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中国の大学の国際化への挑戦と取り組み

2009年12月25日

畢家駒

畢家駒(Bi Jiaju):同済大学教授、校務教務委員会委員

1933年9月生まれ。1956年、同済大学土木工学専攻科卒業(1952~56)。1961年、清華大学工学力学研究クラス(1959~61)。同済大学学部主任、教務処長、副教務長、大学院常務副院長を歴任。アメリカ・ノースカロライナ州立大学訪問、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学客員教授、高等教育品質保証機関国際ネットワーク(INQAAHE)理事(1998~99)、香港学術評議局(HKCAA)正規評議員(1993~2004)などを兼任。現在、同済大学工学力学教授、校務教務委員会委員。全国工学教育専門認定監督・仲裁委員会委員、中国高等教育学会教育評価分会名誉理事などを兼任。近海力学の教育・研究業務、高等教育研究業務に従事。国際・比較高等教育、教育品質評価・保証などの方面で広範な実地視察と特別研究。国際工学専門認定、エンジニア資格登録制度、学位と専門資格の国際相互認定などの方面で、初めて国内研究への道を開拓。海外の大学の内部品質保証体系を中国の大学に取り入れるという分野で、率先的研究と実践による模索。主な著作に『各国高等教育評価』(共著)、『大学本科教育品質保証体系の研究』(共著)、論文多数。個人学術アドレス:http://www.tongji.edu.cn/~bijiaju


暁潔:

1990年、上海工業大学冶金・材料工学科卒業。1996年、横浜国立大学物質工学研究科修了、工学修士学位取得。その後、Kyosin、群馬県国際交流協会に勤務。2002年末、帰国。2003年より同済大学外事事務室勤務、現在、日本など周辺国との国際交流・協力の事務を担当。

 国際化は時代が大学に与えた歴史的使命である。経済がグローバル化している今日、知識と情報の経済成長に対する貢献は極めて重要なものである。人材は新しい時代の最も価値ある資源となっている。そのため、大学は国際競争力を具えた人材を育成し、世界の科学、技術、経済の持続的発展を推進し、地球の生態環境を改善し、人類の調和のとれた共生を促すことを求められている。

 このような状況の下で、中国の大学は「世界各国の大学の例にしたがって」(蔡元培)大学を運営し、内在的能力を鍛え、外部の力を上手に借り、無数の川を受け入れる海のような許容力を持ち、広く他者の長所を吸収することによって、初めて国家のため、世界のためにしかるべき貢献を果たすことができる。

 中国の大学の国際化とは、国際的、多元的な文化を、中国の現有の教育、科学研究、管理、サービスに主体的に取り込み、大学を国際的に高水準の大学へと引き上げることである。これはさまざまな活動の総和であり、かなり長期にわたるプロセスである。一つ一つの大学にとって、特色はそれぞれ違っても目指す目的は同じである。

中国の大学の国際化に対する認識

 中国政府が改革開放政策(the reform and opening-up policy)を実施してから30年になる。ここで言う中国の大学の国際化とは改革開放以降の事であり、その期間は長くなく、また中国の大学が外部の世界を認識し参考とするには、一つのプロセスが必要であった。そのため、中国の大学の国際化とは、現段階では、多くの面において、主に外国の優秀な大学から学び、取り入れることであり、別のいくつかの面については今のところまだ手が回らないでいる。著者は中国のいくつかの代表的な大学における国際化の状況を踏まえ、目標、任務、挑戦、将来性などの面について、大学の国際化を以下のようにまとめた。

中国の大学の国際化の目標

  1. 教育の国際化――目標の一つ目は、大学の教育の質を高めることである。国際的に公認されている高水準な大学の教育に匹敵する大学教育体系を建設する。
  2. 科学研究の国際化――二つ目は、大学の学術と科学研究の水準を全体的に高めることである。国際化された研究ネットワークを建設し、学術・科学研究活動を強化する。
  3. 教員集団の国際化――三つ目は、教員集団の水準を高めることである。資質の高い、能力の優れた、国際化された良好な学術的背景を具え、国際的に一流の機関・教授と交流・協力する能力を持った教員集団を構築する。大学が教育、科学研究、管理などの面で国際化を実現しようとする際、最も重要な問題は教員集団の強弱にある。
  4. 大学管理の国際化――四つ目は、大学の管理戦略・方法を全体的に高めることである。要員の優秀な、国際化の観念と業務能力を具えた大学・学部の二段階管理集団を構築し、大学国際化の戦略、計画、目標、任務を徐々に大学の各業務の中に取り込み、国際化事業が全面的に、深く展開するようにする。
  5. 国際社会のための貢献――五つ目は、国際社会のために貢献することである。世界平和、社会の調和のために貢献し、世界の重要な問題(エネルギー、環境、健康)の解決のために貢献し、中国の自然科学、人文社会科学分野における成果を国際社会に捧げ、特に発展途上国の国情に合った科学・技術によって、アジア・アフリカ諸国のために貢献する。

中国の条件下における大学国際化の事業内容と特徴

 中国の大学は各国の優秀な大学との協力、国際組織との協力、各国政府との協力、多国籍企業との協力、権威ある研究機関との協力など、マルチチャネルの国際交流協力によって、国際化の面で広範な事業を展開し、多方面にわたる成果を収め、中国の国情に合った経験を創造してきた。

