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中国の軟部組織肉腫の治療・研究の現状と展望

2010年 6月10日

方志偉

方志偉(Fang Zhiwei):北京大学医学部 教授

1955年1月生まれ。北京大学臨床腫瘍学院主任医師、医学博士。北京市腫瘍予防治療研究所、悪性腫瘍発病メカニズム・転化研究教育部重点研究室研究員。北京大学医学部教授、博士課程指導教官。日本東京医科歯科大学、癌研究会付属病院、日本国立がんセンター、米国MD Anderson Cancer Centerなど留学、研修経験があり、現在中国骨・軟部組織肉腫臨床治療の専門家である。国内外多数の論文を発表した。

 軟部組織肉腫(soft tissue sarcoma、STS)は最もよく見られる肉腫であり、2008年のアメリカにおけるSTSの発生数は10390例であった。ヨーロッパの発病率は8000~9000/年である。中国には流行病学の統計データが乏しいが、その発病率はアメリカ、ヨーロッパと似たようなもの(約2~3/人口100,000)と推測される。STSの5年生存率は50~60%で、あらゆる年齢の全身の各部位に発生し得る。データが示すところでは、四肢が最もよく見られる発病部位で、すべての症例の約1/2を占めており、その他の比較的よく見られる発病部位には後腹膜、頭頸部、躯幹がある。さまざまな組織亜型と腫瘍の発生する解剖学的部位には密接な関係がある。四肢肉腫は悪性線維性組織球腫(多形性未分化肉腫)、脂肪肉腫、滑膜肉腫が多く見られる。一方、後腹膜肉腫の中では、滑膜肉腫と悪性線維性組織球腫は相対的に珍しく、平滑筋肉腫と脂肪肉腫が大多数を占めている。

1. 臨床評価

1.1 臨床症状

 中国のSTS患者の約2/3は無痛性瘤腫として診察を受けており、成長が比較的速い場合の病歴は数か月から半年だが、成長が比較的ゆっくりの場合もある。腫瘍の部位により、一部の患者には最初から疼痛が現れ、一般に末期になるといずれも痛みがある。多形性未分化肉腫の発生部位は、四肢と躯幹のほか、内臓器官にも発生し得る。滑膜肉腫はほとんどが四肢の大関節付近に発生するが、ただし関節腔内に波及することはめったにない。脂肪肉腫は臀部と大腿部に発生しやすい。STSの体積と悪性度に必然的関係はない。四肢STSに局所リンパ節転移が発生することは比較的珍しく<15%だが、それでもなお区域リンパ節の状況について常用検査をすべきである。四肢軟部組織腫瘍の患者はさらに、神経損傷の症状を伴っていないかどうかも検査しなければならない。

1.2 画像検査

 治療前の画像検査の目的は、腫瘍の大きさ、近隣の臓器及び血管との関係をはっきりさせることにある。上の情報に基づいて腫瘍の性質とステージが判断でき、同時に、手術計画の立案と放射線化学療法の効果評価のための根拠を提供することができる。1)X線検査:主にSTS内部のいくつかの特殊な変化を理解する。例えば、腫瘍の分葉状況、腫瘍内部の骨化、軟部組織内部の軟骨肉腫、骨肉腫など。2)超音波検査:深部のSTSについて、触診では発見しにくく、または触診ではっきりしないときは、超音波検査を行うのが便利で近道である。3)CT検査:CT値によって腫瘍の組織密度が理解でき、確定診断にとって有意義である。強化スキャンは腫瘍と重要な血管の関係、腫瘍内部の血行の状況を見ることができる。CT検査はさらに手術計画の立案、切除の範囲を導く上でも役に立つ。4)MRI検査:MRIは矢状面に画像を作ることができるため、軟部組織腫瘍の診断において、腫瘍の範囲、腫瘍周囲の浮腫組織をはっきりと示すことができる。MRIを通じて腫瘍の内部構造、出血・嚢胞変性・壊死がないかどうかを知ることができる。

