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中国節水灌漑設備の発展の現状・問題・趨勢・提言(その3)

2017年 1月16日

袁 寿其:江蘇大学国家ポンプ・システム工学技術研究センター研究員

博士指導教官。流体機械と灌漑排水機械の研究に主に従事。

李 紅:江蘇大学国家ポンプ・システム工学技術研究センター

王 新坤:江蘇大学国家ポンプ・システム工学技術研究センター研究員

節水灌漑技術・設備の研究に主に従事。

その2よりつづき)

1.2 マイクロ灌漑設備

1.2.1 発展の現状

1.2.1.1 国外の発展の現状

 マイクロ灌漑技術は、20世紀中期にすでに応用が開始され、イスラエルや米国、スペイン、イタリア、オーストラリア、韓国などの研究が常に世界のトップクラスであった。近年は、米国のマイクロ灌漑面積が急速に拡大し、2010年には1.53×106hm2に広がり、世界でマイクロ灌漑の発展が最も急速な国の一つとなった。イスラエルは、水資源の自然枯竭によって、節水灌漑技術を最大限に採用することを迫られ、80%の灌漑面積では先進マイクロ灌漑技術が採用され、マイクロ灌漑技術の発展を代表する国となった。

1)点滴灌漑灌水装置

 点滴灌漑灌水装置は、点滴灌漑システムの核心となる製品であり、開口式から渦流式、微管長流路式、透水毛管、ネジ山長流路式、ラビリンス流路式まで、さらには圧力補償灌水装置などの発展過程を経て、その形式はますます増え、技術はますます進んでいる。点滴灌漑灌水装置と毛管の連接方式は大きく2種類に分けられる。一つは点滴灌漑チューブ(ベルト)類、もう一つはエミッター類である。

 現在、幅広く広まっているのは一体化点滴灌漑チューブ(ベルト)、つまりエミッターと点滴灌漑チューブを一体化したもので、設置と使用が非常に便利である。一体化点滴灌漑チューブ(ベルト)には主に、シリンダーはめ込み式、パッチはめ込み式、バーはめ込み式、側翼ラビリンス式、圧力補償式、防滴圧力補償式などの系列がある。エミッターの感覚は一般的に30~100cmで、管壁厚は0.15~2.00mmで、使い捨てのものもある一方、寿命が20年に達するものもある。最新の製品には主に、圧力補償型のはめ込み式点滴灌漑チューブ(ベルト)であり、灌水の均等性が高く、機械を利用した長距離敷設が便利である。エミッター類製品の種類も多く、管式エミッター、取り外し可能エミッター、圧力補償式エミッターがあり、このうち最も先進的な圧力補償式エミッターは、水流の通路の長さを変えることによって流量を調節することができ、自動洗浄機能を備え、灌水の均等度が高く、詰まり防止能力も高い[16]。低圧点滴灌漑と地下点滴灌漑の灌水の均等性と詰まり防止能力を高めるため、先進的なワイド流路、デュアル入口、根系進入・巻き付き耐性、陰圧吸泥防止などのさまざまな種類の点滴灌漑灌水装置が開発されている。

2)濾過・施肥・制御設備

 イスラエルや米国、スペインなどのサンドフィルターや遠心分離フィルター、メッシュ・スタックフィルターなどは品種や規格がそろっており、どれも手動・半自動・全自動の3種の逆洗方式を備えている。自動逆洗と自動正常連続濾過制御技術は比較的成熟しており、先進的な全自動ディスク式洗浄濾過システム、全自動自吸式メッシュ式フィルター、全自動濾過ステーションなどの製品をそろえ、新型スタックフィルターの流路には曲面と逆洗流路が採用され、水頭損失が減少され、ケースを一定の角度に回転するだけで便利に逆洗を実現できる。