1. 教育の国際化

  1. 国際化のための教育拠点――全学規模で同じ歩調で国際化を実現することはすぐには難しいため、比較的実行可能な方法として、先に学内に一つまたは数個の小さい範囲の教育拠点を新しく開設し、国際共同運営により、世界の先進的な教育理念と管理制度、国際化されたプログラム設置、先進的教育内容・方法、外国人教員・学生を直接導入し、二文化教育を実施し、中国人教員・学生が外国へ学びに行く際の便宜を図り、中国と外国の二重学位を授与する。このような教育拠点をうまく運営し、大学の広範囲な教育国際化のために条件を作り出し、経験を蓄積した。
  2. 国際化のための教育改革――条件が比較的良い学部・学科において、国際交流協力により、既存のいくつかの本科と大学院生のプログラムについて徐々に全面的または部分的な改革を行い、世界の先進的な教育理念と品質観を導入し、プログラム育成計画を設計し直し、世界の先進的な教育内容・方法を採用し、外国人教員・学生を引き付けて参加させ、徐々に国際的に高水準の教育を達成した。
  3. 中国の大学において夏休みまたは学期中の短期プロジェクトを開催し、外国の専門家、学者、政府指導者、企業リーダーなどを招いて学生のためにさまざまなテーマの講座、講演、コースを開設した。また、中国人教員・学生が外国の大学へ行ってサマーキャンプに参加したり、短期コースの学習やトレーニング、見学視察、地元の教員・学生との交流を行ったりした。
  4. 計画的、段階的に中国人教員を外国へ研修、視察、研究のために派遣した。これは専門業務の水準を高めるだけでなく、他の国の文化精神と国際的な業務の雰囲気を体験することになった。
  5. 世界中から外国の優秀な教員を募集または招聘し、中国で教育または管理業務に直接参加してもらい、あるいは1学期か1、2年間、外国語の授業またはさまざまな専門科目を担当し、大学院生を指導してもらった。中国人教員は彼らの仕事に協力し、職務の中で業務水準と職務能力を高めた。
  6. 条件を整備し、チャネルを開拓し、さまざまな方法によって中国人学生を外国へ派遣し、外国で生活させ、学ばせ、異国の文化を体験させた。例えば、中国と外国が共同で行う学位教育プロジェクトの中で、1~2学期間、外国へ行って学ばせたり、短期間外国へ行って研究または教育活動(実験室業務、実習、設計等を含む)に参加させたり、あるいは、何らかの国際的な大学生科学技術コンクールまたは学生フォーラム活動に参加させたり、外国へ行って国際会議などに参加させたりした。
  7. 中国の経済が持続的に発展し、国際影響力が日増しに強まっている状況の下で、特恵的条件によって発展途上国の学生を引き付け中国へ留学させた。中国の特色ある教育によって発展途上国の学生を引き付け中国へ学びに来させた。学生の出身国を多様化させた。
  8. 外国人学生のために英語で教育を行う各種の学位プログラムや単科コースを開設した。
  9. 発展途上国の官僚のために、中国文化・経済研修クラス、環境保護研修クラスといった研修クラスを開設した。
  10. 中国の大学の内部に、外国人学生のために、大学に入って学ぶ前段の準備として、中国語コースを開設した。欧米、アジア太平洋の各地で孔子学院(Conficius Institute)の教育事業を主宰し、または参加した。
  11. 外国に、中国語、通訳、哲学、MBAなどといった、中国の学位プログラム教育を開設した。
  12. 何らかの国際大学連合に加入し、その事業と活動に参加した。

2. 科学研究の国際化

  1. 中国人教員がさまざまな協力チャネルを通じて、外国の高水準の大学へ行き、共同で科学研究業務を行い、あるいは各自の大学で共同科学研究プロジェクトを分業で完成させた。
  2. 外国のレベルの高い教員を中国に招聘し、科学研究業務のリーダーとして、指導してもらい、共同で展開してもらった。
  3. 中国の大学と外国の大学または企業が共同で、中国の大学の内部に連合研究センターまたはプロジェクトセンターまたは実験室を設立し、世界各国の学者に開放し、共同で科学研究を展開した。
  4. 中国の大学がいくつかの先進的科学技術設備を利用して、世界各国の学者に開放し、外国の学者を引き付け、客員研究員として中国で研究業務を行ってもらった。
  5. 中国の教授が国際学術定期刊行物の評議委員として招聘された。
  6. 中国の教授が海外の国・地域の科学アカデミー会員として招聘された。
  7. 中国で国際学術会議またはフォーラムを開催した。あるいは外国へ行って国際学術会議に参加したり、特別講義を行ったりした。

3. 教員集団の国際化

  1. 中国人教員の国際化を進める最も効果的な手段は、外国の大学へ行き一定期間、学習や業務を経験することである。短期のものには、国際学術会議への参加、特別講義、見学、視察があり、長期のものとしては、共同科学研究に参加する、ポスドク研究を行う、訪問学者になる、中国側関係部門の派遣を受け外国駐在勤務を担当する、招聘を受けて外国の大学または学術機関のために勤務する、などがある。実践が示しているように、これらは教員にとり、学術、言語・文化、教育観念、人生における信念などの面で、重要な影響があった。
  2. その次は、中国人教員が国内または学内で外国の学術論文、教材、図書資料を閲覧すること、国際学術会議に参加しまたは主宰すること、外国から来訪した学者の受け入れに参加すること、中国にいる外国人教員・学生との意思疎通や交流を行うことである。実践が示しているように、これらは教員にとり、学術の最先端に触れる、専門技能と外国語能力が高まる、中国と外国の文化的意思疎通が進む、外国の大学関係者と知り合い交流チャネルが広がるなど、いずれもメリットがあった。
  3. 教員集団の国際化のもう一つの重要な面は、教員の出身国の多様化、国際化を促すべく努めたことである。外国人教員を中国に招聘し短期または比較的長期にわたり教育、科学研究業務を担当し、学部・学科の指導者、学術リーダーを担当してもらった。中国人留学生に、外国での学業を修了し、引き続き外国でしばらく勤務してもらった後、帰国させ教職に就かせた。

4. 大学管理の国際化

  1. まず初めに、大学の最高指導者から、各行政部門、学部・学科の管理要員、特に外事管理要員に至るまで、過去の比較的閉鎖的な教育観念と管理理念を改め、国際化に対する認識レベルを高め、管理業務を管理政策、管理制度、手段・措置の面で国際化の要求に合うようにした。業務の中で、管理集団の資質と人数を高めることに注意を払い、優秀な管理集団を徐々に作り上げた。
  2. 管理要員を時期を分けグループに分けて外国の高水準の大学に派遣し、受講者に合わせて用意されたトレーニングを受けさせ、国際的視野を広げ、意識を改め、外国の大学の管理理念と管理制度を学ばせた。
  3. 大学の中に快適な、便利な、魅力のある教育・科学研究環境を作り出し、外国人学生・学者が中国の大学で順調に、満足して生活し、働き、学べるようにした。
  4. 中国と外国の大学が高等教育の管理についての研究機関を設立し、国内外の有名大学と助け合って、さまざまな文化的背景を持つ教育理念や教育モデルの相互理解と相互交流を共同で模索し、各国の大学間の交流と協力を促し、新たな協力方法を模索してきた。
  5. 中国の大学の対外伝播を改善、強化し、中国の大学に対する外界の認識と理解を増進する。海外校友会の事業と活動を強化する。

