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中国における原発の安全性への取り組み状況

2016年 1月15日 (中国総合研究交流センター編集部)

解説:

 中国国家核安全局は2015年8月、『国家核安全局2014年年報』を発表した。本稿はその冒頭部分の「総論」であり、最新の中国における原発の安全性に関する取組をまとめたものである。

はじめに

 2014年、中国の民用核施設の安全運転と建設の質はいずれも良好で、原子力発電所や研究炉、核燃料サイクル施設、放射性廃棄物の貯蔵・処理処置施設の運用、放射性物質の運輸活動ではいずれも、国際原子力事象評価尺度(INES)レベル2以上の事象・事故は発生せず、核施設の運転と建設にかかわる事象は適切に処理された。

 2014年、中国全土の放射線環境は全体的に良好だった。環境電離放射線の水準はバックグランド値の変動範囲にとどまり、核施設や核技術利用事業の周囲環境の電離放射線水準は総体として大きな変化はなかった。環境電磁放射線の水準は総じて良好な状況で、電磁放射線の放射施設の周囲環境の電磁放射線の水準も総体として明らかな変化はなかった。

行政審査認可改革

 国務院の統一配置に基づき、一連の行政許可の調整や委譲、統合が行われ、原子力と放射線の安全監督管理行政審査認可事項が最適化・強化された。民間用核セキュリティ設備の非破壊検査人員資格の認可と研究炉捜査人員資格の審査はこれまで複数の機関によって行われていたが、環境保護部(国家核安全局)による統一実施へと調整された。医用Ⅰ類放射線源機関、ポジトロン断層法(PET)用放射性薬物(自己用)の製造機関の放射線セキュリティ許可証の審査・発行権限は、省級の環境保護部門に委譲された。放射性薬品とその原料の輸出入の審査認可の有効期間は6カ月から1歴年とされた。環境保護主管部門はさらに、軍隊の民間関係核技術利用機関の放射線セキュリティ監督管理の職責を軍隊に移動した。

能力の構築

 国家核・放射線セキュリティ監督管理技術研究開発基地の建設が段階的な重大なブレークスルーを実現した。基地の全体プロジェクトの提案書が国家発展・改革委員会の認可を得て、総延床面積92,957平方メートルと基本建設投資74,886万元が確定された。土地使用権が北京市国土資源局の認可を得て、建設用地3区画合計218ムー(14.5ヘクタール)が一度に獲得された。

 監視能力建設事業を強化し、国家制御網自動ステーションの建設を展開し、運転やメンテナンス、品質監視の管理を整備し、全国の放射線環境監視のデータのまとめと発表のシステムの最終検収を完了した。原子力発電所の監督的な監視システムの建設を統一的に推進し、審査認可と検収を完了した。監視チームの能力を高め、各省における監視クオリティに対する評価と応急監視事業の技能の競い合う枠組みを組織し、関連証明書に基づく勤務の審査を強化した。

 原子力発電グループの原発事故緊急支援チームと支援力の建設を推進し、5大原子力発電グループの相互支援・協力のメカニズムと各近隣原子力発電所の相互支援のメカニズムを実行し、浙江秦山原子力発電基地を拠点とした中核集団による原子力緊急支援隊の組織、広東大亜湾原子力発電基地を拠点とした中広核集団による原子力緊急支援隊の組織を指導した。省級原子力事故の緊急対応能力を高め、メカニズムを革新することにより、陜西など6つの省級環境保護部門による原子力事故の緊急対応演習の開催を指導し、緊急対応経験の交流を強化した。

監督管理の強化

 監督管理の方式と手段を絶えず改良し、日常的な監督管理を強化し、監督管理事業の標準化と規範化を推進した。原子力と放射線の安全問題をすばやく発見し、適切に処理し、江蘇省南京市のⅡ類放射線源紛失重大原子力事故に効率的に対応し、アジア太平洋経済協力(APEC)会議期間の核・放射線セキュリティ緊急対応安全保障の準備任務を円満に完了し、中国の核・放射線セキュリティ水準のさらなる向上を推進した。

 2013年の核・放射線セキュリティ大検査によって発見された問題に対して逆算スケジュールを立て、任務を全うした。福島原発事故以降の安全改良要求の全面的な実施を促し、「福島改良行動実施状況報告」を作成した。原子力発電所の経験フィードバックシステムの推進も大きく進展し、中国の原子力発電所の経験のフィードバック能力をさらに高めた。

