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レーザ光を用いたナノ製造技術の応用

2012年1月10日

鐘 敏霖

鐘 敏霖 (Zhong Minlin):
清華大学機械工程系レーザ加工研究センター・先進成形製造教育部重点実験室 教授、博士課程指導教員

1961年9月18日生まれ。1997年清華大学卒、工学博士号取得。米国レーザ協会フェロー(LIA Fellow)、Board Member。中国光学学会レーザ加工専門委員会常務委員、秘書長(2000-2009)。NSFC専門家評議グループメンバー。Journal of Laser Application編集委員、「中国レーザ」常務編集委員。長年にわたり、世界及び国内のレーザ加工学術分野で活躍。2008年PICALO国際会議総主席、第6回LPC-Laser World of Photonics China の中国側首席等を担当。全国レーザ加工学術会議の主催側に8回関与。主な研究分野:レーザによるマイクロ・ナノ製造、レーザによる新材料の調製、レーザ表面加工技術,レーザ迅速・直接加工等。自然基金、985基金、GE/GM/Boeing/RR/Mitsubishi国際協力プロジェクト等、40余りの事業の成功を主導。発明特許9件。専門書3冊を共著。論文160本以上を発表。

共著者:範 培迅

1 はじめに

 ナノ材料は小スケール効果、表面効果、量子効果、巨視的量子トンネル効果ならびに特殊な光学的、磁気学的、熱学的、力学的、化学的性質を有し、電子、化学工業、冶金、宇宙工学、環境保護、医学、生物工学等の分野で幅広い応用の潜在力があることから、全世界で注目され高度な研究が行われている。ナノテクノロジーの発展によりさまざまな分野の技術革新が推進され、21世紀の新たな技術革命が導かれると人々は考えている。ナノテクノロジーに関する研究分野は非常に幅広く、一般的に次の4大分野、すなわち、ナノ材料学、ナノ電子学、ナノ生物学及びナノ製造技術があると認識されている。ナノ材料学は急速に発展を見せ、すでに多様な物理的・化学的・物理化学的ナノ材料の調整方式を確立しており、さまざまな種類のゼロ次元のナノ粒子、1次元のナノチューブ、ナノワイヤー、ナノロッド、2次元のナノフィルム、3次元のナノブロック、ナノ構造等を調製することができる。ナノ製造技術はナノテクノロジーの中核の一つと考えられており、現代のナノサイエンスの基礎であり、ナノサイエンスのさまざまな分野の研究及び開拓に有効な手段を提供し、ナノテクノロジーの応用を支える基礎であり、将来のナノ産業の支柱でもある。国家自然科学基金委員会は2010年に「ナノ製造の基礎研究」に関する重大研究計画を立案しており、その目的は、当該学問分野の最先端に照準を定め、国の重大な発展戦略の要請に立脚し、ナノ精度製造、ナノスケール製造及びトランス・スケール製造における基礎科学的な問題について、製造プロセスをマクロからミクロへと移行させる際のエネルギー・運動・物質の構造ならびに性能間の作用メカニズム、転換法則を模索することで、ナノ製造理論の基礎及び製造過程における設備の原理を構築することにある。

 ナノ製造とは、製造対象の特徴として、少なくとも1つの次元でスケールが1~100 nmの間にあるものを指し、ナノ粒子、ナノワイヤー、ナノチューブ等のナノ材料の調製や、表面ナノ構造の調製、3次元のナノ構造/部品の製造等がある。体積が小さく、機能が優れ、高効率で消耗が少なく、エネルギー消費が低い部品と製品は、工業界が絶えず追求する目標であり、特に製造技術がマイクロスケールからナノスケールに進化するにつれ、100nm以下という特徴的スケールの加工製造能力に対し、より高い要求が突きつけられている。

