第104号
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中国陸上風力発電の発展状況-その1

2015年 5月27日  金 振(中国総合研究交流センター フェロー)

国全体発電設備容量の7.1%、全体発電量の2.78%

 近年、中国における陸上風力発電設備の導入は、著しい発展を見せている。2014年末まで、風力発電設備の全体導入量(グリッドアクセス済み)は、9637万kWに達した。この数字は、国 全体における発電設備容量の7.1%に相当する(図1)。同年における風力発電量は全体発電量の2.78%に相当する1534億kWhを記録した(出典:国家能源局「2014年風電産業監測状況」)。図 1に見るように、2009年以降、全体発電設備容量における風力発電設備の割合は、前年比1%以上の成長を見せている。

図1

図1 中国風力発電設備容量および発電設備容量全体に占める割合(2000年~2014年)

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2015年1億kWを突破、世界一位

 2015年3月末までの統計によれば、中国の風力発電設備容量は、10107万kWを記録し、設備容量1億kWを突破した史上初の国となった(出典:中国国家能源局「2015年1月~3月:風 力事業の発電状況」。以下、能源局2015)。2014年末まで、世界全体風力発電設備容量は、3.5億kWに達している中、導入設備規模一位の中国のシェアは全体の27.4%を占め、2 位のアメリカと3000万kW以上の差をつけている(図2)。

図2

図2 世界における割合

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最新動向、地域導入量(2015年1月~3月)

 2015年1月から3月まで、合計470万kWの新規風力発電設備の導入があり、発電量は去年の同じ時期に比べ25%増の456億kWhに拡大した。1月から3月まで、新 規設備導入量が最も多い地域は59万kW増を記録した寧夏省であり、甘粛省(45万kW)、新疆(40万kW)、山西省(37万kW)、山東省(36万kW)などがその後を追う。1月から3月まで、全 国平均発電時間は、477時間/(1月~3月)であり、発電時間が最も長かった地域である雲南省(968時間/年)と最も少ない吉林省(269時間/年)の間には3.6倍の開きがある(能源局2015)。& amp; amp; amp; amp; amp; amp; amp; amp; amp; amp; lt; /p>

 図3は、2015年3月までの地域ごとの設備導入量を示している。全体でいえば、風力発電施設は、内モンゴルや河北省などの北方地域と甘粛省などの西北地域に集中していることが分かる。導 入量がもっとも多い地域は内モンゴル(西地域と東地域)であり2000万kWを超えている(図3)。

図3

図3 地域ごとの風力発電設備容量(2015年3月まで)

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発電ロスの問題:系統接続に至っていない発電量

 2015年1月から3月までの全国平均ロス率は、2014年の8%から、一気に18.6%までに上昇した(図4)。地域別に見た場合、吉林省のロス率がもっとも高く、58%を計上した。ロス率30%台 地域には遼寧省と黒龍江省、そして、20%台地域には内モンゴル自治区、甘粛省、新疆ウィグル自治区、が入る(図5)。去年と比較した場合、遼寧省のロス率の上昇が特に深刻であり、2014年の6%から35%ま で上昇し、およそ6倍の上昇幅を見せている。ロス率上昇の主な原因は、去年の同じ時期に比べ、今年の風量が増加した関係で(18.6%)、発電量も18.6%増えたにもかかわらず、グ リッドアクセスの制約が大きく改善されていなかったからである。その他の理由として、全国電力需要の低下や送電会社が買取を拒否する事案などが挙げられる(出典:能源局2015)。

図4

図4 2015年1月~3月における発電量、ロス電量・割合

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図5

図5 地域別のロス率の比較

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その2へつづく)