5. 国際社会への貢献

  1. 国際的組織、例えば、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)、博覧会国際事務局(BIE)などと協力して、関連事業を展開し、国際社会のために奉仕してきた。
  2. 国際基金会と金融組織が経済的に援助している国際科学研究協力に参加し、今日の世界が共通して関心を持っている科学研究と科学技術開発の問題を、外国の大学関係者と共に研究し、解決してきた。
  3. アジア・太平洋の地域的組織に参加し、アジア・太平洋の発展途上国のために奉仕してきた。
  4. 国際大学協会・科学学会・専門学会の事業に参加し、国際高等教育・科学技術・プログラム等方面のために奉仕してきた。
  5. 政府間の協定に基づき、外国の建物、道路、橋を建造し、外国に学校、病院などを開設した。発展途上国のために環境、管理、工事、基盤建設など、さまざまな人材のトレーニングクラスを開設した。
  6. 各大陸の外国の大学と協力し、外国に孔子学院を設立し、同時に中国に中国語教育実習基地を開設し、中国語を普及させる。
  7. 中国の大学が中国の人文・社会科学の教育と研究を展開してきた。中国語、中国文化、中国哲学、中国経済の発展モデル、今日の中国研究、発展する中国観などを世界に推進した。

 実際に、これまでのところ、中国の大学が比較的広く展開してきたのは、上に述べた教育の国際化の事業であり、その方法は多様で、進展も速い。次は科学研究の国際化と教員集団の国際化である。大学管理の国際化は、いくつかの大学ですでに展開されており、しかもますます多くの大学から重視されつつある。国際社会への貢献の面でもいくつかの仕事がなされてきたが、まだ広く中国の大学では国際化は重要な側面とはみなされていない。

中国の大学の国際化への挑戦

1. 外部世界からの挑戦

 30年前、長年にわたり国を閉ざしてきた中国に対し、外部の世界からやってきた挑戦とは、言うまでもなく明らかであろう。人類は経済グローバル化の時代に入り、知識経済はすさまじい勢いで押し寄せ、情報と通信技術は急速に発展し、交通は日増しに便利になり、人々の生活、仕事、学習のスタイルにも変化が生じた。中国の大学は経済のグローバル化、教育の国際化という発展の潮流の先頭に追い付かなければ、地球上における立脚点を失うであろう。

 大学の人材と資源の競争は日増しに激しくなっている。外国の大学と中国の大学は優秀な学生の争奪戦を展開してきた。2009年に、イギリス、アメリカ、香港などの国・地域が、北京、上海、広州などの地区で行った学生募集は、非常に人気が高かった。一部のすでに中国の有名大学から早めに合格通知を受け取っていた学生も、変更して海外の有名大学に申し込みを行い、その中には「大学入試の状元(訳注:科挙試験の進士の首席合格者)」も少なくなかった。「中国の高等教育はすでに厳しい国際化の挑戦に直面している」、「中国の高等教育機関はまさに高等教育の国際化という大きな潮流のショックに直面している」といった声が、しばしば新聞紙上をにぎわせている。

 世界最大の発展途上国としては、国際化は巨大な挑戦であるとともに、発展のチャンスでもある。中国の経済グローバル化は、中国において世界の注目する成功を収めただけでなく、世界のためにも未曾有の貢献を果たした。当然の流れとして、中国の大学の活路は国際化にある。多くの大学がすでに身をもって体験してきたのは、我々は国際化によって、いくつかの教育先進国の一流大学とカリキュラム、教員を共有し、より効果的に教育理念を改め、より速く教育水準を高めることができるようになったこと。国際化によって、いくつかの外国の一流の研究機関と共同研究を行い、飛躍的に学術水準を高めることができるようになったこと。さらに、国際化は教員・学生が外国で学び生活するという体験を増やす手伝いをし、彼らの多文化への視野を広げてくれたこと。国際化はまた、より多くの外国人教員・留学生を引き付け、我々の大学をより多元化させてくれたこと、などである。中国の大学における国際化の広く深い発展にともない、挑戦は続けられ、体験はいっそう深くなり、成果はいっそう顕著になり、世界に対する中国の大学の貢献もそれとともに大きくなっていくに違いない。

2. 最大の挑戦相手は自分自身。まず人間、次が制度。

 歴史的理由により、中国の大学の教員集団は世界の優秀な大学に比べると、まだ大きな隔たりがある。中国の多くの教員にはまだ、国際的な学術・教育の舞台で自由に交流するという意欲や能力がない。このことは中国の大学の国際化のスピード、深さ、幅を大きく制限している。

 教育の面について言えば、過去、長期にわたって閉塞状態にあったことは、教育の理念と能力の面での後れを招き、先進的な外国の教育と比べると、非常に大きな隔たりがある。このことは国際交流協力の中でのわだかまり、障害となっている。中国の現行の教育は多くが詰め込み式で、知識の伝授を偏重し、批判的思考の育成、創造力や個性・品格の養成をあまり重視せず、教員と学生の相互作用が比較的少ない。そのため学生はひたすら丸暗記に努め、物事に取り組む能力が劣り、実際の問題を解決する能力が欠如している。改革開放以来、教育改革が直面してきた困難や障害は少なくない。この問題は頑張って国際化を推し進める過程において、自ら国内外の教育との対比を経験する中で、また、教員集団の多元化改造の中で、初めて真に解決することができるのである。