 現行のナノ製造技術において、レーザ光を用いたナノ製造技術は多くの独特な特徴と魅力を持つことから、世界的な研究の関心事の一つとなっている。レーザ光には高い輝度、方向性、単色性、可干渉性、偏光特性等があり、エネルギー、時間、空間面での選択可能範囲が広いうえに、精密かつ協調的な制御が可能であり(波長は赤外線からX線まで、パルス幅は連続からフェムト秒(ないしアト秒)まで、瞬間出力密度は1022 W/cm2に達する)。これらの特徴により、製造プロセスにおいて巨視的スケールの製造技術要求を満たすことができるだけでなく、マイクロないしナノスケールの製造要求を満たすことができ、さまざまなスケールで、選択的及び非接触的に材料の構造及び性能を改変し、製造目標を実現することができる。レーザ光による製造プロセスで用いられる物理的効果、作動メカニズムは既存の製造工程とは全く異なり、例えば非線形(多/2光子等)または非平衡性(電子間の非平衡性、電子と結晶格子との間の非平衡性等)の吸收及び非熱的な相転移(クーロン爆発、静電剥離等)であることから、新たな製造概念、原理、方法及び技術の誕生が促され、これまでにない極端な製造効果が得られた。超短パルス、超短波、超高強度レーザの急速な発展、レーザ光と物質の相互作用に関する全く新しい考え方の原理が発見され続けるにつれ、それに対応するレーザ光によるナノ製造方法も絶えず生まれており、それには、例えば、簡単な紫外線光への露出から、近接場効果に基づき光学的な回折限界を突破したナノ製造技術や、マイクロレンズアレイに基づいたナノ製造技術、非線形性光吸收に基づくフェムト秒レーザ光によるマイクロ/ナノ直写技術、ダブルビームまたはマルチビームの可干渉レーザ光の空間的重なりに基づく遠方場干渉加工技術、ならびにレーザ光誘起ナノ製造技術、レーザクラッディングに基づくナノ製造技術等がある。レーザ光によるナノ製造の効率及び限界分解能は常に更新されており、最小の製造線幅はすでに10nmを突破している。レーザ光によるナノ製造技術は、ナノ製造分野で非常に高い潜在力を持つ選択肢の一つとなっている。

 現在、レーザ光によるナノ製造技術の研究は、一般に遠方場ナノ製造と近接場ナノ製造に分けられている。フェムト秒・レーザ直写、遠方場干渉によるフォトリソグラフィ法、マイクロレンズアレイ技術、レーザ誘起加工等のいずれもレーザ遠方場によるナノ製造技術の範疇に含まれる。近接場効果に基づくナノ製造技術は、主に近接場において光はエバネッセント波の形式で伝播し、光の強さは伝播距離に伴い指数オーダーで減衰するという特徴を利用しており、この伝播プロセスは光の回折問題に干渉しないため、光学的回折限界を克服できる。近接場効果に基づくナノ製造技術には、近接場光学顕微鏡(near-field scanning optical microscope-NSOM)、光のマイクロスフェア捕捉、粒子接触レンズアレイ(Contact particle lens array-CPLA)、近接場光リソグラフィ(Near field interference lithography)のそれぞれに基づく製造技術等がある。このほか、パルスレーザにより融蝕された液体中の金属は比較的容易にナノ粒子に調製することができ、レーザ融蝕、レーザ光により補助された物理気相成長法及びレーザ光により補助された化学気相成長法によりナノワイヤー及びナノチューブを調製することができ、ダブルビームレーザにより3次元の複雑な構造等を調製することができる。

 レーザ光によるナノ製造技術は世界各国で注目されて高度な研究が行われているが、それとともに応用研究も極めて重要である。製造技術の研究とは、もともと応用研究と互いに補完し合い、並行して発展するものである。レーザ光によるナノ製造技術の進歩は、新型ナノ構造/部品の開発を促すと同時に、新型ナノ構造/部品の開発はレーザ光によるナノ製造技術の進歩に重要な啓発及び指導的意義をもたらす。本稿では、レーザ光によるナノ製造技術の一部の新興分野における応用状況、すなわち主に表面ナノ構造及び3次元ナノ構造/部品の製造に注目する。具体的には、メタマテリアル、光子結晶、データストレージ、バイオメディカル、センサ、機能性表面等があり、これら分野の研究に従事する同業者の参考に供する。