1.3 生体組織検査

 原発病巣の治療に先立つ生検は非常に重要である。一般的に言って、どのような成長の速い軟部組織腫瘤または体積>5cmの腫瘤も、すべて生検を行わなければならない。中国では生検の方法は低侵襲技術が第一に選ばれており、中空針生検(CNB)は診断に用いる十分な組織を提供することができる。CNBと比べると、切除生検は病理診断のためにより多くの組織を提供できるが、ただし切除生検は、麻酔リスク、出血、傷口癒合の問題等といった合併症が比較的多い。狭い切除縁を選択し、あるいは腫瘍の一部だけを切除することにより合併症を減らすことができるが、切除生検術は小さな表在性腫瘍、または穿刺では診断のしにくい患者にしか用いない。

1.4 ステージ

 STSは相対的に珍しく、発生部位がまちまちで、すでに知られている組織亜型は50種を超え、しかもステージもさまざまであるため、正確で実用的なステージングシステムを確立するのが非常にむずかしい。第6版AJCC及びUICCはSTSのステージングに広く用いられている。このシステムは四肢腫瘍にも、躯幹、頭頸部及び後腹膜腫瘍にも適用するが、胃腸管肉腫またはその他の実質器官の腫瘍には適用しない。

2. 治療

2.1 限局性の四肢に原発したSTSの手術治療

 中国では外科手術は、限局性原発性STSの第一に選ばれる治療である。四肢STSについては、さまざまな治療方法の応用にともない、限局性四肢STSの多くが患肢温存手術を採用しており、切断が必要とされるのは患者の10%にすぎない。

 十分な局所切除は、原発腫瘍と周囲部分の正常組織を切除しなければならない。腫瘍偽被膜沿いの剥離は局所再発率と関わりがあり、局所再発率は33%~63%である。周囲の正常組織切除縁を含む広範囲な局所切除の局所再発リスクは著しく低下し、約10%~31%である。

 皮膚黒色腫の切除に際しては、術中に目盛付定規を使って肉眼手術切除縁の測定を行うことができるが、ただしSTSの肉眼手術切除縁の評価はまだそれほど正確には行うことができない。決して、すべての軟部組織が腫瘍の蔓延に対してバリア作用を果たすわけではない。例えば、筋膜のバリアを含む小さな切除縁は通常、筋膜を含まない大きな切除縁よりも安全である。日本癌研病院の川口智義教授は、STSの成長を阻むことのできる生体の一部の組織をさまざまな厚さのバリアに分けているが、厚いバリアには、厚い筋膜、小児の骨膜、乳幼児の骨端線が含まれ、3cmとして計算している。薄いバリアには、薄い筋膜、血管外膜、小児の骨端線が含まれ、2cmとして計算、関節軟骨は5cmとして計算し、腫瘍とバリアの間に正常組織のあるバリアの外側は5cmとして計算、バリアのない部位は直接、距離にしたがって計算している。この分類に立てば、高悪性STSについては、バリアから2cm以上離れた切除縁が必要であり、バリアのない部位は5cmが必要とされる。低悪性STSについては、バリアから1cm以上離れた切除縁が必要であり、バリアのない部位は2cmが必要である。また、高悪性STSの術前放射線化学療法が十分に有効である患者の場合、バリアのある部位についてはバリアから1cm離れた、もしくはバリア辺縁の切除でもかまわない。

 患肢温存治療の応用はますます広がっているが、しかし切断術は依然として一部の局所性進行期肉腫の治療方法である。

 中国では、切断手術を受けるかどうかについては、必ず患者の意思に従うか、あるいは患者が以下の特徴を具えていなければならない。――非常に大きな軟部組織腫瘤または皮膚への浸潤、主要な動脈または神経への浸潤、深刻な骨浸潤により全部分の骨切除を必要とする場合、術前化学療法または放射線治療の失敗、補助放射線治療後の腫瘍再発。切断術は通常、すでにはっきりした転移のある患者には適用しない。患肢温存の意思のない患者については、切断術は良好な疾病制御を達成することができ、しかも術後の回復も早いので、四肢STSの治療において、切断術は依然として一定の価値を有している。

