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慢性心不全の診断及び治療:2012年の現状及び進歩

2012年 4月12日

黄峻

黄峻(Huang Jun):
南京医科大学第一付属医院(江蘇省人民医院)教授、主任医師、博士課程指導教員

1945年10月10日生まれ。1969年、南京医科大学卒業(臨床医学専攻)。1978-1981年、同校修士課程(修士号取得)。1983-1986年、米国セントルイス大学医学部で心血管の基礎・臨床研究に従事。1986年~南京医科大学第一付属医院(江蘇省人民医院)で主治医、副主任医師、主任医師を歴任、副教授、教授を兼任。当医院院長、南京医科大学副校長を歴任。現在は、中華医学会心血管症分科会常任委員、心不全専門グループ長、中華医学会心血管症分科会専門委員、中国高血圧連盟副主席・江蘇省分科会主任、米国心臓病学会フェロー(FACC)。中華医学会心血管症分化会の委託により、中国「慢性心不全診断及び治療ガイドライン(2007年)」、「β-アドレナリン受容体遮断薬の心血管疾患における応用に関する専門家のコンセンサス(2009年)」、「急性心不全診断及び治療ガイドライン(2010年)」の編纂を主導。多くの国際的・多機関による研究を含む臨床研究数十件を指導・参加。「EBMに基づく現代の心臓病学」、「心臓伝達系疾患」等の専門書を執筆。この他、専門書13冊を主編、編集に関わった教科書・専門書は17冊。

 ここ数年、臨床治療の進歩によって心不全患者の病死率は明らかに低下したが、その診断・治療では多くの問題が未解決である。本稿では、この領域における近年の研究の進捗を述べ、これら問題への対応について個人的な意見の記述と論評を行う。

1 脳性ナトリウム利尿ペプチド/脳性ナトリウム利尿ポリペプチド前駆体N端フラグメントは慢性心不全の治療の指針となるか

 脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)/ 脳性ナトリウム利尿ポリペプチド前駆体N端フラグメント(NT-proBNP)の動態モニタリングは高く評価されている。しかし、臨床試験の結果とは決して一致しない。中国の慢性心不全ガイドライン(2007年)及び急性心不全ガイドライン(2010年)のいずれもこの評価方法を推奨しており、特に症状が深刻で、回復が遅れ病状が長く続いている心不全患者に対しては、長期にわたる治療中にこれら生物学的指標による評価を増やすことは疑いなく必要かつ有益であるが、依然として強力な根拠を欠いている。

 一方、近年報告されたメタ分析には重大な意味がある。BNP/NT-proBNPを応用して心不全治療を評価した400件の研究から、以下の条件に適合する試験20件をスクリーニングした。すなわち、サンプル数が多く、RCT法を採用し、全死亡率を観察ゴールの1つとし、フォローアップ期間の比較的長いものである。スクリーニングされた臨床研究には、2009年発表の中性的結果を示すTIMI-CHF試験がある。これによれば、一般の臨床評価と比較すると、BNP/NT-proBNPの動態モニタリングは心不全治療に有益であり、全死亡率及び心不全の悪化による再入院率のいずれも低下した。抗心不全薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬、ACEI)、β遮断薬等)の応用及び最終投与量も比較的多かった。

2 薬物治療の第四段階は如何に進めるべきか

 慢性心不全治療の段取りは以下の通りである。すなわち、第一段階で利尿薬を、第二段階でACEI又はβ遮断薬を、そして第三段階ではACEI及びβ遮断薬を併用する。心不全の標準的な治療又は基礎治療とは、利尿薬、ACEI及びβ遮断薬を合わせた適用を言う。最良の効果を得るために、利尿薬は患者体内の液体滞留が消失するまで(体重に基づき評価)、すなわち「乾燥重量」状態に置かれるまで使用されるべきである。また、ACEI及びβ遮断薬は目標投与量又は最大耐用量まで使用されるべきである。こうして、標準的な治療は最適化レベルに達し、標準的及び優先的治療法と呼び得る。

