所等も技術譲渡に一定のサービスを提供している。この他、技術貿易の関連機構が全国各地に沢山ある。例えば、南京市では2008年の1年間で新たに登記した技術貿易機構が150社に達し、同市でこれまでに技術貿易登録証を取得した機構は既に5,338社を数える。
    上記貿易機構の設立趣旨の多くは「技術の転化促進に積極的な役割を果たす」ことで、特に大学、科学研究院・所の技術と企業のドッキングを促し、潜在的な生産力を現実の生産力に転化することを重視しており、企業間の技術譲渡には余り関心を寄せていないようだ。企業間の技術譲渡は主に業種協会の支援を通じ、又は一般の市場からの情報取得等によって行われている。どうすれば企業の技術も技術取引所で取引されるようになるか、また、技術貿易サービス機構を通じて企業間の技術貿易をどう促進するかは、研究に値する課題である。

4. 中国企業間の技術譲渡の将来

 長年の研究の過程で、筆者は関連する正確なデータを入手するのがかなり大変な仕事であると感じた。各種技術契約の締結及び履行、技術の流動方向、被譲渡技術の社会・経済へのサービス目標、技術貿易機構等の状況を理解して、技術市場政策を定め、技術市場の発展を導くための根拠を提供するため、中国政府の科学技術部は早くも1990年に「技術市場統計作業規定」、「全国技術市場統計調査プラン」を公布するとともに、かなり詳細な「全国技術市場統計指標分類弁法」を制定し、関連データの収集と統計を規定した。しかし惜しいことに、我々が企業間の技術譲渡データを検索した時、比較的正確なデータを見つけ出すことができず、各種関連データから推定するしかなかった。中国企業間の技術譲渡に関する上記の概況はこのようにして得られたものである。しかも、わが国は企業間の技術譲渡契約の登録について強制的措置を講じておらず、基本的には当事者が自主的に決めている。このため、中国の多くの中小企業間の技術譲渡契約は国の統計範囲から漏れている可能性がある。この点について言うなら、これまでに論じたのは中国企業間の技術譲渡の大まかな状況でしかなく、正確な記述ではない。

 そこで筆者は次のように考える。関係部門は科学技術部の関連規定を厳格に執行し、統計データについて多くの工夫を凝らし、中国企業間の技術譲渡を含む各方面の比較的正確な技術契約統計データを収集・整理するとともに、適切な方式でこれを公表し、政府の意思決定、学者の研究に証拠を与え、また、企業の参考に供するべきである。中国企業間の技術譲渡について、筆者は次のように提案する。今後、この方面の状況を正確に研究するには、特定の措置を講じ、業種協会を通じて企業間の技術譲渡契約の登録を奨励するか、又はその登録に便宜を図り、さらには必要な無償援助を提供すべきである。こうしてこそ、中国科学技術部が定めた統計目標を真に実現することができる。

 技術輸出入貿易については、中国は専門の管理条例を既に制定・公布した。しかし、国内の技術譲渡については類似の法律法規を欠いており、主には先に述べた関係法律法規の具体的な条文を用いて手直しを加えた。国務院が1985年に公布した「技術譲渡に関する暫定規定」の内容は技術譲渡と技術転化に及んでいるが、その主な内容は実質的に技術転化である。技術転化の主要内容は後に1996年5月公布の「中華人民共和国科学技術成果転化促進法」、財政部が1992年11月に公布した「企業財務通則」、及び1999年3月30日の「科学技術部等各省庁の科学技術成果の転化を促進することに関する若干の規定についての国務院弁公庁の通知」等に差し替えられた。また、その中の技術譲渡に関する規定は1999年3月公布の「中華人民共和国契約法」の中で具体的に示されている。しかし、現在の関係立法及びその他の規定によれば、企業間の技術譲渡契約に関する法律法規を手直しすることはもはや立法面で大きな障害がなく、カギはそれらの法律をどのように実施し、企業間の技術譲渡に真の活気を持たせるかである。

 以上の分析を通じ、中国企業間の技術譲渡が技術貿易契約全体に占める割合は大きくないことがわかる。これについて言うなら、中国の現在の経済発展要請に合致しないものの、企業間の技術譲渡には大きな発展の余地があることになる。中国の法律は、企業はイノベーションの主体であると既に明確に規定している。各級政府も企業のイノベーション行動に多くの助成政策を適用している。現在、企業は自社の研究開発への資金投入を増やし、そのイノベーション能力は着実に発展しており、国内企業間で相手側の技術要求を互いに満たし合う状況は徐々に変化しつつある。中国企業間の技術譲渡はそう遠くない将来に大きな飛躍を遂げると予測することができる。