2 レーザ光によるナノ製造技術の応用

2.1 メタマテリアル

 メタマテリアル(metamaterials)とは、人工的に形成された2次元または3次元周期金属の図形構造を持つ材料を言い、入射する電磁波がこの種の周期金属の構造を通過する際は既存の屈折材料と反対方向に屈折するため負の屈折率を有し、屈折方向が古典的な電磁気学で説明される右方向ではなく左方向であるため、この種の人工的メタマテリアルは「左手系材料」(left-hand materials)とも呼ばれる。左手系材料は伝統的な光線の伝播方向を変えたため非常に大きな応用価値があり、なかでも最も注目されるのは物体の「ステルス」が可能な点である。メタマテリアルという概念は初めて報告されて以来、幅広く研究され注目を集めてきた。メタマテリアルにおいて、周期図形のスケールは制御する電磁波長と関係し、可視光波長域で用いられるメタマテリアルにはサブミクロン、ひいてはナノスケールの図形構造が必要である点において、ナノ加工能力が要求される。

 金属ナノ液滴を通じたレーザ誘起移動(laser-induced transfer-LIT)技術及び2光子重合化(two-photon polymerization(2PP))技術の組み合わせにより、Arseniy I. Kuznetsovらは高質量の球形金属ナノ粒子の調製及び2次元または3次元重合体構造における制御可能な沈積を実現した。2光子の誘起に基づく金属イオンの還元技術については、Satoshi Kawataらがプラズマメタマテリアルの調製方法を進化させた。レーザビームが金属イオン溶液中に照射される際、金属イオンは2つの光子を同時に吸収し、かつ、金属原子に還元される。2光子吸收プロセスの非線形性特徴により、これらの還元反応はレーザビームの焦点でしか生じず、微小な金属粒子を生成する。レーザビームのスキャンにより、所期の3次元金属構造が得られる。このほか,金属イオン溶液中に界面活性剤を加えると金属粒子の成長を抑制できるため、調製図形の特徴的スケールを一層小さくすることができる。この方法を通じて、Yao-Yu Caoらは特徴的スケールが180nmの3次元の銀構造を得ることができ、線幅がわずか120nm的の銀模様図案を得ることができた。Z.C. Chenらはフェムト秒レーザマイクロレンズアレイ(MLA)フォトリソグラフィ技術を用い、10 mm×12 mmを上回る面積でテラヘルツ波メタマテリアルを迅速調製した。この方法で調製されたスプリットリング共振器(split ring resonators(SRR))の縁部粗度は20nmを下回り、平滑な透過スペクトルを生じることができた。

2.2 光子結晶

 光子結晶(photonic crystal)は、フォトニックバンドギャップ材料(photonic band gap)とも言い、人工材料の一種である。いわゆる光子結晶とは、光伝送技術において周期的に別の屈折率に組み込まれる材料を言う。光線は異なる媒質の界面で屈折または反射を生じるため、ある種の材料中に別の屈折率を有する材料が周期的に分布している場合、光線の伝播もこの種の周期構造の屈折または反射を受け、あるエネルギー範囲の光線が通過できなくなることから、ある波長範囲の光線に対する遮断またはバンドギャップ(band gap)が生じる。1987年に、ベル研究所の研究者が初めて光子結晶の概念を報告した後、研究者たちは光子結晶について幅広く研究した。しかし、実用面から見ると、この分野における主な課題は依然として高質量のサブミクロン/ナノ3次元光子結晶構造の調製にある。

