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自主起業が引き続き上昇 「重心下降」の傾向が明らかに―2015年中国大学卒業生就職報告(その2)

2015年 8月20日  中国総合研究交流センター編集部

その1よりつづき)

大学生の就職の質が着実に向上 大学教育の長期的な見返りが明らかに

1.ここ3年の大学卒業生の実質賃金は上昇傾向

 2014年卒者の半年後の月収(3487元)は、2013年卒者(3250元)より237元、2012年卒者(3048元)より439元増え、3年の伸び幅は14.4%に達した。このうち2014年の学部卒業生(3773元)は、2013年卒者(3560元)より213元、2012年卒者(3366元)より407元増え、3年の伸び幅は12.1%だった。高等職業・高等専科学校の2014年卒者(3200元)は、2013年卒者(2940元)より260元、2012卒者(2731元)より469元増え、3年の伸び幅は17.2%だった。ここ3年の傾向から見ると、大学卒業生の半年後の月収は上昇傾向を呈している。当年の消費者物価指数(CPI)の影響(2012—2014年のCPIはそれぞれ102.6,102.6,102.0)を除いた数値でも、ここ3年の大卒者の実質賃金は、安定した上昇の傾向を保っている。2011年卒者の卒業3年後の平均月収は5484元(学部は6155元、高等職業・高等専科は4812元)だった。2011年卒者の半年後の月収は2766元(学部は3051元、高等職業・高等専科は2482元)で、3年での月収の増加は2718元に達し、増幅は98%に達し、都市住民の同時期の平均賃金の増幅(17.4%)を超えた。大学教育の長期的な見返りは明らかで、大学に進学することは、進学しないことに比べて、収入の長期的な上昇の面で大きなメリットを持っている。

2.卒業生の仕事と専攻の関連度は安定

 2014年の学部と高等職業・高等専科の卒業生の仕事と専攻の関連度はそれぞれ69%と62%で、2013年卒者と2012年卒者(それぞれ69%、62%)と横ばいだった。ここ3年の傾向からは、大学卒業生の仕事と専攻との関連度は安定傾向を見せている。

 大学卒業生が専攻と関係ない仕事を自ら選ぶのは、主に、専攻と関連する仕事に興味が持てないためだが、これは学んでいる専攻に興味が持てないか、専攻と関係する職業への認識が不足しているためと考えられる。2014年の学部卒業生が自分の専攻と関係ない仕事を選んだ主な理由としては、「専攻に関係する仕事が自分の職業に対する期待と合わない」(33%)が最もよく挙げられ、「現実に迫られ、先に就職して後に業種を選ぶことにした」(24%)がこれに続いた。2014年の高等職業・高等専科卒業生が専攻と無関係の仕事を選んだ主な理由は、「現実に迫られ、先に就職して後に業種を選ぶことにした」(29%)と「専攻に関係する仕事が自分の職業に対する期待と合わない」(28%)が多かった。

3.卒業生の卒業半年内の離職率は安定

 2014年卒者の卒業半年内の離職率(33%)は2013年(34%)とほぼ横ばいだった。そのうち2014年の学部卒業生の半年内の離職率は23%で、2013年(24%)とほぼ横ばい、高等職業・高等専科卒業生の半年内の離職率は42%で、2012年(43%)とほとんど横ばいだった。本科大学の中では、「211工程」に指定されている大学の離職率は12%で、指定されていない大学の離職率は25%だった。2014年の学部卒業生で半年内に離職した人のうち98%は自分から離職しており、自分から離職した主な理由としては、「個人の発展の余地が足りない」(50%)や「賃金・福利の水準が低すぎる」(43%)が挙げられた。2014年の高等職業・高等専科卒業生で半年内に離職した人のうち98%は自分から離職しており、自分から離職した主な理由は「個人の発展の余地が足りない」「賃金・福利の水準が低すぎる」(各49%)が多かった。専攻の専門性が高いほど、職場の安定性は高かった。2014年の学部学科類のうち、「医学」の半年内の離職率は最低(14%)で、「文学」の半年内の離職率は最高(30%)だった。2014年の高等職業・高等専科の専攻類のうち、「医薬・衛生」は半年内の離職率が最低(20%)で、「芸術・設計・メディア」の半年内の離職率は最高(51%)だった。調査では、卒業後3年の卒業者のうち、職場への忠誠度が高い人ほど、収入が高いこともわかった。2011年の学部卒業生のうち、卒業3年にわたって1つの雇用者にだけ仕事をしてきた卒業生の月収は最高(6494元)で、5つ以上の雇用者に仕事をしてきた卒業生の月収は最低(5535元)だった。2011年の高等職業・高等専科の卒業生のうち、卒業2年で1つの雇用者にだけ仕事をしてきた卒業生の月収はやはり最高(5191元)だった。仕事をしてきた雇用者が多いほど、月収が低いことがわかった。