 技術譲渡に関係する対象を見ると、企業間の技術譲渡は今後も特許技術の譲渡が主要なものであり、ノウハウだけの譲渡が大幅に増えることはありえない。業種面において、伝統的分野の技術譲渡を主とする現状はハイテク業界内の技術譲渡中心へと徐々に転換していくことになろう。中国の「国家知的財産権戦略要綱」、「国家中長期科学・技術発展計画要綱(2006~2020)」等の関連政策の導きの下、「企業所得税法」等の法律法規の調整の下、国内ハイテク企業のイノベーション能力は大いに強まり、エネルギー、情報、海洋、バイオ医薬等の分野における企業間の技術譲渡はますます頻繁に行われ、活気を帯びることになろう。

 地域範囲の面から見ると、企業間の技術譲渡は今後も主に東部地区の企業間で発生することになろう。しかし、国の発展戦略が中・西部にシフトするのに伴い、中・西部地区はインフラが次第に改善され、人材が次々と集まり、教育文化水準が向上し、国からの資金投入が増える他、企業自身も研究開発への資金投入を増やすようになり、その技術吸収能力とイノベーション能力及び技術水準の向上が見込まれる。また、中央と地方政府が関連の優遇・奨励・促進政策等を打ち出すことで、遠くない将来、東部企業と中・西部企業間の技術譲渡は大きく様変わりすることになろう。これが好循環の軌道に乗れば、東部・西部企業間の技術譲渡は徐々に活発化するであろう。

 企業間の技術譲渡の方式については、今後も技術許諾方式が中心となり、中でも一般的な許諾が最も重要な方式となるであろう。一部の分野では、中国企業の特許技術能力が高まるのに伴い、6Cグループのような特許連盟が国内でもますます多く設立されるようになり、それは業界内企業間の技術譲渡を進める重要な動きとなるであろう。現在、カラーテレビ業界、家電業界等では特許連盟が、また、TD-SCDMAや太陽エネルギー等の分野では産業連盟が既に結成されており、中国の民族企業を強くし、中国企業のコア創造力を築くのに大きな模範的役割を果たした。これらの連盟が企業間の技術譲渡分野で確立したモデルと効果は、中国企業間の技術譲渡を促し、伝統的モデルを改める上で大きな変革をもたらし、その技術譲渡の割合と効率を大幅に高めることになろう。実際の所、特許連盟は連盟企業間相互の技術許諾を手掛け、それは技術譲渡の高級形態であり、連盟企業により豊かなリターン(利益)を与えることができる。同時に、これらの特許技術をパックで外部に譲渡し、一層大きな利益を得ることもできる。技術所有権の譲渡については、中国企業間で発生する確率は少なく、企業間技術譲渡の主流になることはないと筆者は考える。

 技術譲渡費用の支払いに関しては、譲渡対象の特殊性(例えば無形性、リスク性及び価値の潜在性等)により、企業間の技術譲渡は今後も売上高の一定比率でロイヤルティを受け取るのが中心となるであろう。

 中国の技術取引所又はその他形態の技術取引機構の機能面を見ると、なお多くの改善が必要であり、特に企業間の技術譲渡及び地域間の技術譲渡がそうである。現在、多くの取引機構の主な機能は科学研究院・所と大学の技術転化(即ち科学研究院・所、大学と企業間の技術情報の交流及び転化で架け橋の役割を果たすこと)を促すことに置かれ、企業を需要者側と見なすケースが多く、企業間の技術譲渡は余り重視されていない。どのようにして既存の技術貿易サービス機構に関する法律法規を整備し、集中した高効率の機構を確立するか、また、それらを統一的な法規と仕組みの下で運用し、統一・開放された真の技術取引市場を全国に築き上げ、技術取引機構に企業間の技術譲渡を促す面でより多くの積極的な役割を発揮させるかは、中国の今後の立法と法執行において重点的に解決すべき問題となる。

 しかし、中国がイノベーションの主体としての企業の地位を認め、政府が法律・政策面で多くの支援と優遇を与え、また、企業自身の技術研究開発への資金投入が増え、企業の自主的イノベーション能力が向上するのに伴い、中国企業は自らの知的財産権を持つ技術がますます多くなり、技術貿易サービス機構に関する制度の整備を前提に、企業間の技術譲渡は今後大幅に伸びることになろう。我々にはそれを信じる理由がある。華為、大唐電信、中興公司等の特許技術取得件数が増え続け、国内企業にその技術を譲渡又は許諾していることはこうした動きをある程度予想させるものである。


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