 計画経済時代の影響により、中国の高等教育の管理制度にはまだ多くの不合理な部分が残り、国際化の実施にとって不利となっている。中国の大学の国際化は、「学術の独立、思想の自由」(蔡元培)を創造・指導する国の管理制度改革を必要としており、また学内の管理制度改革の実施、ソフト面のサービスの増強を必要としている。

国際化に挑戦する同済大学の取り組み

 同済大学は1907年に創立され、国際化は代々の同済人が粘り強く追求してきたことだった。改革開放の30年間、同済大学は国際化の面でめざましい発展を遂げてきた。国際化という発展目標は大学の発展計画に組み込まれ、世界の優秀な大学、権威ある研究機関、有名な多国籍企業、各国政府、国連等国際組織との協力が急速に推進されてきた。国際協力の形態は日増しに多様化し、協力の内容は絶えず豊かになり、協力のレベルは一度ならず引き上げられた。同済大学の国際化の進み具合は、中国の大学の国際化を映し出す一枚の鏡だと言える。

1. 国際協力による大学運営――同済大学中独学院(Sino-German College for Graduate Study)、中仏エンジニアリング・管理学院(Sino-French Institute of Engineering and Management)、中伊学院(Sino-Italian Campus)

 国際協力によって創設されたこれらの単科大学は、通常、国際慣例にしたがって事を処理しており、大学固有の規則制度からははみ出している。これらはいずれも以下のような特徴を持っている。――両国の政府級の高等教育協力プロジェクトに由来している。世界の有名大学が提携パートナーである。国際化・多元化した教員集団。国際化・多元化した学生集団。双方の有名企業から、基金教授職・奨学金設置、実習受け入れなどのサポートを得ている。異文化の高度な専門人材を育成している。グローバル化の需要に合ったプログラム、教育計画、カリキュラム、教育方法・手段を取り入れている。教育レベルは学士または修士、博士があり、国際的に公認された、双方の互いに認めた証明書、卒業証書、二重学位を含む学位を授与している。中国語と外国語の二言語教育で、学生に多種の言語をマスターすることを要求している。異文化の薫陶を重視する。育成プロセスに外国の大学または企業での学習、実習、論文執筆、生活体験が含まれている。世界各国の大学の通例にしたがって管理を行う。大学をプラットフォームとして双方の科学・技術協力、文化学術交流等を広く展開している。総じて言えば、これらの大学はキャンパス内に一つの国際化された小宇宙を形成しており、時間の推移とともに、しだいにその影響をキャンパス全体に及ぼしている。これらのほか、同済大学の国際協力による学校運営には、同済大学職業技術教育学院中独職業教育教員訓練プロジェクト(Institut für Berufsbildung der Tongji Uniersität, chinesisch-deutsches Projekt zur Ausbildung von Berufsbildungslehrkräften)、中独工程学院(Sino-German College of Applied Sciences)、中仏エンジニア学院(Ecole franco-chinoise d’Ingénieurs)、同済大学オーストラリア高等技術専修学院(Sino-Australian Institute of Technology)などがある。さらに同済大学はパリに設立した中仏博士課程学院(College doctoral franco-chinois, CDFC)の事業にも参加してきた。

2. 国際教育交流と協力――各単科大学と各国の大学の協力による二重学位プロジェクト

 前述の中独学院、中仏学院、中国・イタリアなどの国際協力により運営している単科大学以外においても、同済大学はその他の単科大学と国際協力により多くの二重学位教育プロジェクトを行ってきた。提携している国は、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、アイルランド、スウェーデン、フィンランド、アメリカ、日本、オーストラリアなどである。提携している大学には、パリ第1大学(Université Panthéon-Sorbonne-Paris I)、パリ第11大学(Universite Paris XI)、パリ高等商業学院・ヨーロッパ(École supérieure de commerce de Paris Europe,原名ESCP-EAP European School of Management)、ベルリン工業大学(Technische Universität Berlin)、ワイマール・バウハウス大学(Bauhaus-Universität Weimar)、ミラノ理工大学(Politecnico di Milano)、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック分校(Stony Brook SUNY)などがある。関連している学科には、工学、自然科学(science)、経済、マネジメント、建築、文科などがあり、授与している学位は二重学士、二重修士、二重博士である。国際協力によって運営している単科大学と合わせると、国際協力による二重学位プログラムは全大学で計60余りに上っている。

3. 国際教育交流と協力――共同カリキュラム

 同済大学建築・都市計画学院(College of Architecture and Urban Planning)は、毎年、学内の各プログラムの高年次学生のために国際共同カリキュラムプロジェクトを組織している。これまでに参加した国は、ドイツ、オーストラリア、日本、アメリカ、フランス、イタリア、韓国、中国・香港である。期間は2週間から1学期とさまざまで、時期は学期中か夏休み、場所は多くが上海である。教育形態は多様で、各方の教員が共同で教鞭をとり、一緒に講座を開き、共に設計を指導している。各国学生が混合でクラスを編成し、協力して設計を完成させる。同済大学が中国の設計プロジェクトを提供する。数年来、共同カリキュラムは中国と外国の教員・学生から好評を得ており、ますます多くの国内外の大学が加入しつつある。

4. 国際教育交流と協力――プログラムの革新

 土木工学学士学位プログラムと英国土木学会(Institution of Civil Engineers, ICE)、構造エンジニア学会(Institution of Structural Engineers, IStructE)の長期にわたる深い意思疎通の結果として、同済大学の土木工学プログラムはイギリスの同類プログラムのプログラム認定品質基準を参照して、学内の同類の学部・学科体系を整理し、同類のプログラム設置を調整し、プログラムの範囲を拡大し、教育計画を最適化した。それにより、このプログラムはその様相に根本的な変化が生じ、国際的に公認された同類のプログラムとの比較可能性と互換性を持つようになった。

 建築学学士学位プログラムと全米建築課程認定委員会(National Architectural Accrediting Board, NAAB)、英国王立建築家協会(Royal Institute of British Architects, RIBA)、香港建築家協会(Hong Kong Institute of Architects, HKIA)は長期にわたって交流と協力を展開し、それによって今日の世界における建築学教育の質に関する最新の理念を吸収し、積極的に教育体系とカリキュラムの調整と最適化を行い、プログラムの国内外における地位を大きく高めた。