 標準療法及び至適療法後も患者の状態が思わしくない場合、例えば臨床症状の改善が思わしくなく、あるいは心不全の生物学的指標であるBNP/NT-proBNPの検査結果が思わしくない場合、すなわち治療後の減少幅が30%~40%に達していない場合は、いずれも薬物治療の效果が優れず、治療を更に一段階強化する必要があることを示している。

 更なる治療の強化、すなわち心不全治療の第四段階では、現時点では3種類の薬品の選択肢がある。すなわち、ジゴキシン、アルドステロン受容体拮抗薬、ARBである。臨床試験データに基づき、次のような使用を推奨する。すなわち、(1)NYHA分類心機能分類Ⅱ度の患者にはジゴキシン(DIG試験)の追加がふさわしく、(2)NYHA分類Ⅱ~Ⅳ度の患者にはアルドステロン受容体拮抗薬(RALES、EPHESUS和EMPHUSIS試験)又はARB(CHARM試験)を追加して良いが、前者がよりふさわしい。

 初期に実施された大規模臨床試験によれば、アルドステロン受容体拮抗薬の追加は標準療法及び至適療法後のNYHA分類Ⅲ~Ⅳ度の患者に有益であり、全死亡率を低下させる(RALES、EPHASUS試験)。近年実施されたEMPHUSIS試験により、NYHA分類Ⅱ度の患者にも有益であることが証明された。

3 β遮断薬をACEIより先に応用しても良いか

 慢性心不全治療では一般にまずACEIを用いる。これは、初めて実施された臨床研究が1991年のACEIを用いた心不全治療(SOLVD-治療試験)であったためで、利尿薬及びジゴキシンによる基礎治療に加えてカプトプリルを用いたところ、プラセボ対照群と比べて全死亡率リスクを25%まで顕著に引き下げた。また、その後のCONSENSUS、SAVE等のいくつかのACEI臨床試験でも心不全患者にとって同じように有益であることが証明され、その効果はSOLVD試験の結果と似通っていることがわかった。これら試験においても、ACEIは利尿薬及びジゴキシンの基礎治療に追加して使用された。

 しかし、この応用手順にはその後、課題が突き付けられた。CIBISⅢ試験とは、先にACEI(エナラプリル)を投与してからβ遮断薬を投与すべきか、あるいは先にβ遮断薬を投与してからACEIを投与すべきかという、慢性心不全患者に対するこれら2プランの治療效果に関する臨床研究であり、この結果、いずれのプランでも効果面で有意差がないことが分かった。しかし、軽中度心不全患者のサブグループを分析した結果、先にβ遮断薬を用いた患者への効果が最も高く、かつ、心臓疾患由来の突然死を明らかに減らすことができた。

 心不全由来の心臓突然死の予防・治療研究においても先にβ遮断薬を使用することが支持されているようだ。MERIT-HF試験で心不全患者の死亡モデルと心機能NYHA分類との関係についてサブグループ分析を行った結果、慢性心不全患者では心臓突然死が極めて頻繁に見られ、さらには心機能Ⅱ度、Ⅲ度及びⅣ度患者の死亡モデルにおいて心臓突然死がそれぞれ64%、59%、33%を占めたが、心不全の加重による死亡はそれぞれ12%、26%、56%であった。このことによって、心機能の状態が比較的良好(例えばNYHA分類Ⅱ度)であっても心臓突然死は生じうる上、突然死はこれら患者の主な死亡タイプであることが証明されている。現時点では、β遮断薬は全死亡率及び心血管死亡率を低減させるのみならず、突然死率を約45%と大幅に引き下げることが立証されている(CIBISⅡ、MERIT-HF、US Carvidilol試験等)。このため、β遮断薬の早期適用は、心機能状態の良好なⅡ度患者における適用も含め、必要性があり合理的でもある。

 基礎研究においても先にβ遮断薬を使用することが支持されている。研究によれば、慢性心不全の主な機序としての心筋再構築は、主にレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)及び交感神経系の過度の興奮による。これら2系統の活性化及び過度の興奮は同時に発生せず、交感神経系の興奮が先で、続いてRAASが興奮する。このため、ACEIの前に先にβ遮断薬を適用することが良好な選択である。

