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北斗測位チップにおけるコア技術の進展

2014年 3月27日 柳珺(中国総合研究交流センター フェロー)

 中国の衛星測位システム「北斗」の報道官は12月27日、「北斗測位産業は2013年に目覚ましい進歩を遂げた。国産の重要なチップ・モジュールのコア技術の難題を全面的に解決し、そ の性能が世界の同類の製品と同水準に達した。中国が独自開発した北斗チップは、すでに車両や携帯電話に搭載可能となった」と発表した。

 2013年は北斗システムの利用初年度となった。戦略的な新興産業と位置づけられる北斗測位産業は、1年にわたり初歩的な規模を形成し、基礎産業、システムアプリケーション、運 営サービスといった産業チェーンを整えた。北斗システムの製品はすでに交通、漁業、水文モニタリング、気象予報、陸地測量、スマート運転免許試験、通信・時報、災害救助・減 災などのさまざまな分野で利用されている。

 衛星測位システムにとって最も重要な部品はチップである。55nm(ナノメートル)チップの登場により、中国の北斗測位チップ開発は目覚ましい進歩を遂げた。しかし全体的に見ると、中 国製チップと世界の最先端レベルとの間にはまだ大きな差がある。北斗システムの発展において、チップは最も重点を置いて開発を進める領域であり、政策面からより力強い支援が必要なほか、通 信事業者の参加が必要になってくる。

 北斗システムは宇宙・地上・ユーザ端末の3つの部分によって構成される。ユーザ端末は、本格的な北斗システムの受信機と言える。この受信機にはアンテナ、RFモジュール、A/D、北 斗システムのベースバンドチップなどが含まれる。そのうちベースバンドチップは、最も重要な情報処理機器である。

 中国国内で発売されている北斗測位チップは、ベースバンドチップとRFモジュールの単独設計が主流だが、海外ではRFとベースバンドチップを一体化させるのは一般的だ。この点に関しては、外 国企業に3−5年の差をつけられている。加工技術を見ていくと、中国のベースバンドチップは最小55nmとなっているが、海外では40nm以下を実現しており、1世代の差がある。

 スマートフォンの普及に伴い、携帯電話のナビ機能が北斗システムにとって最大の市場になる可能性がある。しかし現時点では、国産北斗測位チップを搭載した携帯電話がまだ発売されていない。こ のボトルネックとなっているのは、割高なチップ価格だ。携帯電話のチップを見ると、海外ではすでにナビ用・通信用のチップが一体化されているが、中国は単独のナビ用チップの研究にとどまっている。

 今回の重要チップ・モジュールのコア技術の進展は、チップ設計水準、集約度を高めると同時に消費電力の削減を促す。この技術の成果は間もなく、中国企業が開発する北斗測位機能を持つ携帯電話に搭載される。 


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