 原子力発電所のテスト・調整の監督管理モデルを設計し、AP1000やEPRなどの原子力発電所のテスト・調整の監督管理を準備した。原子力発電所の審査・評価業務の自主設計も強化し、原子力発電所標準の審査・評価モデルを探求した。そして政策研究を強化し、監督管理技術文書の体系の整備を進めた。

 四○四発電所の活断層問題を各方面と協調して解決し、核燃料サイクル施設の分類原則と基本的な安全要求を研究した。歴史的に残されてきた放射性廃棄物の処理・処置を推進し、「両廠三院」(2つの発電所と3つの研究院)の核施設の退役と放射性廃棄物処理の総体計画の実施を促進した。全国の原子力基地と核施設の放射線環境の現状調査と事業管理の評価を強化し、重点事業で重要な成果を得た。放射線源の安全の特別検査を完了し、移動式γ線非破壊装置の安全水準も高められ、使用済みの放射線源のリサイクルが推進された。鉱産資源の開発利用を展開し、放射線環境の安全調査を行った。送電・変電事業の環境評価管理を規範化した。

 核セキュリティ設備の監督管理を法に基づいて厳しく管理し、法律法規を整備し、審査・認可にあたっても厳格さを旨とし、法律や規則の違反事件は厳しく処理し、原子力発電プロジェクトを担う企業の調達や乱造に対する特別検査や、核セキュリティ設備の組み立て機関に対する特別検査を展開した。

 人員の資質管理のメカニズムの改良を積極的に追求した。新たに建設される核施設の人員がすでに稼働している核施設に出向して操作人員としての訓練を受けることや、核技術の利用団体が核セキュリティエンジニアの業務資格の核心ポストや最少人数の要求を登録するという提案を行った。

 核・放射線セキュリティパブリックコミュニケーション体系の設立を模索し、科学普及PRと情報公開、公衆の傘下、世論対応の「四位一体」のパブリックコミュニケーションの業務体制の設立と整備を推進した。徐大堡原子力発電所のパブリックコミュニケーションの経験を総括・普及し、建設を予定している原子力発電プロジェクトのパブリックコミュニケーション事業を積極的に展開し、公衆の知る権利や参加権、監督権を保障し、建設を予定している原子力発電プロジェクトの審査認可事業が着実に推進された。

中国核・放射線セキュリティ監督管理30年の一連の活動

 中国の核・放射線セキュリティ監督管理30年の一連の活動を開催し、「中国核・放射線セキュリティ監督管理三十年(1984—2014)」の出版、「中国核・放射線セキュリティ監督管理三十年募集原稿集」の編集、核・放射線セキュリティ監督管理に関するPR映像の制作、中国核・放射線セキュリティ監督管理三十年経験座談会の組織などを行い、一連の技術交流討論活動を展開した。活動は、30年以来の核・放射線セキュリティ監督管理が上げた成果や果たした貢献、積み上げた経験を全面的に総括し、中国の核・放射線セキュリティ監督管理活動に対する一般の人々や世界の同業者の理解を増進し、原子力大国の核セキュリティ監督管理機構の積極的なイメージをアピールした。

核セキュリティ文化の構築

 習近平主席の「理性、協調、同時推進」の中国の核セキュリティ観を実現し、業界内の専門家の十分な研究と論証を組織し、国際研究成果と軌道を合わせ、中国での実践を十分に考慮し、中国の「核セキュリティ文化政策声明」を作成し、国家エネルギー局と国家国防科学技術工業局と共同発表し、核セキュリティ文化を積極的に提唱する中国政府の態度を明らかにし、全産業における核セキュリティ文化の養成と発展に指針を提供した。これは核セキュリティ文化に関する中国政府初の政策声明となり、中国は、核セキュリティ文化に関する政策声明を出した世界で2番目の国となった。

 核セキュリティ文化の宣伝と徹底、推進のための特別行動が組織された。核セキュリティ設備の関連証明書保有団体とすべてのコア人員の「二重の全カバー」、隠匿・虚偽報告と違法操作行為の「2つの例外なし」の目標の組織と実施により、従業員のリスクや信用、責任、畏敬、法順守の意識を高めた。現在、核セキュリティ設備や原子力発電所、研究炉、核燃料サイクル施設、核技術利用の4分野ではいずれも大会が召集され、宣伝・徹底活動が全面的に展開されている。核セキュリティ文化宣伝・徹底・推進特別行動は2014年8月に始動し、2015年8月まで続けられる。


原文:http://nnsa.mep.gov.cn/zhxx_8953/haqnb/201508/P020150803390062846755.pdf


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