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生徒の潜在能力を発見し、伸ばす―華東師範大学第二付属高校の人材養成が追求するもの

2011年 5月11日

何暁文

何暁文(He Xiaowen):華東師範大学教育経済管理学教授
華東師範大学第二付属高校校長、上海市特級校長

1952年8月生まれ。1978年、上海師範大学中文科卒業、教育学修士。教育部及び上海市の多数の教育科学研究テーマを主宰し、うち「国際化の必要性に応えた高校の学校ベースカリキュラム建設の理論と実践についての研究」、「卓越教育の理論と実践についての研究」は、それぞれ全国教育科学「第10次5か年計画」、「第11次5か年計画」の重点テーマ。主な論著に『教育―生徒の潜在能力を発見し、伸ばす』、『創造という名の智恵』など。

 華東師範大学第二付属高校(「第二付属高校」と略称)は華東師範大学の教育実験基地として1958年に創立され、1963年に上海市重点高校、1978年に中国国家教育部直属重点高校となった。1994年に中国教育部が認可した全国で4つの高校理科実験クラス運営資格をもつ高校の一つであり、2005年には、上海市の第1回目の実験的・模範的高校となった。校舎は上海浦東新区張江ハイテク産業パーク内にあり、敷地面積150ムー(10万平方メートル)を有する現代的な全寮制普通高校である。本校は現在30クラスを有し、在校生1400名余り、専任教師117名がおり、うち特級教師と高級教師は教師総数の60%を占めている。長年にわたる学校運営の実践の中で、第二付属高校は特色の鮮明な学校運営モデルを徐々に作り上げ、際立った運営成果を上げ、質の高い高校教育により中国の基礎教育界において長く名声を博してきた。

一、「卓越性を追求し、イノベーションを尊ぶ」という学校文化を育成し、教師・生徒のビジョンレベルを引き上げ、心情によって生徒の発達を先導する

 教育の中核問題は、どのような人間を養成するかということである。学校教育の最も重要な目標は、生徒の知能を発達させ、生徒の人格的素養を高め、生徒を高い道徳的品性を具えた聡明な人間に育て上げることである。人格は人間の発達過程において、人生を方向づける誘導作用を果たすため、人格教育は学校教育の中で独立した重要な地位を有しており、学校教育に欠かすことのできない重要な内容である。別の面から見れば、人間の知能の発達、生徒のイノベーション精神の胚胎と創造能力の向上は、認知要因によって決まるだけでなく、同時に人格などの非認知要因とも密接に関連している。長きにわたり、人格教育を通じて生徒の心情的意志の質を改良し、生徒の学習を改善し、生徒の認知の発達を促すことは、一貫して第二付属高校の重要な教育戦略であった。本校は人格の向上を通じて生徒の全面的発達を促すという面において、長期にわたる模索を行い、生徒の好奇心、知識欲、社会的責任感の養成を中核とした心情によって生徒の発達を先導するという豊富な経験を形作ってきた。

 20世紀90年代以降、本校は「卓越性を追求し、未来を創造する人間を養成する」ことを学校運営の目標とし、「優秀+特長」を養成目標とし、「科学技術教育と人文教育の結合を堅持し、共通の要求と個性重視の発達の結合を堅持し、教科教育と実践活動の結合を堅持する」という学校運営戦略を作り上げてきた。1991年以来、第二付属高校の生徒は国際オリンピックの金メダルを相次いで何度も受賞し、「金メダル学校」という名声を享受してきた。本校は、金メダル精神は金メダルよりもいっそう重要だと考えている。金メダル精神、すなわち「卓越性を追求し、イノベーションを尊ぶ」という本校の精神は、長きにわたり一貫して、教師・生徒の途絶えることのない向上心を激励する強い原動力となり、生徒を励まして優秀から卓越へと向わせる貴重な文化的資源となってきた。そのため、本校は様々な機会を利用して生徒に高い期待を伝え、生徒が頑張って学習するよう励まし、同時に彼らの学習の生涯計画指導や、特に優れた卒業生、社会的に著名な有識者の講座活動などを組織することにより、成功には努力が必要なこと、理想の実現には骨身を惜しまぬ学習が必要であることを生徒に認識させる助けとし、長期間にわたる積極的な感化により、彼らの持続的な学習の原動力を養ってきた。

