第96号
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中国、年間100万個生産の電気二重層コンデンサ生産ラインが稼働

2014年10月 2日  柳 珺(中国総合研究交流センター フェロー)

 湖南耐普恩電能科技有限公司は8月26日、第5回中国(上海)国際電気二重層コンデンサ(スーパーキャパシタ)産業展覧会で、最新の商品を発表したほか、記者会見で、年 間100万個の電気二重層コンデンサを生産できる生産ラインが稼働したことを明らかにした。同生産ラインは、極片の製造や単体の組み立て全行程をカバーしている。これは、こ れまで海外メーカーの独占状態だった同業界にとって画期的なニュースで、中国の電気二重層コンデンサ市場の発展が加速すると期待されている。中国科学技術部863計画・電 気自動車重大プロジェルトチームの元副主任だった寧国宝博士は、知的財産権のある電気二重層コンデンサの最新式商品が生産できる同社を高く評価している。

 湖南省長沙市の国家級経済技術開発区にある同社は、2010年に設立されて以来、電気二重層コンデンサやその新エネルギーにおける活用を研究・開発し、応用を進めてきた。高い性能を誇るその製品は、中 国の権威ある検査機構により、世界でも有名な企業の同類の製品と同じ、もしくはそれ以上の性能があることが確認されている。また、自主開発した電気二重層コンデンサを、交通運輸や大衆消費電子製品、工業、再 生新エネルギーなどの分野で応用する面でも成果を出している。これらは、中国の電気二重層コンデンサの産業化の過程で、資源節約型で環境に優しい構築を推進し、地元における最適化された発展、イ ノベーション型発展、エコ型発展を実現する点で、重要な戦略的意義を持つ。

 電気二重層コンデンサとは、電気二重層という物理現象を利用することで蓄電量が著しく高められたコンデンサ(キャパシタ)で、広い温度範囲、環境に優しいという特徴をもつ。蓄電デバイスは、今 後性能がさらに向上すれば一部のバッテリーを代替する可能性がある。その最大の特徴は、内部抵抗が低く短時間で充放電が行えることだ。高性能電池であるリチウムイオン電池のエネルギー密度と比べれば、電 気二重層コンデンサは数十倍の能力がある。充放電回数は50万回以上可能で、寿命は10年以上と言われている。新エネルギー車や新エネルギー発電、工事用機械、地下鉄、都市鉄道、昇降設備、軍 事設備など多岐にわたって応用することができる。