疾病予防と治療研究関連トピック
トップ  > 科学技術トピック>  第67号:疾病予防と治療研究 >  疾病予防と治療研究関連トピック >  モンゴル族の伝統薬、冠動脈疾患の治療に有効

モンゴル族の伝統薬、冠動脈疾患の治療に有効

中国科技日報     2012年 4月16日

 冠動脈疾患は一般的に見られる疾病の一つで、その治療は臨床医学の最重要課題となっている。内モンゴル蒙医学院元院長、中国国務院政府特別手当取得者の蘇栄扎布氏(モンゴル族)は、モ ンゴル族の伝統的処方を整理し、二次研究・開発を行った。うち内モンゴルの草原に広く伝わる「八味沈香散」をはじめとする心臓病治療薬で画期的な進展を遂げ、冠動脈疾患、狭心症、肺 性心の臨床治療に幅広く用いられている。これにより冠状動脈疾患によるさまざまな症状が緩和され、血管の心臓に対する正常な血液・酸素供給を回復し、心臓病の突発的な発生を防ぐことができる。

 蘇栄扎布氏は、「モンゴル族の医学理論によると、心臓と脳の血管病の主な内的要因は、赫依、希拉、巴達干と呼ばれる3本の間でバランスが失われ、機能に乱れが出ることだ。こ れにより血流が滞り不整脈が生じ、動悸、めまい、胸のしびれ等が生じる」と述べた。ゆえにモンゴル族の医学は、心臓・脳血管の治療をする際に総合的な治療を重視しており、治療の効果を高めようとする。「 中国実用医薬」2009年9月第4巻第25期で発表された「八味沈香散による冠動脈疾患・狭心症の治療効果に関する観察」によると、八味沈香散には心熱を下げる効果があり、主に心熱症、前胸部と背中の痛み、動 悸息切れ、心臓の損傷等を効果的に治療する。また肝臓・腎臓機能に対しても副作用を持たない。うち呼吸窮迫症に対する有効率は88%、動悸は89.11%、息切れは79.16%、めまいは71.19%、狭 心症は78.16%、心筋虚血症は81.3%、不眠症の緩和は76.12%に達した。また急性心筋梗塞を改善し、心電図のT波とST部分の上昇を抑制する効果がある。八味沈香散はまた、N hにより誘発された冠動脈疾患による心電図のT波・ST部分の上昇に対しても効果的な抑制作用を発揮し、急性心筋虚血症を迅速に治療することができる。