 同時に、第二付属高校は、生徒の生涯にわたる発達に責任を負うという理念に従い、ゆったりした調和のとれたキャンパス文化を作り上げることに努め、民主的な管理、教育の自由、生徒の自主的発達を大いに提唱し、生徒が自分の潜在能力を発見し、発達させるための最大の可能性を提供してきた。第二付属高校は、生徒が認知、心情などの面でいずれも卓越したレベルに達し、良好な文化・知識基盤、高効率の学習能力、ひときわ優れたイノベーション資質、豊かな教養、高レベルの持続的成長能力を具えた人間となるよう指導、支援、援助を行っている。「生徒に合わせて適切な教え方をする」という教育思想に基づき、本校は生徒の学習についての3つの大きな権利―すなわち、「生徒は自己の発達方向を定める自主権を有し、カリキュラム・学習方式等の面における選択権を有し、学校に特殊な教育サービスの提供を要求する発言権を有する」―を確立している。生徒の発達を支援するために、本校は「生徒発達センター」を設立し、彼らのために全方位的な教育サービスを提供し、生徒の十分な発達のための条件を作り出している。豊富多彩な教育活動とキャンパス活動を通じて、教師・生徒のために才能発揮の機会を提供し、教師・生徒に自分の潜在能力を発見、発達させるとともに、優れた学校運営成果によって学校の文化・精神をはぐくみ、教師・生徒の自信、誇り、自尊心を育て、教師・生徒のビジョンレベルを引き上げ、教師・生徒のバイタリティを引き出し、教師・生徒が絶えずより高い目標に向かって努力するよう激励している。

二、「高レベルの、多様な」学校カリキュラム体系を構築し、卓越した人材の養成のために基礎を築く

 カリキュラムは教育活動の媒体であり、学校教育の追求するものはカリキュラムを通じて実現される。第二付属高校は「生徒の個性的な発達ニーズを満たし、生徒の最大限の発達を促す」ことを中核的なカリキュラム理念とし、カリキュラム建設の実践にあたっては、生徒の学習機会と学習の主導権の拡大に力を注ぎ、生徒の潜在能力の発見と発掘に力を注ぐことにより、生徒の成長発達の要請に十分に応えている。第二付属高校は国の政策規定及び本校の実情に基づき、必修カリキュラム、選修カリキュラム、栄誉カリキュラムの3種類の基本カリキュラムを設置しており、さらに、すべての国家カリキュラムと地方カリキュラムについて学校ベース化の再開発を行って、高レベルの共通基礎カリキュラムを基盤とし、多様な選修カリキュラムを主力とし、生徒のスピードの速い発達の奨励を主導方向とした栄誉カリキュラムが有機的に結合した「卓越カリキュラム」体系を構築しており、多くの学習分野において生徒のために様々な学習経験を提供している。

1.学習分野と学習経験

 第二付属高校の学校カリキュラムは、8つの分野において生徒のために5種類の学習経験を提供することに力を入れている。

 8つの学習分野はそれぞれ以下の通り。

  • 言語文学:国語、外国語課程
  • 社会科学:歴史、地理、思想政治
  • 数学:数学課程
  • 自然科学:物理、化学、生命科学、地理科学課程を含む。
  • 技術科学:情報科学技術、労働技術
  • 芸術:音楽、演劇
  • 体育及びトレーニング:体育及びトレーニング
  • 総合実践:社会実践、軍事学習、農業学習、社会調査、コミュニティサービス

