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表面プラズモンポラリトンにより強化された薄膜太陽電池性能に関する研究の進展

陳 鳳翔(武漢理工大学副教授)/共著者:汪 礼勝、祝 霽洺  2011年10月 6日

1. はじめに

 近年、世界のエネルギー消費の急増及び環境汚染の深刻化に伴い、世界各国は太陽光の利用をますます重視している。世界の太陽電池生産量は年平均約40%のスピードで成長しており、2008年に世界の太陽電池生産量は5GWを超え、2015年までに20GWを超えると予想されている。しかし、現時点では太陽光発電のコストは火力発電、水力発電などに比べてはるかに高いため、変換効率の向上とコストの削減が太陽電池の調製において考慮すべき2つの主な要素となっている。高品質素材の節約及びコスト削減のため、高效率な薄膜太陽電池の発展が太陽電池の研究開発における方向性及び主流となっている。すべての薄膜太陽電池は光バンドギャップの近く、特に非直接バンドギャップの半導体シリコンの吸収は比較的弱い。このため、太陽光の吸収を充分に増強することは薄膜電池の光・電気変換効率の向上に重要な役割を持つ。

 従来型の結晶シリコン太陽電池については、化学的腐食によりシリコン片表面にピラミッド構造(すなわちテクスチャ構造)を調製する、または太陽光の反射を低減する反射防止膜をシリコン片表面に調製することで、太陽光の吸収及び利用を強化できる。しかし、これらの方法は薄膜太陽電池には適用できない。最近、研究者たちは金属ナノ粒子の表面プラズモンポラリトン増強によるシリコン薄膜電池の強化や有機半導体太陽電池の光吸収による電池変換効率の向上に関心を寄せている。入射光が金属の表面に照射され、自由電子が電磁場の駆動のもとで金属と媒質の界面で集合振動することで表面プラズモンポラリトンを生じ、それらは局部的に金属ナノ粒子の周囲または平坦な金属表面で伝導することができる。貴金属(金、銀、銅等)ナノ粒子により励起される表面プラズモン共鳴周波数は主に電磁スペクトルの可視光または赤外線域にあるため、表面プラズモンポラリトンを利用して太陽電池の光吸収を増強できる。銀ナノ粒子は可視光域で最小の吸収係数を持つため、薄膜太陽電池の光トラッピング構造の主な素材となりうる。表面プラズモンポラリトンは独特の光学特性を持つため、太陽電池分野の実用面で将来性があり、世界の研究の焦点となっている。

2. 表面プラズモンポラリトンによる光吸收向上の原理

 表面プラズモンポラリトンには、表面プラズモンポラリトン(Surface Plasmon Polariton , SPP)と局在プラズモン(Localized Suface Plasmon , LSP)の2種類の形式がある。SPPは、金属表面の自由電子と電磁場の相互作用により生じる電子疎密波で、金属表面に沿って伝導する。マクスウェルの電磁方程式に境界条件を結合させると、金属と媒質の平坦界面上に伝導するSPPの波長分散関係が算出できる。

 式中の媒質誘電率は実数であるが、金属の誘電率は複素数である。金属の依存周波数の誘電率の実数部分と媒質素材の誘電率の絶対値は等しいが、プラスマイナスが反対になると金属と媒質素材の界面でSPPが生じる。可視光が銀の表面に照射して生じたSPPは表面に沿って10~100μm伝導し、近赤外線に対しては1mm伝導できる。SPPは、表面局部と近接場で増強するという2つの独特な性質を持つ(図1を参照)。表面プラズモン共鳴効果は、局在場の強度を入射場より数オーダー高くする。表面プラズモン共鳴の際、入射光のエネルギーの大部分は表面プラズモン波に結合して反射光のエネルギーを急激に減らすことは、太陽電池の光吸収促進に応用できる。

 入射光照射下では、金属の平坦面で表面プラズモン共鳴を発生させられるだけでなく、金属ナノ粒子または金属表面に微細構造または欠陥があっても局在化した表面プラズモン共鳴を生じることができる(図2を参照)。