 水動施肥ポンプと水力駆動比率施肥器、全自動灌漑施肥機は、現在の世界の灌水施肥一体化設備の先進製品となっている。水流駆動のピストンで吸肥、ブレンド、施肥を行い、高い制御精度を備える。全自動灌漑施肥機は、プログラマブルコントローラーによる制御を採用し、ポンプによって複数のベンチュリ装置を加圧して肥料を注入し、施肥の種類と比率の自動で配分できる。先進国の節水灌漑コントローラーや電磁バルブなどの自動制御製品は比較的成熟しており、一連のマイクロ灌漑自動制御システム製品がそろっている。

1.2.1.2 国内の発展の現状

 点滴灌漑製品の研究と開発は、1974年のメキシコからの点滴灌漑設備の導入を起点とし、1980年代に模倣・改良・試験推進が開始された。1990年代に入ってからは、導入と模倣を土台として、中国国内の点滴灌漑製品も一定の自主研究開発能力を備え、中国の国情に適した一連の点滴灌漑製品が開発された。40年余りの発展を経て、点滴灌漑製品のタイプとシリーズは基本的にそろい、「灌水装置」「管材・管部品」「浄化濾過設備」「施肥設備」「制御・安全装置」の5つの分類が形成され、品種や規格の多様化したシリーズ化された点滴灌漑製品が生まれた。全国の点滴灌漑チューブ(ベルト)生産ラインは1400本余りにのぼり、このうち側翼点滴灌漑ベルト生産ラインは1300本余り、扁平エミッター生産ラインは30本余り、円柱エミッター生産ラインは10本余り、管上式エミッター生産ラインは2本だった。点滴灌漑技術の標凖化も徐々に整備され、工学技術や管理、製品などの点滴灌漑システムの各要素にかかわる点滴灌漑技術関連の産業標凖が15本、国家標凖が22本制定された。さらにいくつかの省市では、自身の発展条件や発展目標に基づき、地方標凖が制定された[17]

 点滴灌漑制度や点滴灌漑条件下の水・肥料の移動法則と移動モデル、点滴灌漑管網の水力学、システム最適化理論などに対して大量の研究が展開され、点滴灌漑技術の実際の応用を導くことのできる成果が取得されるようになった。点滴灌漑灌水装置やフィルターなどのカギとなる製品のメカニズムからの研究を展開し、参照や模倣を主な手段としたこれまでのマイクロ灌漑製品の生産路線を打破し、オリジナル製品の研究と開発を重視し始めた。農地固定式マイクロ灌漑やマルチ点滴灌漑、地下マイクロ灌漑、移動式マイクロ灌漑、微圧点滴灌漑など、中国の国情に合ったマイクロ灌漑技術と応用モデルが初期的に形成された[18-19]

1)マイクロ灌漑灌水装置

 灌水装置の品種と規格は絶えず増加し、エミッター類のシリーズは、管間式エミッターから微管エミッター、オリフィスエミッター、調整可能式エミッター、補償式エミッターなどにまで発展している。点滴灌漑チューブ(ベルト)シリーズには、ダブルキャビティ点滴灌漑チューブ(ベルト)、片翼ラビリンス薄壁点滴灌漑ベルト、パッチはめ込み式点滴灌漑チューブ(ベルト)、円柱はめ込み式点滴灌漑チューブ、バーはめ込み式点滴灌漑ベルトなどがある。灌水装置製品は、多様化と一部でのシリーズ化を初期的に形成し、適用性はより幅広くなり、使用者の使用と選択をより便利にしている。現在、国内において広大な面積で使用されている点滴灌水装置は基本的に2種類ある。一つは、はめ込みラビリンス式点滴灌漑ベルト、もう一つは、単翼ラビリンス式点滴灌漑ベルトである。単翼ラビリンス式点滴灌漑ベルト製品は、始動期と成長期の発展過程を経て、すでに成熟期に入っている。扁平エミッター式点滴灌漑チューブ(ベルト)は中国では現在、導入・模倣から自主研究開発の新段階に入っている。

