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中国が初の「原発事故白書」を公表

2016年 5月25日 (中国総合研究交流センター編集部)

 中国国務院新聞弁公室は1月、「中国原子力緊急時対策白書」を初めて公表した。中国は2015年10月現在、27基の原発が稼働しており、発電設備容量は2550万キロワットである。ま た建設中のプラントは25基で、完成すると2020年末までに5800万キロワットに達する。中国の原子力エネルギー利用の増大は、今年から始まる第13次5ヶ年計画でも、目玉のひとつとなっている。

 一方、2011年3月の福島第一原発事故以降、中国でも事故が起きたときの「緊急時対策」への関心が高まり、過酷事故対策から原子力防災まで、IAEAの深層防護の考え方を踏襲して、法 整備などが進められてきた。

 今回発表された白書は、「緊急時対策」に対する計画、法規制、体制、メカニズムなどについて、現状を取りまとめるとともに(「1計画3法制」)、基本的な考え方を示したものである。

 まず国家レベルでは「国家原子力事故緊急対応調整委員会」が設置されるが、主要な任務を担うのは「政府」と「軍」であると明記されている。

 また「委員会」の日常業務を遂行するため、「原子力事故対策室」を設置、国、関係機関、地方、原子力事業者が専門委員会や支援組織を立ち上げて意思決定

を行うという。

 また原子力防災については「原子力緊急対応能力を整備する」目的で、30あまりの国レベルの「救援チーム」を作るとともに、プラントについては軍に300人あまりの「国家原子力緊急時対応チーム」を 設立して事故収束に当たるとしている。

 とくに「救援チーム」は米国の緊急事態庁(FEMA)を意識したものと見られる。

 さらに緊急被曝医療などについても、診断や治療方法、応急手当のガイドラインを作成する」としており、深層防護の4層、5層を中心に整備していく方針を明確にした。

 中国の原子力発電プラントは、ほとんどが加圧水型軽水炉(PWR)で、とくに独自に開発した「華龍1号」はコストと安全性をうたい文句に、国際市場への幅広い参入を計画している。

 中国の急速な原発展開を安全面から支えるため、今回「緊急時対策」に関する白書を公表したと見られる。

関連リンク:
  中国原子力緊急時対策白書 日本語訳(提供:一 般社団法人海外電力調査会)


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