5. 中国人教員・学生を学習、仕事のため外国へ派遣

 同済大学はさまざまなチャネルを開拓して、外国へ学びに行く学生を経済的に援助している。ここ3年来、外国へ学びに行く修士過程学生の人数は、毎年その年の学生数の約10%に当たり、博士課程学生では約19%に上っている。内訳は、長期(3か月以上)と短期がほぼ半分ずつである。本科生は5%をやや上回っている。

 大学は毎年数百万元を投入し、外国へ研修に行く若手中堅教員数十名を経済的に援助している。2002年にスタートした「100人計画」は、教員を時期を分けて外国へ選抜派遣し学ばせている。2008年を例に取ると、短期出国(会議、訪問、学術交流)の教員は教員総数の約42%、長期(共同研究、研修、訪問、教職、勤務、学位取得、ポスドク)は5%であった。

 大学が擁する中国科学院会員と中国工程院会員、国際国内学術栄誉賞受賞者、各学科の指導的人物、教育・科学研究の中核的教員、大学・学部・学科の主な指導者は、基本的にすべて海外での学術経験を有している。

6. 外国人学生のために英語で授業を行うコースとプログラム(program)――8つの一般科目、49の本科専門コース、8つの修士専門コース、5つの国際修士学位プログラムを開設している。

 これらのコースとプログラムはできるだけ一定の国際的汎用性を持ち、また鮮明な中国的特色を持つよう、すべて英語で教育を行っている。


一般コース(計8科目)
General Courses
1. 中国の歴史と文化
Chinese History and Culture
2. 中国の社会経済
China’s Socio-Economic Development
3. 中国における都市・農村の建設と成長
The Shape and Growth of the Town and Village in China
4. 中国における持続可能な成長
Sustainable Development in China
5. 中国における歴史文化遺産の保護
Cultural Heritage Conservation in China
6. 中国の外交と国際関係
China’s Foreign Affairs andInternational Relation
7. 異文化コミュニケーション概論
Intercultural Communication
8. 中国の知的財産権保護
Chinese Intellectual Property Protection
本科専門コース(計49コース)
Undergraduate Professional Course
1. 経済・マネジメント学院、8コース
School of Economics and Management, 8 courses
2. ソフトウェア工学大学、12コース
College of Software engineering, 12 courses
3. 中伊学院情報技術工学、14コース
Information Technology Engineering, Sino-Italian Campus, 14 courses
4. 中伊学院機械設計製造及びその自動化工学、15コース
Mechanical and Production Engineering, Sino-Italian Campus, 15 courses
国際修士学位プログラム(計5プログラム)
International Master Degree Program
1. 環境管理と持続可能な成長国際修士学位プログラム
International Master Degree Program in Environmental Management and Sustainable Development
2. 都市設計国際修士学位プログラム
International Master Degree Program in Urban Design
3. 企業管理国際修士学位プログラム
International Master degree Program in Enterprise Management
4. ソフトウェア工学国際修士学位プログラム
International Master Degree Program in Software Engineering
5. 構造工学国際修士学位プログラム
International Master degree Program in Structural Engineering

7. 予科を創設し、同済大学へ学びに来る外国人学生の便利を図る――同済大学外国留学生予科学院(Freshman School for International Students)

 この学校は初めて同済へ入る、中国語の能力が十分でない、理数の基礎が弱い、また我が国の大学の教育方式に適さない外国人学生に対して予科教育を実施している。この1年間の予科では、専門の中国語教育を強化する一方、「高等数学」、「一般物理」などの基礎コースについて単独クラス編成による教育を実施し、さらに語学試験と基礎科目試験に受かることを要求している。専門コースについては外国人学生と中国人学生が同じクラスで学ぶ方式を採り、双方の交流を強化し、外国人学生が翌年、合格した学位プログラムに正式に入る前の適応のための機会としている。

8. 外国人学生のために中国語と中国文化のコースを開設――同済大学国際文化交流学院(International School)

 この学校は特に中国語と中国文化の教育と研究を担当している。国内では、同済の各プログラムが採った外国人学生のために中国語のトレーニングを行い、専門中国語科目を開設している。さらに特に中国語を学びに来た外国人学生のために、さまざまな期間の中国語クラスと中国語学士学位プログラムを開設している。国外では、国際文化交流学院はすでに日本の桜美林大学、ドイツのハノーバー中国センターと協力して2校の孔子学院を運営している。桜美林大学孔子学院にはすでに59の各類コースが開設され、また講座や中国訪問などの文化活動を常に行い、中国語検定試験(HSK)も行っている。ハノーバー孔子学院はブレーメン・ヤコブ大学のために中国語トレーニングプロジェクトを開設し、ニーダーザクセン州の中学高校と小学校のために中国語教師のトレーニングを行っている。

9. 中国人学生のために外国の言語と文化のトレーニングを行い、外国へ行って学ぶための便利を図る―同済大学出国トレーニング学院(Center for Foreign Language Training)

 本校はドイツ語、フランス語、イタリア語などの教育に専門に従事している非学歴教育機関で、その趣旨は大学の中独・中仏・中伊など多くの教育協力プロジェクトのために、外国へ学びに行く中国人学生に、事前に外国の言語・文化の方面の準備をさせることにあり、同時に社会にも開放されている。本校はさらにドイツのテスト・ダフ・インスティトュート(TestDaF Institut)と協力し、ダフ・トレーニング・センター(DaF Training Center)を設立した。このセンターのダフ・トレーニング・コースは社会に開放されており、また中国人ドイツ語教師のトレーニングも行っている。

10. 外国人学生と外国籍教員

 現在、在学している外国人学生は2700名で、その1/3は学位の取得を目指している。短期の外国人教員は全学の教員総数の39%を占め、長期の外国人教員は4%に満たない。

11. 深海大洋にミズチ(訳注:水中に棲み風浪や洪水を起こす伝説上の竜)出現――同済大学海洋・地球科学学院(College of Ocean and Earth Science)/海洋地質学国家重点実験室(State Key Laboratory of Marine Geology)