2)濾過・施肥・制御設備

 中国国内のマイクロ灌漑浄化濾過設備は、第1世代の立式銅メッシュ、スティールフィルターの2種の規格から、多種の材質類型のメッシュ式フィルターやステンレススチールフィルター、自動逆洗メッシュフィルター、スタック式フィルターなどへと発展している。また単一のメッシュ式フィルターはサンドフィルターやサイクロ水砂分離器のシリーズ製品や組み合わせ式の濾過ステーションなどへと発展している。

 施肥装置は、単一の差圧式スチール肥料タンクから、カプセルスチール肥料タンク、開放式施肥タンク、ベンチュリ施肥器、水力施肥ポンプ、電力駆動注射ポンプなどへと発展し、製品規格はすでに10種余りに達している。現在、差圧式・ベンチュリ式施肥器はすでに、産業化生産を実現している。

 制御調節バルブや圧力流量コントローラー、マイクロ灌漑専用プラスチックボールバルブ、専用施肥バルブ、吸排気バルブ、調圧バルブなど、製品は徐々に多様化している[20]。自動制御モニタリングシステム装置はすでに、マイクロ灌漑プロジェクトにおいて狭い範囲で応用されており、試験デモンストレーションの段階にある。

 国内マイクロ灌漑管材・フィッティングは長年の発展を経て、規格化・シリーズ化された製品を形成しており、マイクロ灌漑プロジェクトにおいては、ポリエチレン(PE)やポリ塩化ビニル(UPVC)の管材・関連フィッティングが多く応用されており、国内メーカーは多く、生産規模や品質、数量、総合的な規格はすでに、マイクロ灌漑の発展のニーズに基本的に適応し、市場は飽和に向かっている。

1.2.2 存在する問題

 近年、中国のマイクロ灌漑は急速に発展し、マイクロ灌漑設備製品は基本的に整備され、型番や規格は比較的揃ってきているが、ローエンドの製品が多く、ミドル・ハイエンドの製品は比較的少ない。製品価格帯は国情に合っているが、国内のマイクロ灌漑キー技術・設備の開発は、導入・消化・吸収・改良のモデルを通じて行われており、新製品の研究開発の進展は遅れている。ローエンドのマイクロ灌漑設備の生産能力は過剩で、ハイエンド製品の研究開発と生産は市場ニーズを満たせておらず、依然として輸入に頼っている[17,21]

(1)灌水装置製品には性能と品質の向上が待たれている。マイクロ灌漑灌水装置は、マイクロ灌漑システムの核心部品の一つである。世界の先進メーカーはすでに、信頼性と耐久性の高いシリーズ化製品を有している。だが中国国内の灌水装置流路の開発方式は多くがラビリンス式流路を土台としているため、国内外の既存の灌水装置流路に対する分析を通じて試験と改良を行っても、新たな流路構造形式の形成は困難となっている。完全に独自の知的財産権を備え、優れた性能を持つ灌水装置は少なく、自主革新ブランドが不足している。灌水装置製品の品質の不安定さ、製造にばらつきの多さ、流量の均等度が低さ、使用寿命が短さなどの問題が広く存在する。灌水装置の水力性能と流路構造の研究は十分に深まっておらず、相応の設計理論を欠いている。マイクロ灌漑灌水装置の自主設計と研究開発は、企業と国外メーカーとの競争を阻害する主要な原因となっている。

(2)製品の総合性とシリーズ化の水準が低い。国内のマイクロ灌漑製品は、品種規格のシリーズ化、総合水準、信頼性、安定性、耐久性など多くの面でさまざまな問題があり、一部の製品は品質が低い。

 遠心分離式フィルターについては、固体濃度の違いに応じて、異なる構造または操作条件での遠心分離式フィルターによる処理が必要となっており、汎用性が低く、さらなる研究と解决が求められている。サンドフィルターの濾材の材質、配分比率、構造パラメーター、濾過效率と水力性能との関係の研究は十分に深まっておらず、逆洗技術もさらなる向上が待たれている。スクリーンフィルター製品は、型番規格が少ない、金属部品が腐蝕しやすい、メッシュとフレームの強度が低い、変形・破損しやすい、ゴムリングの密封性が低い、水漏れしやすいなどの問題がある。スタック式フィルターのスタック流路の構造やスタック材質、スタック形成工法の研究成果は少なく、逆洗構造・技術もまだ成熟していない。

