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都市鉄道輸送の車両

2012年 6月13日

王 曰凡

王 曰凡(Wang Yuefan):上海申通地下鉄グループ技術センター顧問・総工程師、同済大学兼職教授、国家発展改革委員会都市軌道交通装備国産化専門家グループ専門家、国家登録建築工程監理工程師

1942年2月生まれ。66年、唐山鉄道学院電気機関車専攻卒業。1985~87年、独ベルリン工科大学訪問学者、旧西独国鉄などで研修。電気機関車の研究、開発、設計、製造、都市鉄道輸送の車両技術研究に従事。上海地下鉄の車両技術などを担当。

 米国のある研究者が住民を対象に、許容可能な移動時間について調べたところ、45分という結論を得た。都市は規模に見合った速度で走る交通手段が必要であることを示すものである。

 現在、人口が1000万を超える都市は世界に約20、100万を超える都市は300余りあり、都市圈が直径50kmを超えるところが多い。最高時速が80kmあれば、基本的に条件を満たすことになる。これが可能なのは、都市鉄道輸送である。乗客を乗せる車両は、設計製造技術、性能、機能面で、いずれも発展を続けてきた。

車輪式の車両

 車輪式の車両には、鉄輪とタイヤの2種類がある。従来型の都市鉄道輸送は鉄輪を採用している。タイヤの車両は、駆動用と案内用のタイヤを取り付けており、騒音は相対的に小さく、登坂能力は通常の鉄輪、鉄軌道方式より高い。

 しかし、タイヤは環境を汚染し、寿命が短い、という致命的な欠点があるため、鉄輪、鉄軌道方式が絶対的な優位にある。

 車輪式の特殊な例としては、リニアモーター車両がある。1980年代に登場し、リニア誘導モーターによって、起動加速度及び制動減速度が向上し、登坂能力が高く、モーターの構造がシンプルで、曲線半径50mのカーブに適応可能である。また、直径の短い車輪を採用すれば、車両の高さを低くでき、直径の小さいトンネルに適応可能である。自重が軽く、軌道に対する衝撃が小さく、運行時の騒音も小さい。リニアモーター車両は、モーターの効率の制約によって、車両が相対的に小さく、定員も少ない。

ライトレール(軽量軌道、LRT)の車両

 路面電車は、軽量軌道の前身である。1970年代以降、一部の国では旧式の路面電車を技術改造し、新型の軽量軌道を建設した。軌道は専用、あるいは半ば専用とし、コンピュータ制御によって、システムの安全性、信頼性及び快適性を向上させた。同時に、運行速度を速くした。

 現在、300以上の都市で軽量軌道が走っている。ライトレールは通常、小型車両、低床車両が採用され、駅は簡易なつくりで、線路の敷設に柔軟性があり、多くは最高時速70kmである。近代的な軽量軌道は、モジュール化された連結式車両を採用している。

モノレール

 モノレールは、単軌道上を運行するもので、跨座式と懸垂式の2種類がある。モノレールの最高時速は80kmに達し、4~6両編成が可能で、登坂能力が高く、半径の小さい曲線の走行が容易で、環境への影響が小さい。しかし、エネルギー消費が大きく、走行装置の構造が複雑で、コストが高く、タイヤの寿命が短い。一般に、輸送能力は1時間当たり片道延べ1万~2万5000人に達する。

新交通システムの車両

 都市の騒音及び排気汚染等の公害を減らすために、新交通システムが開発された。高度に自動化された旅客輸送システムで、車両は専用軌道上で定時に自動運行され、駅は無人管理。管制センターのコンピュータで集中制御されている。

 一般に車両は小さく、列車の編成も比較的短く、輸送能力も小さい。軌道には中央案内軌条と側壁案内軌条の2つの方式があり、車輪はタイヤで、騒音が小さく、登坂能力が高く、曲線半径の小さい線路に適応する。空港内や、小さな区域内で利用され、他の交通機関への接続に用いられる例が多い。

磁気浮上式の車両

 2002年12月、上海で高速磁気浮上式列車が開通した。日本では、すでに中低速磁気浮上式路線が運行されている。

中国の都市鉄道輸送の車両

 この20年間、中国の都市鉄道輸送は、急速な発展を遂げた。北京、上海、天津、広州など10以上の都市で、さまざまなモデルの都市鉄道、計40路線余りが相次いで建設され、運行距離は1,500kmを超えた。1990年代、中国の地下鉄車両は基本的に輸入に依存していたが、10年余りの国産化の努力を経て、自主設計・製造が可能な車両生産基地が生まれ、現在は輸出もしている。

 地下鉄は、鉄輪、鉄軌道方式が主要モデルである。中国では車両はA型、B型、C型の3種類に分類され、旅客が比較的多い路線にはA型が採用され、主に上海、南京、広州、深圳に集中している。その他の路線は、多くがB型を採用している。

 軽量軌道は中小都市にふさわしく、大都市では近郊、もしくは地下鉄と接続する路線、又は地域内の路線にふさわしい。大連、長春、天津、上海では、すでに軽量軌道が建設されている。

 重慶は別名「山城」と呼ばれ、市内はビルが密集し、道路は狭く、勾配がきついため、モノレール方式が適している。中国初の跨座式モノレールが建設されている。北京と広州では、リニアモーター方式の鉄道が建設され、営業している。北京首都空港第3ターミナルと広州市内には、それぞれAPM(無人の新交通システム)が敷設されている。


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