 同済大学の海洋地質学科は、前世紀70年代の、無名の若者たちが設備も実験室も持たずにいた状態から、今では国内外の注目を集める研究センターの一つへと変貌している。その発展は、むろん、指導的人物である汪品先教授とそのチームの智恵と粘り強い追求、そして国の強力な支援によるところが大きいが、しかし国際共同研究もまた欠かすことのできない重要な要素であった。国際交流・協力の発展の軌跡は、以下のことをはっきりと示している。

1)外部の力の助けを借りた飛躍的な発展

 前世紀7、80年代、海洋地質プログラムは1年間の英語強化学習を増設するとともに、各国のトップクラスの学者をたびたび招いて講座やさまざまな特別トレーニングクラスを開設し、学科の国際交流協力、学科の発展と建設のための基礎を築いた。同校は長年にわたり、ODP/IDOP、IMAGES、UNESCO/IOC-WESTPACなど、各国国際組織の活動に積極的に参加してきた。また、広く二国間国際協力を展開しており、それには中独、中仏、中日、中豪、中伊、中ロの共同運航、人材育成、共同研究、中国人教員・学生の外国での勤務、国際運航への参加が含まれている。外国船に乗り、外国の同業の仲間に学ぶことを通じて、同済の海洋地質学科は発展と建設を成し遂げ、飛躍的に世界の最前列へと到達した。

2)中国の智恵による世界への奉仕

 外部の力の助けを借りて、飛躍的に発展すると同時に、同校はまた国際・アジア海洋地質学科の研究のために貢献してきた。1988年には、第1回「アジア海洋地質学国際会議」を開き、これまでにすでに6回開催した。1997年には、「東アジアモンスーンの南シナ海における記録及びその世界気候上の意味」というプロポーザルが、国際深海掘削学術委員会の世界プロポーザル評議会で1位となり、正式に国際深海掘削計画のODP184航海に採用された。1999年に航海が始まり、汪品先教授が2名の首席科学者の一人となった。これは中国大陸をとりまく海での初めての深海掘削航海であり、初めて中国人が設計、主宰した深海掘削航海でもあった。さらに2004年、国際深海掘削計画(IODP)中国事務局が同済大学海洋・地球科学院で正式に業務を開始。2007年には、第九回国際古海洋学大会を主催し、国際古海洋学界の最も高い学術水準を代表する盛大な集会として、中国で初めての開催となった。2009年には、上海海底観測ネットワーク研究の共有プラットフォーム建設を主宰した。中国初の海底観測プラットフォーム第一期工事は、すでに揚子江河口外に建設され、監測ステーションはさらに深海へ向かおうとしている。この重点実験室は常にドイツ、フランスなどの外国人学者を招いて客員研究を行い、欧米、アジア太平洋地域の学者を含む国際作業チームを組織して研究を展開、外国人学者と共同で外国人学生を育成し、博士研究員を受け入れている。現在、同済大学海洋地質学科はすでに、多くの教授、副教授、講師、エンジニアから成る教育・科学研究集団を作り上げている。彼らは修士課程、博士課程の学生たちを率いて一連の国際レベルの研究成果を上げている。さらに壮大な学科発展の未来図が練られつつある中で、世界第四の、中国自らの深海掘削船が建造される見込みである。

12. 国際共同科学研究――一連の研究所と実験室

 同済大学各学院は各国の大学、病院、企業などと、多数の研究所、実験室、技術センターを共同運営している。提携している国は、フランス、ドイツ、オーストリア、アメリカなど、提携している大学、病院、企業には、パリ第5大学Cochin病院(Cochin Hospital, Université Paris V - René Descartes)、トゥールーズ・ラングル病院(Rangueil Hospital, Toulouse)、ドイツ心臓センター(Deutsche Herzzentrum Berlin,DHZB)、インフィニオン(Infineon)テクノロジーズ、ハック(Hach)カンパニー、アイビーエム(IBM)、マイクロソフト(Microsoft)、ゼネラルモーター(GM)、エレクトロニック・データ・システムズ(EDS)、サン・マイクロシステムズ(SUN Microsystems)、UGS Corp.(UGS)などがあり、提携している学科は、医学、マネジメント、経済、工学、文科などである。全学に合計10余りの国際共同科学研究機関がある。

 このほか、2001年以降、正式に契約を結んだ科学研究プロジェクトは百数十件に上っている。提携相手は、イギリス、ドイツ、イタリア、オランダ、フィンランド、アメリカ、カナダ、オーストラリア、日本、韓国、シンガポール、タイ、香港や、国際的学術組織、銀行、基金会、多国籍企業などから来ている。

13. 国際化というニーズにより合致した大学管理

 本学はさまざまな措置を採用して国際交流協力事業を改善してきた。大学レベルの指導者のうち80%以上が海外での学習または勤務経験を有している。外事事務室(International Exchange and Cooperation Office)が拡充強化され、イギリス、ドイツ、フランス、日本、イタリア、スペイン、アラビア語の人材を備え、各地域の文化、習俗についてより深い理解を持っている。管理部門はサービス意識が強まり、管理効率が高まった。外国人学生に対するサービスと指導はより全面的な、行き届いたものとなっている。

14. 世界、特に発展途上国のために環境保護と持続可能な成長のための高度な工学技術と管理人材の育成――国連環境計画‐同済大学環境・持続可能な成長学院(UNEP-Tongji Institute for Environment and Sustainable Development, IESD)