図1

図1 SPPが励起された際の金属-媒質界面上の分極電荷分布及び電場概略図

図2

図2 入射光が励起した金属ナノ球状粒子により形成された局在化表面プラズモンポラリトン共鳴

 金属ナノ粒子は、可視光域で非常に強い広帯域光の吸收特性を示す。これは、実質的にはフェルミ準位付近の伝導帯上の自由電子に電磁場の作用で集合振動が発生し、共鳴状態下で電磁場のエネルギーが金属自由電子の集合振動エネルギーに効果的に変換されている。金属ナノ粒子表面のプラズモン共鳴はナノ粒子表面に限定され、LSP共鳴と呼ばれる。媒質中の球状金属ナノ粒子の直径dと入射光の波長λがを満たすとき、ナノ粒子は入射光との相互作用で静電双極子と近似を取ることができる。このとき、誘電体球の分極率は次の式で表される。

 式中のαは金属ナノ粒子の半径は粒子の誘電率、は粒子周囲の媒質の誘電率である。が最小の時、分極率は最大値に達することで共鳴の増強を生じるため、共鳴周波数の満たす関係式:が存在する。金属粒子の誘電率はDrudeモデルを用いて示せると仮定すると、次の式で表すことができる。

 式中のはプラズモン周波数、ωは入射光の角周波数、γは減衰係数である。球状金属ナノ粒子と入射光の相互作用により表面プラズモン共鳴が発生した時は、その表面プラズモン共鳴周波数

は次の式で表すことができる。

 上の式で見られるように、表面プラズモン共鳴周波数は電気媒質環境に対して大きな依存関係を持つ。ナノ粒子周囲の媒質のが増加した時、その共鳴周波数に赤方偏移が表れる。このほか、表面プラズモン共鳴周波数はナノ粒子の材料、形状、サイズ及び粒子間の距離と密接に関係する。

 準平衡近似下で、共鳴の増強による分極化は金属ナノ粒子周囲の電場の強化を引き起こし、その大きさは金属表面からの距離に伴い急速に減衰する。さらに、共鳴の増強による分極化は金属ナノ粒子の光の散乱及び吸収効率の増加を伴う。次の計算式により散乱断面及び吸收断面が得られる。

 上記2つの式により、双極子プラズモンが共鳴するとき、金属ナノ粒子の吸收および散乱は共鳴により強化されることが説明される。α[] λの金属ナノ粒子は及びである。この光波長のより小さい金属粒子(サイズ)はさらに光波を吸収しやすいため、金属粒子中の消光は主に吸收により支配される。しかし、金属粒子が100nm前後まで大きくなると、消光は主に散乱により支配される。この性質を利用して、金属ナノ粒子を薄膜太陽電池中に集積して光吸收を強化することができる。しかし、金属粒子が大きくなり過ぎると効率の遅延及び高次多極励起モデルの増加を導き、金属粒子の効果的な散乱が減少する。このため、金属粒子による光の散乱を最大限増強するためには、半導体吸収層中の金属ナノ粒子のサイズの設計を最適化する必要がある。

3. 研究の進展

 従来の結晶シリコン太陽電池と比べて高効率な薄膜太陽電池の半導体吸收層はさらに薄いため、極力多くの太陽光を吸收して光電流を強化するためには光トラッピング技術を採用する必要がある。金属の表面プラズモンポラリトンは独特の光学特性を持つため、多くの研究グループは理論及び実験の両面から金属ナノ構造体系の利用による太陽電池感光性材料の光吸收の促進を検討した結果、光電流の顕著な増強効果が得られた。金属の微細構造により励起された表面プラズモンポラリトンによる光吸收の増強は、主に次の3つのメカニズムによる。(1)金属ナノ粒子の散乱(図3aを参照)。(2)近接場の増強(図3bを参照)。(3)SPPモードによる光吸收の増強(図3cを参照)。現在、前者2つのメカニズムは無機、有機太陽電池器材の光トラッピングに広く応用されている一方、SPPモードで光吸收が増強された太陽電池器材は比較的少ない。

図3

図3 薄膜太陽電池の表面ブラズモンの光トラッピング概略図

3.1 金属粒子の散乱

 表面プラズモン共鳴の際、金属ナノ粒子の散乱断面はその幾何学的断面よりはるかに大きい。例えば、共鳴時の空気中の銀ナノ粒子の散乱断面はその幾何学的断面の約10倍である。金属ナノ粒子の散乱は半導体の光トラッピングにおいて非常に重要である。一般にサイズの大きい粒子ほど光の散乱に有利である。例えば、直径100nmの銀粒子の反射率()は90%を上回る。金属粒子の位置が2種の媒質の界面に近いとき、金属粒子から散乱される光線は優先的に誘電率の高い媒質中に入射する。散乱光は一定の傾斜角で半導体の中を伝導され、効果的に光路を増やす。仮に太陽電池に金属の背面反射による接触があり、入射光が半導体薄膜中で往復伝導したとしても、光線を増やせば光路の長さ方向で効果的に伝導され、これにより電池の光吸收が強化される。2006年、Derkacらは50-100nmの金ナノ粒子を薄膜アモルファスシリコン太陽電池のITO層上に堆積させ、金属ナノ粒子を亜波長としてエレメントに散乱させ、太陽光の自由伝導による平面波をアモルファスシリコン太陽電池の吸收層内に結合及び制限することで、短絡電流を8.1%、電池効率を8.3%増加させた。