4.卒業3年内に昇進した人の割合は前年を保つ

 2011年卒者で3年内に昇進した人は57%で、2010年卒者と横ばいだった。学部卒業者のこの割合は54%で、高等職業・高等専科卒業生の割合(60%)を下回った。2011年の学部卒業生のうち「不動産管理」類に従事する人が3年内に昇進した割合は最高(76%)で、「公安/検察/裁判所/経済法執行」類に従事する卒業生の昇進の割合は最低(32%)だった。2011年の学部卒業生が昇進に役立ったと考えている大学での活動としては主に、「課外で自ら学んだ知識と技能(トレーニングを含む)」(45%)と「教室で学んだ知識と技能」(36%)が挙げられた。高等職業・高等専科卒業生が昇進に役立ったと考えている大学での活動としては主に、「休暇の実習/課外のアルバイト」(33%)や「社会の人脈の拡大」(33%)、「課外で自ら学んだ知識と技能(トレーニング含む)」(32%)が挙げられた。

大学生の就職の「重心下降」の傾向が明らかに

1.民営企業への就職の割合が上昇

 「民営企業/個人経営者」は、2014年卒者の就職が最も多かった雇用者の類型で、学部卒業者の50%と高等職業・高等専科卒業者の65%が「民営企業/個人経営者」に就職しており、2013年(学部45%、高等職業・高等専科63%)をいくらか上回った。学部卒業生の民営企業への就職の割合は上昇傾向を示しており、5年で10ポイント高まり、5割に迫っている。高等職業・高等専科卒業生の民営企業への就職の割合はほぼ横ばいで、いくらか波はあるものの、過去5年にわたって6割以上を保っている。その他の類型の雇用者の需要もいくらか変化しており、そのうち国有企業と外資系企業の学部卒業生に対する需要は明らかに低下している。2014年卒者の就職の割合が最も高かった雇用者の規模は300人以下の中小型雇用者(51%)で、2013年と横ばいだった。このうち学部卒業生のこの割合は47%、高等職業・高等専科卒業生のこの割合は56%だった。ここ5年にわたって、学部卒業生の就職先は大型企業から中小型企業へと流れている。2010年から2014年の学部卒業生のうち、300人以下の中小型企業に就職した人の割合は上昇傾向(35%から47%に上昇)にあり、300人以上の大型企業に就職した人の割合は下降傾向(36%から26%に下降)にある。高等職業・高等専科卒業生の雇用者の規模はここ5年、目立った変化はない。

2.高等職業・高等専科卒業生の地級市以下の地方への就職の割合が上昇

 卒業生が就職する都市の類型から見ると、2010年から2014年までの学部卒業生の地級市以下の地方への就職の割合はほぼ横ばいだったが、高等職業・高等専科卒業生の地級市以下の地方への就職の割合は56%から60%に上昇した。データによるとここ5年、大学卒業生の就職の都市分布には「重心下降」の傾向が出現し始めている。この方面での政策指導を強化すれば、大学卒業生の就職先の地方分布と都市化プロセスの釣り合いが取れていないという現象はより緩和されるものと見られる。

大学生の就職満足度が明らかに上昇

1.大学生の就職に対する受け止めが改善

 2014年卒者の就職満足度は明らかに上昇して61%となり、2013年(56%)から5ポイント上昇した。そのうち2014年の学部卒業生の就職満足度は62%で、2013年(58%)から4ポイント上昇した。高等職業・高等専科卒業生の就職満足度は59%で、2013年(54%)から5ポイント上昇した。本科大学のうち「211工程」に指定されている大学の2014年卒者の就職満足度は63%で、指定されていない大学の卒業生の就職満足度は62%だった。2014年の学部卒業生のうち就職の現状に不満足な主な理由は「収入が低い」(学部、高等職業・高等専科ともに66%)、「発展の余地が足りない」(学部、高等職業・高等専科ともに59%)だった。2014年の学部卒業生の学科類のうち、卒業半年後の就職満足度が最も高かったのは「教育学」と「経済学」(ともに64%)で、就職満足度が最も低かったのは「工学」(59%)だった。2014年の高等職業・高等専科卒業生の専攻類のうち、就職満足度が最も高かったのは「文化教育類」(63%)で、最も低かったのは「資源開発・測量類」(52%)だった。

2.仕事と職業に対する期待との一致度が上昇

 2014年卒者の仕事と職業に対する期待の一致度は46%で、2013年(43%)を3ポイント上回った。そのうち2014年の学部卒業生の仕事と職業に対する期待との一致度は49%で、2013年(46%)を3ポイント上回った。高等職業・高等専科卒業生の仕事と職業に対する期待との一致度は43%で、2013年(40%)を3ポイント上回った。仕事と職業に対する期待とが一致していないと考える理由としては、「自らの職業発展の計画に合わない」(学部、高等職業・高等専科ともに33%)、「自らの興味や趣向に合わない」(学部、高等職業・高等専科ともに23%)が多かった。2014年の学部卒業生の学科類のうち、卒業半年後の職業に対する期待の一致度が最も高かったのは「医学」と「教育学」(ともに53%)、職業に対する期待の一致度が最も低かったのは「農学」(46%)だった。高等職業・高等専科の専攻類のうち、半年後の職業に対する期待の一致度が最も高かったのは「医薬・衛生類」(50%)、最も低かったのは「資源開発・測量類」(37%)だった。

(おわり)


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