 5種類の学習経験はそれぞれ以下の通り。

  • 品格形成と人格発達の経験
  • 潜在能力開発と認知発達の経験
  • 芸術修養と発達の経験
  • 社会実践の経験
  • 体育及びトレーニングの経験

2.全生徒のために高レベルの共通基礎カリキュラムを提供する

(1)国家カリキュラムの再開発を行い、高レベルの国家必修カリキュラムを建設する

 中国の公立学校は必ず国の定めるカリキュラム政策の指導の下、国の公布したカリキュラム基準にしたがってカリキュラムを開設し、教育部の審査決定を経て出版発行された教材を選択しなければならない。国のカリキュラム案とカリキュラム基準はすべての学校に向けて提示されたものであり、第二付属高校の学校運営の実情に完全に適合するわけではない。そこで、本校の学校運営の位置づけと生徒の実情に基づき、第二付属高校は国家カリキュラム基準を踏まえて、国が開設を定めている教科カリキュラムの再開発を行い、これを生徒の発達ニーズにより適うようにしている。国家カリキュラムの再開発の基本原則は、生徒の学業基盤に合わせ、生徒の学業に対する要求を引き上げ、生徒の発達ニーズを満たすことである。再開発の具体的方法は、一部の基礎的内容を削り、教科学習の内容を充実させ、教科知識の系統性を強化し、生徒の高度な思考技能の発達に関心を払い、学習方法の訓練と学習能力の向上を重視し、生徒のイノベーション精神と実践能力の養成を重視することである。本校は生徒の選択に供する国家カリキュラム学校ベース教材と関連の学習資料を開発することによって、「教」と「学」のニーズに応えてきた。

(2)学校の教育資源を十分に発掘し、スタートラインの高い学校ベース必修カリキュラムを開発する

 本校の教育目標を具体化し、生徒の総合的資質をいっそう高め、生徒のイノベーション精神と実践能力を養成し、生徒が卓越した人材に成長するための優れた認知・感情・身体能力基盤を築くために、第二付属高校は学校の養成目標と生徒の自主的発達という実際から出発して、高レベル、高品質の進学準備教育を維持すると同時に、本校の良質な教育資源を十分に発掘し、全生徒を対象としたスターラインの高い学校ベース必修カリキュラムを開発し、「6つの100%」という人材育成体系を構築し、それによって生徒の総合的資質の全面的向上を促してきた。第二付属高校の「6つの100%」は、高校3年間の学習期間中にすべての生徒が必ず達成すべき6つの方面の学習体験を提示したものである。

―100%の生徒が100時限のボランティア活動をすることで、生徒の社会的責任感と実践能力を強化する。

 100時限のボランティア活動への参加は、当初は第二付属高校の生徒が高校3年間の間に必ず達成すべき「規定の行為」とされていたが、全生徒の積極的、主体的な参加により、今ではすでに彼らが心を浄化し、人生を体験し、社会に貢献する自覚的行動となっている。各クラスが次々と新しい社会奉仕プロジェクトを開発し、絶えずボランティア活動の領域を拡大しており、多くの生徒はさらにさまざまな形で、自分たちのボランティア活動参加体験を互いに交流し合っている。ボランティア活動はすでに、第二付属高校の自己教育の重要な手段となっている。

―100%の生徒が「小テーマ研究」に参加することで、生徒の科学的資質とイノベーション精神を着実に養成する。

 「小テーマ研究」は第二付属高校が学校運営の実践の中で徐々に発展させてきた研究的学習方式であり、2000年に正式な課程として学校のカリキュラム体系に組み込まれ、すべての生徒に必修を求めている。「小テーマ研究」は「小テーマ」を課程の先行組織者とし、特別テーマ研究の方式にしたがって実施態勢を組んでいる。「小テーマ研究」において、生徒はその知識、能力、条件の許す範囲内で自主的に研究テーマを立てるが、その目的は生徒の研究意識と探究精神を刺激し、生徒の開かれた思考能力を訓練し、生徒の主体的学習、積極的向上心を促すこと、生徒の協力意識を育て、生徒の交際・伝達能力を高めること、生徒の実践能力と自主的活動能力を高め、生徒の成長・発達のために条件を作り出すことにあり、他のカリキュラムとは比べ物にならない優越性を有している。