 中国国内で広く使用されているのは、差圧式施肥装置とベンチュリ施肥器である。差圧式施肥器の施肥濃度は、大から小へと変化し続け、濃度の差異が大きく、コントロールが難しく、出液管に詰まりが起こりやすい。ベンチュリ式施肥器は水頭損失が大きく、性能が不安定である。各種の施肥設備の性能指標はいずれも整っておらず、構造パラメーターと施肥・吸肥・エネルギーロスなどの性能パラメーターとの間の関係の研究も十分に深まっておらず、性能がより安定した配分施肥ポンプの開発が待たれている。

 圧力流量コントローラーや排気バルブなどの品種規格が少なく、シリーズ化はまだ実現されておらず、製品が単一的である。フィッティングの整備の程度が低く、規格がそろっておらず、パイプラインの継ぎ目の脱離や水漏れが起こりやすく、異なる材質のパイプラインをつなぐ部品がそろっておらず、工事や設置に多くの不便がもたらされ、建設費用を高額化させている。

(3)自動化の程度が低い。国内の濾過・施肥・バルブ・採集モニタリングなどの設備の自動化制御技術の開発は遅れており、マイクロ灌漑システムの自動化の程度は低く、稼動の管理に不便がもたらされている。

(4)運用におけるエネルギー消費が高い。微圧マイクロ灌漑灌水装置は製品が少なく、施肥・濾過製品の水頭損失が大きく、大多数のメーカーは、施肥・濾過製品の流量と水頭損失との関係を提供しておらず、型番の選択配置が合理性を欠いている。プロジェクト設計においては建設費用がより多く考慮され、エネルギー消費の分析は少なく、システム運用のエネルギー消費を高めている。

(5)技術の統合度が低い。マイクロ灌漑応用の基礎理論と応用基礎研究が不足しており、基礎研究と設備研究開発、プロジェクト応用などの技術間の有機的な連結と統合を欠き、異なる地域の農村の水土条件に適した整った技術体系と応用モデルが形成されていない。

(6)生産設備と材料技術が遅れ、製品の市場競争力が低い。国内のマイクロ灌漑メーカーは規模が小さく分散しており、専門技術人材が不足している。大多数の企業の加工設備は多くが、国産で広く応用されているプラスチック押出・射出形成設備であり、専用の自動化生産ラインを欠いており、製造加工の精度が低い。原料の性能が不安定で、マイクロ灌漑器製品の材質と原料の配合の多様性が欠けている。一部の小型企業は生産過程において、再生プラスチックと添加剤を大量に使用することにより、加工の工程が粗雑になり、耐圧強度が低く、劣化しやすく、使用寿命が短くなり、配管の破裂や漏水などの現象がしばしば発生している。

(7)環境汚染問題。機械化敷設と経済性の目的から、大農地の点滴灌漑の発展においては、点滴灌漑ベルトはますます薄くなり、使用寿命は1シーズンまたは2シーズンにとどまる傾向にあるが、使い終わった点滴灌漑ベルトをいかに回収・再利用するかについてはまだ良い方法がない。マルチ点滴灌漑によってもたらされるプラスチック汚染の問題も有効に解决されていない。

1.2.3 発展の趨勢

 高効率・多機能・低エネルギー消費・環境保護・スマート化の重視は、マイクロ灌漑技術と製品の発展の新たな趨勢となっている。基礎理論研究を強化し、マイクロ灌漑分野における新技術・新材料・新工法の研究と応用を拡大し、新製品の開発周期を短縮し、製品の性能を改良・改善し、設備と技術の信頼性・総合性・先進性を高め、マイクロ灌漑の製品と設備のさらなる標凖化・シリーズ化・汎用化を進めることは、今後のマイクロ灌漑技術・製品の研究と開発の目標となっている[17,21]