 総合的に見れば、実は、先に使用するのはACEIとβ遮断薬のいずれでもよく、臨床上、実際の状況を見て決めるべきことである。患者の血圧が高く、心拍数が遅く、かつ、心房細動又はその他の頻脈性不整脈がない場合はACEIを先に使用するのが適している。β遮断薬を先に使用するのは、心不全に明らかな交感神経系の興奮を伴い、心拍数が速く、心房細動又はその他の不整脈を併発し、冠動脈性心疾患を主訴とする患者である。

4 イバブラジンの慢性心不全治療における地位

 当該薬品は当初、冠動脈性心疾患の治療に用いられた後、洞房結節If電流に対する抑制作用により顕著に心拍数を遅らせることが見出されたため、心不全の治療に使用され始めた。2010年に公表されたSHIFT試験の対象者は心不全患者であり、これによれば、当該薬品ではプラセボに比べ、死亡及び心不全の悪化による入院率の複合エンドポイントが18%と顕著に減少した。最近、SHIFT試験について更に一段階進んで実施されたサブグループ分析によれば、当該薬品の応用は心不全患者の心筋再構築及びQOLに有益な効果をもたらすことが証明されている。SHIFT研究は、現時点では、心拍数の低下による心不全の臨床的アウトカムに関する初めての前向き研究であり、単純に心拍数を低下させるだけの医薬品(イバブラジン)にも心不全の予後を改善する効果があることを始めて証明した研究でもある。

 では、イバブラジンはβ遮断薬の代替となりうるか。あるいは、これら2薬剤の作用及び治療効果は同等であるのか。β遮断薬はさまざまな臨床試験(MERIT-HF、CIBIS-Ⅱ及びUS Carvidilol試験等)において、心不全患者の全死亡率及び突然死率を有意に減らすことが証明されているが、SHIFT試験においては、イバブラジンとプラセボを比較しても、全死亡率及び突然死率のいずれも減少していない。さらに、基礎治療においてβ遮断薬を、例えば目標投与量あるいは目標投与量の1/2と、比較的大量に投与したサブグループにおいては、イバブラジンは死亡及び心不全による入院の複合エンドポイントを低減させていない。このことは、イバブラジンの心不全患者に対する治療効果はβ遮断薬に及ばないことを証明しており、当然ながらβ遮断薬の完全な代替にはなり得ず、β遮断薬適用を基礎に、薬効が発揮されることを物語っている。

 このため、イバブラジンはβ遮断薬を適用できず、あるいは目標投与量又は最大耐用量に到達できない患者に適用される。この際、患者の心拍数が明らかに速い場合(例えば≥70回/min)にイバブラジンを追加使用し、かつ、心拍数が55~60回/minに減少するまで、徐々に投与量を増加させてもよい。

5 ARBはACEIの完全な代替になるか

 中国内外のガイドラインでは、一般にいずれもACEI適用の優先性を強調しており、ARBを(例えば、咳の発生により)ACEIの使用に耐えられない患者の一種の代替治療として挙げている。この際のARBによる治療効果も大変良く、ACEIと異なる点はない(CHARM代替試験)。

 しかし、この見方にも最近、大きな課題が突きつけられている。第1に、ACEIの主な副作用である咳の発生率はアジア人において比較的高い。心不全患者は年齢が高く、肺にうっ血がよく見られ、時には慢性閉塞性肺疾患を伴うために咳の発生率がさらに高くなる。確証的な研究データはないものの、一般に30%に達し、時にはこれを上回る。第2に、2000年以降に行われたRAAS遮断薬による心不全治療の研究の殆どにARBが適用されたことは、十分な薬効のみならず(Val-HeFT、CHARM、HEEAL試験等)、非常に安全で患者への適応性が高く、副作用の発生率も低いことを示しており、中性的な結果を示すARB研究(例としてはI-PRESERVE試験。主な対象は拡張性心不全)でさえも、副作用が低く、服薬コンプライアンスが高いと言う顕著な長所があり、これはACEIと明らかな対比を示している。第3に、ACEIではかつて、主にカプトプリル及びエナラプリルを用いてプラセボ対照群との大規模臨床試験を実施したことがあるが、後に登場したACEIについてはこのような大規模研究を行ったことはない。臨床上のモニタリングによれば、カプトプリルは咳の発生率が高く、一日2~3回服用する必要がある等、用薬も不便であるが、一方、エナラプリルの臨床効果も思わしくない。第4に、米国のAHA/ACC心不全ガイドラインでも支持されており、さまざまな原因による高血圧や心房細動、心筋梗塞においてすでにARBを適用した患者に心不全が発生した場合は、ARBの使用を止める必要はなく、ACEIに改めれば、ARBを使用し続けることができる。第5に、欧米のガイドラインでARBの使用を第一に推薦するのは経済面を考慮しているからである。ACEIはARBに比べはるかに安いが、中国ではこれら2剤の価格はほとんど同じである。

