第53号:動物科学
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中国における水産動物の栄養および餌料に関する生体エネルギー研究の進展

2011年 2月 9日

牛翠娟

牛翠娟(Niu Cuijuan):
北京師範大学生命科学学院分子・生理生態学 水生生物学教授
博士課程指導員

1965年6月生まれ。1992年3月 日本国北海道大学水産学部に在籍し水産学博士学位を取得する。1992年7月-1994年7月 北京師範大学生物学部において博士研究員を務める。1994年8月-現在 北京師範大学生物学部教授を務める。主な研究課題には、水産動物に関する栄養・エネルギー学研究、ストレス環境下にある水生動物におけるストレス反応メカニズムに関する研究、輪形動物の分子進化や生態学に関する研究などがある。発表済み研究論文100余本。代表的な著作:「基礎生態学」2007、高等教育出版社。「基礎生態学実験指導」2005、高等教育出版社。「英漢動物用語」2001、科学出版社。農業部に所属する水生野生動植物・国家級自然保護区審査委員会の委員。農業部に所属する国家水生生物資源保護専門家委員会の委員。北京市水産学会の常務理事。中国動物学会における両生類・爬虫類学分会の理事。中国生態学会における動物生態学専門委員会の委員。

 中国は水産養殖大国であり、世界の養殖総生産量の70%を占めている。1980年代から産業界における需要が急速に拡大したため、水産動物の栄養および餌料に関する研究も速やかに発展した。動物の生体エネルギー研究は、二次生産過程におけるエネルギー収支方程式C=F+U+R+G(C:エネルギー摂取量、F:糞便エネルギー、U:尿エネルギー、R:代謝エネルギー、G:成長エネルギー)の説明が中心であり、エネルギー収支における各構成要素間の量的関係やその影響要因の解明を目指している。水産動物に関する生体エネルギー研究は、水産養殖環境の改善、優れた養殖品種や餌料の選別、漁業生産力や養殖規模の確定、健康的な養殖生態系の管理といった分野で幅広く応用されている。水産動物の栄養学に関する研究が進むに伴い、生体エネルギーの分野から水産動物の栄養および餌料に関する研究を進めることも多くなっている。本論文では、関連する研究や学術交流に役立てていただくことを目的とし、中国における同研究の進展状況を総括的に紹介する。

1 エネルギー学のモデルに基づき、動物の成長効率の向上や餌料コストの軽減を模索する研究

 タンパク質、脂肪、炭水化物は、動物にエネルギーを提供する三大エネルギー物質である。このうちタンパク質は、魚類の成長や生命活動を維持するために欠かすことはできない。陸生動物と比べ魚類は、炭水化物の利用能力が低く、タンパク質への依存度が高い。しかし餌料の良質なタンパク質源である魚粉の価格は高騰を続けており、養殖コストを押し上げている。餌料の栄養素比率を調整することにより、魚類の成長を損なうことなく餌料係数を下げタンパク質を節約することが、栄養・エネルギー学早期研究のテーマの一つである。王珺[1]による餌料中のタンパク質レベルがスッポンのエネルギー収支に与える影響に関する研究によると、タンパク質レベルが33%の時に稚スッポンのタンパク質利用効率が最も高くなるほか、時間の経過と共に動物は低タンパク餌料に対し一定の適応性を示すことが明らかになった。Jia et al. [2]の発表によると、稚スッポン餌料における最適な動植物性タンパク質の比率は3:1であり、スッポンに対し多くの植物性タンパク質を利用できることが明らかになった。雷思佳ら[3]の研究によると、1日当たりの餌料レベルを体重の2%とした場合に、スッポンのタンパク質に対するエネルギー変換効率が最大となる。Du and Niu[4]は、オニテナガエビに異なるタンパク質レベルの餌料を与え、エネルギー収支に関する研究を行った。同研究によると、タンパク質レベル30%の餌料を与えた場合に、エビの摂餌量が安定し速やかな成長速度を維持できるほか、エネルギーの多くを身体の成長に利用することが明らかになった。さらにDu and Niu[5]は、餌料の動物性タンパク質を植物性タンパク質に代えた上で、オニテナガエビのエネルギー収支に及ぼす影響を観察した。同研究によると、植物性タンパク質を多く含んだ餌料は、エビのエネルギー代謝率を引き上げ、成長効率が大幅に低下することが明らかになった。このため植物性タンパク質への変更は動物性タンパク質の25%までにとどめるべきである。中国では多くの品種の魚類が養殖されている。さまざまな淡水魚の養殖に関し、餌料における最適なタンパク質レベルや窒素エネルギー比、魚粉に代わる廉価で新しい前駆体タンパク質の添加、必須アミノ酸の添加といった方法で魚類のタンパク質利用効率や成長効率を引き上げようとする研究が数多く行われている。代表的なものとして、中国科学院・水生生物研究所に所属する淡水に関する生態・生物技術の国家重点実験室・魚類生理生態研究チームによる一連の研究[6-7]および中国農業科学院・餌料研究所に所属する水産動物栄養・餌料研究室による研究[8]がある。しかし海水魚の養殖に関する研究は、淡水魚に関する研究に比べて著しく少ない。孫耀ら[9]の発表によると、クロダイやメバルの一種に高タンパク質レベルの餌料を与えた場合、タンパク質の消化と吸収がうまく行えず、タンパク質効率が低下する。黄建盛ら[10]の研究によると、コバンアジの成長効率は、1日当たりの餌料レベルの増加に伴い向上する。1日当たりの餌料レベルが5%の時、エネルギー摂取量のうち成長に供されるエネルギーは、飽食グループと比較して大差なかった。