 世界環境と持続可能な成長のための科学研究と人材育成を強化するために、国連環境計画(United Nations Environment Programme, UNEP)と同済大学は共同でUNEP-同済大学環境・持続可能な成長学院を設立した。UNEPのアジア太平洋地域における教育、コンサルティング、研究、情報交流センターとして、本学院は世界、特に発展途上国のために環境保護と持続可能な成長のための高度な工学技術と管理人材を育成するとともに、UNEPの組織した地域または世界の環境保護プロジェクトに積極的に参加している。そのために、同済大学を中核としたアジア太平洋地域大学連合会を設立し、各国の優勢なコースを取り入れ、共同で環境教育を展開している。連合会のメンバーには、アメリカ・エール大学(Yale University)、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学(University of New South Wales)、シンガポール南洋理工大学(Nanyang Technological University)、タイ・アジア理工学院(Asian Institute of Technology)などが含まれている。IESDはUNEPと協力し、アジア太平洋地域の環境と持続可能な成長のための未来のリーダー研修クラスや、アフリカ諸国青年環境リーダーのための持続可能な成長研修クラスなど、さまざまな研修・トレーニングプロジェクトを連続して行っている。IESDはアジア太平洋地域向けに、環境管理と持続可能な成長(Environmental Management and Sustainable Development)の国際修士学位、同国際博士学位の取得を目指して学ぶ大学院生を募集している。IESDは同時に多数の国際共同科学研究も展開している。

15. アジア太平洋地域の世界遺産の保護と発展――同済大学アジア太平洋地域世界遺産トレーニング研究センター(World Heritage Institute of Training and Research for the Asia and Pacific Region under the Auspices of UNESCO, WHITR-AP)

 本センターは発展途上国に設立された初の遺産保護分野におけるUNESCOの2類機構として、世界遺産の研究とトレーニング教育に専門に従事している。本センターは中国とアジア太平洋地域諸国の世界遺産管理者、政府官僚、教育者、技術者に向けて、世界の文化遺産保護に関するマネジメント、研究、トレーニング、情報交流と普及、ネットワーク建設を展開し、遺産保護を推進する好ましい発展のために知力と情報によるサポートを提供している。

16. 万博を通じての同済人の智恵による世界への奉仕――同済大学万博研究センター(World Expo Research Center of Tongji University)

 同済大学万博研究センターは学内各学科の優勢な資源を整理統合し、万博に関連した学科の専門家の智恵を集め、上海2010万博の準備業務に深く関与している。2008年末現在、同センターはすでに130件余りの万博研究プロジェクトを担当し、多くの成果を収めている。同済大学の鄭時齢・呉志強・唐子来教授は相次いで重要な任務を任され、それぞれ上海万博テーマ演繹総顧問、上海万博公園チーフデザイナー、都市最良実践区チーフプランナーに就任している。万博テーマ館、未来館など、一群のシンボル的建物の工事プランと建築設計、万博全体のプロジェクト管理、万博の交通計画総合プラン、夜間照明総合プランもすべて同済大学が担当している。周漢民上海万博局副局長は、世界中のどの大学、中国国内のどの大学の果たした貢献も、同済大学が万博のために果たして来た貢献、果たしつつある貢献にはかなわないだろう、と述べた。

17. 国際サステイナブルキャンパス建設のために模範事例の提供――同済大学建築省エネセンター節約型キャンパスモデルプロジェクト

 節約型キャンパス建設プロジェクトの素晴らしい成果と国内における中心的な先導作用により、同済大学は2009年度第3回国際サステイナブルキャンパス大会(Internet Sustainable Campus Network, ISCN)の高い評価を受け、同大会で初めて設けられた世界サステイナブルキャンパス卓越成果賞において、社会的影響卓越成果賞第2位にノミネートされた。同済大学の節約型キャンパスの事例はバーゼル(Basel)国際エネルギーフォーラムの典型事例に採用された。本センターは国際サステイナブルキャンパスに関連した模範的活動に積極的に参加しているところである。

18. アジア・アフリカのための奉仕――UNEP-同済大学環境・持続可能な発展学院(IESD)/同済都市計画設計研究院など

 アフリカの旱ばつ地域の水不足に対処するため、都市排水造林の技術研究に取り組み、3つの国に都市排水造林モデル基地を建設した。アフリカ連合(African Union)のために新しいアフリカ連合会議センターを設計し、アンゴラ(Angola)の首都ルアンダ(Luanda)のために都市計画プロジェクトなどを実施した。20世紀70年代、同済大学は機械・電力、建築工学、建築学の分野の教授を相次いでイエメン(Republic of Yemen)サヌア技術学校に教員として派遣し、同校の管理業務にも参加させた。その後、同校はサヌア大学(Sana’a University)へと発展し、双方は1990年、大学間協力協定を締結した。

19. 国際交流・協力を学部・学科の成果審査へ組み入れ――同済大学運営品質評価院

 同済大学は各学部・学科の国際化事業について一定の要求を提示し、規定にしたがって項目ごとに点数をつけ、大学の年度事業成果審査白書に入れている。


国際共同運営 共同運営プロジェクト 国際コース
国際共同科学研究 科学研究プロジェクト 国際会議主宰 国際プログラム会議での特別招待講演
中国人教員・学生の
外国へ行っての交流
教員交流(長期/短期) 学生交流(長期/短期) 国際学術組織で役職担当(委員/主席/理事)
外国の専門家または海外の訪問学者を招聘(長期/短期/学術報告)
外国人学生・博士研究員 学位取得を目指す学生(学士/修士/博士) 学位取得を目指さない学生(長期/短期)
博士研究員

20. 教育の質に国際的な比較可能性(comparability)と互換性(compatibility)を持たせるべく努力――同済大学教育品質保証(quality assurance)体系

 質は教育の生命線である。大学は確実な学内の品質保証を後ろ盾として持つことで、初めて国際的に信用を確立することができ、大学の国際化もスムーズに進めることができる。本科教育から大学院生教育まで、同済大学はすでに教育品質目標の設定、教育資源と目標の適切性から、教育条件の保障、教育過程の全方位モニタリング、さらにはモニタリング後の各種情報の分析、フィードバック、改善状況に対するモニタリングに至るまでの循環閉鎖型品質保証体系を確立し、しかも絶えず改善中である。また、一部のプログラムは海外の専門認定機構の専門認定(professional accreditation)を受けている。たとえば、土木工学学士学位プログラムは英国土木学会と構造エンジニア学会の承認を得ており、このプログラムの卒業生は英国の土木・構造工学プログラムの卒業生と同等の専門知識と能力を持っているものとみなされる。上海国際MBA(SIMBA)プログラムはAssociation of MBAs(AMBA)の認定を受けている。中独工程学院の機械電子工学(Mechatronics)、自動車サービス工学(Automotive Engineering & After-Sales Service)、建築施設インテリジェント技術(Building Service Engineering)の3つの学士学位プログラムはドイツの専門認定品質保証機構(Agentur fur Qualitatssicherung durch Akkreditierung von Studiengangen)の専門認定を受けている。