(1)高効率・多機能・低エネルギー消費は、マイクロ灌漑の技術と製品の発展の趨勢である。エネルギー危機の激化に伴い、国家は、エネルギーの節約を戦略の高みに位置付けている。高効率・多機能・低圧のマイクロ灌漑の技術と製品を開発し、エネルギー消耗を引き下げ、マイクロ灌漑の技術と設備の利用率を高めることは、マイクロ灌漑の技術と製品の研究開発の重要な趨勢の一つとなる。

(2)マイクロ灌漑の技術とシステムの総合性と信頼性の問題がますます重視されている。マイクロ灌漑灌水装置の設計理論研究は遅れており、中国国内のマイクロ灌漑灌水装置の構造・水力性能・詰まり防止性能などはいずれも、国外の製品と一定の差があり、国外製品との競争を妨げる主要な原因となっている。マイクロ灌漑システムのフィルター・施肥装置・制御調節装置・自動制御設備などの総合設備には、技術水凖が低い、シリーズ化の程度が低いなどの問題がある。このため国内のマイクロ灌漑システムの理論と技術の水準を高め、設備の信頼性とシステムの総合水準、専用部品の供給能力を高め、基礎理論や応用技術、動力設備、取送水設備から施水・施肥設備までを全面的に考慮し、合理的な配備を行い、マイクロ灌漑技術の健全で安定した発展を促進し、最良の総合的利益を得ることは、今後のマイクロ灌漑の技術と設備の発展の趨勢となっている。

(3)多機能の軽量・小型マイクロ灌漑システムには良好な応用の見通しがある。中国の一人当たりの耕地面積は0.08hm2に満たず、農村の土地は生産責任制が実行され、土地は細かく分割され、土地経営の規模は小さい。広範囲にわたる土地は、多数の家庭によって共同で請け負われ、細かく区切られている。農村経済も総体的に後れており、電力や水源などのインフラの整備が不十分で、大規模なインフラ投資を農家が単独で行うのは難しい。多機能軽量・小型マイクロ灌漑システムは投資が小さく、使用が便利で、機動性が高く、農地における電力・水源・農地規模などのインフラ条件の制限を受けないことから、中国とその他の発展途上国の家庭式分散農業の節水において良好な応用の見通しを備えている。

(4)地下点滴灌漑技術が研究の焦点となっている。地下点滴灌漑は、点滴灌漑技術の向上を土台として発展した一種の新型高効率節水灌漑技術であり、毛管の使用寿命延長、節約回収、点滴灌漑毛管敷設の労働力などの面で、その他の灌水技術では比較にならない長所を備えている。ここ数年、地下点滴灌漑はすでに、世界各国の研究者の研究の焦点となり、一定の進展を実現している。だが地下点滴灌漑には、点滴灌漑チューブの詰まり、灌水の均等度の測定・制御技術、システムの故障診断とメンテナンス技術、発芽期と苗代期の灌水方法などの問題があり、さらなる研究が待たれている。

(5)環境に対するマイクロ灌漑技術の影響が重視され始めている。マイクロ灌漑は、肥料と農薬の使用效率を高め、化学物質の施用量を減らし、地下水と地上水源の汚染を有効に防ぐと同時に、汚水(地下点滴灌漑)または汽水を利用した灌漑が可能で、沙漠化の防止や生態改良などの面でも重要な役割を果たす。だがマルチ点滴灌漑の急速な発展と薄壁点滴灌漑ベルトの使用量の急増に伴い、点滴灌漑ベルトと農業用フィルムの残留は年々増加し、環境を深刻に汚染している。使い終わった点滴灌漑ベルトとプラスチック農業用フィルムをいかに回収・再利用するかは、今後解决しなければならない重要な問題となっている。