 2007年、Pillaiらは銀粒子を1.25 SOI太陽電池及びシリコン平面電池上に堆積させる実験により、近赤外線域の光電流はいずれも増加することを見出した。重量厚さ(mass thickness)16nmの銀粒子を堆積させたSOI太陽電池は入射波長1050nmのとき光電流がほぼ16倍増加し、同じ厚さの銀粒子のシリコン平面電池は入射波長1200nmのとき光電流が7倍増加した。重量厚さの増加に伴い、粒子は球状形体を失い扁平になりやすい。球状粒子の赤方偏移は比較的小さいが、粒子が扁平になるほど赤方偏移は大きくなり、表面プラズモン共鳴ピークはより幅広くなる。このため、銀粒子の重量厚さが12nmから16nmに増えるにつれ、光の散乱は徐々に強まり、太陽スペクトル全体で電池はより多くの太陽光を吸収する。実験では、これら2種類の電池は太陽スペクトル全体で光電流にそれぞれ33%及び19%の増加が見られた。2008年、Moulinらは長さ300nm、高さ50nmの楕円形銀ナノ粒子を薄膜微結晶シリコン太陽電池の背面glass/Ag/TCO層上に集積させることを公表した。また、TCO層の光トラッピングを回避するため、ガラス上に銀を直接堆積させた。2種類の構造の中で、背面に接触する銀ナノ粒子の光の散乱により光線の電池内での光路が増えたため、光の反射が減り、微結晶シリコンの光吸收が増え、長波範囲で電池に対応する量子效率が向上した。2009年,Maria Losurdoらはa-Si:H(n)/ c-Si(p)ヘテロ接合太陽電池上20nmの金ナノ粒子をスパッタリングして堆積させたところ、短絡電流が20%増加し、出力効率が25%、曲線因子が3%向上した。粒子を20nmから30nmに大きくしたところ、金ナノ粒子の光散乱が強化され、双極子の表面プラズモン共鳴モードの赤方偏移が572nmから578nmに変化し、ヘテロ接合太陽電池の光吸收が強まり、太陽電池の性能が向上した。

 また、2008年にDerkacsらはナノ粒子の散乱もInP/InGaP量子井戸構造の太陽電池の性能を高め、銀及び金粒子を使用するとそれぞれ效率が17%及び1%向上することを発見した。Nakayamaらは銀ナノ粒子を薄膜GaAs太陽電池上に堆積させたところ、電池の光吸收を向上させることで電池の短絡電流が8%増加し、電池效率と曲線因子もこれに応じて上昇した。この実験結果により、電池性能の向上はナノ粒子のサイズと密度に依存することがわかった。2010年、Imongen M.Pryceらは2.5nm単一接合のInGaN量子井戸構造の太陽光装置の表面に100nmの銀ナノ粒子配列を堆積させた。AM1.5スペクトル下で、厚さ200nmのp-GaN发射層の銀ナノ粒子配列太陽電池では、短絡電流は0.223mA/cm2から0.237mA/cm2に増加して6%上昇し、電池の外部量子效率も54%まで上昇した。電流の増加は、銀ナノ粒子による光の散乱及び光トラッピングの増加と、電池表面のキャリア收集效率の向上との相乗効果である。

3.2 近接場の増強

 半導体材料中の微小ナノ粒子(直径5-20nm)は太陽光入射の効果的な亜波長アンテナとして近接場の増強を実現でき、表面プラズモン波の近接場を半導体層と結合することで有效な吸收断面を増やす。アンテナで効率的にエネルギーを変換できるようにするために、半導体材料の吸收率は非常に高くする必要がある。なぜなら、吸收されたエネルギーは金属の電気抵抗中に消散してしまうからである。このため、微小金属ナノ粒子の励起による表面プラズモンポラリトン局在場の強化は有機、染料による太陽電池の増感及び無機太陽電池中の直接バンドギャップによく用いられる。

