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自主起業が引き続き上昇 「重心下降」の傾向が明らかに―2015年中国大学卒業生就職報告(その1)

2015年 8月20日  中国総合研究交流センター編集部

2014年卒者の前年と比べて月収の伸びが大きかった主な本科専攻類トップ5(麦可思調べ)
①卒業生規模について、少数規模の専業類はこのリストに含まれない。
②月収増長率:月収増長率=(2014年度卒業半年後月収2013年度卒業半年後月収)/2013年度卒業生の平均月収)
③月収:固定給、奨励金、インセンティブ、現金福利補助金等のその月の全収入を指す。
出典: MyCOS中国2013届、2014届大学畢業生社会需求与培養質量調査。
主要学部学類
名称①
月収増長率②
(%)
2014年度卒業半年後
月収③(元)
2013年度卒業半年後
月収(元)
心理学類 14.5 3498 3056
体育学類 14.0 3724 3268
環境科学類 13.6 3506 3085
環境生態類 13.3 3569 3151
電子信息科学類 12.4 4413 3927
全国本科(学部) 6.0 3773 3560
2014年本科卒業生の半年内の自主起業が最も集中した業種トップ5(麦可思調べ)
①自主創業の最も集中している業種の割合:2014年度同学歴レイヤーの自主創業者グループの中で多くの割合の卒業生がこの業種に就業している。分子は2014年度の自主創業者グループの中でこの業種に就業している卒業生数であり、分母は2014年度の同学歴レイヤーの卒業生で自主創業した総人数である。
出典:MyCOS-中国2014届大学畢業生社会需求与培養質量調査。
自主創業が最も集中した業種① 全体に占める割合(%)
中小学教育機関 6.5
教育補助サービス業 3.2
インターネット運営・ネットワーク検索エンジン業 2.8
その他金融投資業 2.4
その他学院と補習・訓練機関 2.4

 卒業シーズンが今年もまたやってきた。全国の今年の新卒者は、史上最多を更新する750万人近くにのぼった。今年の新卒者の就職状況はいかなるものか。中国の大卒者は、卒業後のキャリアをいかに形成しているのか。卒業生に対するニーズはどのような傾向にあるのか。全国数千万の卒業生と保護者の誰もが関心を持つ問題である。本稿では先に新華社が報じた麦可思(MyCOS)研究院発表の「2015年中国大学生就職報告」にクローズアップすることにした。同報告は、2014年卒者の卒業半年後の調査と2011年卒者の卒業3年後までの追跡調査に基づくものである。同報告のデータとそこから導かれる結論は、教育担当部門や大学、大学生の就職・起業にとって価値ある参考資料となる。

卒業半年後の就職率はここ3年安定

1.卒業半年後の就職率はここ3年安定

 2014年卒者の卒業半年後の就職率は92.1%で、2013年卒者(91.4%)をわずかに、2012年卒者(90.9%)を1.2ポイント上回った。このうち本科大学(4年制学部)の2014年卒者の半年後の就職率は92.6%で、2013年卒者と2012年卒者(それぞれ91.8%、91.5%)をいずれも上回った(それぞれ0.8ポイント、1.1ポイント)。高等職業・高等専科学校の2014年卒者の半年後の就職率は91.5%で、2013年卒者(90.9%)をわずかに、2012年卒者(90.4%)を1.1ポイント上回った。ここ3年、卒業生の卒業半年後の就職率は安定の傾向を示している。

2.起業や進学を選ぶ卒業生の割合が引き続き拡大

 「フルタイムの雇用を受けている」という人の割合は、2014年卒者では79.2%で、2013年卒者と2012年卒者(それぞれ80.6%、81.3%)よりいくらか縮小したが、総体的な就職状況は安定を保っている。起業した卒業生の割合が前年の2.3%から2.9%に拡大している影響もある。学部卒者の大学院進学率は前年の10.8%から11.7%に、高等職業・高等専科の本科進学率は前年の3.8%から4.2%に上がった。

3.各専攻の就職状況の傾向は変わらず

 調査では、就職状況に基づいて各専攻を「レッドカード」「イエローカード」「グリーンカード」の専攻に分けた。レッドカード専攻とは、失業率が高く、就職率・賃金・就職満足度の総合評価が低い専攻を指す。失業リスクの高い専攻である。イエローカード専攻とは、レッドカード専攻以外で、失業率が比較的高く、就職率・賃金・就職満足度の総合評価が比較的低い専攻を指す。グリーンカード専攻とは、失業率が比較的低く、就職率・賃金・就職満足度の総合評価が高い専攻を指す。需要が高まっている専攻である。

