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中国の2大学、極低温原子の量子シミュレーション分野で飛躍

2014年 4月28日 単谷(中国総合研究交流センターフェロー)

 中国科学技術大学清華大学はこのほど、極低温ルビジウム原子ボース気体に対して人工的にスピン軌道結合を作り出し、実験の中で初めてスピン軌道結合を持つボース気体の有限温度下における相図を確定することに成功し、極低温原子の量子シミュレーション分野で重要な飛躍を果たした。

 凝縮系物理学において、複雑な相互作用がもたらす強相関系(高温超伝導、分数量子ホール効果など)を直接解明することは難しく、これまで上記のような物理問題に対する深い理解と応用までには至らなかった。極低温原子の量子シミュレーションは、等価な量子系を人工合成することで、観測しやすい等価な量子系における極低温原子の変化を利用して強相関系の複雑な電子挙動をシミュレーションするというもので、凝縮系物理学における重要なメカニズムの理解に向け、直感的な手段を切り開いた。この手段は今、複雑な物理システム・メカニズムを理解し、解決する上で最も有力な手段と見なされており、過去10年間で、世界的にも極低温原子の量子シミュレーション実験が大きく発展している。

 スピン軌道結合は多くの重要な物理現象(原子の微細構造、近年発見されたトポロジカル絶縁体など)の鍵となる要素だ。このため、スピン軌道結合の研究と量子シミュレーションは、これらの現象をより良く理解し、さらなる利用を実現するための効果的な手段となった。中国科学技術大学の研究者はまず、ラマン結合技術を利用して人工的にスピン軌道結合を持つ極低温ルビジウム原子ボース気体を作り出した。その後、システムの温度を変化させることにより、初めてボース・アインシュタイン凝縮(BEC)の転移温度の、スピン軌道結合の影響による変化を観察することに成功した。また、実験において、磁気平面波相BECから非磁気ストライプ相BECへのゼロ以外の温度での位相曲線を確定。さらにスピン軌道結合の作用下におけるボース気体の磁性の発生とBEC転移温度の一致性も観測した。研究チームはこうした現象を基礎とし、有限温度下のスピン軌道結合を持つボース気体の相図を作成した。


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