 第二付属高校の「小テーマ研究」は生徒の研究、探究への情熱を大きく刺激してきた。彼らは決まった授業時間を利用するだけでなく、課外の時間にもデータ採集・処理、資料文献検索、アンケート作成、研究報告執筆などの作業を展開し、生徒の選択テーマは、科学技術、人文、社会、資源、環境、地理、歴史、自身の学習など各方面にわたり、目を見張るような多くの研究成果が現れている。

―100科目余りのカリキュラムを開設して生徒の選択に供することで、生徒の視野を広げ、生徒の特長を育てる。

 生徒の自主的発達を助け、促すために、本校は教育業務の中で生徒の特長と個性を十分に尊重し、多元的な学校カリキュラム体系を構築することに努めてきた。2000年から、本校は生徒の総合的資質の向上を目標とし、生徒の特長・興味と学校の運営条件に基づいて、人材育成環境を系統的に最適化し、教育品質を持続的に高める「100科目学校ベースカリキュラム建設プロジェクト」をスタートさせた。その後も絶えず新しい学校ベースカリキュラムを打ち出し、これまでにすでに300余りの選修科目からなる「カリキュラム・スーパーマーケット」を作り上げ、生徒の自主的選択に供し、生徒が自分の潜在能力を発見し、発達させるための一つの広大なプラットフォームを提供している。

―100%の生徒がサークル活動に参加することで、生徒の実践能力を養成する。

 第二付属高校において、生徒のサークル活動は生徒の自主的発達を促し、生徒の実践能力を養い、生徒の総合的資質を全面的に高める一つの重要なプラットフォームである。現在、本校には学科類、科学技術類、文化類、芸術類、体育類、総合類の6種類、45の生徒サークルがあり、どの生徒も個人の趣味、興味や発達意欲に基づいて自由に選択し参加することが可能である。

―100%の生徒が100の実験を完成することで、生徒の手を動かす能力を着実に養成する。

 中国の生徒は先進国の生徒に比べ、手を動かす能力があまり高くないという現実を踏まえ、第二付属高校は科学の実験を生徒の手を動かす能力を養成し、その科学精神を育てる一つの重要な手段とみなし、すべての生徒に対し高校3年間の間に必ず100前後の科学実験を達成することを求めている。本校は養成目標の要求に基づき、学科実験プロジェクトを慎重に選び、独創的実験を設計して、『第二付属高校生が行うべき100の実験』マニュアルを編纂し、うち92件を必須の実験としている。このほか、どの生徒も必ず各学科の教師の推薦する100の自選実験項目の中から10の実験を選択し、完成させなければならない。学校は生徒のために実験の条件を作り、生徒が実験プランを自主的に立て、実験報告を自主的に完成するよう要求している。

―100%の生徒が水泳をマスターすることで、生徒の体格を強健にする。

 未来に向かってのイノベーション型人材は、ぜひとも強健な体格を具えているべきであるが、しかし深刻な進学競争の圧力の前で、体育トレーニングは多くの学校で往々にして人々から軽視されている。そこで、第二付属高校は全生徒に対し「毎日1時間のトレーニングで、50年間健康に働き、一生幸せに暮らす」というスローガンを提示するとともに、本校の具体的運営条件とにらみ合わせ、既存の教育資源を十分に利用して、水泳を一つの学校ベースカリキュラムとして開発し、毎学年2週間の水泳訓練を実施している。水泳以外にも、本校はサッカー、バスケットボール、卓球、長距離走や、木蘭剣、健康体操などのスポーツを広く展開している。体育トレーニング活動の展開は生徒の健康レベルを明らかに向上させており、生徒のイノベーション潜在能力を発見し、発達させ、未来を創造する人間を育成するためのしっかりした体質基盤を提供している。

