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中国の大学サイエンスパークについて(その7)

2015年10月26日  康琪(中国科学技術発展戦略研究院体制管理研究所 シニア研究員)

その6よりつづき)

2 発展の現状

 長年の発展を経て、同済大学国家サイエンスパークはすでに、同済大学を取り囲む地域で科学技術イノベーションを推進し、経済発展を促進する重要な力として成長している。同 済大学サイエンスパークは2003年、科技部と教育部によって「同済大学国家大学サイエンスパーク」に認定された。2005年には科技部によって「国家ハイテク起業サービスセンター」、2 009年には科技部によって「国家たいまつ計画環同済研究開発設計サービス特色産業基地」、2010年には科技部によって「大学生科技産業実習基地」として認定された。同 済サイエンスパークのインキュベーターは2010年から、「上海市優秀サイエンス企業インキュベーター」として毎年連続で認定され、2013年には総合2位にランクインした。現在、同済サイエンスパークは、「 国家級優秀大学サイエンスパーク」と「国家級優秀科技企業インキュベーター」の称号を両方とも獲得した全国でもわずか5カ所のサイエンスパークの一つとなっている。2012年12月には、共 産主義青年団中央委員会によって「全国大学生起業模範パーク」の称号を受けた。

2.1 運営主体

 同済大学サイエンスパークの運営主体は、上海同済サイエンスパーク有限公司である。同公司は、上海同済科技実業株式有限公司と同済大学、楊浦区人民政府の3者の出資によって2003年に設立された。出 資比率は、上海同済科技実業株式有限公司が60%、上海同済資産経営有限公司が20%、上海楊浦科技投資発展有限公司が20%。同済大学国家サイエンスパークの運営を主な業務としている。

図4

図4 上海同済サイエンスパーク有限公司の構成

2.2 地域分布

 10年近くの発展・建設を経て、9000平方メートルの工場施設から始まった同済大学サイエンスパークは、「赤峰路インキュベーション基地」「国康路起業基地」「蘇州基地」「浙江慈渓産業パーク基地」「 同済大学滬西キャンパス基地」「邯鄲路基地」「常熟基地」などの1パーク・複数基地からなる発展の局面を形成し、総延床面積(計画を含む)は100万平方メートル、使用開始面積は35万平方メートルに達し、専 門の特色が際立った産業パークとして発展し、専門産業の集積や地域経済の形態改善、地域経済の発展促進などの面でも大きな成果を上げている。

図5

図5 同済大学サイエンスパークの地域分布

表2

2.3 産業発展

 2011年末までに、パーク内の登録企業は600社余りに達し、累計登録資本は人民元換算で10億元を超えた。このうち建築計画・設計の関連企業はパーク内の企業総数の40%、省エネ・環 境保護系の企業は15%だった。1万人余りの雇用が創出され、「芯豪微電子」「禾木城市計画」「同磊土木」「同捷科技」などの実力あるハイテク企業が輩出された。

(1)環同済知識経済圏

 2007年、「環同済知識経済圏」が正式に始動した。環同済知識経済圏は、1つのコアエリア、1つの拡張区、4つの放射点からなり、総面積は約10平方キロに及ぶ。「クリエイティブ・設計」「 国際エンジニアリングコンサルタントサービス」「新材料・環境保護科学技術」の3大産業クラスターの発展を重点とし、2015年までに環同済知識経済圏の生産額を300億元とする目標が掲げられた。

 現在、建築設計を筆頭として、市政府の工学設計や計画設計、景観設計、室内設計を重点とした関連産業は、環同済知識経済圏の中で急速に発展している。このほか、環境保護や先進製造、建築・総合設備、電 子情報、機械電気、省エネ・環境保護の企業も少しずつ増加している。ここ数年で経済圏の生産額は20%を超える年間成長率で急発展を続けている。

図6

図6 環同済知識経済圏の産業比率分類図

図7

図7 環同済知識経済圏の生産額の成長(2002—2009年)

(2)環同済建築設計産業クラスター

 同済大学と楊浦区政府の支援の下、大学サイエンスパークは各方面の資源を集め、産業集中度を高め、産業の発展を促進した。同済大学建築設計研究院(集団)有限公司や上海同済都市計画設計研究院、上 海市政工学設計研究総院、上海郵電設計コンサルティング研究院有限公司、中建国際設計顧問有限公司などの大型設計企業が相次いで参入し、同済大学の周辺に、設計・計画・製図・模 型製作などの一連の企業を含む設計産業クラスターを形成した。2009年、科技部の「たいまつ・ハイテク産業開発センター」によって、「国家たいまつ計画環同済研発設計サービス特色産業クラスター」に認定された。 

2.4 拡張モデル

 清華大学北京大学の「モジュール化拡張モデル」とは異なり、同済大学は「重点化拡張モデル」を取った。この拡張モデルは、大 学の有力学科を中心として学科関連業種の整った産業チェーンを形成すると同時に、その他の業種にも投資し、重点業種を中心としてその他の業種を補助する発展局面を形成するものである。同済大学は1993年、上 海同済科技実業株式有限公司を制度改変によって設立した。同公司は、同済大学の建築・土木系学科の強みを活用し、不動産の開発・建設で高い実力を誇ると同時に、建設分野の高水準の専門会社を多く傘下に置き、不 動産開発や調査、爆破、設計、管理監督、工事のスマート統合、不動産管理を主要業務とした都市建設科学技術産業チェーンを形成した。不動産開発の産業チェーンを整備すると同時に、同済科技実業有限公司は、同 済大学のその他の学科にも研究成果の転化のプラットフォームを提供した。例えば、同済大学を拠り所とした環境工学院は、「同済環境工学科技公司」を設立し、さらに校営工場と研究所の制度変更によって「 上海同済機電廠有限公司」と「上海放射免疫分析技術研究有限公司」を設立することによって、同済大学の派生企業の産業分野を切り開いた。

その8へつづく)


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