 エネルギーモデルを応用した餌料や魚粉の節約によって養殖コストを軽減する研究において、魚類の代償発育に関する研究も注目されている。代償発育とは、動物を飢餓または栄養不足にさせた後、再び摂餌させると通常の個体成長速度を超えて成長する現象である。ある研究によると、8週間摂餌を制限したホッキョクイワナを飽食状態に戻したところ、成長率が急速に飽食個体を上回り、10週目には連続飽食個体より60%も高くなっていた。中国の研究者は、目下ソウギョ、フナ、シベリアチョウザメ、チョウコウチョウザメ、アムールチョウザメ、タイメン、マダイ、テラピアナイロティカ、ナンポウオオクチナマズ、ギギ、スズキ、ヤイトハタなど30種類を超える魚の代償発育について研究[11]を進めているが、その他の水産動物の代償発育に関する研究は不足している。安琪および曾暁起によるバフンウニの代償発育に関する研究によると、1-4週間の飢餓状態の後に摂餌を再開させたところ、最終的に完全な代償発育[12]が観察できた。代償発育のメカニズムは、摂餌率と消化吸収率の向上に関係すると考えられる。テナガエビ、コウライエビ、バナメイエビ、クルマエビの代償発育に関する研究においても、完全または部分的な代償発育現象が認められた。主に摂餌量の増加によって代償発育が実現しているが、テナガエビやバナメイエビの代償発育過程においては食物の変換効率の向上[13]も認められた。Xie et al. [14]の行ったスッポンの代償発育に関する研究によると、摂餌率の向上による部分的な代償発育のみが生じた。クサガメの場合も部分的な代償発育のみが認められた。またクサガメの代償発育現象は、他の多くの動物とは異なり、摂餌を回復しても1週間の遅れが生じる[15]。中国に生息するヨーロッパアカガエルの亜種は、飢餓後の再摂餌により完全な代償発育が認められる[16]。