3.多様な学校ベースカリキュラム体系を構築し、生徒のために十分な学習の選択肢を提供する

 学校ベースカリキュラムは、本校が学校の実情と結び付けて自主的に開発したカリキュラムであり、第二付属高校が生徒の発達ニーズに応え、生徒の個性的発達の必要を満たし、卓越した人材育成のための基盤を築く重要な手段でもある。現在、第二付属高校の学校ベースカリキュラムは大きく5種類に分かれている。

(1)STS類カリキュラム

 第二付属高校の学校ベースカリキュラム体系において、STS(科学、技術、社会)カリキュラムは総合理科類カリキュラムに属し、主に生徒の科学的資質をよりいっそう高めるという職能を担っている。

(2)大文化類カリキュラム

 ここでいう「大文化」とは、政治、国語、外国語、歴史、音楽、美術などの学科領域に精通するという意味である。本校の大文化類カリキュラムは、現代社会に必要な文化的資質の形成を目標としたカリキュラムシステムであり、学校ベースカリキュラムの総科目数の3分の1を占めている。当該類のカリキュラムは現代文化の発展、社会文化の話題の中心、生徒の文化的ニーズ、教師の文化的関心事をカリキュラム設計の出発点とし、その趣旨は生徒の教養を高めることにある。

(3)サークル活動類カリキュラム

 サークル活動類カリキュラムは生徒の興味志向によって自主的に形成される、生徒のサークル活動を媒体としたカリキュラムである。本校は6人以上であれば団体を作り、活動を展開することができると定めている。サークル設立にあたっては必ず規約を作り、学習と活動の目標、方式、場所、時間を定め、かつ一学期内に全校に向けて活動の成果をはっきりと示さなければならない。

(4)栄誉カリキュラム

 第二付属高校の栄誉カリキュラムは20世紀80年代に形成された、本校がいち早く設置した学校ベースカリキュラムであり、当初は理科の得意な一部の知力の優れた生徒の発達ニーズに応えるために設計された、普通の程度を超えた理科カリキュラムであったが、現在ではすでに生徒の高レベル・高スピードの発達を奨励する、さまざまな教育機能を具えた重要な学校ベースカリキュラムへと発展している。学校の中で特に優れた成績を示し、学習において間違いなく学力に余裕のある生徒にとって、より多くを学ばせ、その潜在能力を十分に発揮させることは、彼らに与える最高の栄誉であり、最良の奨励である。本校の栄誉カリキュラム開設の主な目標は、生徒の知能を開発し、生徒の心情・意志の質を高め、生徒の高遠な志向を養い、優秀な生徒の自負心を強化し、生徒に挫折に耐える強い能力を持たせ、生徒がより高いレベルにおいてより速いスピードで発達していくよう支援することである。

(5)道徳教育カリキュラム

 教育の究極目標の一つは、高尚な人間を養成することである。第二付属高校は一貫して道徳教育事業を重視し、「高いモラル、大きな志、大らかさ、上品さ」という資質の養成を学校教育の重要な目標とするとともに、道徳教育目標の段階性、実効性の向上模索という面で長期にわたる努力を払い、道徳教育事業の経験を総括し、伝統的な道徳教育活動を整理統合したうえで、本校の道徳教育のカリキュラム化を徐々に実現し、教科教育と互いに支え合う、テーマ型のシリーズ化した道徳教育カリキュラムを初歩的に作り上げ、道徳教育のレベルを効果的に引き上げ、人材育成の質を高めてきた。

三、「5件の『一つ』プロジェクト」を実施し、卓越したイノベーション人材の高校段階での養成に力を入れる

 第二付属高校は、科学技術の卓越したイノベーション人材養成の面で長期にわたる模索を行い、「5件の『一つ』プロジェクト」と称する、かなり整備された科学技術イノベーションの卓越した人材の高校段階における養成モデルを徐々に作り上げてきた。「5件の『一つ』プロジェクト」とは、一つの目標―卓越したイノベーション人材養成のための基礎を築くという目標を立てること、一つの集団―科学技術指導教師集団を建設すること、一つの組織―第二付属高校科学技術協会を設立すること、一つの試み―生徒科学技術イノベーション基金会の設立を行うこと、一つの制度―教師・生徒の不断の自己超越を促すインセンティブ制度を確立することである。