 成人のSTSはリンパ節転移の発生する確率が低いため、多数の患者は通常の局所リンパ節郭清術を行う必要がない。だが、血管肉腫、胎児性/胞巣状横紋筋肉腫、明細胞肉腫、類上皮肉腫は局所リンパ節転移の出現するリスクが比較的高いので、詳しく検査すべきである。この種の患者は前哨リンパ節生検の実施を考慮し、その上でさらなる手術治療について決めるべきである。治療的リンパ節郭清術は、病理検査でリンパ節に波及し、かつ遠隔転移のないことが実証された患者に適用する。治療的リンパ節郭清術により生存率は34%にまで達している。

2.2 総合治療パターンの患肢温存治療

 現在、ほぼ90%の限局性四肢肉腫は患肢温存治療を採用することができる。このような方法の応用はアメリカ国立癌研究所(NCI)のⅢ期臨床実験に基づいており、この実験は切断と、術後放射線治療の助けを借りた患肢温存の治療効果を対比したものであった。両グループの患者には、いずれもドキソルビシン、シクロホスファミド、メソトレキセートの術後化学療法が行われた。9年以上にわたる経過観察の結果、患肢温存術と術後放射線化学療法の併用は四肢の機能を残したばかりでなく、疾病相関の生存率が切断術とほぼ同じであった。この実験は限局性STSの標準治療としての患肢温存術の基礎を築いた。切断術は、腫瘍浸潤が重要な影響をもつ神経血管で、患肢温存の実現が難しい場合にしか用いない。放射線治療はSTSの患肢温存治療の最も重要なバックアップ措置である。

2.3 放射線治療

2.3.1 手術と放射線治療併用の原理

 手術と放射線治療を併用してSTSを治療するには、次の2つの前提が備わっていなければならない。1)顕微鏡下の腫瘍病巣及び残存病変が放射線治療により消滅させられることができる。2)放射線治療と結びつけることで、小さな根治的手術が実現できる。通常、STSは放射線治療に抵抗性であると考えられるが、しかし体外肉腫細胞系についての放射線感受性分析が示しているように、肉腫の放射線感受性はその他の肉腫と同じであり、したがって1つ目の前提を支持している。多くの四肢、躯幹、乳房、頭頸部の肉腫について、2つ目の前提は形姿(可能な限りの美しさを含む)と機能の保存を重点的に強調している。放射線治療は後腹膜、頭頸部、脊柱傍の病変にも適用する。

2.3.2 放射線治療と手術の順序

 術前放射線治療の長所には、総放射線量が低いこと(30~50Gy)、照射野が小さいこと等があり、それによって浮腫、線維化等の晩期合併症は減少しているが、ただし放射線治療に関連した損傷は術後の傷口癒合の合併症を増加させた。術後放射線治療は正確な病理診断と臨床ステージと切除縁の状況に基づいて実施することができるが、ただし術後放射線治療はしばしば比較的大きな放射線量(65Gy)を与え、貧血、線維化などの晩期合併症が著しく増加する。したがって、手術と放射線治療の順序の比較判断は個別化し、かつ患者と詳しく話し合うべきである。

 我々の一組の隆起性皮膚線維肉腫216例の臨床資料では、放射線治療を受けた患者の術後再発率は20%で、放射線治療未実施組より低くなっている。放射線治療はSTSの治療において、はっきりした効果を上げている。北京大学腫瘍病院における軟部組織肉腫の放射線治療は、高悪性腫瘍の術後放射線治療、特に手術切除縁の範囲が十分でない場合に、多く用いられている。手術前の放射線治療は腫瘍の距離が重要である神経、血管付近に多く用いられる。手術前の放射線治療により、腫瘍局所の切除率が増し、患肢温存率が高まっている。