 脂肪はエネルギーの高い物質であり、餌料に適量の脂肪を添加することにより、エネルギー消費に供されるタンパク質量を軽減できる。タンパク質の節約が可能なだけでなく、バイオフィルム構造の重要成分および脂溶性ビタミンの担体である必須脂肪酸が、水産動物の生育・成長に大きく寄与する。水産動物の餌料を調合する際、一般的に魚油や植物油によってエネルギー価を調節する。餌料における最適なタンパク質エネルギー比率を知ることができれば、タンパク質の利用、餌料利用率の向上、餌料コストの軽減につながる。魚類にとって最適な脂肪量やタンパク質エネルギー比率に関する研究が数多く進められている。中国において最も盛んに養殖されている淡水魚であるソウギョに関するさまざまな発育段階において異なる脂肪源を添加する一連の研究によると、ソウギョ餌料における適切な脂質の範囲は3~9%である。適量の脂肪を添加することによってソウギョの成長速度を大幅に早めることができるほか、タンパク質効率の向上や餌料係数の軽減を実現できる[17]。適切な脂質レベルは、魚の発育段階、脂肪源、餌料における他のエネルギー物質の分量などにより左右される。これまでにコイ科の一種、タウナギ、ギギ、アオウオ、チョウコウチョウザメ、イシビラメ)、ヒラメ、ボラなどの20種類を超える養殖魚に関する研究成果において、餌料への脂肪添加によるタンパク質の節約について触れられている。周弘軒[18]らの発表によると、餌料中の脂肪含有量が9%の時、チュウゴクモクズガニの呼吸によるエネルギー消費が他のグループと比べて著しく低く、成長効率も最も高かった。餌料における適切なタンパク質エネルギー比率は、水温、塩分濃度、餌料の成分、魚の種類、発育段階、食性といった要素により影響を受ける。一般的に肉食性魚類が必要とするタンパク質エネルギー比率は、雑食性や草食性魚類よりも高い。冷水性魚類は、効果的に脂肪を利用しエネルギーを得ることができる。研究によると、餌料中の脂肪含有量を30%としたニジマスは、相対成長率やタンパク質效率の面で脂肪含有量が15%のグループよりも大幅に優れていた。しかし餌料中の脂肪含有量が高すぎると、水産動物の脂肪肝を引き起こし、肝臓の脂質代謝異常や破壊性変化を誘発する[19]。

 炭水化物のエネルギー価は、タンパク質や脂肪よりも低いが、廉価なだけでなく、分解によって放出されるエネルギーによりエネルギー消費に供されるタンパク質量を軽減することができるため、タンパク質の節約、餌料コストの軽減、アンモニア態窒素の排泄抑制につながる。しかし水産動物における炭水化物の利用能力は、陸生の恒温動物に比べはるかに劣っている。水生養殖動物の餌料に含まれる炭水化物の利用能力や効率を向上させるという科学的テーマが注目されている。多くの研究者は、餌料に含まれる炭水化物の種類、含有量、加工方法、魚類の食性、消化率、内分泌系、糖代謝といった分野において膨大な研究を推進している。一般的に草食性や雑食性魚類における炭水化物の利用能力は肉食性魚類よりも高い。また温水性淡水魚が必要とする炭水化物の量は、海水魚や冷水性淡水魚よりも多い。研究によると、草食性のソウギョに与える餌料の糖質含有量が50%に達しても、ソウギョは高い成長効率を維持できる。雑食性のケンヒーやコイに与える餌料における適切な炭水化物の含有量は約25%である。肉食性のアオウオに与える餌料における炭水化物の含有量は20%以下にすることが望ましい[20]。海水魚であるクロダイ、ヒラメ、スズキが必要とする炭水化物の量は約15%である[21]。魚は発育段階によって炭水化物の利用能力が変化する。一般的に仔魚期から稚魚期は利用能力が低く、成魚期になると利用能力が向上する。魚類における炭水化物の利用効率に影響する他の要素には、炭水化物の種類、摂餌頻度、環境温度、餌料の成分構成などがある。エビ、カニ、その他の水産動物が必要とする炭水化物の量に関する研究は少ない。王興強らの発表によると、バナメイエビは、餌料に含まれる蛋白質や炭水化物の数値が低くなるに伴い、成長率や餌料吸収率が低下する。銭国英らの研究によると、チュウゴクモクズガニに与える餌料における適切な繊維質の含有量は3%である。高紅建らの研究によると、ガザミに与える餌料における適切な粗繊維の含有量は5%未満である[22]。エビやカニの体内における繊維分解酵素の活性度は低いが、餌料中に少量の繊維質を添加することにより、消化管の蠕動や消化酵素の分泌を助け、消化機能を正常に保ち、タンパク質などの栄養素の吸収を促進することができる。