 Baohua Jiaらは、径方向に偏光した超速レーザビームを採用し、2光子重合技術により、有機–無機混成材料中で3次元の光子結晶を調製した。同一閾値条件下の直線偏光子レーザによる調製結果と比べたところ、得られた重合体ロッドの横方向のスケールは138nmから100nmに、27.5%減少した。調製された光子結晶構造は更に広い阻止帯域を示したため、より強い抑制作用を持つ。

 これと同様に、レーザ誘起に基づく重合反応によるものとして、Wojciech Haskeらは3次元の多光子リソグラフィ(3D multiphoton lithography(3D MPL))技術を採用し、可視光波長帯域(520 nm)で非常に大きな2光子吸收断面を持つ感光開始剤を用い、ナノレベルの特徴的スケールを持つ芝状体の光子結晶構造を調製したところ、線幅はわずか65±5nmであった。

2.3 データストレージ

 より大きなストレージ容量の絶えざる追求は情報ストレージ分野の持続的発展の趨勢である。これまでの50年間で磁気ディスクのMbあたりの価格は200万倍低下した一方で、磁気ディスクのデータ記録密度は約1億倍増加した。これはすべて、機能性マイクロ/ナノ構造の低コスト製造を可能にした先進的なマイクロ・ナノ製造技術の絶えざる発展によるものである。レーザ光によるナノ製造技術は高密度データストレージの分野でも同様に、先進的な加工方法の一つとして非常に重要な役割を果たしている。

 J. Brian Leenらは“C”型アイリスの近接場光学顕微鏡の採用により、Ge2Sb2Te5非結晶上でサブ波長より短いデータビットによる全光型メモリを実現した。この技術、ならびに電圧パルス信号による分布帰還型レーザ(λ=980 nm)を光源に採用して得られた物理的ビットの最小スケールは53.5×50.2 nm2に、データ記録密度は223 Gbit/ in2に達した。

 相転移材料(Phase-change materials)はデータストレージ分野で最も将来性のある材料の一つである。書き換え可能(E-R/W, Erasable-Rewritable)光学記録メディアですでに使用されているうえ、不変化型電子メモリの分野でも高い潜在力を示している。フェムト秒レーザ技術、マイクロレンズアレイ技術、湿式腐食技術、相転移材料の組み合わせにより、Y. Linらは相転移ナノリソグラフィ(phase-change nanolithography)技術を発展させ、2次元/3次元ナノ構造の大面積かつスピーディな調製を実現した。これらの方法により、半値全幅(full width at half maximum(FWHM))55nmという特徴的構造が得られた。この研究グループはさらに、2倍率のフェムト秒レーザ及び近接場光学顕微鏡との組み合わせにより、フォトレジスト塗布膜に特徴的線幅が20±5nmのフォトレジストパターンを直写した。これらの技術により、超高密度なデータストレージの実現が見込まれる。

 K. Miuraらは、さまざまなレーザ光条件下のサマリウム(Sm) イオン原子価の改変によるデータポイントの記録、読み取り及び削除プロセスを実現した。フェムト秒レーザの誘起による光還元反応(Sm3+からSm2+)により直径200nmのデータポイントの記録が実現し、Ar+レーザ(488 nm,0.5 mW)光源から励起された蛍光信号によりデータポイントの読み取りが実現し、連続レーザ(Ar+レーザ(514.5 nm,10 mW)または半導体レーザ)により誘起された光酸化反応(Sm2+からSm3+)によりデータポイントの削除が実現できる。これらの方法により、10mm×10mm×1mmのガラス片上で1Tbにも達するデータストレージが実現した。

2.4 バイオメディカル

 バイオメディカル分野におけるレーザ技術の応用には、生物学的流体通路、バイオチップ(バイオ電子チップ、生物学的流体チップ等)、経皮投薬用微小針、耳小骨プロステーシスや再生医学用足場等の調製がある。