 このため、ここ数年、中国の心不全臨床治療における傾向として、ACEIの使用に耐えられない患者のみならず、すべての患者にARBを直接適用する医師が一部に存在する。しかし、筆者は依然として、ACEIを優先的な選択肢とするべきと考える。しかし、ARBを直接又は優先的に適用する方法も、筆者は不当なわけでもないと見做し、反対する必要も積極的に賛成する必要もなく、医師が具体的な状況を斟酌して決めてよいと考える。

6 ACEI又はARBは目標投与量又は最大耐用量まで使用すべきか

 当初、ACEIによる心不全治療及びプラセボとの対照臨床試験においては、いずれも大量投与を適用していた。これは、これら投与量下で患者に利益があったためで、国内外のガイドラインではいずれも上記水準への到達又は少なくとも接近を要求しており、かつ、これら用量を目標投与量に設定していた。では、少量投与も同じように有益であるか否かだが、大量投与と少量投与と対比させた比較研究はまだ出されていない。

 最近のHEEAL研究において、ARBの大量投与と少量投与による慢性心不全への影響を一対一で対比させた結果、大量投与(ロサルタン150 mg/d)は少量投与に比べ(ロサルタン50 mg/d)、死亡及び心不全による入院の複合エンドポイントを顕著に引き下げている。この研究により、心不全治療においてはARBの投与量は多いべきであることが証明されたようだ。このため、これまでのELITE Ⅱ試験においても、ロサルタン(50 mg/d)少量投与群とカプトプリル群を対比したところ、心不全患者の主要エンドポイントには差がなかった。

 慢性心不全の病理学的・生理学的機序の分析によっても、RAAS遮断薬は大量投与を行うべきという考え方が支持されている。心不全の病理機序は心筋再構築にあり、RAAS及び交感神経系の過度な興奮が心筋再構築の主な機序である。効果的かつ充分にRAASを遮断するためには、有害な病理学的・生理学的プロセスを明らかに逆転させて心不全の進行を減速又は遮断する必要があり、これにはACEI又はARBの大量投与が必要となる。

 しかし、臨床試験においては、このような大量投与には大きな課題がある。RAAS遮断薬の投与量の増加に伴い副作用発生の機会も増えるためである。この傾向はACEIに顕著である。副作用には、第1に血圧の降下、第2に生化学的検査における血中カリウムレベル、血中クレアチニン濃度の上昇があり、腎機能障害が引き起こされる可能性さえある。大量投与に到達するまでに、相当の患者が困難に直面するだろう。このため、心不全の臨床に携わる医師の間には、ACEI又はARBは少量から中用量までの使用でも患者に有益であり、投与量は必ずしも目標投与量に達する必要はないとする、ある種のコンセンサスも存在する。これは、β遮断薬の適用と異なる点である。筆者の考えでは、このような認識に不当はないが、患者が投与に耐え得るなら、なるべく目標投与量に達するまで投与すべきと考える。

7 拡張性心不全の診断・治療

 拡張性心不全の正確な診断は如何に行うべきか。心エコー図は患者の拡張機能の評価に用いることができるため、拡張性心不全においても重要な診断方法であるのは自然の流れである。しかし、心エコー図上の拡張機能に対する評価は、特に現場の医師にとっては、患者が拡張性心不全を発症しているか否かを診断する不可欠条件ではない。拡張性心不全の診断は、臨床症状によっても行うことができる。