 2000年、Westphalenらは銀クラスタ化合物をITO-亜鉛フタロシアニン染料(ZnPc)を施した太陽電池上に堆積させたところ、5nmAgのZnPc電池は金属粒子ZnPcのない電池より消光が強化されたことを発表した。これは金属ナノ粒子の周囲で表面プラズモンポラリトン共鳴が非常に強い局在場の強化を引き起こすことで、半導体材料周囲の光吸收が増強され、短絡電流が上昇したことによる。2004年、Randらが研究段階で微小な銀ナノ粒子(5nm直径)を超薄型有機太陽電池中にはめ込んだところ、光照射下で金属ナノ粒子の表面に局在プラズモン共鳴が発生し、近接場の増強効果が生まれたことや、有機薄膜層と太陽電池の接合部付近での半導体の光吸收が促進されたことにより電子正孔対の生成が増え、電池の効率が向上した。2007年、Kondaらは金ナノ粒子の表面プラズモンポラリトン励起によりn-CdSe/p-Siヘテロ接合ダイオードの光電流を増強させた。2008年、Morfaらは銀ナノ粒子層を堆積した有機体ヘテロ接合太陽電池の変換効率が1.7倍向上したことを発表した。2001年、Wenらは表面プラズモン効果を染料により増感されたTiO2薄膜太陽電池の強化に用いることを研究した。実験の結果、3.3nmの銀粒子は可視光域で光の共鳴を強化し、電流密度を増加させたが、銀粒子が6nmまで増加すると電流密度は逆に減少した。実験の結果、サイズの小さい金属ナノ粒子のほうが周囲の局在場は強く、半導体材料がより多くのエネルギーを吸収することがわかった。相似する構造としては、2008年にHägglundらが金ナノ粒子表面プラズモンポラリトンにより局在場を強化し、染料増感太陽電池の電荷キャリア発生率を向上させた。

3.3 表面プラズモンポラリトン

 金属ナノ粒子の光散乱の利用及び近接場の強化による太陽電池の光吸收促進に関する研究と同時に、表面プラズモンポラリトン(SPP)の太陽光発電装置への応用についても研究が行われた。半導体吸收層の背面に金属膜をめっきすると、入射光に励起されたSPPが金属及び半導体界面に沿って伝導され、SPPの場分布は金属及び半導体中で指数関数的減衰を呈するうえ、界面上では高度に局在するため、SPPは半導体吸收層で効率的に光をトラッピングし伝導する。2008年、Ferryらはシリコン層下方で金属亜波長の溝構造を設計した。入射光の励起により金属及びシリコン界面で高度に局在するSPPモードが伝導されることで、溝付近の局在場が強化され、電池の光吸收が向上した。厚さ150nmのシリコン層と幅100nm、深さ50nmのAg溝構造を有する太陽電池に対するシミュレーション分析の結果、共鳴ピークが580nmに移動し、かつ、長波(~1100nm)での吸收増強因子は2.5であった。2009年、Biswasらは理論上で最適化されたパラメータに基づき、フォトリソグラフィによりc-Si上で表面プラズモン光子結晶格子を形成した後に、熱蒸発、スパッタリング及びPECVD技術により周期性のある銀背面反射層を堆積したa-Si:H薄膜太陽電池を発表した。入射光が太陽電池に照射されると、光波は周期性のある銀背面反射層を経て銀とa-Si:Hの界面で励起されてSPPモードを形成し、光エネルギーを高度に局在する場エネルギーと結合させることで、電池の光吸收を増加した。実験の結果、波長720nm付近の外部量子效率は8倍増加したうえ、波長760nm付近では二次共鳴が観察され、外部量子效率は約6倍増加した。2009年、Jin-A Jeongらはヘテロ接合有機太陽電池の薄膜基板上にITO-Ag-ITO多層電極を堆積させたところ、その実験結果では太陽電池の電流密度と変換効率はいずれも向上し、その原因は最適化された銀膜表面プラズモンポラリトン共鳴と反射の減少により光の透過率が大幅に向上したことによる。この実験では、銀膜の厚さが光の透過率に大きく影響することが分かった。