2.4 化学療法

2.4.1 軟部組織肉腫の化学療法

 我々はNCCN軟部組織肉腫化学療法指針にしたがい、軟部組織肉腫化学療法に以下のような薬品を有している。

 併用化学療法薬:

 AD(ドキソルビシン、ダカルバジン)、MAI(メスナ、ドキソルビシン、イホスファミド)、MAID(メスナ、ドキソルビシン、イホスファミド、ダカルバジン)、ゲムシタビンとドセタキセルの併用。

 血管肉腫の化学療法薬:

 タキソール、タキソテール、ビノレルビン

 硬性線維腫(侵襲性線維腫)の化学療法薬:

 スルフィニルインデン酢酸またはその他の非ステロイド抗炎症薬(NSAIDS)。セレコキシブ、タモキシフェン、トレミフェン、メトトレキサート、ビンブラスチン、低用量インターフェロン、ドキソルビシンをベースとした薬品、メシル酸イマチニブを含む。

 2002AJCCは3段階または4段階システムによってグレードを分けることを推薦している。だが、中国の臨床医は2段階のグレーディング方法を用いるのを好む(低グレードと高グレード)。

 検査結果に基づき、患者は以下の数種類に分けることができる。

 低グレード腫瘍(Ⅰ期)、高グレード腫瘍(Ⅱ期またはⅢ期)、腫瘍を切除することができず、再発し、または遠隔転移が存在する。

 低グレード腫瘍(Ⅰ期)。手術はⅠ期腫瘍を治療する主要な方法であり、切除縁が1cmを超え、または深筋膜が完全である場合は、その他の治療を必要とせず、化学療法は必要ない。肉腫治療のテストにおいて、原発または局所再発の四肢軟部組織肉腫はランダムに2グループに分けられる。1グループは化学療法と手術を受け、もう1グループは手術だけを受ける。2グループの患者の局所制御率と無進行生存期間はほぼ同じである。

 高グレード腫瘍(Ⅱ~Ⅲ期)。非常に大きな高グレードの四肢肉腫(>8cm)は再発及び転移のリスクがかなり高く、術前治療を行う必要がある。多くの治療センターは術前化学療法または放射線化学療法によって腫瘍のステージを下げ、それにより有効な外科切除を、特に一部の化学療法敏感者に対して行っている。ドキソルビシンをベースとした同時放射線化学療法は軟部組織肉腫の局所制御率を高めることができる。再発へのリスクが高いことを示す初歩的な証拠はあるものの、一般的状況が良好な患者では、術後にアントラサイクリン系をベースとした化学療法を行うことにより、無病生存期間を改善することができる。

 切除不能な腫瘍は、まず術前放射線療法、化学療法または放射線化学療法を行うことができる。術前治療によって手術切除ができるようになった場合は、手術をし、さらに術後放射線治療、化学療法または放射線化学療法を行えばよい。切除不能な腫瘍の患者は、術前治療後に症状がなくなった場合には、観察を行えばよい。明らかな症状がある場合は、化学療法、放射線治療、待期手術、支持治療を含めた待期的治療を直接考慮する。

 軟部組織肉腫は適切な手術方式によって切除することができるが、ただしハイリスク要因を伴っている(腫瘍が非常大きいか、浸潤が比較的深い)場合は、依然として高い再発リスクが存在し、最終的に死亡に至る。ハイリスクの肉腫病例については、新補助化学療法(手術前化学療法)を強く推薦する。

2.4.2 術後化学療法

 一部のSTSは初期治療後に局所または限局再発が出現する可能性があるが、しかし患者の生命を本当に脅かすのは制御不能な微小転移または大きな全身転移である。したがって、全身的な治療手段の早期応用が微小転移に影響を与え、ひいては総生存期間及び無病生存期間を改善することができるかどうかということは、依然として一つの検討に値する問題である。