(6)新技術・新材料・新工法の応用が日増しに広がっている。新技術・新材料・新工法の応用は、マイクロ灌漑技術の水準をますます高め、新製品の開発速度は加速し、性能は絶えず向上している。新材料添加複合技術やナノ材料改質技術、プロセス制御・シミュレーション技術、高精度スピード造形・先進機械製造技術などは、マイクロ灌漑設備の開発にますます応用されつつある。パイプライン送水に用いる高分子複合材料大口径管材・フィッティング・付帯設備の開発や、標凖化・シリーズ化された新型金属管材・フィッティングの開発、強化高密度ポリエチレン(PE)移動パイプライン・フィッティングの開発が進められている。ハイテク製品・材料は絶えず更新・モデルチェンジされ、天然材料から人工合成材料へ、低分子量製品から高分子量製品へ、単一機能から多機能へと発展しており、マイクロ灌漑技術の大きな発展にいずれも重要な役割を果たしている。

(7)情報化とスマート化の水準が絶えず高まっている。世界の現代科学技術の進歩に伴い、情報技術やコンピュータースマート制御技術、電気機械一体化技術、3S技術、センサー・測定技術などがマイクロ灌漑技術においてより広く応用されるようになり、マイクロ灌漑技術設備の精密化・自動化・スマート化の水準をさらに高めている。マイクロ灌漑技術の安全性・快適性・操作性も、経済の発展と人々の生活水準の向上に伴い、いっそう高まっている。

(8)マイクロ灌漑の基礎理論研究は学科の交差と浸透をより重視したものとなっている。基礎理論研究を強化し、交差研究領域・ボーダー研究領域・新興研究領域の相互浸透を重視し、マイクロ灌漑の技術水準と製品性能をいっそう高めることは、マイクロ灌漑理論研究の方向となっている。流体力学理論とコンピューターシミュレーション技術、流場測量・表示技術、CFDCAD-CAMの有機的に結合した設計理論・方法は、今後のマイクロ灌漑製品の研究開発の重点となる。

その4へつづく)

参考文献

[16] 馬学良, 趙其恒, 田賀紅, 等. 国外農業節水灌漑設備現状[J]. 陝西水利, 2000(5) :46-47. Ma Xueliang, Zhao Qiheng, Tian Hehong, et al. The present situation of agricultural water- saving irrigation equipment abroad[J]. Shaanxi Water Resources, 2000 (5) :46-47. (in Chinese)

[17] 李光永, 龔時宏, 黄興法, 等. 我国微灌技術的発展現状、潜力、差距與創新戦略[C]. 中国節水農業科技論壇. 楡次: [出版者不詳], 2004.

[18] 李光永, 龔時宏, 史湘昆, 等. 我国微灌発展現状、問題剖析與建議[C]. 第八届全国微灌大会. 酒泉:[出版者不詳], 2009.

[19] 龔時宏, 王建東. 我国微灌技術的発展現状及存在的問題分析[C]. 第八届全国微灌大会. 酒泉: [出版者不詳], 2009.

[20] 王留運, 姚宛艶, 韓棟, 等. 我国微灌企業與設備産品存在的問題與解决措施[C]. 第七届全国微灌大会. 北京: [出版者不詳], 2007.

[21] 龔時宏, 李久生, 李光永. 噴微灌技術現状及未来発展重点[J]. 中国水利, 2012(2) :66-70. Gong Shihong, Li Jiusheng, Li Guangyong. The status quo of spray and focus on the future development of micro irrigation technology[J]. China Water Resources, 2012(2) :66-70. (in Chinese)

 ※本稿は袁寿其; 李紅; 王新坤「中国節水潅漑装備発展現状、問題、趨勢与建議」(『排潅機械工程学報』第33巻第1期,2015年1月、pp.78-92)を『排潅機械工程学報』編集部の許可を得て日本語訳・転載したものである。記事提供:同方知網(北京)技術有限公司


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