3.4 理論シミュレーション

 表面プラズモンポラリトンによる太陽電池性能の向上に関する研究においては、研究者たちはさらに大量の理論検証を行っている。2008年、Lu Huらは広く知られるミー散乱理論及び双極子近似に基づき球形銀粒子をはめ込んだシリコン中の表面プラズモンポラリトンによる光吸收の増加を分析した。計算の結果、10nmの銀粒子に対する共鳴周波数付近のシリコンの光吸收は50倍に増加した。さらに、分析の結果、表面プラズモン場は粒子周围の球形電子殻層中に集中し、電子殻層の厚さが粒子半径の0.26倍の局在場における増強が最大であることが分かった。R.Najjarらは多重多極法(Multiple Multipole method, MMP)により背面反射層に半径20nmの銀粒子を堆積したa-Si:H太陽電池についてシミュレーションを行ったところ、波長700nm付近のa-Si:H電池の光吸收が大幅に増加した。

図4

図4 さまざまな形状、サイズのAgナノ粒子散乱比と波長との関係

 2008年,Catchpoleらは、時間領域差分法(FDTD)と完全整合層の界面条件を用いて、Agナノ粒子への光の直角入射による散乱についてシミュレーション計算を行った。図4にさまざまな形状、サイズのAgナノ粒子散乱比と波長との関係を示す。このうち、Agナノ粒子は10nmSiO2とSi基板の間に堆積する。図から、直径100nmの円柱形及び半球状粒子(図には直径を示していない)の散乱比は直径100nm及び150nmの球状粒子の散乱比をはるかに上回り、しかも球状粒子の散乱比は直径の増加につれて明らかに減少することが分かる。円柱形及び半球状粒子の高い散乱比は、それらと基板との平均間隔が球状粒子よりはるかに小さく、より多くの効果的に結合した散乱光をシリコン材料に取り入れられるためである。理論シミュレーションにより、太陽電池の光トラッピング効果は表面プラズモン共鳴波長付近で最も顕著で、かつ、周围の媒質の誘電率を変えることで調節できることが分かった。

図5図5

図5 シリコン薄膜電池構造の概略図及びシミュレーション結果

 2009年、Ragip A. Palaらは周期性界面条件と完全整合層界面条件に基づき、時間領域差分法(FDTD)を採用して図5aに示した薄膜太陽電池に対して全磁場における電磁シミュレーションを行った。シミュレーションで設定した銀帯配列は厚さ=60nm、幅w=80nm、横向周期p=310nm、シリコン膜間距離s=10nmであった。図5b、c、dでは金属構造がない場合と入射波長が異なる場合の銀带周囲の場分布を示す。図から、入射波650nmに対しては、場の集中的な増強は銀带付近のシリコン層中に現れることが分かる。逆に、波長505nmに対しては、銀带は効果的に光をトラッピングしシリコン層に進入する。金属構造がないときは、これら2種類の波長情况下のシリコン薄膜の実際の光吸收はそれぞれ5倍及び7倍増加する。シリコン薄膜電池モデル構造中の5つのパラメータ(t, w, P, s, a)は、いずれも電池のエネルギー変換効率に影響する。図5eに銀带の有る/ない情况下での短絡電流の密度と波長との関係を示す。図の銀带配列周期はp=295nmである。図から、銀带のあるときはTM、TEモード結合及び表面プラズモン共鳴が表れることがはっきりわかる。図5eの挿入図中に正規化短絡電流の密度と配列周期の関係を示す。配列周期が295nmの時、正規化短絡電流の密度は143%に接近し、すなわち短絡電流が43%増加する。配列周期が増加すると、正規化短絡電流の密度は再び100%に戻る。

4. まとめと展望

 本稿は、表面プラズモンによる薄膜太陽電池の光吸收の増強原理及び最近の研究成果を紹介した。理論シミュレーション分析及び実験による研究結果によれば、金属ナノ粒子の光散乱、近接場の強化及び高度に局在するSPPモードを利用することで太陽光発電装置の半導体層の光吸收を増加し、太陽電池の変換効率を引き上げることができる。表面プラズモンポラリトン共鳴周波数は、ナノ粒子の材料、サイズ、形状、粒子間距離及び周围の媒質の性質等の要素に影響されるため、これらのパラメータをコントロールすることで共鳴周波数またはプラズモンポラリトンの伝導特性を調整し、より効率的な太陽電池を設計する必要がある。また、金属ナノ構造に励起される表面プラズモンポラリトンにより強化される太陽電池の光吸收の物理メカニズムについて深く研究する必要がある。表面プラズモン光子学理論の研究の進展および微細加工技術の発展に伴い、より安価で効率的な薄膜太陽電池が太陽光発電市場に進出するだろう。


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