 中国において、補助化学療法または新補助化学療法はEwing肉腫/原始神経外胚芽葉性腫瘍(PNET)、横紋筋肉腫、骨肉腫に対する適切な標準治療である。だが、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、一部の悪性線維性組織球腫(MFH)といった多数のSTSに対しては、化学療法の効果は比較的小さい。そのため、STS患者に化学療法を行うにあたっても個別化の原則を採用することが必要である。今のところまだ転移性肉腫の病状の進行を食い止める有効な薬品はないが、イマチニブによる胃腸間質性腫瘍の治療の成功は新たな全身薬物治療の希望を与えており、化学療法の最終目的は患者の治癒率を向上させることにある。

 現在、アントラサイクリン系とイホスファミドをベースとした化学療法はSTSの標準的補助化学療法である。ドキソルビシンが登場して以来、すでに12件を超す臨床研究がSTSに対してアントラサイクリン系薬品をベースとした補助化学療法を採用しており、いくつかの研究は、化学療法がSTSの10年無病生存率を45%から55%に高め、局所無病生存率を75%から81%(p=0.016)に高めたことを示している。重要なのは、10年総生存率が50%から54%に高まったことで、その差に統計学的意味はないものの、明らかな上昇傾向(p=0.12)が見られる。

 近年、さまざまなターゲットに作用する新薬が続々と臨床研究に参入するとともに、軟部組織肉腫に対し有効であることを初歩的に示している。その中には、タキソール、アドリアマイシン脂質体、ゲムシタビン、トポテカン、ET-743(Trabectedin)、AP23573(ラパマイシン類似物)等が含まれている。

2.4.3 術前化学療法

 術前化学療法(新補助化学療法)は理論的には術後化学療法よりも優位性がある。まず、術前化学療法は体内の化学療法感受性の証拠を提供している。術前化学療法が有効である患者は術後化学療法から益を得る可能性がより大きく、術前化学療法が無効である患者は術後化学療法から得る益が非常に小さいか、または益を得ることがなく、化学療法の毒性反応だけを受け入れる。術前化学療法の2つ目の優位性は、腫瘍診断が明確になった後、できるだけ早く微小転移巣に対して治療を行い、或いは術後の微小転移巣の進行を防ぐことができることである。術前化学療法の3つ目の優位性は、化学療法が腫瘍体積を縮小し、術後の放射線照射野を縮小することができ、また完全切除のできない腫瘍を完全切除可能に変え得ることである。四肢の非常に大きなSTSについては、化学療法は患肢温存手術後の合併症を減らすことができ、さらに切断の必要な患者に患肢温存手術を受けさせることさえできる。

3. 予後要因

3.1 臨床病理学的要因

 予後に影響を与える既知の3つの臨床病理学的要因は、腫瘍の大きさ、四肢または躯幹筋肉組織に対しての解剖学的深度(表在または深部)、組織学的グレードである。これらの要因はAJCCステージングシステムの中の構成部分でもある。このほか、解剖学的部位、組織亜型、切除縁の状況も非常に重要だが、しかし残念なのは、現在のステージングシステムがまだこれらの要因を含んでいないことである。その他の実体腫瘍と違うのは、STS局所再発の予後要因が遠隔転移及び腫瘍に関連した死亡の予後要因と決して同じではないということである。言い換えれば、局所再発の予後不良要因は必ずしも遠隔転移または腫瘍に関連した死亡のリスクの増加を招くわけではなく、逆もまた然りである。

3.2 手術切除縁の分類と予後の意味

 UICC(アルファベット“R”で表す)分類システムは、切除標本の評価に際して、外科医、病理医がともに腫瘍の切除縁の状況を記録すべきであることを求めている。切除縁が<1cmであるか、または術中に切除縁陽性の疑いがあることを発見した場合は、切除縁の詳細な評価を行わなければならない。R0切除は顕微鏡下で腫瘍残留がないことを表し、R1切除は顕微鏡下で腫瘍が残留していることを表す。R2切除は肉眼で腫瘍が残留していることを表す。R1切除は低グレードのSTSである場合は、術後に放射線治療が必要で、再発率は30%を下回る。R2切除の腫瘍再発率は補助治療を行っていない状況下では、局所再発率が100%に達し得る。

