第103号
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中国科学院、健康モニタリングと個人の音声識別を実現

2015年 4月22日(中国総合研究交流センター編集部)

 中国科学院の研究チームはこのほど、摩擦電気による自家発電の仕組みを持ち、柔らかく装着可能な、人体の体外脈搏と喉頭音の圧力センサーを開発した。

 開発されたのは、ヒトの鼓膜の仕組みと摩擦発電の原理を結びつけ、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン)と孔構造ナイロン膜を活用し、テフロンを鼓膜の代わりにしたバイオニクスセンサーで、広 い周波数帯域の微弱な圧力波動信号の測定が可能となる。

 測定によると、2.5 Paから1.2 kPaの圧力範囲で、高感度(>51mVPa-1)、すばやい圧力波動反応時間(<6ms)、高い安定性( 負荷測定周期4万往復で電気出力ほぼ変わらず)などの特徴を示した。活動周波数帯域が広い(0.1Hzから3.2kHz)のも特徴となる。

 頸部や腕部、胸部の皮膚に取り付ければ、体表の低周波の脈拍信号を取得し、この信号から心血管系の健康を示すAixやRI、PWVなどの値を取り出し、携 帯式の人体健康モニタリングシステムに情報を送ることができる。また喉頭部から信号を取得すれば、被験者の高周波の音声信号を取得し、記録することもできる。さ らに脈拍と音声信号を取得できる自家発電可能なセンサーにもなる。

 また同一デバイスによる複数の面からの安全認証にも利用でき、認証精度を示す等価エラー率(EER)は1.6%に達した。人体の健康状態のモニタリング、個人の音声記録、安 全認証など様々な応用的価値を持っている。