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中国、キロワット級の光ファイバレーザー合成出力に成功

中国科技日報     2012年 1月17日

 国防科技大学は6月、中国初の「キロワット級光ファイバレーザー合成試験システム」の製造に成功したと発表した。同システムの出力は1.5キロワットに達した(世界の類似システムの最大出力は725ワット)。専門家は、「同システムは世界で初めて、光ファイバレーザーのキロワット級合成出力に成功した。その総合的性能は世界最先端の技術水準に達し、合成出力、ブロードバンド・多重波長レーザーの合成技術等が世界トップ水準に達した」と指摘した。

 光ファイバレーザー合成は、光ファイバレーザー機器の高品質レーザー、高変換効率、コンパクトな構造等のメリットを活かし、位相コントロール等の方法により多数のレーザーを結びつけ、高効率・高品質のレーザー出力を実現するというもの。同技術は高性能レーザーを得るための重要な手段であり、世界レーザー業界で注目度が高まっている研究テーマである。しかしシステムが複雑で、研究製造が困難なことから、大出力の実現は稀であった。

 国防科技大学の劉沢金教授は研究チームを率い、長年の研究を経て、ランダム並行段状下降、一定頻度による振動といった、光ファイバレーザー合成位相コントロール方法を発明した。合成陣列レーザーの伝送共通モデルと伝送方式を確立し、合成レーザー品質評価指標を提案し、知的財産権を持つ中核技術を把握した。今年5月、同研究チームは「キロワット級光ファイバレーザー合成試験システム」を製造し、9本の光ファイバレーザーの合成を実現した。同システムの総出力は1500ワットに、光/光の変換効率は75%に、各技術指標が世界最高水準に達した。同システムは、高出力、高品質レーザー、高効果放熱、低コスト等の特長を持つ。

 同研究チームは「アプライドフィジックスレターズ」、「オプティクスエクスプレス」等の世界の有名科学誌および学術会議に、論文を121篇発表した。うちSCI掲載論文数は82篇で、段階的な成果「光ファイバレーザー合成技術」は、2009年中国光学重要成果に選出された。