一つの目標―卓越したイノベーション人材養成のための基礎を築くという目標を立てること。

 第二付属高校の養成目標の位置づけは、卓越した人材のための基礎を築くということである。この目標は、主に生徒の総合的資質を高め、生徒のイノベーション資質の発達を支援する多元的な学校カリキュラムを通じて体現されている。例えば、定期的に科学技術祭、芸術祭を開催し、科学技術イノベーションコンテストを開き、「科学技術夏季キャンプ」、「科学技術冬季キャンプ」を行う等の方法により、卓越したイノベーション人材の養成事業を推進している。2007年、本校は「科学技術イノベーション実験クラス」、「人文イノベーション実験クラス」を相次いで開設し、科学技術イノベーション実験クラスのカリキュラム計画を作成し、「イノベーションと指導力養成―青年リーダー成長訓練カリキュラム」等を含む、特色あるイノベーションカリキュラムを開発し、イノベーション実験クラス指導教員制を確立し、科学技術イノベーション実験クラスの生徒特別養成管理条例を制定し、いくつかの「科学技術イノベーション実験室」を設立し、第二付属高校の科学技術イノベーション人材養成事業をより緻密な新しい段階へと進ませた。

一つの集団―科学技術指導教師集団を作り上げること。

 本校は専従・非常勤が結合し、校内外が結合した一つの科学技術教師指導集団を組織し、生徒の成長発達の導き手とすることを重視してきた。2002年から、第二付属高校は10余名の科学技術教師からなる「科学技術指導チーム」を組織し、目標の一致した、分業協力を行う高水準の科学技術指導集団を作り上げた。同時に、本校の所在するハイテク産業パークの一流の科学者や青年起業者を招いて生徒のために講演をしてもらい、生徒をハイテクや科学者とゼロ距離で接触させている。本校はまた上海市の有名大学や研究機関の学者を招いて、一部の優れた小テーマ研究のために指導を行ってもらったり、ごく一部の生徒を休暇期間中、研究院・研究所や実験室に送り込み、専門家の助手を務めさせたりしている。上記の措置は、本校における科学技術の卓越したイノベーション人材養成のために、人的資源の保証を提供している。

一つの組織―第二付属高校科学技術協会を設立すること。

 科学教育と科学技術活動は学校を社会に結びつける重要なポイントであり、生徒のイノベーション精神、実践能力、社会的責任感を養う上で極めて重要である。学校内外の科学技術教育資源を整理統合し、卓越したイノベーション人材養成の質と効率を高めるために、本校は組織の面から、生徒がイノベーション実践活動を実施するためのプラットフォームを作ってきた。2007年、本校は上海市の学校で真っ先に高校「科学技術協会」を設立した。この協会の趣旨は、科学精神を伝え広め、科学文化を大いに発揚し、科学知識を普及させ、科学技術の発明を促し、イノベーション精神を養い、実践能力を鍛え、科学技術の雰囲気を活発にし、会員のためにイノベーションのプラットフォームを作ることである。

一つの試み―生徒の自主的科学技術イノベーション基金会を設立すること。

 科学技術イノベーション活動への参加意思を持つ生徒がイノベーション活動を遂行するのを支援するために、本校は「生徒の自主的科学技術イノベーション基金会」を設立し、生徒が科学技術イノベーション活動を展開するための経済的・知的支援を提供してきた。「生徒の自主的科学技術イノベーション基金会」の資金は国内外のイノベーションコンテストにおける第二付属高校の受賞教師・生徒の賞金寄付から出ており、これまでにすでに数十名の教師・生徒が寄付を行ってきた。基金会の資金援助を得た受賞プロジェクトが賞金を基金会に返還することを奨励し、それによって基金会の持続的発展を保障している。