 生物学的流体通路の応用には、タンパク質の分離、DNAシークエンシング、ドラッグデリバリー、バイオ分子の分類及び単一分子計測等がある。2光子の重合技術に基づき、K. Venkatakrishnanらはシンプル・迅速かつ重複可能なナノ流体通路の調製方法を提起し、シングルパルスのエネルギー及び重複率を制御することで、SU-8フォトレジスト上で幅わずか110 nmの流体通路を得ることができた。

 Dan V. Nicolauらは、タンパク質の固定化方法を提起し、透明な重合体上に沈積した金属薄層についてレーザ微小アブレーション(laser microablation)処理を行い、重合体の表面でマイクロ/ナノ構造を調製したところ、特徴的スケールは100nmの範囲内となった。平滑で、化学的に均一な重合体の表面と比べ、これらマイクロ/ナノ構造化した表面のタンパク質吸着能力は3~10倍強化される上、表面に誘発されるタンパク質の変性を抑制することができる。この方法は、われわれがさらに高い感度のタンパク質チップを調製し、タンパク質とナノ構造との間の相互作用メカニズムをよりよく理解するために新たな機会を提供した。

 Ormocer有機–無機混成材料に対する2光子重合を通じて、A. Doraiswamyらはマイクロ針や再生医学用足場等の3次元のマイクロ構造医療機器の調製を実現した。2光子の吸收確率の平方的特徴や確定された材料の重合閾値により光学的回折限界を突破することができ、重合により得られた構造では100nmを下回る解像度が可能となる。

 生物学的エレメントの小型化、特に、生物学的マイクロマシンからナノマシンへの転換は、研究者が直面しなければならない課題である。超速レーザの近接場光学顕微鏡技術はこれら課題を解決する有効な手段となるだろう。

2.5 センサ

 センサは、レーザ光によるナノ製造技術のもう一つの重要な応用分野であると同時に、MEMS、バイオメディカル等の他の分野でも欠くことのできない役割を果たしている。

 マイクロチャネルと光学的エレメントの統合を行うことは、チップのコンパクト化と携帯型センサの発展に重大な意味を持つ。透明材料中でフェムト秒レーザ直写を行うことは、この構想の実現に有效な方法である。T. Andersonらはフェムト秒レーザ直写及びそれに伴う湿式化学エッチング技術を採用し、マイクロチャネルと光導波管とのカップリングを実現し、分子計測統合センサ装置として用いることができた。このプロセスにおいては、さまざまなパラメータのフェムト秒レーザ処理を経た後、材料の改質部位に数ナノから数十ナノのさまざまな光膨張(photo-expansion)が生じる。

 T. Uedaらはパルスレーザ・アブレーション(pulsed laser ablation (PLA))法を採用し、Pt-電極を連結したAl2O3基材上で直径1.2 nmの単層カーボンナノチューブ (SWCNTs)を調製し、NOxガスのセンサとした。この種のSWCNTsに基づくセンサは被測定期待(NO和NO2)に対して高い感度と迅速な反応特性を示す。

 S. M. Huangらは、自己組織化プロセスにより、ドーピングしていない(100)Si基板表面で直径1.0μmのポリスチレン球配列を調製し、さらにKrFレーザ(波長248 nm,パルス幅23 ns)を用いてシングルパルス照射処理を行い、近接場光学効果を利用してSi基板表面で半値全幅(FWHM)の高さと幅がそれぞれ42nm及び260nmのナノ突起配列構造を調製した。他の相似する研究としては、X. C. WangらがSi表面の自己組織化により形成した二酸化シリコンマイクロスフェア(直径1.5 μm)配列についてKrFレーザ(波長248 nm,パルス幅23 ns)シングルパルス照射処理を行ったところ、Si表面でも同様にナノ突起配列構造を調製することができ、半値全幅(FWHM)の高さ及び幅はそれぞれ43 nm和162 nmであった。これらSi表面のナノ突起配列構造は高感度センサ分野で潜在的な応用価値を持つ。