2 養殖環境において継続運用する栄養制御へのエネルギーモデルの応用

 集約化、高密度、人工合成餌料の大量投与といった養殖モデルは、残余餌料や排泄物が大量に発生するため、養殖環境は著しく汚染される。結果として養殖業界の持続的な発展が阻害されている。科学的な餌料の調合によって、餌料効率の向上、残余餌料の低減、窒素、リン、硫黄の排出量削減を推進することは、栄養制御を実現し継続利用が可能な養殖環境を整備する重要な手段である。残余餌料や糞便は水産養殖における最大の汚染源である。栄養物の生体エネルギーモデルを確立することにより、特定の養殖条件に合わせた給餌モデルの制定、給餌量の調整、餌料消化率の向上を実現することが、水産養殖における汚染物質を削減する最も効果的な手段となっている。解綬啓[23]は、ナイルティラピアに関するエネルギー収支の各主成分および摂食レベル、体重、温度の関係に基づくサブモデルを確立した。そして前述の基盤に基づきナイルティラピアの生体エネルギーモデルを構築した。また最大摂食率モデルを運用すると共に、ティラピアの栄養必要量に関する資料を組み合わせ、理論上のタンパク質やエネルギーの必要量を算出した。さらにエネルギーモデルに基づき天然餌料の価値に関する仮説を立てたほか、必要量と天然餌料量の差額に基づきティラピアの小割生け簀養殖における栄養補給用補助餌料の栄養必要量を算出した。これらの魚類栄養学とエネルギー学を効果的に組み合わせた集約化養殖の科学的管理に関する一連の研究は、中国における栄養・エネルギー学研究の方向性を示している。解綬啓の研究チームは、ギベリオブナに関する一連の研究においても、主な栄養素の必要量、主要原料の利用、餌料に含まれる有毒・有害物質の影響、品種による栄養特性の違いなどを概ね解明しており、生体エネルギーモデルを利用したギベリオブナの適切な給餌モデルを確立した。科学的で動的な給餌技術管理は、餌料コストの削減や養殖環境の汚染防止に貢献している。北京師範大学の牛翠娟研究チームは、河北師範大学の楊振才研究チームと共に、スッポンに関する一連の栄養・エネルギー学研究を行い、さまざまな養殖環境下におけるスッポンの生体エネルギーモデルを確立した。多くの研究者は、水産養殖における種類や養殖モデルの多様さという中国特有の事情を考慮し、代表的な種類を選択した上で、一連の栄養・エネルギー学研究を展開中である。代表的な種類とは、草食性のソウギョやエゾアワビ、雑食性のギベリオブナ、ティラピア、チュウゴクモクズガニ、バナメイエビ、肉食性海水魚のスズキ、ハタ、フウセイ、スギなどである[24]。