一つの制度―教師・生徒の不断の自己超越を促すインセンティブ制度を確立すること。

 教師・生徒が科学技術イノベーション活動に身を投じることを奨励するために、本校は一連の奨励措置を制定し、教師・生徒が絶えず自身の潜在能力を開発し、自己を超越していくよう精神・物質の両面から支援する制度を徐々に確立してきた。際立った貢献を行った科学技術指導教師、オリンピック金メダル教師はすべて各種の褒章を受けることができる。科学技術教師の論文が国内外の学術会議に入選した場合、教師の学会参加について学校は経済的支援を与えている。現在、本校はすでに一つの安定した高レベルの科学技術教師による指導集団を形成しており、本校が卓越した科学技術イノベーション人材を養成する上での中核的な力となっている。

四、本校の国際化の進展を促し、教師・生徒の広い国際的視野を育てる

 現在、国際的視野、国際理解、国際往来・協力の能力はすでに、社会の発展が人材資質に求める必然的要件となっている。中国の改革開放の最先端地区にある第二付属高校は、一貫して国際化を学校発展の重要な要素としてきており、さまざまな方式によって教師・生徒の広い国際的視野を育て、教師・生徒の国際理解力を高め、教師・生徒の国際交流・協力の資質を高めている。

1.さまざまな手段によって英語教育を強化する

 生徒の英語学習のニーズに応えるために、本校は国内外の優れた高校英語教材と大学の英語ヒアリング教材を選んで生徒の学習研修に供するとともに、生徒の英語サークル活動、学校ベース英語選修カリキュラム等さまざまな方法によって、生徒が国際交流の道具としての言語をマスターするよう支援している。

2.内容豊かな国際化された学校ベースカリキュラムを開設し、国際理解教育を推進する

 国際理解を増進するために、第二付属高校は学校ベースカリキュラム体系の中に、モジュール化した国際理解教育内容を盛り込んでいる。例えば、国際社会への理解を深めることを目的としたさまざまな言語・文学芸術・科学技術カリキュラムを開設し、「模擬国連」、「JA」等のカリキュラムを導入し、生徒の履修に供している。

3.教師・生徒が国際教育交流活動に参加するよう積極的に支援する

 第二付属高校は一貫して国際教育交流を重視してきた。本校は、アメリカ、日本、イギリス、オーストラリア、フランス、ドイツ、シンガポールなど20余りの国々の学校及び教育機関と連係を維持し、多数の国際的有名大学と学校間連係を打ち立て、教師、生徒が頻繁に相互訪問を行い、毎年百名にのぼる生徒が外国へ学習・交流に出かけている。勤続3年以上の教師は全員、外国での訪問視察、学術研修、短期留学の経験を有している。

4.国際教育と中国語普及教育を積極的に展開する

 1999年、本校は国際部を正式に設置し、直接国外から外国籍の生徒を募集して中学・高校の学歴教育を行っている。多年にわたり、第二付属高校の国際部卒業生は100%が国内外の有名大学に進み、勉学を続けている。

 このほか、第二付属高校の「中国語国際教育センター」は国家中国語対外普及指導グループ弁公室が設立認可した中国語の国際教育基地であり、また上海市僑務弁公室所属の中国語教育基地でもあって、外国籍有識者や海外中国系住民への中国語普及教育に従事している。第二付属高校はHSK(中国語検定試験)の試験会場でもあり、HSK補習教育機関が設けられている。

五、優れた学校運営成果によって社会に報いる

 半世紀余りの間、華東師範大学第二付属高校は常に中国の基礎教育改革の先頭を歩み、高等教育のために多くの質の高い学生を送り込み、社会のために多数の高レベルのイノベーション人材を養成するとともに、カリキュラム建設、教育改革、教育科学研究、学校管理などの分野で成果を上げ、中国の教育分野における名門高校となり、中国の基礎教育の改革と発展のために豊かな経験を提供してきた。第二付属高校の学校運営の成果は、主に以下のいくつかの面に体現されている。