 中国の「慢性心不全診断及び治療ガイドライン(2007年)」に提示される拡張性心不全の主な診断指標は次のとおりである。すなわち、(1)心不全の症状及び兆候を呈していること、(2)LVEF≥45%であること、(3)心臓の大きさは正常で、特に左室の大きさが正常であり、心エコー図上で測定した左室収縮末期容積及び拡張末期容積のいずれも正常範囲にあること。左房に軽度の肥大があっても良い。(4)心臓弁疾患、心筋症、心膜疾患の可能性が排除できること。これら疾患は拡張機能の低下及び拡張性心不全を引き起こし得る。

 拡張性心不全の診断に有益な方法は他にも存在する。大量の疫学研究によれば、拡張性心不全患者には往々にして次の特徴がある。すなわち、(1)ほとんどが高齢者である。(2)女性が多い。患者の2/3は女性である。(3)拡張性心不全の病因は主に高血圧、又は患者に高血圧の既往歴があることである(約2/3を占める)。(4)患者には、次の症状の併発が良く見られること。すなわち、肥満、心房細動、冠動脈性心疾患又は脳血管疾患等の末梢動脈疾患。疑似患者に対しては、BNP/NT-proBNP検査を行うべきである。なぜなら、拡張性心不全患者はこの指標が明らかに高くなるはずであるが、一般的に、上昇幅は往々にして収縮性心不全ほど大きくない。しかし、間違いなく上昇し、病状の重い者ほど上昇幅も大きくなる。

 では拡張性心不全は如何に治療すべきか。利尿薬は症状改善を助け、体内に滞留する液体を効果的に排出させ、心臓の負荷を減らすが、長期的かつ生涯服用が必要となる。血圧の積極的な引き下げの必要性は高い。血圧は<130/80 mm Hg(1 mm Hg=0.133 3 kPa)に維持する必要がある。血圧の指標達成は心不全の再発予防に効果的で、拡張性心不全の病理学的・生理学的機序にも有利な影響をもたらす。β遮断薬も効果を示す可能性がある(SENION試験。冠動脈性心疾患、心房細動等の合併症をコントロールする必要がある。肥満者は体重を減らす必要がある。ジギタリス系医薬品、例えばジゴキシンの使用は推奨されない)。

 現時点では、拡張性心不全の鍵となる病理学的・生理学的機序はまだ明らかになっていないため、治療理念及び方法にブレイクスルーは見られておらず、収縮性心不全対処の基本モデルの域からも出ていない。今後、この分野における更に深くかつ広範な研究が待たれる。

8 心臓再同期療法はNYHA分類Ⅱ度の患者に標準適用可能か

 心臓再同期療法(CRT)の適応症に関しては、2009年以前に公表された海外の関連ガイドラインのいずれも、患者の心機能をNYHA分類Ⅲ~Ⅳ度に限定していた。

 最近、CRTを応用して心不全治療を行った3つの臨床研究(REVERSE、MADIT-CRT、 RAFT試験)(NYHA分類Ⅰ~Ⅱ度、主にⅡ度を対象とした)のいずれの結果でも、CRTは心不全の顕著な症状を呈する患者だけに有益な治療法ではなく、心不全の進行を予防する有効な方法であり得ることが示された。このため、2010年に欧州ESC及び米国ACC/AHAは双方とも、心不全の非薬物治療ガイドラインを改正し、NYHA分類Ⅱ度の患者に対するCRTの使用を奨励した。

 しかし、RAFT試験によれば、CRTはNYHA分類Ⅱ度の一般の患者への使用は適さず、NYHA分類Ⅱ度の中でも病状の重い患者、すなわち、LVEFが非常に低く(<20%又は少なくとも<25%)、心室非同期性が顕著な患者(QRS波が150msに達し、又は左脚ブロックを併発)が主な対象として適している。このほか、CRTは高価で無反応患者が30%にも達する上、これら患者にとってCRT治療が有益か無益かを確定できる信頼性の高い指標は、現時点では存在しない。このため、筆者は、NYHA分類Ⅱ度で、かつ適応症のある心不全患者には使用を検討してよいが、適応症については厳密に把握する必要があると考える。


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