 本科大学と高等職業・高等専科学校の2015年卒者のレッドカード専攻は、2014年と比較すると、重複する専攻が見られ、各専攻の就職状況には連続性が見られる。2015年の学部卒者の就職におけるレッドカード専攻には「生物工学」「美術学」「生物科学」「応用物理学」「応用心理学」「法学」「音楽演奏」が挙げられ、このうち「法学」「生物工学」「美術学」は前年もレッドカード専攻とされていた。高等職業・高等専科学校卒者のレッドカード専攻には「法律事務」「語文(国語)教育」「初等教育」「投資・理財」「応用日本語」「国際金融」が挙げられ、このうち「法律事務」「語文教育」は前年もレッドカード専攻とされていた。2015年の学部卒者の就職におけるイエローカード専攻には「体育教育」「動画」「英語」「工商管理」「漢語言(中国語)文学」が挙げられる。高等職業・高等専科学校卒者のイエローカード専攻には「コンピューター会計」「工商企業管理」「コンピューターマルチメディア技術」「コンピューター応用技術」が挙げられる。2015年の学部卒者のグリーンカード専攻には「建築学」「ソフトウェア工学」「ネットワーク工学」「通信工学」「建築環境・設備工学」「車両工学」「鉱物加工工学」が挙げられる。高等職業・高等専科学校卒者のグリーンカード専攻には「鉄道工学技術」「電化鉄道技術」「石油化工生産技術」「電力系統自動化技術」「供用電技術」「ビル・スマート化工学技術」が挙げられる。レッド・イエローカード専攻が出てしまう原因は、供給が需要よりも高かったからかもしれないし、学生の養成の質がポストの要求に満たなかったからかもしれない。ここで反映されているのは各専攻の全国的な状況である。

卒業生の自主起業の割合が引き続き上昇

1.卒業生の自主起業の割合が引き続き上昇 革新能力向上

 2014年卒者の自主起業の割合は2.9%で、2013年卒者(2.3%)に比べて0.6ポイント高く、2012年卒者に比べて(2.0%)0.9ポイント高かった。そのうち2014年卒の学部卒業生の起業の割合は2.0%で、前年(1.2%)を0.8ポイント上回った。高等職業・高等専科卒業生の起業の割合は3.8%で、前年(3.3%)より0.5ポイント高かった。この3年の傾向からは、大学卒業生が自主起業する割合は引き続き大きな上昇傾向にあることがわかる。

 地域別に見ると、2014年卒の学部卒業生の自主起業の割合が最も高い経済区域は、汎長江デルタ区域経済体(2.5%)だった。2014年卒の高等職業・高等専科卒業生の自主起業の割合が最も高い経済区域は、汎長江デルタ区域経済体と中原区域経済体(いずれも4.6%)だった。業種別に見ると、2014年卒の学部卒業生の自主起業が集中しているトップ2の業種は教育業(13.0%)と小売業(11.1%)で、高等職業・高等専科卒業生の自主起業が集中しているトップ2の業種は小売業(14.2%)と建築業(8.2%)だった。起業の理由から見ると、就職困難は、起業の最大の理由ではない。大学卒業生が起業する主な動機は「理想が起業家になることだから」「良い起業プロジェクトがあるから」であり、そのうち機会があったから起業したという卒業生は全体の85%に達した。起業意識の育成は、大学卒業生の自主起業能力を高める有効な手段である。このほか、国家の大学生の革新・起業に対する政策支援の下、大学生の革新能力に対する大学の育成成果が明らかになり始めた。2014年卒者の卒業時の革新能力把握水準(54%)は、2013年(53%)と2012年(50%)からわずかに向上した。

2.卒業後半年の起業者の半数近くが3年以内に撤退

 2011年卒の大学卒業生のうち半年後に自主起業していた人は1.6%(学部は1.0%、高等職業・高等専科は2.2%)、3年後に自主起業していた人は5.5%(学部は3.3%、高等職業・高等専科は7.7%)で、卒業時と比べると3年後には2.4倍(学部は2.3倍、高等職業・高等専科は2.5倍)に増えた。これはより多くの卒業生が卒業3年以内に自主起業を選択したということを示している。2011年卒者のうち卒業時にすぐ起業した人のうち、3年後も起業を継続している人の割合は47.5%で、前年(43.3%)より拡大した。そのうち学部では44.8%の人が3年後も自主起業を継続しており、2010年卒者(41.1%)より3.7ポイント拡大した。起業を撤退し、フルタイムの社員になることを選んだ人は49.6%で、2010年卒者(53.4%)より3.8ポイント縮小した。高等職業・高等専科のうち3年後も自主起業を継続している人の割合は48.9%で、2010年卒者(42.6%)より6.3ポイント拡大した。起業を撤退し、フルタイムの社員になることを選んだ人は42.7%で、2010年卒者(50.3%)より7.6ポイント縮小した。大学卒業生の起業は継続性を持っており、大学卒業生の起業を評価・支援する際には、卒業時だけに着目してはならない。

その2へつづく)


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