4. 展望

4.1 手術

 STSの手術治療について現在わが国に存在している主要な問題は、術後の高い再発率と術後の四肢の機能回復である。かなりの期間、STSの治療は総合外科または整形外科で行われ、腫れ物を見れば簡単に切除するという状況さえ出現し、多くの肉腫が最初に良性腫瘍として切除されたことが、頻繁な再発、絶え間ない切断という結果を招いた。また、一部の病院ではSTS診断について経験豊富な病理医が不足していたことも誤診誤治療を招く一つの原因であった。ここ数年来、STSはいくつかの腫瘍専門病院において専科治療の優位性が現れたことで、治療が徐々に規範化に向かい、喜ばしい局面が生まれている。

 手術治療はSTS治療の主要な手段であるため、医師が絶えず外科技術を高め、最良の手術計画を探し求め、局所再発率を減らすことが必要とされている。かなりの部分の再発の原因が医原性であり、そのうち最も主なものは切除範囲が不十分で、切除縁が陽性だということである。

 中国のSTSは過去数年間、専門科及び専門医による治療が不足していたため、全体再発率が比較的高かった。多くの腫瘍は術前診断がはっきりせず、術前に画像学的な細かい検査が不十分で、術中に腫瘍が決して術前の推測ほどには簡単でないことに気づくため、切除があまり徹底的でなく、術後の再発さらには転移によって、患者は最良の治療時機を逸する結果となっていた。今後、専門的治療はわが国においてますます重視されるので、手術は徐々に規範化に向かっていくと言わねばならない。

4.2 放射線治療

 強度変調放射線治療は一種の新しい放射線治療技術であり、強度変調放射線治療はその断面を変えることができることによって、さまざまな強度の照射を達成する。このような強度の変えられる線束は、ターゲット区域の必要に基づいて手直しが行えるうえ、その他の方法を通じて線量を評価することができる。これにより線束はターゲット区域の照射により接近し、その他の組織を損つけることを免れる。強度変調放射線治療は複雑な形状の肉腫に特に適用され、近年は後腹膜肉腫を含めた大きな腹腔内病巣の治療に用いられている。放射線治療計画及び実施改善に関わる研究が進行中であり、その結果が期待される。

4.3 化学療法

 大部分の肉腫には有効な化学療法薬がなく、新しい化学療法薬及び化学療法計画を打ち出すことがSTS治療の重要な部分である。今日、転移性STSまたは高悪性STSについては、アントラサイクリン系及びイホスファミドの併用をベースとして、さらにダカルバジン(DTIC)を加えている。現在研究が行われているゲムシタビン(Gemcitabine)とドセタキセル(Docetaxel)は、難治性、再発性、転移性の肉腫に有効で、しかも共力作用を有している。ゲムシタビン(Gemcitabine)とシスプラチン(Cisplatin)も有効である。

 現在、多くの協力センターの各種臨床試験が出している結果では、化学療法の有効率はまだ50%を超えてないという報道であり、新薬及び新しい治療方法の開発がさらに待たれている。

4.4 術前化学療法と放射線療法の併用

 その他の実体腫瘍の併用パターン治療の発展にともない、限局的STSの術前治療も徐々に併用パターン治療(同時放射線治療)へと転換している。潜在的メリットは、一部のどうしても切断の必要な患者に対し、術前化学療法は腫瘍を縮小させ、最終的に患肢温存術の採用を可能にするということである。

 骨及び軟部組織腫瘍の診断と治療には専門知識と豊富な臨床経験が必要だが、特に悪性の骨及び軟部組織腫瘍(肉腫)は比較的珍しい腫瘍であり、いい加減に扱えば、再発と転移の可能性が高くなり、その後の治療に多くの面倒をきたすことになる。我々は、患者に骨STSの疑いがあり、あるいはその診断を下した場合は、最初に必ず専門科または専門の医療機関で治療を受けなければならないと考えている。


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