第93号
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中国の2013年度政府機関会計検査の結果について

2014年 6月30日 金 振(中国総合研究交流センター フェロー)

 6月25日、中国国家審計局は、2013年度中央行政官庁の会計監査結果(審計局2014年第20号公告)を発表した。国家発展委員会など37の中央行政官庁とその外郭団体(389団体)が 検査対象機関に選ばれ、総予算の33.38%に当たる1542.39億元に会計検査のメスが入った。

 図1は、37の検査対象機関のうち、予算総額と監査実施総額が公開された29機関の監査結果についてまとめたものである。棒グラフの青色は予算総額、黄色は監査実施総額であり、赤 い折れ線グラフは会計ルール違反と判断された金額が、監査実施総額に占める割合である。折れ線グラフから見ると、監査結果が最も悪い機関は食・薬品監督総局であり、会計違反と判断された金額が全体に占める割合( 違反率)は83.29%に達している。一方、優等生は証券管理委員会であり、違反率は0.24%に止まる。

 今回、環境保護部は会計検査の対象にはなっていないが、2013年の検査結果によれば、2012年全体予算39.1 億元の83.68%が監査実施対象となり、指摘された違反率は30%であった( 審計局2013年第27号公告)。

図1

図1 29機関の監査結果

 注意しなければならないのは、今回の会計検査の監査範囲、つまり全体予算額に対する監査実施総額の割合が調査対象機関によってそれぞれ異なる点である。社 会保障基金委員会に対して実施した監査範囲は最も広く、予算全額が検査の対象(100%)になっているのに対し、中科院(中国科学研究院)の監査範囲はわずか4.75%に過ぎない(図2)。監 査基準の統一化が今後の課題になりそうだ。

 習政権が唱える「腐敗一掃」の具体策として会計検査が重宝されている点を評価する意見も多いが、有効な是正策の欠如を指摘する声も少なくない。

図2

図2 監査対象の範囲