ロボット技術関連トピック
トップ  > 科学技術トピック>  第65号:ロボット技術 >  ロボット技術関連トピック >  南極長距離調査ロボット、中国が独自開発

南極長距離調査ロボット、中国が独自開発

中国科技日報     2012年 2月 8日

 外見がジープに似ているロボットが、中国の第28次南極観測隊と共に南極に向かい、将来のアメリー棚氷無人調査に備えるべく、猛吹雪の環境下でモバイル技術テストと長距離技術テストを行っている。 

  南極の長距離調査ロボットは中国が独自に研究開発したもので、車体の設計にはジープのシャーシーのサスペンション技術を搭載。四つのタイヤを三角形のキャタピラに変えることで、雪 上や氷上の移動能力を高めた。同ロボットには自動運転システムが搭載され、南極の雪と氷による地形環境の識別と評価、測位・ナビゲーション、自動走行等の機能が実現した。

 中国科学院瀋陽自動化研究所の卜春光氏は、「同ロボットは南極中山基地付近でキャタピラによる移動性能・自動運転システムなどのテストを行う。最終的な目的は、約 6万平方キロメートルに上るアメリー棚氷で関連データの測量を行うことだ」、「今回のテストは、同ロボットが走行できる坂の角度、氷の割れ目の幅を調べ、雪上や氷上を正常に走行できるかを確認することが目的だ。ま た自動運転システムの、未知の環境下での運行状況をテストする」と述べた。自動運転システムは今回のテストでさまざまな不確定要素による困難が予想されている。

 情報によると、同ロボットは今回のテストでアイスレーダーをけん引し、データ収集を行う。研究者は同ロボット本体および、アイスレーダーのけん引方法、電力供給、データ伝送等の技術に対して、テ ストと検証を行う。

 長距離運行は、ロボットが南極で無人調査するための基本能力で、ロボットの作業範囲、通信とエネルギー供給、ロボットの信頼性などに直接関わっている。今回のテスト結果に基づき、ロ ボットの既存の通信システム等に対する改善点を確認し、アメリー棚氷無人調査に向けての要求を満たすように改善していくことになる。

 スマート化設備であるロボットの運用により、研究者の目と手足の代わりになって、走行、観測、サンプル収集等を遂行する。これは広範囲かつ深層の観測にとって重要な意義を持ち、か つ厳しい天候と自然条件による研究者のリスクを低減できる。中国の第24次南極観測では、氷上・雪上移動ロボットと低空飛行ロボットの2種のテストを実施し、一連の科学調査を実施した。卜春光氏は、「 南極の長距離調査ロボットは、これまでの南極ロボット技術を受け継ぎ発展させる。南極調査でロボットを使用することは、一つの流れになっている」と語った。