第113号
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「973計画」「863計画」などが統合、国家重点研究開発計画に

2016年 2月23日 (中国総合研究交流センター編集部)

 16日、中国科学技術部(省)の定例記者会見が行われ、国家重点研究開発計画の初の重点研究開発特別プロジェクト指針が発表された。新華社が報じるところによると、多くの科学技術計画を統合する国家重点研究開発計画が同日より正式に始動したことを意味する。これにより「973計画(国家重点基礎研究発展計画)」「863計画(国家ハイテク研究発展計画)」という中国の科学技術分野の二大計画が、過去のものになろうとしている。

 中国の従来の科学技術計画体系には重複、分散、閉鎖的、低効率といった問題が存在していたが、この問題の解決のため、財政資金の使用効率をより一層高めることを目的に、国務院は2014年に国家科学技術計画管理計画に着手した。2016年中に改革の主な任務を完了し、既存の100以上の科学技術計画を、国家自然科学基金、国家科学技術重大特別プロジェクト、国家重点研究開発計画、技術革新導入特別プロジェクト(基金)、基地・人材特別プロジェクトの5種類に統合する。そのうち国家重点研究開発計画は特に重要な改革であり、5種類のうち最も早く開始される改革でもある。

 科学技術部の侯建国副部長は次のように述べた。

 国家重点研究開発計画は、従来の973計画、863計画、国家科学技術支援計画、国際科学技術協力・交流特別プロジェクト、国家発展改革委員会と中国工業・情報化部(省)が管理する産業技術研究・開発資金、関連機関が管理する公益性業界科学研究特別プロジェクトなどの内容を含む。主に、国家計画や国民生活に関連する農業、エネルギー資源、生態環境、健康などの分野における、長期的な進展が必要な重大社会公益性研究に的を絞る。また産業の競争力、全体的な自主革新力、国家安全の戦略的・基礎的・先進的な重大科学問題、重大な基礎コア技術・製品、重大国際科学技術協力などを重視する。

 すでに、59件の重点特別プロジェクトの全体計画、優先的に開始する36件の重点特別プロジェクトに関する提案をまとめており、国家科学技術体制改革・革新体系建設指導グループの審議を通過、国務院からの批准を受けている。

 今後は、科学技術部、財政部(財務省)、発展改革委員会など31の関連当局からなる合同会議が、重点特別プロジェクトの構成に関する審議を担当し、科学技術界、産業界、経済界のハイレベル専門家からなる特別諮問委員会が重点特別プロジェクトの構成と任務内容などに関して情報や意見を提出し、合同会議の意思決定の参考とする。また、条件を備える科学研究管理分野の7つの事業機関が第1弾プロジェクト管理専門機関に確定されており、それぞれ各重点特別プロジェクトの審査から検収までの全プロセスの管理を担当する。

 国家重点研究開発計画は、申請・審査などの面で多くの革新が見られる。例えば、特別諮問委員会の委員および重点特別プロジェクトの諮問・評議に参加する専門家は、本人が諮問や論証に参加した重点特別プロジェクトに申請することはできない。また、重点特別プロジェクトの実施案と年度指針の制定に携わった専門家は、関連する重点特別プロジェクトに申請したり、審査を行ってはならない。さらに、プロジェクトを審査する専門家は、具体的な審査過程において、関連の禁止事項や要求を厳格に実行しなければならない。このようにして、「選手」と「審判員」が徹底的に分けられるということになる。