2.6 機能性表面

 材料の表面性質、例えば光学的性質やバイオメディカル的性質、湿潤性、摩擦学的性質等は、その表面構造や表面の外観から強い影響を受ける。このため、研究者たちは各種材料に対する表面改質の手段や方法を提起しており、なかでもレーザ技術は特異的な長所により各国の研究者から広く注目されている。

 Chunlei Guoの研究グループはフェムト秒レーザのナノ、マイクロ及びサブミリ・スケール上における表面構造化技術を利用し、高い反射率を持つ金属(Au、Ag、Pt、Ti、Cu、Al等)を全吸收型またはある特定の色の光にだけ反射するよう改質し、いわゆる「黒色金属」(中国独自の金属の分類。鉄、マンガン、クロムの総称)または「非鉄金属」を作りだした。この技術はわれわれに、紫外線からテラヘルツ波長域までの金属表面における光学的特性について制御可能な調整を行うという構想を提供したことから、光子学、プラズマ光子学、光電子学、ステルス技術、熱放射源、放射伝熱設備、太陽光吸収材、熱光起電力電池(TPV電池)、赤外線センサ、バイオ光学器材、ならびに飛行機搭載/衛星搭載設備等の分野のいずれにおいても、幅広い応用の可能性がある。

3 まとめと展望

 本稿では、一部の新興分野におけるレーザ光によるナノ製造技術、具体的にはメタマテリアル、光子結晶、データストレージ、バイオメディカル、センサ及び機能性表面における応用の情况等を重点的に紹介した。レーザ光によるナノ製造技術は、高い将来性を有するものの、まだ成熟していない研究分野である。現在、回折限界という基本的な制約のため、100nmを下回る特徴的スケールについて、レーザを常用して制作する能力には依然として明らかな不足がある。近接場原理により、近接場光学顕微鏡(NSOM)及び原子間力顕微鏡(AFM)等の先進的工具を使用して特徴的スケールを希望するレベルまで低減することができたとしても、これら先進的工具そのものもまだ発展の初期段階にあるため、ナノ構造及びナノ部品による大きな面積や高い効率での生産要求を満たすことは特に難しい。このため、レーザ光によるナノ製造のスケール限界を絶えず突破し、加工の再現性と効率を徐々に高め、高精度のナノ構造の製造及び大スケール/トランス・スケール構造/部材を製造することは、依然としてレーザ光によるナノ製造分野における主な課題である。

 ナノ材料の持つ小スケール効果、表面効果、量子効果及び特殊な光学的、磁気学的、熱学的、力学的、化学的性質により、ナノ製造技術においてマクロ製造と完全に異なる理論、メカニズム及び方法が登場した。レーザと材料のナノスケールにおける相互作用のメカニズムを深く理解することは、レーザ光によるナノ製造技術の新しい原理や方法を理解する基礎であると同時に、ナノ製造分野の直面する、さらなる研究を必要とする中核的課題である。レーザ及び材料の相互作用に対する理解が深まるにつれ、レーザ及び材料の相互作用メカニズムに関する多くの論争が徐々に解決されてコンセンサスが得られ、エネルギーの吸収、伝達、転化プロセスがおおよそ全面的に明らかになれば、製造中のエネルギープロセスの掌握・制御もより成熟に向かうであろう。この基礎の上に、レーザ光によるナノ製造の新たな原理、方法、技術及び新たな製造プロセスを研究し、さらにレーザと制御システム、運動システム、外郭保護、安全システム等の統合により完全で機能のすぐれた先進的なナノ製造システムを開発することでプラント設備のスマート化、高効率化、一体化製造を実現し、新製品の製造に使用し、さらには新たな産業を構築することは、レーザ光によるナノ製造分野の今後の主な発展の趨勢である。


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