 国際化は大学事業のさまざまな面に浸透している。それは孤立して発展することはあり得ないが、また避けて通れない命題でもある。大学の各種業務が一定のレベルにまで達したなら、国際化はぜひとも議事日程に上らせなければならない。そうしなければ、国際化などまったく論じようがないのである。

中国の大学の国際化についての展望

 中国が収めてきた輝かしい経済的成果はグローバル化と密接に関連しており、今日の中国はすでに世界のグローバル化の重要な一部分となっている。中国経済は必然的に改革開放という国策の指導の下に、グローバル化の進展の中で前進し続けなければならないのであり、したがって、人材による支えは絶対に欠かすことのできないものである。まさに温家宝総理が述べたように、「国運の興亡は教育にあり、一流の教育があってこそ、一流の人材があり、一流の国家を建設することができる」のである。中国の大学が一流になるプロセスは、大学国際化のプロセスでもある。「先進的な教育理念を確立し、伝統的観念と体制の束縛を打ち壊し、大学の運営体制、教育内容、教育方法、評価方式など多くの面で大胆な模索と改革を行う」(温家宝)こともまた、このプロセスの中でこそ成し遂げられるものなのである。中国の大学の国際化はすでに国家の中核的競争力に影響を与える重要な要素の一つとなっており、国の発展戦略の一つの重要な側面である。未来に目を向け、中国の大学の国際化は必ずやより大きく、より速く、飛躍的に発展していくに違いない。中国の大学は国際化の進展の中で、己の伝統と特色をしっかり守り、学術の独立、自由、尊厳をしっかり守ることに常に注意を払い、中国と外国の学生の双方向「輸出入」のバランスを保つよう努めるに違いない。国際化とは多元化であり、「和して同ぜず」、一致に向かうが同一ではない、ということである。大学の国際化は西洋化ではなく、ましてアメリカ化ではない。これは中国の大学の共通認識である。

 著者は中国の大学の国際化に対し、次のように展望している。

  1. 大学は部分的、分散的な、各学部・学科が一定程度各自で物事を処理する国際化から、全体目標を具えた、戦略的計画のある、制度保証のある、管理に支えられた、段取りを踏んだ国際化へと変わっていく。一流の運営思想と大学精神、一流の大学文化とソフト面の環境を育成することに重点を置く。大学の多部門、多学科が参加した国際協力協調メカニズムを確立し、大学の資源を整理統合し、教育、科学研究、人材、学科建設、管理等における国際協力の全面的な、調和のとれた、効果的な、スピードの速い発展を促していく。
  2. 大学国際化の事業は大学の各学部・学科、各部門においてさらに重視され、改善されることになる。各学部・学科は教育、科学研究、教員、管理の各方面の発展を、国際的に参照できる学部・学科の中に置いてみることで比較、点検を行い、それによって改善を行う。大学の各関連行政管理部門は管理要員のレベルと資質をさらに引き上げ、規則制度を新しくし、国際化を自部門の通常業務に組み入れ、順序立てて実施するようになる。
  3. 中国の大学は国際組織、各国政府、一流大学、権威ある研究機関、多国籍企業、国際銀行、大学連合、各種学術団体、学者個人などとの交流協力を計画的に拡大し、深めていく。中国の大学はアジア・アフリカの発展途上の国・地域との交流協力を強化していくに違いない。
  4. 大学はいくつかの教育拠点でスタートした教育国際化から、大面積の教育国際化へと向かっていく。中国人学生に適した国際化コースだけでなく、外国人学生に適した国際化コースもできる。大学教育の質はしだいに国際的な比較可能性、互換性、国際競争力を高めていく。中国の大学は海外、特にアジア・アフリカの国と地域に教育拠点を増設していく。
  5. 大学はいくつかの学科チームでスタートした科学研究国際交流協力から、大学の戦略的配置にしたがい、より深く広い科学研究の国際化へと向かっていく。科学研究全体の実力が高まり、国際産学研が増える。いくつかの学科分野で、中国の学者がしだいに国際的に発言権を得、より多くの国際学術会議が中国で開かれるようになる。
  6. 大学は計画的に、より多くの中国人教員をグループに分けて外国へ勉強に行かせ、より多くの海外の教員を中国の大学に入れるようになる。教員集団の国際化の度合いが徐々に増す。
  7. 大学は計画的に、中国人学生の学習期間における海外体験の機会が増えるようにする。これは単に専門知識と能力を高めるためだけではなく、より重要なのは、世界のさまざまな地域の、さまざまな歴史と文化的背景を持った人々と共存し、異なる価値観を受け入れることを学ばなければならないということである。海外での学習は条件のよい大学では、専門教育計画の中の一つの必要な構成部分となる。
  8. 大学の国際化環境が日増しに改善される。より多くの外国人教員・学生が引き付けられ、中国で教え、学ぶようになる。特に学科のリーダー、優秀な学生が入ってくる。中国人教員・学生と外国人教員・学生の関係が日増しに密接になる。
  9. 中国語・外国語の教育が、多言語、多文化へと発展していく。孔子学院がさらに増える。
  10. 中国の自然科学、人文社会科学が徐々に世界に広まり、日増しに大学国際化の双方向性が具現化する。世界に対する中国文化の吸引力、世界に対する中国の大学の影響力がしだいに強まる。
  11. 中国政府は調和のとれた世界の建設を提唱しており、大学の国際化がさらに深く進むにつれ、中国の大学は世界平和、人類の健康、世界気候、環境の安全、クリーンエネルギー、持続可能な発展、科学技術イノベーション、文化の継承とイノベーションなどの面で重要な役割を発揮することになる。
  12. 中国の大学は国際的に通用する教育品質保証体系を徐々に確立し、各種国際学位の相互認定、単位の相互認定、専門認定を得るに違いない。国内外の各方面に教育の質に対する安心感を与える。

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