 質の高い進学準備教育。多年にわたり、第二付属高校は一貫して非常に高い大学進学率を維持しており、卒業生の95%以上が国内の一流大学に進学し、毎年、北京大学清華大学に試験免除で入学する生徒の数は中国の全高校の中で最多となっている。第二付属高校の卒業生は大学の勉学生活においても特に優れており、大学から高い評価を受けている。多くの卒業生はすでに政府、科学技術、メディア、文化芸術、企業等分野のリーダー人材となっている。

 高レベルの科学技術教育成果。中国の基礎教育界の名門校として、華東師範大学第二付属高校は科学教育の面で一貫して目覚ましい成果を上げてきた。1991年以来、第二付属高校の生徒は数学、物理、化学、生物、情報学等分野の国際オリンピックにおいて22個の金メダルを獲得し、INTEL ISEFにおいて20余りの賞を受け、いずれも全国の高校の中でトップとなっている。第二付属高校の多くの生徒は全国青少年科学技術イノベーションコンテスト、全国「明日のリトルサイエンティスト」、上海市「明日の科学技術の星」など、各種の人材選抜活動や創意選出活動において頭角を現し、しばしば特別な栄誉を受けており、全国の基礎教育分野においても比肩し得る学校はほとんどない。例えば、2003年、第二付属高校教師、葉佩玉は第53回ISEFのExcellence in Teaching Awardを受賞し、アメリカ天文学会は一つの小惑星を「葉佩玉」と命名した。2008年には、第二付属高生、顧宇州が第58回ISEF大賞を受賞し、アメリカ天文学会は23758号小惑星を「顧宇州」と命名した。2009年には、第二付属高生、白雪霏が第59回ISEF大賞を受賞し、アメリカ天文学会は25045号小惑星を「白雪霏」と命名した。2005年度の卒業生、戴明劼は国際物理オリンピックで金メダルを獲得し、さらに実験誤差に対するその合理的分析により、世界で唯一の「アインシュタイン賞」を受賞した。鄒昊は第二付属高校を卒業後、スタンフォード大学から修士博士一貫履修生に採用され、鄒昊とその指導教官、婁維義は二人そろってスタンフォード大学大学院の授与する「フレデリック・エモンズ・ターマン工学賞」を受賞した。この賞はシリコンバレーの父が1950年に創設したもので、毎年、最も優秀な本科卒業生と、その学生に対して最も影響を与えた高校教員に授与されている。

 顕著なカリキュラム建設成果と教育科学研究成果。第二付属高校は比較的整った「卓越カリキュラム体系」を確立している。第二付属高校が開発した学校ベース教材は公開で出版発行され、長期にわたりずっと国内の多くの重点高校の採用教材となってきた。2008年、第二付属高校は50冊の学校ベースシリーズ教材を精選して公開で出版発行を行い、学校ベースカリキュラムの建設成果を示すと同時に、同種学校のために豊富なカリキュラム資源を提供した。教師の教育科学研究の成果も充実しており、公開発表された教育論文、専門著書の数は数百に上っている。

 教育部直属の普通高校、上海市の実験的模範的高校として、第二付属高校は高校教育改革への模索、同種学校に対する模範提示という職責を見事に担ってきた。現在、第二付属高校には数十名の上海市高名教師がおり、6つの上海市高名教師養成基地、実地訓練基地があり、上海市の高レベルの教師を養成するという重責を担っている。毎年、千名に上る国内外の同業者が本校へ訪問、視察、セミナー、交流にやって来ており、第二付属高校は上海と中国の基礎教育分野において、際立った模範的・先導的役割を発揮している。


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2014/3/12 書評追加掲載

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2014/3/18更新
「日本における中国古代絵画」朱新林

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