 生体エネルギーモデルには、最も基本的なエネルギー収支方程式に加え、窒素収支モデル、リン収支モデル、炭素収支モデルなども派生している。これらの派生モデルは、餌料における栄養素の含有量や動物における各種栄養素の吸収利用と密接に関連しており、研究者の注目を集めている。投与する餌料のうち10-20%は水中に溶解し失われ、酸素を消費して分解する際に窒素やリンを放出する。摂食される餌料に含まれる窒素の20-25%およびリンの25-45%は成長に用いられるが、窒素の75-80%およびリンの60-75%は糞便や他の代謝物質として水環境に放出される。これらが長期間にわたって少しずつ積み重なり、水の富栄養化が進む。この点を考慮した研究者は生態栄養学に基づく理念を提唱している。近年多くの研究者は、エコロジーや環境保護の観点から水産動物の栄養必要量を研究するようになっている。李勇らは、カラアカシタビラメのタンパク質に対するエコロジーな栄養必要量を研究し、飽食度90%が最もエコロジーであることを発見した。この研究チームは、イシビラメの稚魚に関する類似した研究により、動物性タンパク質と成長や養殖水のアンモニア態窒素レベルとの間にある動的な規則的関係を解明した。李勇らは、バナメイエビに対する研究により、クルマエビの1日当たりのタンパク質レベルと1日当たりの窒素増加量や1日に排出される有機態窒素の定量的および動的な変化関係を解明した。クルマエビの養殖水におけるアンモニア態窒素、亜硝酸態窒素、リン酸塩の濃度は、いずれも餌料のタンパク質レベルの向上に従い上昇する。クルマエビの重量増加率は、タンパク質レベルの向上に従い、まず上昇し後に低下する。また餌料係数の変化モデルはその逆である。重量増加率が最も高かったタンパク質必要量は43.7%、成長率や窒素排出量の削減率が最も高かったタンパク質必要量40.42%だった[25]。豚や家禽に関する研究によると、1日の給飼量を理想モデルに基づき調合し、必須アミノ酸のリシンやメチオニンなどの含有量をバランスよく最適化した際、1日当たりのタンパク質の含有量を効果的に引き下げても生産性に影響はない。加えて糞便や代謝廃棄物としての窒素の排出量を25-50%削減できる。また飼料にプロバイオティクスを添加すると窒素排泄を25%削減でき、フィターゼを添加すると1日当たりの飼料に含まれる有効態リンを30-50%削減できる。中国の研究者が進めている栄養制御を応用した養殖水の窒素・リン汚染の抑制に関する研究には次のものがある。①窒素の栄養制御。主に餌料に含まれる窒素の含有量を引き下げると共に、水産動物の餌料に含まれる窒素の吸収効率を高めることにより、代謝廃棄物である窒素の排出量を削減する。この分野における研究には次の幾つかの内容も含まれる。栄養バランス理論の応用および理想アミノ酸モデルを採用した餌料配合により、動物の栄養素に対する消化吸収や餌料の利用率を引き上げる。脂肪や炭水化物をエネルギー物質として利用することにより、餌料中のタンパク質を節約し窒素排出量を引き下げる。餌料の加工技術を改良することにより、餌料が水中に溶け出すことを抑制する。餌料添加物を利用し、餌料の消化吸収率を引き上げる。よく使用される餌料添加物には、酵素製剤、微生物生態製剤、誘食剤、ベタインなどが含まれる。②リンの栄養制御。リンの栄養制御も同様に、餌料に含まれるリンの含有量を引き下げると共に、水産動物の餌料に含まれるリンの吸収利用を高めることにより実現する。この分野における研究には次の幾つかの内容も含まれる。リン含有量の低い餌料に高レベルのビタミンD3を加えることにより、養殖効果を改善し動物のリン必要量を低下させる。餌料にフィターゼを加え水にフィチン酸やフィチン酸塩を分解させることにより、動物におけるリンの吸収を促進する。リンの生物学的利用能が高い原料を使用するなど[24]。

3 解決すべき問題および今後の展望

 水産動物に関連し栄養学と生体エネルギー学を効果的に組み合わせることにより、栄養・エネルギー学や生態・栄養学が発展した。このことは良質、低コスト、エコロジーな餌料を開発し、水産養殖業を継続的に発展させる上で大きな意義がある。この分野における解決すべき問題や今後いっそうの発展が望まれる点には次の幾つかがある。①中国における水産養殖の種類は雑多であるため、ほとんどの水産経済領域において、各発育段階の正確な栄養必要量や餌料原料の生物学的利用能に関するデータバンクが不十分である。ほとんどの水産養殖動物におけるタンパク質必要量は、理想タンパク質モデルに基づき評価し直す必要がある。②エネルギーは最も複雑な栄養成分であり、餌料の配合システムにおいて各種栄養素の利用効率に影響する。ほとんどの水産動物餌料のエネルギー系は、総エネルギーの段階にとどまっており、代謝エネルギー系に関する研究は明らかに不足している。より精確なエネルギー系を確立すべきである。③分子栄養学の研究を推進し、水産動物の各種栄養素に対する代謝およびエネルギー反応過程の分子メカニズムを理解することにより、栄養素や餌料添加物と水生動物の体内に蓄積する有害物質や代謝廃棄物の排出との間に存在する相互作用関係などを解明すべきである。

主要参考文献:

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